アポカリプス・デイズ 〜終わった世界で貴方は何を孕み出すか〜

永遠の別れ

プロローグ

「また、『審判者』に殺されたらしいな」



「全く……今日で三人目だぞ」



広大に広がる地下要塞『アテラルド』

それは人類が侵略者から身を守るために作り上げた、おびただしい死の財産である。



何故彼らがこんなモノを作ったのか、地下へ押し込められているのか、それの理由は遥か昔に遡る。







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二百年前……人類が、まだヒト同士で争っていた時代。

突如として、『審判者』という知的生命体がこの世界にやって来た。

彼等は高度な知能を有し、強大な能力で人類を殺し回った。人類は敵国、友好国の垣根を超えて立ち向かった……が、彼等にはおよばなかった。



そして、『審判者』の侵略後、僅か二週間程で人類の三割が死滅し、生き残りは地下へ、地下へと逃げて行った。



地下へ押し込められる前に、大規模な反撃はしなかったのか？と聞かれれば、否、と返せる。



反撃はしたのだ、したのだが………

ヤツラには効かなかった。



ヤツラは謎の"能力"を備えていたのだ。

"能力"はとてつもなく強力で、人類の兵器を紙の様に粉砕した。



我々はその能力を解析すべく、長年研究し続けたのだが、ついぞソノ正体は分からなかった。

ただ、電気を発したり、燃焼性の物資を放出したりと、まるで神の御業としか思えない技術だった。





何度地上奪還部隊を結成したのだろうか、何度無駄な突撃を繰り返したのだろうか。

人類は『審判者』の詳細な戦力も分からないまま、一方的に蹂躙される日々だった。



……だが、そんな状況が何十年も続くと、流石に対策が産まれるらしい。

人類はある発明をした。それは偉大で、際限なく悍ましかった。



ある発明者は言った。



「『審判者』を生け捕りにして、子を孕ませて、兵器に改造しよう」と」



当然、発表されたばかりの頃は「余りにも非人道的である」との声が多く挙がったため、見向きもされなかった。



だが、先に述べた戦況の悪化につれて、そんな事を言っていられなくなったのである。

その研究者の案は即座に採用され、計画は進められた。





だが、ここである誤算が起こる。



「『審判者』の子供が出来ない…作れたとしても、すぐに死んでしまう………」



という問題である。どうやら、幼体が地上の環境に適応出来ないらしい。



だが、人類の叡智はソレを即座に解決する事となる。

彼等は、"ヤツラ"は『審判者』に人間の血肉を混ぜた、いわゆるキメラを創り上げたのだ。



これにより、地球の環境的な要因で早期に死亡する『審判者』の幼体の問題が解決した。




素晴らしい発明だろう、あぁ…なんと素晴らしい発明だろう。

多くの人類はそう思った。そう、『審判者』とニンゲンの間の子達を除いて。



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「じゃあ、今日も狩るか、尊い人類の為に」



これは、そんな祝福されない間の子たちの物語。

彼等は何を思い、何を成すのか。

人類の存亡を掛けた劇場が、今、幕を開ける。