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【5】その後の方針を決める
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(で、どうすんだ?)
「……そんなの、こっちが聞きてぇよ……」
キリング軍からの追跡を逃れた空阿達は、森の中にいた。
「でも、本当にどうするかなぁ……」
人間の国でも魔族の国でも住めないだろうしなぁ……。はぁ、どこに住めばいいんだよ……。
人間の国と魔族の国での出来事により、空阿は落ち込んでいた。
(……自分の領土でも持つか?)
「領土?」
(あぁ、自分の領土を持てば、人間にも魔族にも属さずに過ごすことができるぞ)
「だったら、領土を主張するんじゃなくて、普通に暮らせばいいんじゃないか?」
領土なんて主張したら、魔族にも人間にも攻め込まれるかもしれないからな……。
(まぁ、それもいいかもしれないが、それじゃあつまらない)
「つまらない?」
(そうだ、人間にも魔族にも追い出されて細々と暮らすのは悔しいだろ……?」
……確かに、勝手に召喚されて、勝手に追い出されて、命まで狙われる……。納得いかねぇな……。
(今のお前には力はないかもしれない。だがな、力さえ付ければお前を簡単に殺すことはできないだろう。なんせ、お前には、『悪魔召喚』があるからな)
「……そうなのか?」
(そうだ、お前には復讐する力がある。人間にも魔族にも、世界中のやつらに復讐するチャンスはあるんだよ。欲望のままに動こうぜ)
カブルの言葉を聞いて、空阿は考え込んでいた。どうするのがいいのか、この世界でどう生きていくのか。そして、結論が出た。
「……領土を持つことにするよ」
(いいぜぇ……}
「……だがな」
(ん?)
「俺は別に人間と魔族すべてを滅ぼすために領土を持つんじゃない」
(……は?)
空阿は立ち上がった。
「俺は、人間にしろ魔族にしろ、虐げられるものが避難できるような場所を作るために、領土を持つことにするよ。それが、人間と魔族の嫌がらせになるだろうしな」
勝手にこの世界に召喚したくせに、有無も言わさずに追い出したことを恨んでいないわけじゃない……。けど、ただ殺して終わりじゃ面白くない……。どうせなら、この世界を楽しみたいしな。
(……)
カブルは何か言いたそうではあったが、
(……分かったよ。欲望には変わりねぇんだ。望むままに動きな)
一応は賛同していてる姿勢を見せた。
「あぁ、言われなくても大丈夫だよ」
と言ったものの、どうしたもんかなぁ、領土を持つにしても家もなければ畑もない。俺だけが暮らすだけなら、大して必要ないかもしれないけど、目標は種族のはみ出し者を受け入れることだからなぁ……。
今後のことについて、うんうん唸っていると、
(最初から全部やろうとするな)
「え?」
(どうせ、領民を受け入れるためには、家もなければ畑もないとか思ってるんだろ)
「うっ……。何で分かった……」
(ハハハ、たった数日だが、1日中おまえと一緒にいるんだから、なんとなくお前の考えてることぐらいわかるさ)
こいつが悪魔だから俺の考えもすべて読んでるんじゃないかと思っちまうな。……けど、どうしたらいいのか分からないのは事実だし……。
しばらく考えていた空阿であったが、仕方ないかといった感じで、
「……どうしたらいいと思う?」
カブル助言を求めた。
(ん?)
「だから、まずは何をしたらいいか教えてくれ!!」
(んー、人に物を頼む態度かな?)
こ、こいつ……。
苦虫を嚙み潰したような顔になりながらも、
「お、教えてください!!」
(……まぁ及第点だな)
見えないけど、絶対にこいつニヤニヤしてやがる。
(いいだろう教えてやる。まず、お前は圧倒的に強さが足りない。領民云々言う前に、まずは自分が強くならないとな。力が無ければ、守れるもんも守れねぇ)
「なるほど、確かにそうだ……。強くなるにはどうすればいいんだ?」
(それはだなぁ、レベルを上げることだ。そして、レベルを上げる方法は……生物を殺すことだ。人間でも魔族でも。あー、もちろんウサギとか動物でもいいぜ)
レベルを上げるには魔物とかだけじゃなくて、全生物なのか。
(ここの近くにいいレベル上げスポットがあるんだが、行くか?)
