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【4】魔族領に行ったが……
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「後どれぐらいで着くんだ?」
(後、30分ってとこかな)
「30分……」
な、長かった……。直ぐに着くかと思っていたけど、まさか1日近くかかることになるとはな……。でも、召喚された先が魔族領に近いところでよかった……。
セントロイス王国は魔族領に隣接している国であり、人類対魔族の最前線となっている国の1つであった。移動の途中途中で人類や魔族の検問所を見つけたが、カブルの力を借りて通り抜けることができた。
しばらく歩いていると、前方に大きな街のようなものが見えた。
「あれは……」
(お、ようやく見えてきたな。あれは魔族領デキレック国だ)
「デキレック国……」
魔族領だと聞いていたから、物々しい雰囲気を想像していたけど、思ったよりも人間領とそれほど変わらないんだなぁ。
草木も普通に生えてるし、空だって青い。うーん、もっと魔族領の奥に進んで行くと、想像通りの魔族領になっていくのかなぁ……。
(おい、このまま正面から行くつもりか?)
「え?」
(お前、スキル名は魔族みたいだけど、姿は人間だぞ?)
「そうだった……」
そうだなぁ……。正面から行っても王国みたいになるだろうしな……。……こっそり、城に忍び込むか……?
どうすれば、1番良い選択肢は何なのか考えていたが、どれも似たり寄ったりで、確実に安全に行ける選択肢は思い浮かばなかった。
「……しょうがない。城に忍び込むか……」
(……1番近道で、1番危ない選択を選んだな)
「まぁ、これが1番確実に謁見できるからな」
もし、正面から行ったとしても、謁見どころかただ追い返されて、襲われるだけだろうからな。
「よし、行くか」
(はいよ)
翼を生やして、上空へと飛び立つ。上空にも監視の目はあるため、それを潜り抜けて城までたどり着けるルートを探す。
「あそこか……」
ルートを見つけて城まで飛んでいく。気配を消しているため、集中して見つけなければ、空阿の姿を見つけることはできない。
「しっかし、面倒な体になったな」
(簡単にお前に主導権を渡してたまるか!!)
山からデレキック国までの道中で、空阿はカブルに体を預けている間、自由に指示を出すことができるようになっていた。また、主導権の切り替えを瞬時に行えるようになり、カブルが望まないことをしようとした瞬間、体の主導権を空阿に戻すことができるようになった。
「ふむふむ、どうやら謁見の間にいるようだな」
(そこまで連れていってくれ)
人影のない場所を探して、城の中に忍び込み、気づかれないように謁見の間に向かった。
「ほれ、もうすぐ着くぞ」
(……よし、分かった。着いたら変わるぞ)
謁見の間に繋がる扉を開けた。
突然現れた空阿の存在に驚きながらも、謁見の間にいた兵士たちは空阿を取り囲んだ。
「何者だ!!」
「説明するから、まずは話を聞いてくれ!!」
そう言うと、王座に座っていた3mもの鬼が立ち上がり近づいてきた。
(こいつは、魔将軍キリングだな)
「……」
近寄ってくるキリングの存在感に圧倒されないように、気を強く持った。
「お前は、何者だ」
「私は、苫芝空阿です。配下にさせていただきたく、訪ねさせていただきました」
「ほう」
キリングの右目には大きな切り傷があり、威圧感のあるその目でギョロギョロ空阿を睨んだ。
「何故配下になりたいのだ」
「はい、実は――――」
空阿は王国であったことを包み隠さずすべて話した。その話を聞いたキリングは配下の者に耳打ちをすると、その配下は何処かに行ったようで、しばらくすると、1体の悪魔と共に戻ってきた。
「なるほどな……。では、その『悪魔召喚』とかいうスキルで悪魔を召喚してみろ」
「は、はい」
空阿は周りの兵士達には聞こえないような小さい声で、
「……おい!!カブル!!「悪魔召喚」ってどうやったらいいんだ!?」
周りに気が付かれないようにカブルに尋ねた。
(……ふっ。しょうがないなぁ……。まずは、悪魔召喚って唱えてみろ)
分かった!!
「悪魔召喚!!」
すると、空阿の手元には真っ黒で、表紙にも裏表紙にも何も描かれていない1冊の本が現れた。
「……よ、よし!!次は、どうするんだ?」
(そうだなぁ……。今のお前だと……、2、3ページ目を開け)
言われた通り開いてみると、2ページ目には、悪魔の特徴や能力、必要な能力など様々なことが書かれており、3ページ目には魔法陣が描かれていた。
「……開いたぞ、次は?」
(それじゃあ、魔法陣に手をかざして、魔力を流し込めって言っても分かんないだろうから、最初は手伝ってやるよ)
「……わ、分かった。頼んだぞ」
魔法陣に手をかざすと、血液ではない、何か別のものが体の中を通って腕の方に流れていくのを感じた。
これが、魔力か……!!
