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第一章
本物の聖女
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友愛がどれだけ素晴らしく、私が何度助けられたかを長々と語った。
多少の脚色はしてるけど、本っっっ当に友愛は良い子で天使みたいな女の子。シェイドは勘違いしてる。評価されるべきは私じゃない。
聞いていた人達も口々になぜ友愛が選ばれないのか不思議がっていた。
まさに聖女となるべく生まれた存在。
私が一緒に召喚されてしまったことでシェイドが間違えたのではと結論がなされた。
喋りすぎて喉が痛い。
──これでシェイドがわかってくれるなら……。
期待に満ちた目でシェイドを見た。
やばい。全然響いてなかった。心を無にした状態。右から左に聞き流してる。
「とにかく!!友愛が本当の聖女なの」
「私は……初めて会ったときからずっと心音を」
「ごめん待って。え……?グランロッド国で会ったのが初めてじゃないの?」
「覚えてはいないのか」
こんな特徴的な外見なら例え夢だろうと忘れるわけないんだけどな。
これでも記憶力はいいほうだ。記憶の引き出しを片っ端から開けるもシェイドの姿は出てこない。
仮に人間に化けていたとしてもイケメンオーラまで完全に隠しきれるわけがない。
「待つのは嫌いではない。ゆっくり思い出せ」
「う、うん……。じゃない!!」
危うく流されるとこだった。
私は愛し子でもなければ聖女でもない。
それだけは覆らない事実。
このやり取りに終わりはなく、でも、誰にもどうすることも出来ずにいるとキースが口を開いた。
「聖女ならば妖精が見えるはずです」
ふと、思い出したかのようだった。他の人も顎に手を当てて記憶を探る。
歴史書とやらを深く読み込んでいるであろう人がキースの言葉を後押しする。
私の目には人とシェイドしか映っていない。
つまりはそういうこと。
「どう友愛。見える?」
開いた口を隠すように両手で口元を覆いながらも目は見開いている。
見えてるんだ。妖精が。
「ずっと何が飛んでるんだろうって思ってたけど。これが妖精さんだったんだ」
「ほら聞いた!?シェイド」
「嬉しそうだな」
「当然よ!だって友愛が聖女なんだよ?」
こんな漫画みたいな展開って本当にあるんだ。
私の知る聖女は国のために戦ったり祈りを捧げたりするものだけど、ここにはそういう仕事はない。
たまに祈るぐらいはするだろうけど、それでも!!
友愛は安全にカイザー様と結婚して幸せになれる。
異国とはいえ友愛を愛してくれるカイザー様なら私も安心だ。
「おい女。本当に見えたのか?」
「はい。小さくて可愛らしいです」
「ふ……、ははは。そうか。小さくて可愛らしいか」
まるでバカにするように大きく笑う。
感動のシーンに不釣り合いすぎて、ポカンとするしかなかった。
「見えるわけないだろう?この空間に入ることを私が許可していないのに」
呆れたような声。
妖精とはどういうものなのか説明してくれた。
シェイドの加護を受けた国にのみ現れ、こっそりと生活の手助けをしてくれる。
シェイドの魔力から生み出される妖精は千年前の国民なら誰しも見ることが出来たけど、今となっては聖女のみがその姿を目にすることが出来る。
「お前ら!!グルになってユアを陥れようとしているなっ!!そこの豚があんなことを聞いたせいで、見えるとしか言えなかったんだぞ!!」
「カイザー様。コトネ様への無礼な発言はお控え下さい」
「全てを捨てて騎士になったお前が、この俺に意見するつもりか!?」
髪の色からつい火と水の争いに思えてしまう。
炎のごとく勢いよくまくし立てるカイザー様を、まるで氷のように冷たい目で聞き流す。
見兼ねた陛下の一喝により争いは止まったもののカイザー様は興奮状態のまま。
キースは私を守るように前に立ってくれてる。
めっちゃ睨まれてるな。
そりゃ私も嘘をつかせてしまった責任は感じてる。
でもさ。そんなこと異国の私がわかるわけないじゃん。精霊王に詳しいそこの人がわからなかったんだよ?
そっちの人も責めてよ。自分は関係ないって感じで後ろに下がって目を逸らしてるけどさ。
キースは悪びれる様子もなく、知っていたのでは?と聞きたくなる。
シェイドが一言「許可する」と言えば空気が揺らいだ。
「今この空間には妖精がいる。見えるのか」
「はい」
「どんな姿をしている」
「それは……」
「もういい喋るな。この私を本気で欺けると思ったのか?そもそもお前は聖女の器ではないのだ」
「ね、ねぇシェイド。このチカチカしてるものは何?魔法?」
「それが妖精の姿だ」
「このチカチカが?」
どう表現していいのか。
うーん。火花とか散らしてるときにバチバチ飛んでるあれ。
それが無数に飛んでいて目がやられる。地味に痛い。
妖精って可愛らしい顔をしてイタズラとかが好きな小さな生き物だと認識してましたけど。
現実は違うってことか。
あれ…………?
これ見えちゃダメなんじゃない?