「あぁ!!もちろんだ」
カブルの案内に従い森の中を進んで行く途中途中で動物がいたが、動物は大した経験値にならないため、無視して目的の場所へと歩みを進めていく。
「そういえば、魔族に所属しない野良のモンスター?魔物?っているのか?」
(いるぜ、そういう奴らは魔族軍に所属はしてないが、戦争のときには使役して人間と戦わせるらしい。で、そういう魔物を野良魔族って呼んでるみたいだな)
「なるほど……。魔族軍所属は魔物で、未所属は野良魔物ってわけか。……何で所属してないんだ?」
(そうだなぁ、魔族は人間みたいにほとんどの奴が意思の疎通を図れるほど知能が高いわけじゃない。だから、野良魔物が魔族軍所属ってことになると、肉食と草食の動物を大量に飼育するって感じだな」
なるほど……。野良魔物を魔族軍所属として管理するってことは、それだけの食料と場所が必要になるってことか……。余程生産性のある野良魔物じゃない限り、適当にのさばらせといて、戦争のときになったら使役するってしたほうが費用的にもいいのか。
そんなことを話していると、いつの間にか目的の場所に着いたようで、気が付くと洞窟の前に立っていた。
(お、着いたみたいだな)
「ここが、そうなのか?」
(あぁ、魔物が溢れ出してくる洞窟、所謂ダンジョンだ)
「ダンジョン……!!」
アニメや漫画でしか聞いたことがないようなものが目の前にあることに空阿は感動していた。
「……そういえば、何でダンジョンには魔物が溢れ出しているんだ?」
これをうまく使えば、魔族軍がかなり優位に戦えるんじゃないか?
(それがな……。分かってないんだよ)
「分かってない?」
(あぁ、何か魔物が生み出される道具とかがあれば分かりやすいんだけどな。けど、1番有力な説はこの洞窟内に魔力だまりができていて、それが原因で魔物が溢れ出してくるってのだな。まぁ、それも正しいかどうか分からないが)
だから魔族軍が利用しようにもできないのか。納得。
空阿は魔族がダンジョンを戦争に利用できない理由に納得しつつも、ダンジョンを上手く使う方法はないのかと考えていると、
(それじゃあ、悪魔を使った戦い方を簡単に教えておこうか)
「!!それは、助かる」
(いいか?まずはな――――)
悪魔を召喚するのはデレキック国で行ったのと同じで、強い悪魔を召喚するにはそれだけ多くのMPが必要となってくる。上級の悪魔であれば自分の意思を持って戦ってくれるが、低級の悪魔では命令を出さなければ全く動かない。ただし、命令を1度出してしまえば、その命令を完遂しようと動いてくれるため、命令の出し方に気を付けなければならないと説明を受けた。
(といったところだな。まぁ、後は戦いながら学んでくれ)
「あぁ、教えてくれてありがとう」
(お、初めてじゃないか?まともにお礼を言ってくれたの)
「……うるせぇ」
……今、俺に召喚できるのは最下級の悪魔1体。これを上手く利用しないといけない……。
(あ、あと、俺は手を貸さないからな?)
