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【21】秘密を打ち明ける
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「父さん、母さん」
「ん?どうした?」
「実は……」
俺は父さんと母さんに人の魔法やスキルが見えること、スキルや魔法が使えることを伝え、今まで黙っていたことを謝った。
父さんと母さんは俺の話を聞き終わった後、2人とも何かいう訳でもなく、うつむいて何か思いつめるような表情をしている。しばらく、無言の時間が続いたが、父さんが意を決したように顔を上げた。
「俺達も話さないといけないな……」
父さんがそう言うと、母さんはハッとした後、
「そうね……」
と言って小さく頷いた。
何を言われるんだろうかと身構えると、父さんが俺のことを真っすぐ見つめてくる。
「シェイド。実はな……お前は俺達とは血が繋がっていないんだ」
父さんが言うには、俺は父さんが別の国での仕事中に森の中で捨てられていたのを見つけた子供で、その子供を連れて帰って父さんと母さんが育てることにしたのだという。
「……驚かないのか?」
「うん。まぁ、なんとなくそんな気がしてたから……」
昔、父さんと母さんとは異なる自分の髪色について2人に聞いてみたとき、母さんの父、つまりおじいちゃんと同じ髪色だからそれが遺伝したのだろうと言われた。2人の様子から嘘をついていると分かったけど、その時はそれ以上は追求しなかった。2人がそれ以上追求されたくない雰囲気を出していたのに気が付いたから。
「ショックじゃないの……?」
母さんは俺があまりショックを受けてないのを気にしているのか、不安そうに尋ねてくる。
「……俺は2人を本当の父さんと母さんだと思っているし、2人に拾われて幸せだから、ショックだなんて思わないよ」
そう言うと、2人とも俺に抱き着いてきて、母さんにいたっては涙を流している。
「シェイド。あなたは私たち2人の子供よ!!」
「そうだ!!誰が何と言おうとも俺たちの息子だ!!」
より一層力強く抱きしめてくる2人の暖かさに、思わず泣きそうになってしまう。
「うん……!!」
しばらく3人で抱き合った後、落ち着いたところで2人に伝えることにした。
「それと、2人に話さないといけないことがあるんだ」
実は魔法やスキルが使えること、右目で人の能力が見えることを伝えた上で村の皆には内緒にしておいて欲しいと伝える。当然何で内緒にする必要があるんだと言われたが、自分に自信が持てるまでは内緒にしておきたいと伝えると、
「……そうか。お前がそうすると決めたんだったら、俺はもう何も言わない。自信が持てるようになるまで頑張れよ!!」
「そうね……。シェイドの人生だし、自分がやりたいようにやりなさい」
2人とも完全には納得してくれたという訳ではないが、俺の考えを尊重してくれて、内緒にするという考えに賛同してくれた。
その後は、父さんと母さんのスキルのことや俺が小さかった時などの話になり、気が付けば夜もすっかり更けていた。
「もう夜も遅いし、今日は寝なさい」
「うん」
母さんに促される形でダイニングを後する。今まで隠していた秘密を2人に伝えることができ、解放された気分で自室へと戻った。
翌日、信頼できる人物である3人の幼馴染にも自分の秘密を伝えると、
「えーと……」
「うーん……」
あまり理解できていないとった様子であったため、村から少し離れた場所まで移動して、覚えたスキルや魔法を3人に見せると、俺の言っていることがようやく理解できたようだ。
「急にこんなこと言われて困ると思うけど……皆には今まで通り……」
接して欲しいと言おうとしたところで、遮るかのようにガレントが肩を組んできた。
「……じゃん」
「え?」
突然のことで驚いた俺は、ガレントが口にした言葉が聞き取れなかったため聞き返してみると、
「めっっっっちゃ!!すげぇじゃん!!」
「え、じゃあさ!! うちらのそのー、ステータスボード? も見えてるの!?」
「わ、私も見てほしい!!」
ガレントのみならず、スレイアとレシリアまでもが俺に詰め寄ってくる。
「ちょ、ちょっと、落ち着いて!!」
ガレントを引きはがして3人を落ち着かせながら話を聞いてみると、どうやら、俺がスキルを使ったり、魔法を使ったりしたのを見て自分も使ってみたいと思ったとのことであった。
思いがけない反応で戸惑ったものの、3人とも早く早くとせがんでくるため右目で3人のことを見てみることにした。
「それで、俺はどうだ?」
ガレントの身体を見てみる。
「えーと、そうだなぁ……」
ガレントは木剣を貰ってからというものの、剣術に明け暮れる日々を過ごしており、以前見た一刀両断以外にも様々なスキルの経験値が溜まっているようであったが……。
「振り下ろしの練習はどうしたの?」
「振り下ろし?」
「うん。前に見せてもらったやつなんだけど……」