今までに体験したことない経験に興奮を覚えつつも、魔法陣に魔力を送り続ける。
(あー、そうだ、ステータスオープンって頭の中で唱えてみろ。なーに、安心しろ、自分以外には見られないからな)
言われた通り、ステータスオープンと念じてみるとステータスボードが現れた。
〇---------------------------------------------------〇
名前:苫芝 空阿
Lv:1
[ステータス]
HP:100 MP:50 力:50 身の守り:50
素早さ:50 魔法攻撃:50 魔法防御:50 運:10
[スキル]
・悪魔召喚
・陞滂スゥ闖エ?ソ陷ソ?ャ陜
〇---------------------------------------------------〇
(気が付いたか?MPが減ってるの。魔力を使うとMPが減るからこれが0にならないように気を付けろよ)
「……なるほど、分かった」
MPが残り10ほどになったとき、魔法陣が少し光ると、目の前に小さな悪魔が現れた。
(お、できたな。まぁ、今のお前だと大した悪魔は召喚できないだろうがな)
MPが増えれば増えるほど強い悪魔が召喚できるってことか……。
召喚された悪魔はその場でじっとしており、命令されるのを待っているようだった。魔族の悪魔は召喚された悪魔の元に近づき、ジロジロと様々なところを観察して、それが終わるとキリングの元へと戻っていった。
「どうであった?」
「それが……。このような悪魔見たことがありません」
「ということは……。魔族ではないということか」
「恐らく」
魔族の悪魔の話を聞いたキリングはしばらく思案した。
「……人間のスパイか!!」
「なっ!!」
どうして……。どうして!!こんなことになるんだよ!!
「その者を捕らえよ!!」
魔族たちは再び空阿を取り囲み、武器を構えて攻撃の体勢を取った。
「くそっ……」
(逃げるか?)
空阿は俯きながら、
「あぁ……」
そう呟いた。
(分かった)
カブルに主導権を渡した空阿は近くにあった窓を突き破って城の外に出て、この地を急いで離れるために全速力で逃げた。
「追え!!人相書をすぐに書いてこい。伝達係は、魔王様と周辺の国に人相書と共に人間のスパイが紛れ込んだことを伝えよ!!」
「はっ!!」
キリングの命令に従い、周りにいた魔族たちは瞬時に行動を開始した。
「人間どもめ……」
キリングは空阿が逃げた方向を向き、ボソッと呟いた。
(後、30分ってとこかな)
「30分……」
な、長かった……。直ぐに着くかと思っていたけど、まさか1日近くかかることになるとはな……。でも、召喚された先が魔族領に近いところでよかった……。
セントロイス王国は魔族領に隣接している国であり、人類対魔族の最前線となっている国の1つであった。移動の途中途中で人類や魔族の検問所を見つけたが、カブルの力を借りて通り抜けることができた。
しばらく歩いていると、前方に大きな街のようなものが見えた。
「あれは……」
(お、ようやく見えてきたな。あれは魔族領デキレック国だ)
「デキレック国……」
魔族領だと聞いていたから、物々しい雰囲気を想像していたけど、思ったよりも人間領とそれほど変わらないんだなぁ。
草木も普通に生えてるし、空だって青い。うーん、もっと魔族領の奥に進んで行くと、想像通りの魔族領になっていくのかなぁ……。
(おい、このまま正面から行くつもりか?)
「え?」
(お前、スキル名は魔族みたいだけど、姿は人間だぞ?)
「そうだった……」
そうだなぁ……。正面から行っても王国みたいになるだろうしな……。……こっそり、城に忍び込むか……?
どうすれば、1番良い選択肢は何なのか考えていたが、どれも似たり寄ったりで、確実に安全に行ける選択肢は思い浮かばなかった。
「……しょうがない。城に忍び込むか……」
(……1番近道で、1番危ない選択を選んだな)
「まぁ、これが1番確実に謁見できるからな」
もし、正面から行ったとしても、謁見どころかただ追い返されて、襲われるだけだろうからな。
「よし、行くか」
(はいよ)
翼を生やして、上空へと飛び立つ。上空にも監視の目はあるため、それを潜り抜けて城までたどり着けるルートを探す。
「あそこか……」
ルートを見つけて城まで飛んでいく。気配を消しているため、集中して見つけなければ、空阿の姿を見つけることはできない。
「しっかし、面倒な体になったな」
(簡単にお前に主導権を渡してたまるか!!)
