異世界召喚されました。親友は第一王子に惚れられて、ぽっちゃりな私は聖女として精霊王とイケメン達に愛される!?〜聖女の座は親友に譲ります〜

あいみ

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第二章

信じない【キース】

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 胸の辺りがザワついた。

 場違いな真っ赤なドレスに身を包んだユア殿の雰囲気はか弱い女性なんかじゃない。

 コトネ様を陥れようと何かを企んでいる。

 カイザーはニヤリと醜く笑いコトネ様を指差しては

「実の母親を殺した者が清き聖女だと、本当に思うのか?」

 耳を疑った。

 私だけでなく、この場にいる全員が動揺している。

 カイザーの言葉にすぐ便乗したのはユア殿を聖女と崇める神官や貴族。

「おお!なんということか!」
「神官長!親を殺した人間が聖女だなんて、ありえるはずがございません!!」
「やはりユア様が真の聖女」
「そうだぞ神官長。親殺しが聖女だなんて笑わせる。なにせ、殺しているんだぞ。親を!それも腹を痛めて産んでくれた母親を!!」
「黙れ!!コトネ様を陥れようと、適当なことを抜かすな!」
「ハッ。ならキース。なぜその者は否定しない。殺していないなら、そう言えばいいだろう」

 コトネ様は手で顔を覆っては静かに涙を流す。

 不謹慎にもその姿を、美しいとさえ思う。

「違う。そんなつもりはなかった。だって、死ぬなんて……思わなかった。私はただ、寂しかったから、だから……」

 揺れる瞳には母親の死体が映っているのだろう。震える声は否定ではなく懺悔を繰り返す。

「母親殺しの分際で我が国を騙し、ユアから聖女の名を奪った貴様には死罪が相応しい。が、俺もそこまで非道ではない。地下牢ではあるが、死ぬまで生かしてやる」
「なんとお優しい!」
「残忍な犯罪者にまで慈悲の心を見せるとは」

 聖女の力を持つコトネ様を監禁し、家畜として飼い殺すつもりだろう!

 何が慈悲だ!!

 くだらぬ茶番など、終わらせてやる。

 剣に手をかけると室内に突風が吹き荒れ、怒り狂ったシェイド殿が現れた。

「心音を泣かせたな?」

 睨まれただけで数人の貴族は泡を吹きながら倒れた。一切の手加減はしていない。

 私達に異変がないことからジェイド殿の感情はコトネ様を聖女として認めない連中にのみ向けられている。

 死んだわけではない。気を失っただけ。

 カイザーだけは殺すと殺意が充満している。

「シェイド様!!そんな奴のことより今はコトネ様を」

 伸ばした手が首に触れる寸前で止まる。

 冷たい瞳に見下されるとわかってしまう。

 シェイド殿……シェイド様は愛し子であるコトネ様よりもカイザーを殺すことだけを優先している。

 ふざけるな。精霊王ならば、特別な存在であるのなら、何をおいてもまず優先すべきはコトネ様だろう!!

 私には……俺には……。

「コトネ様のお心は救えない!!お前の魔法ならここではない静かな場所に連れて行けるのだろう!!」

 身の程は弁えているつもりだ。

 コトネ様を救えるなら俺は喜んで、その役目を他者に任せられる。

 瞳に感情が戻り、優しくコトネ様に触れると二人の姿は消えた。

「ハハハ!聞いたかお前達!あの女!自白したぞ!!」
「うるさい。黙れ」

 高らかに笑うカイザーの顔面に握り締めた拳を喰らわせると、勢いよく体は吹っ飛んだ。

「言っただろう?コトネ様を傷つけたらお前を斬ると」

 鼻血を垂らしながら現状が飲み込めないカイザーの体を踏みつけ剣を向ける。

「やめて下さい、キース様。カイザー様の言ったことは本当なんですよ」
「男に媚び脚を開くことしか出来ない低脳な分際で気安く話しかけるな」
「え?キ、キース様?」
「お前が本当に聖女ならば、お前はカイザーの発言を止めるべきだった。だがお前は何もせず、ただ黙って見ていた。コトネ様が理不尽に攻撃されているにも関わらず。貴様のような女が聖女であってたまるものか!!」

 カイザーは突然変異であんな性格になったわけではない。貴族として当たり前である、感情の制御が下手なだけ。

 欲望の赴くままに生きているから両親に似ていないと陰口を叩かれる。

 俺は王子としての自覚があったからこそ感情を制御し、取り繕い、加えて騎士として精神修行も行っていたから、ある程度は我慢が出来ていた。

 今日までは。

「やめるんだキース!」
「なぜ止めるのですか?この期に及んでこんな愚息を助ける理由はないはずです」
「コトネ様に迷惑がかかる」
「迷惑?このクズの存在そのものが、コトネ様にとって大迷惑です!!」

 王族派もユア殿を聖女と信じて疑わない連中も気絶して、カイザーの味方をする者は一人。

 まぁ、その一人は震えて座っているだけで、もう助ける素振りさえない。

「キース様。私も殺すことには反対です」
「ラヴィ!主君が侮辱されて平気なのか!!」
「百回殺しても、殺し足りません。ですが、もしも自分のせいでキース様が人を殺めたとなれば、コトネ様の心に一生癒えない傷をつけることになるのですよ。それでもキース様は、そのクズを殺しますか?」
「俺は……私は……」

