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第四話
コスチューム
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今日も通販サイトから夫宛の荷物が届いた。中身はわかっている。また妙なコスチュームだ。
夫と私の、身体の相性は悪くない。若い頃は夫に抱かれると、身も心も充実した。
今でも充実しないと言えばウソになる。しかし、ひとつだけ拒否したいことがある。
今日届いた荷物…もちろんまだ開封はしていない。それは夫との約束だからだ。
でも何となく察しはつく。
夫は、趣味といえばネット配信で映画を観たりする程度で仕事も平凡なサラリーマン。特に何か特殊なモノを買う必要もない。
夫宛の荷物とはつまり、夜の営みで私に着せるコスチュームなのだ。
夫が帰宅した。
「お、届いたか。早かったな。」
服を着替えながらニヤニヤする夫。
「今日のは何?」わざと怪訝そうな表情を装って夫に尋ねる。
「あとでな。」
夕飯の後、夫が例の荷物を開封した。
「へぇ、こういう風に入ってるのか」
小さく丸められた、何かの布。そうとしか見えないモノを夫が取り出して広げる。
それは薄くて透けそうな生地で作られた、アイドルグループが着るような制服だった。
「さ、着替えて。」夫は私に言った。
「着替えてって…お風呂まだ…」
「いいんだよ。これを着てお風呂に入ろう。」
"え…これを着てお風呂…"
私が戸惑っていると夫が私の服を脱がし始めた。
「ほら、早く。絶対に似合うよ。」
間もなくアラフォーと言われる歳になるというのに、こんなコスチュームが似合うわけがない。若い頃はちょっと自慢だった胸だって、それが災いして今ではハリを無くした風船だし、お腹だって出てしまってる。
夫に促されるまま、私はその服なのか何なのかわからないコスチュームを身につけた。
着てみると思ったより透け透けである。
「やだ、丸見えじゃない。」私は堪らずしゃがみ込んだ。
「それがいいんじゃないか。」
そんな私を見ながら夫は全裸になり、私の手を取りバスルームに向かう。
私はそのコスチュームを着たままバスルームに入れられ、夫から優しくシャワーを浴びせられた。
ただでさえ透けている布が濡れたことで肌に吸いつき、ほとんど着てないのと同じである。
「思った通りだ…興奮するなぁ」
そう言いながら夫はシャワーを止め、湯船に私を入れる。
肩まで湯船に浸かると、夫が抱きついてきた。
「いい、いいよ」そう言いながら夫はコスチュームの上から私の身体を弄る。
夫は立ち上がり、洗い場にマットを敷いた。
私はその上に寝かされて、身体中にローションを塗られた。
夫は私の上を滑るように抱きつき、乳房を揉みしだいた。
私は違和感や恥ずかしさとともに、なんとも言えない快感を感じ始めていた。
夫は私の腿に跨り、少しだけ乱暴に胸を揉みしだく。
「恥ずかしがってるのに感じているお前の顔が大好きなんだ」
「やだ、見ないでよ、恥ずかしい」
「そう、もっと恥ずかしがってよ、もっと」
夫にそう言われて、私は顔も身体もカァッと熱くなるのを感じた。
「やだ、見ないでってば、やめてよ」
自分でもわかっている。私はこの、夫の性癖が好きなのだ。本当に私が嫌悪しているのは、それを素直に受け入れられない自分に対してなのだ。
夫は私の両手首をそれぞれ掴んで大の字のように広げ、私に激しくキスをした。
「そうだ、そうやって嫌がる姿が好きなんだ。本当は好きなのに口だけで嫌がるところが大好きなんだ」
夫にはとっくに見透かされている。だから私も身体を委ねられる。
夫は上体を起こすと、私のコスチュームに手をかけた。
胸元あたりから思い切り引き裂き、私の両乳房を露わにして、それにむしゃぶりついた。
そして夫は私の股間にペニスを激しく突き立てた。
その瞬間、私は声を上げた。そう、辱めを受けている自分に感じているのだ。
小さい頃から周りにチヤホヤされて、プライドばかりが一人前だった私は、いつしかそのプライドを保つためだけに分不相応な服や小物に手を出し、その支払いの為に昼夜働く有様だった。
もうあとは風俗に行くしかないか…と思い始めた26歳の頃、高校の同級生だった夫と偶然再開した。
別に何の感情もなく、単なる昔馴染みという感じで近所の居酒屋へ飲みに行った。
近況を話し合っている時、私は自分の身につけているモノがどれだけ高価か、それを買うためにどれだけ苦労しているかを彼に話していた。
