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アルファー=ライヒスヴェルート
神札とアルファー 2
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2015/05/03
2015年5月3日、日曜日の夜、前日と同じように少女アルファーはふさぎこんでいた。
都会の光はなりをひそめ、暗黒に飲み込まれ、以前ほどの眩しさはない。
今日は雨が降っているのだ。鋭い光は天から降る水によりいくらか和らいでいた。
しかし少女アルファーの心には、その鈍い光も鋭いナイフと化してえぐってくるように思えた。
過去の事は過去の事だと、過去と現在を境界で分けようとしても無理だった。
神札の存在がどうしてもよぎる。ここにはいない神札が。
―みっちゃんがいてくれればなあ、この孤独感も少しは和らぐのになあ
どうしてあの時、私は気づけなかったんだろう・・・―
悔やんでいてもしょうがないことだし、サイクリック宇宙論的に見れば
これは何回も繰り返される事象で必然的なものなのだが、アルファーはどうしても立ち直れない。
ふと思い立って、近くにあったタンスから、小学校の頃のアルバムを取り出す。
最初に目にしたのは、「入学式」とゴシック体?で大々的に書かれた看板と、
幼い、まだ大きい赤いランドセルを背負った自分と、今と変わらない神札。
彼女の異常性。彼女の変わりの無さ。変貌の無さ。
祓所の巫女であるが故、歳をとらない彼女。神札。
少し古ぼけた写真、今のカメラよりも必然と劣る画質の写真。
昔の思い出を見て、また回想に耽る。
2007/04/06
平成19年4月6日金曜日、中津小学校入学式。
義母に手を引かれ、幼女アルファーは下を向きながら歩いていた。
地面に落ちた桜の花びらの数々を、その頃のアルファーは「かわいそう」と
思いながらも踏みつける。その足に情はない。
「前を向きなさい!」
そう義母に言われ、眩しさに耐えながらもアルファーは顔を上げる。
自分よりいくらか大きい看板だった。少し無愛想な印象もあり、本当にこれが
小学校の入学式で使う看板でいいのだろうか、という不安も醸し出していた。
もちろん、小学校生活への不安も。
この看板のように、華が無い小学校生活を送ってしまうのではないかと思うと
アルファーはぞっとして、足がすくんだ。
「ほら、写真撮るわよ
はい、{569×342+46254÷698+sin(tan(4/π))-√5472÷52π∧3+1/123456789×?(5324→7652)56X∧5dx}×0+1+1は?」
私はわたわたしながらも「2」と答えた。合っているかどうかは不明だった。
義母は「正解」と言うと、同時にフラッシュを焚きつけた。
眩しかった。早くフラッシュを使わなくてもいいカメラが出るといいのに、と思った。
後から聞いた話だが、義母は元々数学科に行きたくて一生懸命勉強したそうだが、
精神的な問題で落とされたそうだ。具体的には、不安定な人格。
一つ間違えれば虐待であろう、そんな綱渡りのような教育を私にしていたのだ。
自分の仕事のストレスと、行きたかった大学に行けなかった怒りをぶつけるように・・・
「祓所様!!祓所様と同じ小学校になるよ、よかったね和子」
私の肩を優しく叩いて義父がそう言う。叩かれたというよりは触られたの方が正しいか。
鈍ったアルファーの感覚では、痛覚を認知することができない。辛うじて触覚がある程度。
義父の向いている方向をよく見る。いた。
黒い服。きっと礼服だろう。とても似合っている。
背中にはあまり、神札の体格には似合わない赤いランドセル。
神札はとてもにこやかだった。無愛想な看板には目もくれず、落ちている桜の花びらを
綺麗だと言うかのように、無心に見つめていた。
「今代の祓所様は不思議な人ね」
「いいじゃないか、桜は綺麗だ」
「私は先代の祓所様のファンだったの!!あの無愛想なのが良かったのに!!」