「あぁ、元からそのつもりだ」
(それならいいんだ。俺が手を貸すとレベルが上がらないからな)
「なんでだ?」
(さぁな、そういうもんなんだろう)
何でなんだろか……。中身が俺じゃないからか……?いや、今はそんなこと気にしても仕方ないか。ダンジョンに集中しよう。
「よし、行くぞ!!」
(がんばれー)
空阿はダンジョンへと足を踏み入れた。
「……そんなの、こっちが聞きてぇよ……」
キリング軍からの追跡を逃れた空阿達は、森の中にいた。
「でも、本当にどうするかなぁ……」
人間の国でも魔族の国でも住めないだろうしなぁ……。はぁ、どこに住めばいいんだよ……。
人間の国と魔族の国での出来事により、空阿は落ち込んでいた。
(……自分の領土でも持つか?)
「領土?」
(あぁ、自分の領土を持てば、人間にも魔族にも属さずに過ごすことができるぞ)
「だったら、領土を主張するんじゃなくて、普通に暮らせばいいんじゃないか?」
領土なんて主張したら、魔族にも人間にも攻め込まれるかもしれないからな……。
(まぁ、それもいいかもしれないが、それじゃあつまらない)
「つまらない?」
(そうだ、人間にも魔族にも追い出されて細々と暮らすのは悔しいだろ……?」
……確かに、勝手に召喚されて、勝手に追い出されて、命まで狙われる……。納得いかねぇな……。
(今のお前には力はないかもしれない。だがな、力さえ付ければお前を簡単に殺すことはできないだろう。なんせ、お前には、『悪魔召喚』があるからな)
「……そうなのか?」
(そうだ、お前には復讐する力がある。人間にも魔族にも、世界中のやつらに復讐するチャンスはあるんだよ。欲望のままに動こうぜ)
カブルの言葉を聞いて、空阿は考え込んでいた。どうするのがいいのか、この世界でどう生きていくのか。そして、結論が出た。
「……領土を持つことにするよ」
(いいぜぇ……}
「……だがな」
(ん?)
「俺は別に人間と魔族すべてを滅ぼすために領土を持つんじゃない」
(……は?)
空阿は立ち上がった。
「俺は、人間にしろ魔族にしろ、虐げられるものが避難できるような場所を作るために、領土を持つことにするよ。それが、人間と魔族の嫌がらせになるだろうしな」
勝手にこの世界に召喚したくせに、有無も言わさずに追い出したことを恨んでいないわけじゃない……。けど、ただ殺して終わりじゃ面白くない……。どうせなら、この世界を楽しみたいしな。
(……)
カブルは何か言いたそうではあったが、
(……分かったよ。欲望には変わりねぇんだ。望むままに動きな)
一応は賛同していてる姿勢を見せた。
「あぁ、言われなくても大丈夫だよ」
と言ったものの、どうしたもんかなぁ、領土を持つにしても家もなければ畑もない。俺だけが暮らすだけなら、大して必要ないかもしれないけど、目標は種族のはみ出し者を受け入れることだからなぁ……。
今後のことについて、うんうん唸っていると、
(最初から全部やろうとするな)
「え?」
(どうせ、領民を受け入れるためには、家もなければ畑もないとか思ってるんだろ)
「うっ……。何で分かった……」
(ハハハ、たった数日だが、1日中おまえと一緒にいるんだから、なんとなくお前の考えてることぐらいわかるさ)
こいつが悪魔だから俺の考えもすべて読んでるんじゃないかと思っちまうな。……けど、どうしたらいいのか分からないのは事実だし……。
しばらく考えていた空阿であったが、仕方ないかといった感じで、
「……どうしたらいいと思う?」
カブル助言を求めた。
(ん?)
「だから、まずは何をしたらいいか教えてくれ!!」
(んー、人に物を頼む態度かな?)
こ、こいつ……。
苦虫を嚙み潰したような顔になりながらも、
「お、教えてください!!」
(……まぁ及第点だな)
見えないけど、絶対にこいつニヤニヤしてやがる。
(いいだろう教えてやる。まず、お前は圧倒的に強さが足りない。領民云々言う前に、まずは自分が強くならないとな。力が無ければ、守れるもんも守れねぇ)
「なるほど、確かにそうだ……。強くなるにはどうすればいいんだ?」
(それはだなぁ、レベルを上げることだ。そして、レベルを上げる方法は……生物を殺すことだ。人間でも魔族でも。あー、もちろんウサギとか動物でもいいぜ)
レベルを上げるには魔物とかだけじゃなくて、全生物なのか。
(ここの近くにいいレベル上げスポットがあるんだが、行くか?)