 太陽のように眩しいコトネ様の笑顔を曇らせたくはない。

 きっと繰り返す。私への懺悔を。

 剣を振り下ろせば私の心は晴れるかもしれないが、コトネ様には不必要な責を背負わせてしまう。

 そういう優しいお方だから。

 コトネ様を理由にカイザーを斬るのは間違っている。

「助かった。もう少しで取り返しのつかないことになるところだった」
「キース様ではなくコトネ様のために止めただけです」
「コトネ様が帰ってくるまで、私達も待っていよう」
「待てキース!!ふざけるなよ!この俺に手を上げてタダで済むと思うなよ!!」
「カイザー様。こちら差し上げます」

 レオンハルト様は果敢にも立ち上がろうとするカイザーの上に幾つもの紙をバラまいた。

「なんだこれは?」
「貴方がこれまでに手を出してきた令嬢からの被害届です」
「被害だと!?ふざけるな!!」
「おや。まさか全員、合意の上だったと?」
「当然だ!!」
「ならなぜ、被害届がこんなにあるんですかね」

 レオンハルト様が補佐官のイオナ嬢と暗躍していることはアーサー卿から小耳に挟んでいたが、まさか令嬢達を説得していたとは。

 今のカイザーでは令嬢達の実家に圧力をかけることは難しいだろう。
 地位を失いつつあるお飾りの王子など恐れるに足りない。

 これほど、多くの家門が手を結べば巨大な力となる。まず、カイザーに勝ち目はない。

 後ろ盾には公爵家と侯爵家がいてくれる。

 何があっても大丈夫と、安心感が強い。

「見物ですね。女性トラブルを抱える殿下が、どんな功績を上げて王太子に返り咲くのか」

 コトネ様を泣かせたことによりレイチェスター公爵の怒りは限界に達した。

 格の違いを見せつけるため怒りに身を任せることはない。

 よもや一国の王子が国民に見下される日がくるとは。後にも先にもカイザーだけだろう。

「これはお前の仕事だろう!!宰相!!」

 被害届をグシャッと握り締める。

「は?そんなわけないでしょう。宰相の仕事は出来の悪い王子の尻拭いではないんですよ。そんなに後処理が嫌なら、ご自身が王になられたあと私を王宮から追い出し、新たに従順なる宰相を任命すればよろしいかと」

 カイザーが王になれる確率など低く、仮になれたとしたらレオンハルト様は王位就任の前に辞表を提出する。

 昔から言っていた。カイザーにだけは仕えるつもりはないと。

「それともう一つ。殿下。そろそろ仕事を片付けてあげてはどうですか。首を長くして待っている文官が可哀想ですよ」
「仕事だと?それは全て貴様に任せていたはずだ。もしや手を付けていないのか!?王子であるこの俺の仕事を手伝わせてやっているのだぞ!?」

 一度も国に携わる仕事と向き合っていないことを自白した。私でさえ騎士になる前は何度か任されたというのに。

 女遊びに夢中で仕事なんて二の次。未来の王が聞いて呆れる。

「どうでしょう陛下。いっそ、クラーク殿下にお任せするというのは。王太子教育は終わっていることですし、これからは王子としての責任感を育てるべきではありませんか」
「そうだな。クラークになら文官達も安心して任せられるはずだ」
「お待ち下さい父上。俺に任せてくれればすぐにでも」
「そうやって従者にでもやらせるつもりか?カイザー。以前、言った通りだ。功績が上げられないのであればお前が王太子になることはない。絶対に。キース。コトネ様の体調が戻り次第、知らせてくれ。愚息の発言を詫びねばならん」
「かしこまりました。陛下。では、我々はこれで失礼致します」
「おい待てキース!!俺に謝らず行くつもりか!?」
「謝らなければならないことは、していない。せいぜい歳の離れた弟に負けないよう、努力を惜しまないで下さい。殿下」

 カイザーが完全に見限られたと理解したユア殿は、意外にもレオンハルト様を狙っていた。

 面倒な女性に狙われ可哀想な反面、レオンハルト様なら簡単に跳ね除けられる。

 あれは好意ではなく容姿と地位だけしか見ていない。

 どれだけ外見を美しく着飾ろうともコトネ様の美しさの前には霞んでしまう。

 聖女はコトネ様だと言い続けるのに、ずっとその座を奪おうとしているのだから滑稽。

 安易な奇跡しか起こせない聖女など、誰も求めていない。

 ユア殿はずっとコトネ様の優しさに甘えていただけ。

 外見だけが唯一、誇れるもの。

 コトネ様は人殺しと責められれば否定しないとわかった上で、カイザーに情報を漏らしたに違いない。

 魂の色が真っ黒だと神官長が言っていたが、まさにその通り。

 目的のためなら他人がどうなろうとお構いなし。清さの欠片もないな。



 コトネ様が帰ってきたのは、三日後のことだった。





「おかえりなさいませ。コトネ様」
「た、ただいま」

 ラヴィはあの日のことを蒸し返す素振りはなく、いつも通りコトネ様の侍女として働く。

 それが正しいことなのだろう。

 シェイド様が出してくれた緑茶ときな粉餅でコトネ様は心を落ち着かせる。

「私がいない間、何か変わったとこなかった?大丈夫?」

 ──こんなときでも私達のことを心配して下さるのですか。

 その優しさをもっと自分に向けてもバチは当たらないというのに。

「コトネ様。何があったのか真実をお話頂けませんか」

 表情が強ばった。

 目を逸らすことなく真っ直ぐ見つめる。

 思い出すのも辛く、出来ることなら記憶の奥底で蓋をしていたかったのかもしれない。

 ユア殿とカイザーの企みがなければ傷ついた心を抉ることもなかった。

 それでも……!!

「私はコトネ様の口から語られたことしか信じません」

 過ぎた時間だけがコトネ様を苦しめる。

 私では寄り添えない。だからこそ、私はコトネ様の味方で在りたいのだ。

 真実を捻じ曲げられただけの言葉など信じるに値しない。
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