仁川路朱鳥詩集

高3前半

小王国/星の血液

太陽を抱いて眠る幼子に月を被せて空を飲ませる
運行図は常に順調故障害宮も無し
脱落への危機感も蔑ろにされる平穏な暮らしを
天球儀に精液をかけて表現した
凡ゆる生命が渦巻く玉の中を通り越して結果を出す
赤い玉。

彷徨う三味線の玉すだれに分散される光が鳴く
光たちはただ存在する事を煌めいている　輝かしい太陽
太陽の生命を取り入れて生きる人々の鼓動を感じたか
地球の血液を畏怖して生きる人々の脳波動を感じたか

わたしはただ立ち望む
わたしは　ただ見ていた。
精液を観測した。　それから、宇宙が生まれた。
男と女は、生まれたときから既にあったのだ
この胎盤にしがみつく限り真実は見えない
この瘡蓋にしがみつく限り故郷は行けない

わたしはただ立ち望む
生命の生まれる場所から、遠く離れたこの惑星から。
心臓の正体から、遠く離れたところから。
地表から。