「でも性格きつかったじゃあないか!!」
神札の話から夫婦喧嘩が起きてしまった。もう慣れっこなのでどうってことはない。
騒ぎを引き起こした当の本人は、親族?に呆れられながらも桜の花びらを拾って落として、
ひらひらと舞い降りる様を見つめていた。
見つめていたアルファーを、神札が見つけた。
アルファーがちょうど話しかけようとした瞬間であった。
「あっ、和ちゃん!!一緒に写真撮る?」
とても嬉しそうに話す神札。以前の神々しさと、今の馴れ馴れしさが混ざり混乱した。
でもさっき撮ったから、と続けてメモリーをあまり私の為に使わせたくないから、と言おうとしたら
「いいの。遠慮しないで。あと撮ってくれるのはわたしの義母だよ。」
カナコ母さんー!と神札は義母を呼び寄せる。
この子とわたしの写真撮って!!と無邪気に神札は言う。それに対して神札の義母、カナコは
「それではあまりに不平等ではありませんか
国民全員と撮りたいのですか」
とあくまで祓所の巫女としての職務を果たさせようとしていた。
祓所の巫女はあらゆるものに対して平等でなければならない、とも付け加えた。
でもいいじゃん、せっかくの機会だし、わたしの友達だし、と神札は子供のようにせがむ。
―おかしい、神札はあんな子だったの?あの時の神札はどこへ・・・―
一瞬疑問に思った。しかしはっとして幼女アルファーは我に返る。
―本当の神札なんだ、この前のはきっとカッコつけようとしてたんだ―
「うん、お写真撮ろう」
やっと言いだせた。それを聞いて神札はとても嬉しそうだった。
身長の差、体格の差は神札がしゃがんでもどうにもならなかった。
身分の差、扱いの差は神札がしゃがんでもどうにもならなかった。
それでいい。私と神札は不平等なくらいがちょうどいい。
右手でVサインをする神札と、頑張って笑顔を作った幼女アルファーに、
容赦ないフラッシュの光が舞い降りた。
入学式でランドセルを持ってきたのは教材を持ち帰る為であり、
この後教室にランドセルを置いて式に出場し、その後教師もくたくたになりながら
重い教科書を運び、生徒もそれを強要された。
ハッキリ言って、ひどい小学校だった。荒れてはいなかったが。
4月8日、つまり日曜日、国分宅に封筒が来た。
中には神札と幼女アルファーの写った写真。
真理恵、つまりアルファーの義母はそれをプリンターにかけ、
神札の部分だけを切り取って、額に入れて、リビングの壁にかけた。
オリジナルはアルバムに挟まれ、そして現在へ残る。
2015/05/03
よくよく考えたら義母は異常だ。
今代よりも先代がいいと語っていた義母が、今代の祓所の巫女を額に飾るなど。
その後には勿論夫婦喧嘩が始まった。言っていることがおかしいと。
統一性を大事にする義父と、その時の気分を大切にする義母。
何故結婚できたのか理解に苦しむ。
少女アルファーには、神札の植物人間状態の原因以外分かろうとは思わないし、
家族の謎もとてつもなくどうでもよい。
少女アルファーの心には穴が開いている。
きっとそれは神札でしか補えない穴だ。
少女アルファーは、神札を何よりも求めた。
とめどなく涙が流れた。自分を悔やんだ。神札を恨んだ。
哀しかった。自分のせいにする自分が許せなかった。
神札の、友達のせいにする自分も許せなかった。
涙に意味など無いのだとやっと分かって、少女アルファーは
またふさぎ込み、夜を過ごす。
雨粒はとめどなく降り、アルファーの心を酸性雨に晒された木のように、
削り取っていく。そこに慈悲はない。
【中津市】
都会と田舎の中間の市町村。ハシボソガラスとハシブトガラスどちらもいるため、カラスの種類で都会か田舎かを同定するのは不可能。2020年ごろに、草薙市と、八重垣村と、淡島市と市町村合併し「とよあしはら市」になる予定である。
とよあしはら市になる予定の市町村全体が、同じ受験区のため、ある程度の進学自由度はある(名前のない教育施設には所謂Fラン大学が1つ2つほどある)
主な教育施設として、「中津小学校」「中津中学校」「中津高等学校(全日・定時)普通科」「出雲小学校」「出雲中学校」がある。