ガレントのステータスを見て不思議なことに気が付いたため、尋ねてみる。
「あー、あれか。やってるけど、それがどうかしたか?」
「いや、ちょっと気になって……」
そう言って辺りを見渡す。
えーと……、木の棒……、木の棒……。お、あったあった。
手ごろな木の棒を拾ってガレントに差し出す。
「ちょっと、やってみて」
「え……? 別にいいけど……」
ガレントは不思議そうに木の棒を手に取ると、上段の構えを取る。
「あ、いつもやってる感じでやってね」
「あ、あぁ」
そう言って、ガレントは木の棒を振り下ろした。
「これでいいか?」
「あー……。えっと」
一刀両断の練習をする過程で、どのラインからスキルの経験値が溜まるのかを調べていたこともあって、断言することができる。ガレントのやり方だとまったくの練習になっていない。
「ガレントはどんなことを意識してる?」
「意識……?」
「うん。どんなことを意識しながら振ってるの?」
「そうだなぁ……。特になんも意識してないけど」
ガレントの返事を聞いてあぁ、やっぱりなと思った。以前と比べて一刀両断の経験値がそれほど溜まっておらず、何かしら振り方に変化があったのだろうと考えた。
「ガレント、そのやり方じゃダメだよ。ちょっと貸して」
ガレントから木の棒を受け取ると、上段に構え、振り下ろす。
「何が違うか分かった?」
ガレントに尋ねてみると、
「うーん……」
ガレントは腕を組み、考えているようであったが、
「分からん!!」
元気よくそう答えた。
「ハハハ……。それじゃあ、説明するね」
一刀両断の練習には集中して1回1回振り下ろすことが重要であった。以前のガレントを見たときには、集中して振り下ろしていたようであったが、今のガレントはただ力いっぱい振り下ろしているだけで集中していない。
そのことをガレントに伝えると、
「なるほどなぁ……。確かにただ思いっきり振り下ろすことしか考えていなかったぜ」
俺の説明を理解して、納得してくれたようだ。その後、ガレントがやり方があっているか見てくれと言ってきたので、ガレントの素振りを見ていると、
「ねぇ!!次はうちのことを見てよ!!」
「私もスキルについてもっと教えて欲しい!!」
「あ!!俺も他の剣術スキルについて教えてくれ!!」
3人とももっとスキルについて教えて欲しいとせがんでくる。専門家でもないので、間違ったことを教えてしまうかもしれないと少し悩んだが、少しぐらいなら良いかと、スキルについて俺の知っている範囲のことを教えることにした。
「ん?どうした?」
「実は……」
俺は父さんと母さんに人の魔法やスキルが見えること、スキルや魔法が使えることを伝え、今まで黙っていたことを謝った。
父さんと母さんは俺の話を聞き終わった後、2人とも何かいう訳でもなく、うつむいて何か思いつめるような表情をしている。しばらく、無言の時間が続いたが、父さんが意を決したように顔を上げた。
「俺達も話さないといけないな……」
父さんがそう言うと、母さんはハッとした後、
「そうね……」
と言って小さく頷いた。
何を言われるんだろうかと身構えると、父さんが俺のことを真っすぐ見つめてくる。
「シェイド。実はな……お前は俺達とは血が繋がっていないんだ」
父さんが言うには、俺は父さんが別の国での仕事中に森の中で捨てられていたのを見つけた子供で、その子供を連れて帰って父さんと母さんが育てることにしたのだという。
「……驚かないのか?」
「うん。まぁ、なんとなくそんな気がしてたから……」
昔、父さんと母さんとは異なる自分の髪色について2人に聞いてみたとき、母さんの父、つまりおじいちゃんと同じ髪色だからそれが遺伝したのだろうと言われた。2人の様子から嘘をついていると分かったけど、その時はそれ以上は追求しなかった。2人がそれ以上追求されたくない雰囲気を出していたのに気が付いたから。
「ショックじゃないの……?」
母さんは俺があまりショックを受けてないのを気にしているのか、不安そうに尋ねてくる。
「……俺は2人を本当の父さんと母さんだと思っているし、2人に拾われて幸せだから、ショックだなんて思わないよ」
そう言うと、2人とも俺に抱き着いてきて、母さんにいたっては涙を流している。
「シェイド。あなたは私たち2人の子供よ!!」
「そうだ!!誰が何と言おうとも俺たちの息子だ!!」
より一層力強く抱きしめてくる2人の暖かさに、思わず泣きそうになってしまう。
「うん……!!」
しばらく3人で抱き合った後、落ち着いたところで2人に伝えることにした。
「それと、2人に話さないといけないことがあるんだ」
実は魔法やスキルが使えること、右目で人の能力が見えることを伝えた上で村の皆には内緒にしておいて欲しいと伝える。当然何で内緒にする必要があるんだと言われたが、自分に自信が持てるまでは内緒にしておきたいと伝えると、
