35 / 35
【35】ゴーレムを倒す策
しおりを挟む
出が早い冥府の雷を躱すのは容易ではなく、中々進めない状態が続いていながらも、少しずつゴーレムとの距離を詰める。
「厄介すぎる……!!」
ただでさえ威力が高い魔法にも関わらず、ゴーレムはその魔法をほぼ無制限に放ってくる。鑑定眼で見ている限り消費MP自体はかなり多いようだ。人間が使うのであれば、打てて1、2発ぐらいであろう。ただ、相手はMPが回復しまくる。厄介なことこの上ない。
横に転がりながら敵の攻撃を避ける。ただ、避けて一安心という訳ではないため慌てて体勢を整えようとするものの、黒い雷がこちらに飛んできているのが見える。避けるのか防ぐのか一瞬のうちに判断しなくてはならない。そんな状況が先程からずっと続いていた。
「……っ!! 岩壁!!」
急いで岩の壁を作り出すも間に合わずに、未完成の状態で雷が直撃する。
「あー、もう!!」
砕かれた岩が自分の体に当たるたびにイライラが募ってくる。ただ、この感情のままでは駄目だと思い、何とか冷静を保とうとするものの、ゴーレムの理不尽さにイライラが止まらない。
あー、くそっ!! 本当に厄介な敵だな!!
さらに、ゴーレムの表情が無表情なのが余計に腹が立ってくる。そんな中、敵の攻撃が頬を掠めたことで、頬がチリチリと痛みが走ったところでプツンと何かが切れた。
「……よーし、よく分かった!!」
今までは攻撃を食らわない様に安全第一で近づこうと考えていたが、これではいつまで経ってもきりがない。チマチマと距離を詰めていては負けてしまう上に、自分の性に合わない。多少の攻撃が体に当たっても構わずに距離を詰めることにした。
雷が掠めた箇所から肉の焼けた匂いがする。どうしても全ての攻撃を食らわないということはできず、避ける、壁を張る、軌道ずらす、最低限の防御行動を取りつつ着実にゴーレムに近づいていく。
「あと少し……、あと少しだ……」
鑑定眼で見えるステータスには冥府の雷と魔法障壁の文字しかなかった。ということは、その2つしか使えないということであり敵の動きは限られていた。そのため、ただまっすぐ飛んでくる魔法を避ければいいのだが、それが中々難しい。じりじりとダメージを食らいながらも何とか距離を詰める。
「火炎球!!」
自分が覚えている魔法の射程範囲内まで近づくことができたため、ゴーレムに攻撃してみるもやはり魔法障壁で塞がれてしまう。魔法で攻撃するのは無駄であると改めて分かったため、剣で攻撃しようかとも考えてみるが、普通に攻撃するだけでは効かないであろう。
「やっぱり、あれしかないか……」
近づけば近づくほど敵の攻撃を防ぐことが難しくなってくる。ただ、このゴーレムを倒すには魔法障壁を打ち破るほど威力が高く、ゴーレムの攻撃よりも出が早いもしくは同じぐらいの攻撃をしなければならない。自分にはその2つを満たすスキルも魔法も使えない。……ただ、そんな攻撃を使えるモノが目の前にはいた。
腕、足、腹、胸、黒い雷がその身を焦がす。魔法で防いでいるとはいえ、痛いものは痛い。何度も意識が飛びそうになりながらも、意地でも足を止めない。そして、5m……、4m……、3mと徐々にゴーレムに近づいてきた。
「……今だ!!」
勢いよく飛んで一気に間合いを詰める。空中での無防備な体目掛けて雷が飛んでくるが左腕で防ぐ。真っ黒に焦げて、プスプスと音を立てながら煙を上げている左腕はだらんと力なくぶら下がっている。意識も半分飛んだが、意地で意識を保つ。左腕が使えなくなったが、右腕さえ無事であれば大丈夫だ。
右腕をゴーレムの方に伸ばして集中する。一瞬のチャンスを逃すわけにはいかない。
「……掴んだ!!」
ギュッと右手を握る。傍から見れば、空気でも掴んだのかと思われるかもしれないが、確かに俺は掴んだんだ。
ゴーレムの後方で着地した俺は右手をゴーレムの方へ向ける。ゴーレムも同じように、こちらに左手を向けていた。
「冥府の雷!!」
そう唱えると、右腕がバチッと一瞬の痛みに襲われ思わず顔を歪める。それでも、魔力を込めると手のひらに魔法陣が現れる。そして、その魔法陣から出てきた黒い雷がゴーレム目掛けて飛んでいく。
黒い雷はゴーレムの体を貫き、ゴーレムの胸を通して向こう側の景色が見える。
「はぁ……、はぁ……」
これで……、倒れてくれよ……。
体力も魔力も精根もつきかけており、意識が朦朧とする中、ゴーレムの出方をうかがう。すると、ゴーレムは小刻みに震え出したかと思うと、そのまま力なくその場でうなだれ、バラバラと崩れ落ち、もう動くことは無かった。
「はぁ……、はぁ……、何とか勝てたか……」
気が抜けてしまったのか、ふっと意識が飛んで目の前を闇が覆った。
「厄介すぎる……!!」
ただでさえ威力が高い魔法にも関わらず、ゴーレムはその魔法をほぼ無制限に放ってくる。鑑定眼で見ている限り消費MP自体はかなり多いようだ。人間が使うのであれば、打てて1、2発ぐらいであろう。ただ、相手はMPが回復しまくる。厄介なことこの上ない。
横に転がりながら敵の攻撃を避ける。ただ、避けて一安心という訳ではないため慌てて体勢を整えようとするものの、黒い雷がこちらに飛んできているのが見える。避けるのか防ぐのか一瞬のうちに判断しなくてはならない。そんな状況が先程からずっと続いていた。
「……っ!! 岩壁!!」
急いで岩の壁を作り出すも間に合わずに、未完成の状態で雷が直撃する。
「あー、もう!!」
砕かれた岩が自分の体に当たるたびにイライラが募ってくる。ただ、この感情のままでは駄目だと思い、何とか冷静を保とうとするものの、ゴーレムの理不尽さにイライラが止まらない。
あー、くそっ!! 本当に厄介な敵だな!!