現実の中津市(名前が被っただけでモデルではない)は大分県にある。
2015年5月3日、日曜日の夜、前日と同じように少女アルファーはふさぎこんでいた。
都会の光はなりをひそめ、暗黒に飲み込まれ、以前ほどの眩しさはない。
今日は雨が降っているのだ。鋭い光は天から降る水によりいくらか和らいでいた。
しかし少女アルファーの心には、その鈍い光も鋭いナイフと化してえぐってくるように思えた。
過去の事は過去の事だと、過去と現在を境界で分けようとしても無理だった。
神札の存在がどうしてもよぎる。ここにはいない神札が。
―みっちゃんがいてくれればなあ、この孤独感も少しは和らぐのになあ
どうしてあの時、私は気づけなかったんだろう・・・―
悔やんでいてもしょうがないことだし、サイクリック宇宙論的に見れば
これは何回も繰り返される事象で必然的なものなのだが、アルファーはどうしても立ち直れない。
ふと思い立って、近くにあったタンスから、小学校の頃のアルバムを取り出す。
最初に目にしたのは、「入学式」とゴシック体?で大々的に書かれた看板と、
幼い、まだ大きい赤いランドセルを背負った自分と、今と変わらない神札。
彼女の異常性。彼女の変わりの無さ。変貌の無さ。
祓所の巫女であるが故、歳をとらない彼女。神札。
少し古ぼけた写真、今のカメラよりも必然と劣る画質の写真。
昔の思い出を見て、また回想に耽る。
2007/04/06
平成19年4月6日金曜日、中津小学校入学式。
義母に手を引かれ、幼女アルファーは下を向きながら歩いていた。
地面に落ちた桜の花びらの数々を、その頃のアルファーは「かわいそう」と
思いながらも踏みつける。その足に情はない。
「前を向きなさい!」
そう義母に言われ、眩しさに耐えながらもアルファーは顔を上げる。
自分よりいくらか大きい看板だった。少し無愛想な印象もあり、本当にこれが
小学校の入学式で使う看板でいいのだろうか、という不安も醸し出していた。
もちろん、小学校生活への不安も。
この看板のように、華が無い小学校生活を送ってしまうのではないかと思うと
アルファーはぞっとして、足がすくんだ。
「ほら、写真撮るわよ
はい、{569×342+46254÷698+sin(tan(4/π))-√5472÷52π∧3+1/123456789×?(5324→7652)56X∧5dx}×0+1+1は?」
私はわたわたしながらも「2」と答えた。合っているかどうかは不明だった。
義母は「正解」と言うと、同時にフラッシュを焚きつけた。
眩しかった。早くフラッシュを使わなくてもいいカメラが出るといいのに、と思った。
後から聞いた話だが、義母は元々数学科に行きたくて一生懸命勉強したそうだが、
精神的な問題で落とされたそうだ。具体的には、不安定な人格。
一つ間違えれば虐待であろう、そんな綱渡りのような教育を私にしていたのだ。
自分の仕事のストレスと、行きたかった大学に行けなかった怒りをぶつけるように・・・
「祓所様!!祓所様と同じ小学校になるよ、よかったね和子」
私の肩を優しく叩いて義父がそう言う。叩かれたというよりは触られたの方が正しいか。
鈍ったアルファーの感覚では、痛覚を認知することができない。辛うじて触覚がある程度。
義父の向いている方向をよく見る。いた。
黒い服。きっと礼服だろう。とても似合っている。
背中にはあまり、神札の体格には似合わない赤いランドセル。
神札はとてもにこやかだった。無愛想な看板には目もくれず、落ちている桜の花びらを
綺麗だと言うかのように、無心に見つめていた。
「今代の祓所様は不思議な人ね」
「いいじゃないか、桜は綺麗だ」
「私は先代の祓所様のファンだったの!!あの無愛想なのが良かったのに!!」
「でも性格きつかったじゃあないか!!」
神札の話から夫婦喧嘩が起きてしまった。もう慣れっこなのでどうってことはない。
騒ぎを引き起こした当の本人は、親族?に呆れられながらも桜の花びらを拾って落として、