「……そうか。お前がそうすると決めたんだったら、俺はもう何も言わない。自信が持てるようになるまで頑張れよ!!」
「そうね……。シェイドの人生だし、自分がやりたいようにやりなさい」
2人とも完全には納得してくれたという訳ではないが、俺の考えを尊重してくれて、内緒にするという考えに賛同してくれた。
その後は、父さんと母さんのスキルのことや俺が小さかった時などの話になり、気が付けば夜もすっかり更けていた。
「もう夜も遅いし、今日は寝なさい」
「うん」
母さんに促される形でダイニングを後する。今まで隠していた秘密を2人に伝えることができ、解放された気分で自室へと戻った。
翌日、信頼できる人物である3人の幼馴染にも自分の秘密を伝えると、
「えーと……」
「うーん……」
あまり理解できていないとった様子であったため、村から少し離れた場所まで移動して、覚えたスキルや魔法を3人に見せると、俺の言っていることがようやく理解できたようだ。
「急にこんなこと言われて困ると思うけど……皆には今まで通り……」
接して欲しいと言おうとしたところで、遮るかのようにガレントが肩を組んできた。
「……じゃん」
「え?」
突然のことで驚いた俺は、ガレントが口にした言葉が聞き取れなかったため聞き返してみると、
「めっっっっちゃ!!すげぇじゃん!!」
「え、じゃあさ!! うちらのそのー、ステータスボード? も見えてるの!?」
「わ、私も見てほしい!!」
ガレントのみならず、スレイアとレシリアまでもが俺に詰め寄ってくる。
「ちょ、ちょっと、落ち着いて!!」
ガレントを引きはがして3人を落ち着かせながら話を聞いてみると、どうやら、俺がスキルを使ったり、魔法を使ったりしたのを見て自分も使ってみたいと思ったとのことであった。
思いがけない反応で戸惑ったものの、3人とも早く早くとせがんでくるため右目で3人のことを見てみることにした。
「それで、俺はどうだ?」
ガレントの身体を見てみる。
「えーと、そうだなぁ……」
ガレントは木剣を貰ってからというものの、剣術に明け暮れる日々を過ごしており、以前見た一刀両断以外にも様々なスキルの経験値が溜まっているようであったが……。
「振り下ろしの練習はどうしたの?」
「振り下ろし?」
「うん。前に見せてもらったやつなんだけど……」
ガレントのステータスを見て不思議なことに気が付いたため、尋ねてみる。
「あー、あれか。やってるけど、それがどうかしたか?」
「いや、ちょっと気になって……」
そう言って辺りを見渡す。
えーと……、木の棒……、木の棒……。お、あったあった。
手ごろな木の棒を拾ってガレントに差し出す。
「ちょっと、やってみて」
「え……? 別にいいけど……」
ガレントは不思議そうに木の棒を手に取ると、上段の構えを取る。
「あ、いつもやってる感じでやってね」
「あ、あぁ」
そう言って、ガレントは木の棒を振り下ろした。
「これでいいか?」
「あー……。えっと」
一刀両断の練習をする過程で、どのラインからスキルの経験値が溜まるのかを調べていたこともあって、断言することができる。ガレントのやり方だとまったくの練習になっていない。
「ガレントはどんなことを意識してる?」
「意識……?」
「うん。どんなことを意識しながら振ってるの?」
「そうだなぁ……。特になんも意識してないけど」
ガレントの返事を聞いてあぁ、やっぱりなと思った。以前と比べて一刀両断の経験値がそれほど溜まっておらず、何かしら振り方に変化があったのだろうと考えた。
「ガレント、そのやり方じゃダメだよ。ちょっと貸して」
ガレントから木の棒を受け取ると、上段に構え、振り下ろす。
「何が違うか分かった?」
ガレントに尋ねてみると、
「うーん……」
ガレントは腕を組み、考えているようであったが、
「分からん!!」
元気よくそう答えた。
「ハハハ……。それじゃあ、説明するね」
一刀両断の練習には集中して1回1回振り下ろすことが重要であった。以前のガレントを見たときには、集中して振り下ろしていたようであったが、今のガレントはただ力いっぱい振り下ろしているだけで集中していない。
そのことをガレントに伝えると、
「なるほどなぁ……。確かにただ思いっきり振り下ろすことしか考えていなかったぜ」
俺の説明を理解して、納得してくれたようだ。その後、ガレントがやり方があっているか見てくれと言ってきたので、ガレントの素振りを見ていると、
「ねぇ!!次はうちのことを見てよ!!」
「私もスキルについてもっと教えて欲しい!!」
「あ!!俺も他の剣術スキルについて教えてくれ!!」
3人とももっとスキルについて教えて欲しいとせがんでくる。専門家でもないので、間違ったことを教えてしまうかもしれないと少し悩んだが、少しぐらいなら良いかと、スキルについて俺の知っている範囲のことを教えることにした。
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