「これでハッキリしたな。どちらが本物か」
押し潰されるような重圧にここにいる全員が同じことを思った。
これ以上の機嫌を損ねたら国が滅ぶ。
さすがのカイザー様も国の一大事がわからないわけでもなく口を閉ざす。
こうして本物の聖女も判明して無事?解決し、以降この件に口を出すことは陛下の命のもと禁じられた。
私の住まいを早急に王宮に戻すとなったけど、そこは丁重にお断りした。
広すぎる良い部屋は落ち着かない。
庶民は身の丈に合った暮らしで充分。
多少の脚色はしてるけど、本っっっ当に友愛は良い子で天使みたいな女の子。シェイドは勘違いしてる。評価されるべきは私じゃない。
聞いていた人達も口々になぜ友愛が選ばれないのか不思議がっていた。
まさに聖女となるべく生まれた存在。
私が一緒に召喚されてしまったことでシェイドが間違えたのではと結論がなされた。
喋りすぎて喉が痛い。
──これでシェイドがわかってくれるなら……。
期待に満ちた目でシェイドを見た。
やばい。全然響いてなかった。心を無にした状態。右から左に聞き流してる。
「とにかく!!友愛が本当の聖女なの」
「私は……初めて会ったときからずっと心音を」
「ごめん待って。え……?グランロッド国で会ったのが初めてじゃないの?」
「覚えてはいないのか」
こんな特徴的な外見なら例え夢だろうと忘れるわけないんだけどな。
これでも記憶力はいいほうだ。記憶の引き出しを片っ端から開けるもシェイドの姿は出てこない。
仮に人間に化けていたとしてもイケメンオーラまで完全に隠しきれるわけがない。
「待つのは嫌いではない。ゆっくり思い出せ」
「う、うん……。じゃない!!」
危うく流されるとこだった。
私は愛し子でもなければ聖女でもない。
それだけは覆らない事実。
このやり取りに終わりはなく、でも、誰にもどうすることも出来ずにいるとキースが口を開いた。
「聖女ならば妖精が見えるはずです」
ふと、思い出したかのようだった。他の人も顎に手を当てて記憶を探る。
歴史書とやらを深く読み込んでいるであろう人がキースの言葉を後押しする。
私の目には人とシェイドしか映っていない。
つまりはそういうこと。
「どう友愛。見える?」
開いた口を隠すように両手で口元を覆いながらも目は見開いている。
見えてるんだ。妖精が。
「ずっと何が飛んでるんだろうって思ってたけど。これが妖精さんだったんだ」
「ほら聞いた!?シェイド」
「嬉しそうだな」
「当然よ!だって友愛が聖女なんだよ?」
こんな漫画みたいな展開って本当にあるんだ。
私の知る聖女は国のために戦ったり祈りを捧げたりするものだけど、ここにはそういう仕事はない。
たまに祈るぐらいはするだろうけど、それでも!!
友愛は安全にカイザー様と結婚して幸せになれる。
異国とはいえ友愛を愛してくれるカイザー様なら私も安心だ。
「おい女。本当に見えたのか?」
「はい。小さくて可愛らしいです」
「ふ……、ははは。そうか。小さくて可愛らしいか」
まるでバカにするように大きく笑う。
感動のシーンに不釣り合いすぎて、ポカンとするしかなかった。
「見えるわけないだろう?この空間に入ることを私が許可していないのに」
呆れたような声。
妖精とはどういうものなのか説明してくれた。
シェイドの加護を受けた国にのみ現れ、こっそりと生活の手助けをしてくれる。
シェイドの魔力から生み出される妖精は千年前の国民なら誰しも見ることが出来たけど、今となっては聖女のみがその姿を目にすることが出来る。
「お前ら!!グルになってユアを陥れようとしているなっ!!そこの豚があんなことを聞いたせいで、見えるとしか言えなかったんだぞ!!」
「カイザー様。コトネ様への無礼な発言はお控え下さい」
「全てを捨てて騎士になったお前が、この俺に意見するつもりか!?」
髪の色からつい火と水の争いに思えてしまう。
炎のごとく勢いよくまくし立てるカイザー様を、まるで氷のように冷たい目で聞き流す。
見兼ねた陛下の一喝により争いは止まったもののカイザー様は興奮状態のまま。
キースは私を守るように前に立ってくれてる。
めっちゃ睨まれてるな。
そりゃ私も嘘をつかせてしまった責任は感じてる。
でもさ。そんなこと異国の私がわかるわけないじゃん。精霊王に詳しいそこの人がわからなかったんだよ?
そっちの人も責めてよ。自分は関係ないって感じで後ろに下がって目を逸らしてるけどさ。
キースは悪びれる様子もなく、知っていたのでは?と聞きたくなる。
シェイドが一言「許可する」と言えば空気が揺らいだ。
「今この空間には妖精がいる。見えるのか」
「はい」
「どんな姿をしている」
「それは……」
「もういい喋るな。この私を本気で欺けると思ったのか?そもそもお前は聖女の器ではないのだ」
「ね、ねぇシェイド。このチカチカしてるものは何?魔法?」
「それが妖精の姿だ」
「このチカチカが?」
どう表現していいのか。
うーん。火花とか散らしてるときにバチバチ飛んでるあれ。
それが無数に飛んでいて目がやられる。地味に痛い。
妖精って可愛らしい顔をしてイタズラとかが好きな小さな生き物だと認識してましたけど。
現実は違うってことか。
あれ…………?
これ見えちゃダメなんじゃない?
「これでハッキリしたな。どちらが本物か」
押し潰されるような重圧にここにいる全員が同じことを思った。
これ以上の機嫌を損ねたら国が滅ぶ。
さすがのカイザー様も国の一大事がわからないわけでもなく口を閉ざす。
こうして本物の聖女も判明して無事?解決し、以降この件に口を出すことは陛下の命のもと禁じられた。
私の住まいを早急に王宮に戻すとなったけど、そこは丁重にお断りした。
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