ひらひらと舞い降りる様を見つめていた。
見つめていたアルファーを、神札が見つけた。
アルファーがちょうど話しかけようとした瞬間であった。
「あっ、和ちゃん!!一緒に写真撮る?」
とても嬉しそうに話す神札。以前の神々しさと、今の馴れ馴れしさが混ざり混乱した。
でもさっき撮ったから、と続けてメモリーをあまり私の為に使わせたくないから、と言おうとしたら
「いいの。遠慮しないで。あと撮ってくれるのはわたしの義母だよ。」
カナコ母さんー!と神札は義母を呼び寄せる。
この子とわたしの写真撮って!!と無邪気に神札は言う。それに対して神札の義母、カナコは
「それではあまりに不平等ではありませんか
国民全員と撮りたいのですか」
とあくまで祓所の巫女としての職務を果たさせようとしていた。
祓所の巫女はあらゆるものに対して平等でなければならない、とも付け加えた。
でもいいじゃん、せっかくの機会だし、わたしの友達だし、と神札は子供のようにせがむ。
―おかしい、神札はあんな子だったの?あの時の神札はどこへ・・・―
一瞬疑問に思った。しかしはっとして幼女アルファーは我に返る。
―本当の神札なんだ、この前のはきっとカッコつけようとしてたんだ―
「うん、お写真撮ろう」
やっと言いだせた。それを聞いて神札はとても嬉しそうだった。
身長の差、体格の差は神札がしゃがんでもどうにもならなかった。
身分の差、扱いの差は神札がしゃがんでもどうにもならなかった。
それでいい。私と神札は不平等なくらいがちょうどいい。
右手でVサインをする神札と、頑張って笑顔を作った幼女アルファーに、
容赦ないフラッシュの光が舞い降りた。
入学式でランドセルを持ってきたのは教材を持ち帰る為であり、
この後教室にランドセルを置いて式に出場し、その後教師もくたくたになりながら
重い教科書を運び、生徒もそれを強要された。
ハッキリ言って、ひどい小学校だった。荒れてはいなかったが。
4月8日、つまり日曜日、国分宅に封筒が来た。
中には神札と幼女アルファーの写った写真。
真理恵、つまりアルファーの義母はそれをプリンターにかけ、
神札の部分だけを切り取って、額に入れて、リビングの壁にかけた。
オリジナルはアルバムに挟まれ、そして現在へ残る。
2015/05/03
よくよく考えたら義母は異常だ。
今代よりも先代がいいと語っていた義母が、今代の祓所の巫女を額に飾るなど。
その後には勿論夫婦喧嘩が始まった。言っていることがおかしいと。
統一性を大事にする義父と、その時の気分を大切にする義母。
何故結婚できたのか理解に苦しむ。
少女アルファーには、神札の植物人間状態の原因以外分かろうとは思わないし、
家族の謎もとてつもなくどうでもよい。
少女アルファーの心には穴が開いている。
きっとそれは神札でしか補えない穴だ。
少女アルファーは、神札を何よりも求めた。
とめどなく涙が流れた。自分を悔やんだ。神札を恨んだ。
哀しかった。自分のせいにする自分が許せなかった。
神札の、友達のせいにする自分も許せなかった。
涙に意味など無いのだとやっと分かって、少女アルファーは
またふさぎ込み、夜を過ごす。
雨粒はとめどなく降り、アルファーの心を酸性雨に晒された木のように、
削り取っていく。そこに慈悲はない。
【中津市】
都会と田舎の中間の市町村。ハシボソガラスとハシブトガラスどちらもいるため、カラスの種類で都会か田舎かを同定するのは不可能。2020年ごろに、草薙市と、八重垣村と、淡島市と市町村合併し「とよあしはら市」になる予定である。
とよあしはら市になる予定の市町村全体が、同じ受験区のため、ある程度の進学自由度はある(名前のない教育施設には所謂Fラン大学が1つ2つほどある)
主な教育施設として、「中津小学校」「中津中学校」「中津高等学校(全日・定時)普通科」「出雲小学校」「出雲中学校」がある。
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