「あぁ!!もちろんだ」
カブルの案内に従い森の中を進んで行く途中途中で動物がいたが、動物は大した経験値にならないため、無視して目的の場所へと歩みを進めていく。
「そういえば、魔族に所属しない野良のモンスター?魔物?っているのか?」
(いるぜ、そういう奴らは魔族軍に所属はしてないが、戦争のときには使役して人間と戦わせるらしい。で、そういう魔物を野良魔族って呼んでるみたいだな)
「なるほど……。魔族軍所属は魔物で、未所属は野良魔物ってわけか。……何で所属してないんだ?」
(そうだなぁ、魔族は人間みたいにほとんどの奴が意思の疎通を図れるほど知能が高いわけじゃない。だから、野良魔物が魔族軍所属ってことになると、肉食と草食の動物を大量に飼育するって感じだな」
なるほど……。野良魔物を魔族軍所属として管理するってことは、それだけの食料と場所が必要になるってことか……。余程生産性のある野良魔物じゃない限り、適当にのさばらせといて、戦争のときになったら使役するってしたほうが費用的にもいいのか。
そんなことを話していると、いつの間にか目的の場所に着いたようで、気が付くと洞窟の前に立っていた。
(お、着いたみたいだな)
「ここが、そうなのか?」
(あぁ、魔物が溢れ出してくる洞窟、所謂ダンジョンだ)
「ダンジョン……!!」
アニメや漫画でしか聞いたことがないようなものが目の前にあることに空阿は感動していた。
「……そういえば、何でダンジョンには魔物が溢れ出しているんだ?」
これをうまく使えば、魔族軍がかなり優位に戦えるんじゃないか?
(それがな……。分かってないんだよ)
「分かってない?」
(あぁ、何か魔物が生み出される道具とかがあれば分かりやすいんだけどな。けど、1番有力な説はこの洞窟内に魔力だまりができていて、それが原因で魔物が溢れ出してくるってのだな。まぁ、それも正しいかどうか分からないが)
だから魔族軍が利用しようにもできないのか。納得。
空阿は魔族がダンジョンを戦争に利用できない理由に納得しつつも、ダンジョンを上手く使う方法はないのかと考えていると、
(それじゃあ、悪魔を使った戦い方を簡単に教えておこうか)
「!!それは、助かる」
(いいか?まずはな――――)
悪魔を召喚するのはデレキック国で行ったのと同じで、強い悪魔を召喚するにはそれだけ多くのMPが必要となってくる。上級の悪魔であれば自分の意思を持って戦ってくれるが、低級の悪魔では命令を出さなければ全く動かない。ただし、命令を1度出してしまえば、その命令を完遂しようと動いてくれるため、命令の出し方に気を付けなければならないと説明を受けた。
(といったところだな。まぁ、後は戦いながら学んでくれ)
「あぁ、教えてくれてありがとう」
(お、初めてじゃないか?まともにお礼を言ってくれたの)
「……うるせぇ」
……今、俺に召喚できるのは最下級の悪魔1体。これを上手く利用しないといけない……。
(あ、あと、俺は手を貸さないからな?)
「あぁ、元からそのつもりだ」
(それならいいんだ。俺が手を貸すとレベルが上がらないからな)
「なんでだ?」
(さぁな、そういうもんなんだろう)
何でなんだろか……。中身が俺じゃないからか……?いや、今はそんなこと気にしても仕方ないか。ダンジョンに集中しよう。
「よし、行くぞ!!」
(がんばれー)
空阿はダンジョンへと足を踏み入れた。
応援ありがとうございます!
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