【完結】孤独な魔術師と愛執の公爵

舞米

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アッシュとの永遠の誓いを交わしたアルフレッドは、すぐに次の行動に移った。アッシュの「妊娠魔術」の実験を確実なものにするため、そしてその成果を国に認めさせるため、そして何よりもアッシュを公的に、誰にも文句を言わせない自分の伴侶とするためだった。

アルフレッドは、翌朝早く、国王に謁見の許可を求めた。許可が下りると、アルフレッドは王宮の執務室へと赴いた。そこには国王と、彼を補佐する数人の側近しかいない。アルフレッドは、念のため、周囲に人払いをするように求めた。この話は、王国の未来を左右する、まさに国家機密となるからだ。

「陛下、本日は、陛下とこの国の未来に関わる、極めて重要なご報告がございます」
アルフレッドは、静かに、しかし威厳をもって国王に切り出した。国王は、アルフレッドの真剣な表情に、わずかに身を乗り出した。

アルフレッドは、まず、アッシュが「男でも子供を産める魔術」を完成させたことを告げた。その言葉に、国王とその周りの側近たちは、驚きに目を見開き、ざわめいた。前代未聞の、まさに奇跡のような術だった。

「馬鹿な……そんなことが、本当に可能なのか?」
国王の言葉には、驚きと、そしてかすかな期待が混じっていた。

「理論上は、可能です。アッシュは、その術を、自らの体で試すことを望んでいます」
アルフレッドの言葉に、再び室内がざわつく。国王は、驚きを隠せない様子でアルフレッドを見つめた。

「そして、陛下にお願いがございます。もし、この術が見事正常に作動し、アッシュが私の子を授かることができた暁には、この国の法律を改正し、男同士でも正式に伴侶となることができるように、ご尽力いただきたいのです」
アルフレッドの言葉は、明確で、一切の迷いがなかった。それは、アッシュへの深い愛情と、彼を生涯守り抜くという、彼の揺るぎない決意の表れだった。国王は、アルフレッドの言葉に、深く考え込むように目を閉じた。男同士の婚姻を法的に認める。それは、国の歴史上、前例のないことだった。

「そして、その術が成功し、法律が改正された暁には、アッシュは、その『妊娠魔術』を、国に提供することを約束いたします」
アルフレッドは、最後の切り札を提示した。この術が実現すれば、王族の血筋の維持や、後継者問題に悩む貴族たちにとって、計り知れない恩恵となる。何よりも、国の未来を大きく左右する、画期的な術となるだろう。

国王は、目を開き、アルフレッドを真っ直ぐに見つめた。彼の表情には、驚きと、そして新たな術への深い期待が浮かんでいた。

「……分かった、アルフレッド公爵。その契約、確かに受け入れよう」
国王は、アルフレッドの提案を了承した。すぐに、その内容が記された契約書が作成された。アルフレッドは、アッシュの名を記し、国王と共に契約書に署名した。この契約は、未だ国王とその側近しか知らぬ、まさに国家機密だった。

国王との謁見を終えたアルフレッドは、足取りも軽く公爵邸へと戻った。彼の胸中は、達成感と、アッシュとの未来への限りない期待で満ち溢れていた。誰にも知られずに進められた密約。それは、アッシュの才能を国益に繋げると同時に、彼を公的に自分の伴侶とするための、磐石な布石となった。アッシュがどれほどの覚悟と努力で「妊娠魔術」を完成させたかを思えば、これくらい当然の報いだ。そして、これでアッシュがもう二度と、自分のもとから去ろうなどと考えなくなるだろうという確信が、アルフレッドの心を満たした。

執務室に戻るなり、アルフレッドは疲労も忘れてアッシュのいる研究室へと向かった。扉を開けると、そこには相変わらず魔術式が描かれた紙に囲まれ、没頭するアッシュの姿があった。彼の横顔は真剣そのもので、その輝かしい才能に、アルフレッドは改めて深く魅了された。

「アッシュ」
アルフレッドの声に、アッシュははっと顔を上げた。彼の瞳には、まだ研究の熱が宿っている。

「アルフレッド? もう執務は終わったのか?」
アッシュが首を傾げると、アルフレッドはにこやかに微笑み、彼の傍に歩み寄った。

「ああ、今日は特別な日だからね。少しばかり、早く切り上げてきた」
アルフレッドは、アッシュの手を取り、研究室の椅子から彼を優しく立たせた。そして、そのままアッシュを抱き上げ、自身の膝へと乗せた。アッシュは、突然の行動に驚き、顔を赤らめる。

「アルフレッド! な、何をするんだ……!」
アッシュが慌てて身じろぐが、アルフレッドは彼を逃がすまいと、抱きしめる腕の力を強めた。

「君との未来に、心が躍っているのさ、アッシュ」
アルフレッドは、アッシュの髪に顔を埋め、甘く囁いた。国王との交渉が成功した喜び、そしてアッシュとの永遠の未来が現実味を帯びてきたことに、アルフレッドの心は幸福で満たされている。

「今日の国王陛下との謁見は、大成功だったよ」
アルフレッドの言葉に、アッシュは目を見開いた。国王との謁見が、自分たちのことに関わるものだとは、夢にも思っていなかったのだろう。

「これで、君はもう、誰にも何も言わせない、正真正銘の私の伴侶となるだろう。公爵家の、そしてこの国の未来を、私と共に背負っていくことになる」
アルフレッドは、アッシュの耳元で、彼にしか聞こえないように、しかし確かな響きでそう告げた。彼の声には、深い愛情と、そしてアッシュを完全に手に入れたという、甘い満足感がにじんでいた。

アッシュの顔は、さらに赤く染まった。彼の瞳には、驚きと、そしてアルフレッドへの深い信頼が入り混じっている。アルフレッドが、そこまで自分との未来を真剣に考えてくれていたことに、アッシュの胸は熱くなった。

「アルフレッド……」
アッシュは、アルフレッドの首に腕を回し、彼の胸に顔を埋めた。アルフレッドの体温が、アッシュの心を温かく包み込む。
アルフレッドは、膝に乗せたアッシュの華奢な体を慈しむように撫でた。彼の指先が、アッシュの柔らかい髪を梳き、彼の耳元を優しくなぞる。アッシュは、その愛撫に甘えるように、小さく身をよじった。

「私の愛しいアッシュ。君がいてくれるから、私の世界はこんなにも輝かしい。もう二度と、君を独りになどしない。この先、どんな困難が待ち受けていようと、私は君と共に乗り越えていく。永遠に、君は私のものだ」

アルフレッドの独占欲に満ちた言葉は、アッシュの心の奥深くまで染み渡った。アッシュは、アルフレッドの腕の中で、ただ幸せに身を委ねていた。彼の心は、アルフレッドへの深い愛と、満たされた幸福感で溢れている。二人の愛は、もう誰にも、何にも邪魔されることのない、確固たるものとなっていた。








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