さらに、ゴーレムの表情が無表情なのが余計に腹が立ってくる。そんな中、敵の攻撃が頬を掠めたことで、頬がチリチリと痛みが走ったところでプツンと何かが切れた。
「……よーし、よく分かった!!」
今までは攻撃を食らわない様に安全第一で近づこうと考えていたが、これではいつまで経ってもきりがない。チマチマと距離を詰めていては負けてしまう上に、自分の性に合わない。多少の攻撃が体に当たっても構わずに距離を詰めることにした。
雷が掠めた箇所から肉の焼けた匂いがする。どうしても全ての攻撃を食らわないということはできず、避ける、壁を張る、軌道ずらす、最低限の防御行動を取りつつ着実にゴーレムに近づいていく。
「あと少し……、あと少しだ……」
鑑定眼で見えるステータスには冥府の雷と魔法障壁の文字しかなかった。ということは、その2つしか使えないということであり敵の動きは限られていた。そのため、ただまっすぐ飛んでくる魔法を避ければいいのだが、それが中々難しい。じりじりとダメージを食らいながらも何とか距離を詰める。
「火炎球!!」
自分が覚えている魔法の射程範囲内まで近づくことができたため、ゴーレムに攻撃してみるもやはり魔法障壁で塞がれてしまう。魔法で攻撃するのは無駄であると改めて分かったため、剣で攻撃しようかとも考えてみるが、普通に攻撃するだけでは効かないであろう。
「やっぱり、あれしかないか……」
近づけば近づくほど敵の攻撃を防ぐことが難しくなってくる。ただ、このゴーレムを倒すには魔法障壁を打ち破るほど威力が高く、ゴーレムの攻撃よりも出が早いもしくは同じぐらいの攻撃をしなければならない。自分にはその2つを満たすスキルも魔法も使えない。……ただ、そんな攻撃を使えるモノが目の前にはいた。
腕、足、腹、胸、黒い雷がその身を焦がす。魔法で防いでいるとはいえ、痛いものは痛い。何度も意識が飛びそうになりながらも、意地でも足を止めない。そして、5m……、4m……、3mと徐々にゴーレムに近づいてきた。
「……今だ!!」
勢いよく飛んで一気に間合いを詰める。空中での無防備な体目掛けて雷が飛んでくるが左腕で防ぐ。真っ黒に焦げて、プスプスと音を立てながら煙を上げている左腕はだらんと力なくぶら下がっている。意識も半分飛んだが、意地で意識を保つ。左腕が使えなくなったが、右腕さえ無事であれば大丈夫だ。
右腕をゴーレムの方に伸ばして集中する。一瞬のチャンスを逃すわけにはいかない。
「……掴んだ!!」
ギュッと右手を握る。傍から見れば、空気でも掴んだのかと思われるかもしれないが、確かに俺は掴んだんだ。
ゴーレムの後方で着地した俺は右手をゴーレムの方へ向ける。ゴーレムも同じように、こちらに左手を向けていた。
「冥府の雷!!」
そう唱えると、右腕がバチッと一瞬の痛みに襲われ思わず顔を歪める。それでも、魔力を込めると手のひらに魔法陣が現れる。そして、その魔法陣から出てきた黒い雷がゴーレム目掛けて飛んでいく。
黒い雷はゴーレムの体を貫き、ゴーレムの胸を通して向こう側の景色が見える。
「はぁ……、はぁ……」
これで……、倒れてくれよ……。
体力も魔力も精根もつきかけており、意識が朦朧とする中、ゴーレムの出方をうかがう。すると、ゴーレムは小刻みに震え出したかと思うと、そのまま力なくその場でうなだれ、バラバラと崩れ落ち、もう動くことは無かった。
「はぁ……、はぁ……、何とか勝てたか……」
気が抜けてしまったのか、ふっと意識が飛んで目の前を闇が覆った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
157
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白い作品ですね。これからどうなっていくのか楽しみです。