彼はそれをウンウンと頷きながら楽しそうに聞いてくれた。
そして、一通り喋り終えた時に言われた言葉が今でも忘れられない。
「何をそんなにいきり立ってるのよ。もっと気楽に力抜いて生きなきゃ辛いだけじゃない?何を着ようが何を持とうが、君にはキミだけの魅力があるんだから。」
私の中で何か重荷が降りていくのがわかった。
"そうだ、私、何をそんなにいきり立ってるんだろ。どんなにいい服を着たって、どんなにいいバッグを持ったって、他人が見てるのは私じゃなく、その服やバッグじゃない"
「あ、いい目になったね。体育祭でクラスが優勝した時と同じ目になったよ。あの瞬間の君の目、今でも忘れられないくらいキレイだったからさ。多分人生初の一目惚れだったかな。」
私の顔を覗きこみながら、彼はあの時そう続けた。
彼との交際が始まり、私はまず服装から変わっていった。雑誌から切り抜いたような服をやめ、どこにでもあるようなシンプルなスカートやパンツにシャツ、バッグもゴテゴテをしたブランドものではなく使いやすいものに。
ブランドものの中にも使いやすくてシンプルなものもあったので、それ以外のバッグや服は全てリユースショップやネットオークションで売り払い、今までの散財に補填した。
彼はそんな私と会うたびに楽しい気持ちにさせてくれた。決して派手なデートではなかったがとても楽しい時間を私にくれた。
2人はそのまま自然に同棲を始め、そのまま自然に結婚した。
子宝には残念ながら恵まれなかったが、世継ぎを産む必要もない次男次女同士なので、自然に2人の人生を歩むことを決めた。
そして今、純粋に快楽を得るためだけの性行為を2人で楽しんでいる。
辱めを受けながら私は、本来の純粋な私になっていく悦びを感じる。夫にだけは、どんな自分でも見せられるし、どんな自分でも夫は私を受け入れてくれるから。
コスチュームを着るのだって、本当は嫌じゃない。でも、嫌がった方が後々気持ちいいのを知ってるから、嫌がるのだ。
2人はマットの上で一緒に果てた。もはや服とは言えない布切れを纏わり付かせた私と夫は、そのまま抱き合ってキスをしていた。
「浴室暖房、入れてて正解だったな。」
「そうね。でもそろそろ上がりましょ、これ、電気代バカにならないし。」
そう言いながらシャワーでローションを洗い落とし、2人で風呂掃除を終えた。
今夜もまた、一緒のベッドで付かず離れず眠りについて、また明日からいつものルーティンを繰り返す。時々来る荷物に戸惑いとトキメキを感じながら。
夫と私の、身体の相性は悪くない。若い頃は夫に抱かれると、身も心も充実した。
今でも充実しないと言えばウソになる。しかし、ひとつだけ拒否したいことがある。
今日届いた荷物…もちろんまだ開封はしていない。それは夫との約束だからだ。
でも何となく察しはつく。
夫は、趣味といえばネット配信で映画を観たりする程度で仕事も平凡なサラリーマン。特に何か特殊なモノを買う必要もない。
夫宛の荷物とはつまり、夜の営みで私に着せるコスチュームなのだ。
夫が帰宅した。
「お、届いたか。早かったな。」
服を着替えながらニヤニヤする夫。
「今日のは何?」わざと怪訝そうな表情を装って夫に尋ねる。
「あとでな。」
夕飯の後、夫が例の荷物を開封した。
「へぇ、こういう風に入ってるのか」
小さく丸められた、何かの布。そうとしか見えないモノを夫が取り出して広げる。
それは薄くて透けそうな生地で作られた、アイドルグループが着るような制服だった。
「さ、着替えて。」夫は私に言った。
「着替えてって…お風呂まだ…」
「いいんだよ。これを着てお風呂に入ろう。」
"え…これを着てお風呂…"
私が戸惑っていると夫が私の服を脱がし始めた。
「ほら、早く。絶対に似合うよ。」
間もなくアラフォーと言われる歳になるというのに、こんなコスチュームが似合うわけがない。若い頃はちょっと自慢だった胸だって、それが災いして今ではハリを無くした風船だし、お腹だって出てしまってる。
夫に促されるまま、私はその服なのか何なのかわからないコスチュームを身につけた。
着てみると思ったより透け透けである。
「やだ、丸見えじゃない。」私は堪らずしゃがみ込んだ。
「それがいいんじゃないか。」
そんな私を見ながら夫は全裸になり、私の手を取りバスルームに向かう。
私はそのコスチュームを着たままバスルームに入れられ、夫から優しくシャワーを浴びせられた。
ただでさえ透けている布が濡れたことで肌に吸いつき、ほとんど着てないのと同じである。
「思った通りだ…興奮するなぁ」