山からデレキック国までの道中で、空阿はカブルに体を預けている間、自由に指示を出すことができるようになっていた。また、主導権の切り替えを瞬時に行えるようになり、カブルが望まないことをしようとした瞬間、体の主導権を空阿に戻すことができるようになった。
「ふむふむ、どうやら謁見の間にいるようだな」
(そこまで連れていってくれ)
人影のない場所を探して、城の中に忍び込み、気づかれないように謁見の間に向かった。
「ほれ、もうすぐ着くぞ」
(……よし、分かった。着いたら変わるぞ)
謁見の間に繋がる扉を開けた。
突然現れた空阿の存在に驚きながらも、謁見の間にいた兵士たちは空阿を取り囲んだ。
「何者だ!!」
「説明するから、まずは話を聞いてくれ!!」
そう言うと、王座に座っていた3mもの鬼が立ち上がり近づいてきた。
(こいつは、魔将軍キリングだな)
「……」
近寄ってくるキリングの存在感に圧倒されないように、気を強く持った。
「お前は、何者だ」
「私は、苫芝空阿です。配下にさせていただきたく、訪ねさせていただきました」
「ほう」
キリングの右目には大きな切り傷があり、威圧感のあるその目でギョロギョロ空阿を睨んだ。
「何故配下になりたいのだ」
「はい、実は――――」
空阿は王国であったことを包み隠さずすべて話した。その話を聞いたキリングは配下の者に耳打ちをすると、その配下は何処かに行ったようで、しばらくすると、1体の悪魔と共に戻ってきた。
「なるほどな……。では、その『悪魔召喚』とかいうスキルで悪魔を召喚してみろ」
「は、はい」
空阿は周りの兵士達には聞こえないような小さい声で、
「……おい!!カブル!!「悪魔召喚」ってどうやったらいいんだ!?」
周りに気が付かれないようにカブルに尋ねた。
(……ふっ。しょうがないなぁ……。まずは、悪魔召喚って唱えてみろ)
分かった!!
「悪魔召喚!!」
すると、空阿の手元には真っ黒で、表紙にも裏表紙にも何も描かれていない1冊の本が現れた。
「……よ、よし!!次は、どうするんだ?」
(そうだなぁ……。今のお前だと……、2、3ページ目を開け)
言われた通り開いてみると、2ページ目には、悪魔の特徴や能力、必要な能力など様々なことが書かれており、3ページ目には魔法陣が描かれていた。
「……開いたぞ、次は?」
(それじゃあ、魔法陣に手をかざして、魔力を流し込めって言っても分かんないだろうから、最初は手伝ってやるよ)
「……わ、分かった。頼んだぞ」
魔法陣に手をかざすと、血液ではない、何か別のものが体の中を通って腕の方に流れていくのを感じた。
これが、魔力か……!!
今までに体験したことない経験に興奮を覚えつつも、魔法陣に魔力を送り続ける。
(あー、そうだ、ステータスオープンって頭の中で唱えてみろ。なーに、安心しろ、自分以外には見られないからな)
言われた通り、ステータスオープンと念じてみるとステータスボードが現れた。
〇---------------------------------------------------〇
名前:苫芝 空阿
Lv:1
[ステータス]
HP:100 MP:50 力:50 身の守り:50
素早さ:50 魔法攻撃:50 魔法防御:50 運:10
[スキル]
・悪魔召喚
・陞滂スゥ闖エ?ソ陷ソ?ャ陜
〇---------------------------------------------------〇
(気が付いたか?MPが減ってるの。魔力を使うとMPが減るからこれが0にならないように気を付けろよ)
「……なるほど、分かった」
MPが残り10ほどになったとき、魔法陣が少し光ると、目の前に小さな悪魔が現れた。
(お、できたな。まぁ、今のお前だと大した悪魔は召喚できないだろうがな)
MPが増えれば増えるほど強い悪魔が召喚できるってことか……。
召喚された悪魔はその場でじっとしており、命令されるのを待っているようだった。魔族の悪魔は召喚された悪魔の元に近づき、ジロジロと様々なところを観察して、それが終わるとキリングの元へと戻っていった。
「どうであった?」
「それが……。このような悪魔見たことがありません」
「ということは……。魔族ではないということか」
「恐らく」
魔族の悪魔の話を聞いたキリングはしばらく思案した。
「……人間のスパイか!!」
「なっ!!」
どうして……。どうして!!こんなことになるんだよ!!
「その者を捕らえよ!!」
魔族たちは再び空阿を取り囲み、武器を構えて攻撃の体勢を取った。
「くそっ……」
(逃げるか?)
空阿は俯きながら、
「あぁ……」
そう呟いた。
(分かった)
カブルに主導権を渡した空阿は近くにあった窓を突き破って城の外に出て、この地を急いで離れるために全速力で逃げた。
「追え!!人相書をすぐに書いてこい。伝達係は、魔王様と周辺の国に人相書と共に人間のスパイが紛れ込んだことを伝えよ!!」
「はっ!!」
キリングの命令に従い、周りにいた魔族たちは瞬時に行動を開始した。
「人間どもめ……」
キリングは空阿が逃げた方向を向き、ボソッと呟いた。
応援ありがとうございます!
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