そう言いながら夫はシャワーを止め、湯船に私を入れる。
肩まで湯船に浸かると、夫が抱きついてきた。
「いい、いいよ」そう言いながら夫はコスチュームの上から私の身体を弄る。
夫は立ち上がり、洗い場にマットを敷いた。
私はその上に寝かされて、身体中にローションを塗られた。
夫は私の上を滑るように抱きつき、乳房を揉みしだいた。
私は違和感や恥ずかしさとともに、なんとも言えない快感を感じ始めていた。
夫は私の腿に跨り、少しだけ乱暴に胸を揉みしだく。
「恥ずかしがってるのに感じているお前の顔が大好きなんだ」
「やだ、見ないでよ、恥ずかしい」
「そう、もっと恥ずかしがってよ、もっと」
夫にそう言われて、私は顔も身体もカァッと熱くなるのを感じた。
「やだ、見ないでってば、やめてよ」
自分でもわかっている。私はこの、夫の性癖が好きなのだ。本当に私が嫌悪しているのは、それを素直に受け入れられない自分に対してなのだ。
夫は私の両手首をそれぞれ掴んで大の字のように広げ、私に激しくキスをした。
「そうだ、そうやって嫌がる姿が好きなんだ。本当は好きなのに口だけで嫌がるところが大好きなんだ」
夫にはとっくに見透かされている。だから私も身体を委ねられる。
夫は上体を起こすと、私のコスチュームに手をかけた。
胸元あたりから思い切り引き裂き、私の両乳房を露わにして、それにむしゃぶりついた。
そして夫は私の股間にペニスを激しく突き立てた。
その瞬間、私は声を上げた。そう、辱めを受けている自分に感じているのだ。
小さい頃から周りにチヤホヤされて、プライドばかりが一人前だった私は、いつしかそのプライドを保つためだけに分不相応な服や小物に手を出し、その支払いの為に昼夜働く有様だった。
もうあとは風俗に行くしかないか…と思い始めた26歳の頃、高校の同級生だった夫と偶然再開した。
別に何の感情もなく、単なる昔馴染みという感じで近所の居酒屋へ飲みに行った。
近況を話し合っている時、私は自分の身につけているモノがどれだけ高価か、それを買うためにどれだけ苦労しているかを彼に話していた。
彼はそれをウンウンと頷きながら楽しそうに聞いてくれた。
そして、一通り喋り終えた時に言われた言葉が今でも忘れられない。
「何をそんなにいきり立ってるのよ。もっと気楽に力抜いて生きなきゃ辛いだけじゃない?何を着ようが何を持とうが、君にはキミだけの魅力があるんだから。」
私の中で何か重荷が降りていくのがわかった。
"そうだ、私、何をそんなにいきり立ってるんだろ。どんなにいい服を着たって、どんなにいいバッグを持ったって、他人が見てるのは私じゃなく、その服やバッグじゃない"
「あ、いい目になったね。体育祭でクラスが優勝した時と同じ目になったよ。あの瞬間の君の目、今でも忘れられないくらいキレイだったからさ。多分人生初の一目惚れだったかな。」
私の顔を覗きこみながら、彼はあの時そう続けた。
彼との交際が始まり、私はまず服装から変わっていった。雑誌から切り抜いたような服をやめ、どこにでもあるようなシンプルなスカートやパンツにシャツ、バッグもゴテゴテをしたブランドものではなく使いやすいものに。
ブランドものの中にも使いやすくてシンプルなものもあったので、それ以外のバッグや服は全てリユースショップやネットオークションで売り払い、今までの散財に補填した。
彼はそんな私と会うたびに楽しい気持ちにさせてくれた。決して派手なデートではなかったがとても楽しい時間を私にくれた。
2人はそのまま自然に同棲を始め、そのまま自然に結婚した。
子宝には残念ながら恵まれなかったが、世継ぎを産む必要もない次男次女同士なので、自然に2人の人生を歩むことを決めた。
そして今、純粋に快楽を得るためだけの性行為を2人で楽しんでいる。
辱めを受けながら私は、本来の純粋な私になっていく悦びを感じる。夫にだけは、どんな自分でも見せられるし、どんな自分でも夫は私を受け入れてくれるから。
コスチュームを着るのだって、本当は嫌じゃない。でも、嫌がった方が後々気持ちいいのを知ってるから、嫌がるのだ。
2人はマットの上で一緒に果てた。もはや服とは言えない布切れを纏わり付かせた私と夫は、そのまま抱き合ってキスをしていた。
「浴室暖房、入れてて正解だったな。」
「そうね。でもそろそろ上がりましょ、これ、電気代バカにならないし。」
そう言いながらシャワーでローションを洗い落とし、2人で風呂掃除を終えた。
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