異世界召喚されました。親友は第一王子に惚れられて、ぽっちゃりな私は聖女として精霊王とイケメン達に愛される!?〜聖女の座は親友に譲ります〜

あいみ

文字の大きさ
24 / 48
第一章

ヤキモチ

しおりを挟む
「はぁーー」
「どうしたのだ心音」
「全部わかってるでしょ」

 シェイドはいつも私を見てる。

 おっと。この表現は不適切だ。ストーカー扱いになってしまう。

 精霊王なんて規格外のシェイドに私の行動はお見通し。

 つまり。今しがたの庭園での出来事を全て知っていて、私を中傷した令嬢達への仕返しをどうしようかと悩んでいる。

 殺すとまではいかないけど、それに匹敵する仕返し。

 シェイドの怒りは友愛と一緒になって私を見下し、嘲笑ったことに重点を置いている。

 友愛が聖女と言われたことは気にもとめない。

 私が止めても聞く耳を持たず、私にしてあげられることはせいぜい、やりすぎないでと注意するだけ。

 命を奪う行為はしないから大丈夫だとは思いたいんだけど……。

 家が没落することは関係のない家族にも被害が及ぶからやめてねとは言っている。

 公女様に連れて行かれる前に、キースが手を引いて風の速さで逃がしてくれた。

 手を引かれて走るなんて少女漫画のような展開ではあったけど、ドキドキする余裕はなかった。

 だって速いんだもん。

 陛下の命令で私を王宮から出せないって言えば納得するんじゃないかな。わざわざ逃げなくても。

 貴族が王族に逆らうわけないんだし。

「私が傍にいたのなら心音を泣かせなかった」
「そうだろうけど」
「私なら!!心音の傍を離れるなんてしなかった」
「シェイド……」

 泣きそうな表情。私のために心を痛めてくれてる。

「ありがとうシェイド。私は大丈夫だから」
「辛いことを慣れるな。何かあれば私に言えばいい。助けてやる。誰よりも…早く」

 その言葉はキースを責めている。自分の代わりに私に同行したのにこの体たらく、と。

 悔しそうな、後悔が全面に押し出ている。

 私を一人にしたせいで私が泣いてしまった。全ては自分の判断ミスのせいだと。

 言い返すこともなくキースは出て行ってしまった。責任なんて感じる必要なんてないのに。

 私が慰めでもしたら余計惨めにさせてしまうだろうか。

 騎士のプライドに傷をつけていたらどうしよう。

 真面目なキースなことだ。聞いても「そんなことない」と言うに決まってる。

 あんなにも優しい人を傷つけてしまった罪悪感を、私のほうが感じてしまう。

「あんな男のことなど放っておけ」
「そうはいかないよ」
「いいから私のことだけを考えろ」
「シェイド。もしかしてキースにヤキモチ焼いてる?」

 図星だったのか黙り込んだ。場を和ませる冗談で言ったのに。

 力の差だけで言えばシェイドのほうが圧倒している。

 だって魔法を使うんだよ。生身の人間が適うはずない。

 最初から立っているスタートラインが違う。

 それが逆に気に食わなかったりするのかな。

 私はどうしても人間であるキースを頼りにするときがある。

 本当に失礼な話だ。

 これだけシェイドの力を使っておきながら、人でないという理由だけで深く歩み寄れない。

 シェイドは千年の長い時間を生きてきた。きっと生命に与えられる寿命という命の灯火は存在しないのだろう。

 世界が消えてなくなったとしてもシェイドだけが生き残り、永遠の孤独を彷徨うのかもしれない。

 想像するだけで胸が痛い。

 私と過ごす時間なんて一瞬の出来事のように過ぎ去っていく。

 シェイドにも人間のような感情がある。

 私がいなくなったら寂しさに押し潰されるかもしれない。

 もしもシェイドが私を好きじゃなければ、苦しまずに済むのだろうか。

「どうした。私と二人では気が休まらんか?」
「シェイドは怖くないの。いつかは独りになっちゃうんだよ」
「今更だな。千年。ずっと独りだった。もう慣れた」

 辛いことに慣れてしまっている。

 時間が経てば寂しいという感情は薄れるかもしれないけど、独りになった瞬間というのは口で言うよりもっと寂しいものだ。

 ずっと傍にいると思っていた人が目の前からいなくなる寂しさも辛さも悲しみも、全部わかる。

 もう会えない。

 そう理解した瞬間が一番苦しい。

 会いたいと願えば願うほど、取り残された私達は惨めだ。

 生きなきゃいけないのに、死んだら同じとこに行けるかもなんてバカなことを考えたりもした。

 そんなわけないのにね。

「ごめん。私はずっとシェイドの傍にはいてあげられない」
「わかっている。そんなこと。いつかではなく今、心音が傍にいてくれるだけでいい」

 なんでそんなときめく台詞を簡単に言っちゃうかな。

 シェイドを見てると顔が余計に熱くなる。

 恋愛経験値がゼロの私にとってイケメンからの甘い囁きは普通に効く。

 きっと、キースに同じことを言われても同じ反応をしてしまう。

 神官長はどうだろ。……ドキッとはするけどそれだけ。

 カイザー様は……性格を知ってる分、誰かに言わされているんだろうなと真に受けない。

 どんな理由であれ、シェイドが私なんかを本気で好きだと言ってくれているのなら、私もちゃんとシェイドを見ないとダメだ。

 まずはシェイドの良いところをいっぱい見つけよう。

 人種が違うとか、そんなのは関係なく。

 中途半端はよくない。

 シェイドの気持ちに応えられないとしても、真剣に向き合わないまま断るのは失礼だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※毎週火曜・金曜日の夜に投稿。作者ブル

モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまで

ChaCha
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したことに気づいたアイナ・ネルケ。 だが彼女はヒロインではない――ただの“モブ令嬢”。 「私は観る側。恋はヒロインのもの」 そう決めて、治癒魔術科で必死に学び、気合いと根性で仲間を癒し続けていた。 筋肉とビンタと回復の日々。 それなのに―― 「大丈夫だ。俺が必ず君を守る」 野外訓練で命を救った騎士、エルンスト・トゥルぺ。 彼の瞳と声が、治癒と共に魂に触れた瞬間から、世界が静かに変わり始める。 幼馴染ヴィルの揺れる視線。 家族の温かな歓迎。 辺境伯領と学園という“日常の戦場”。 「……好き」 「これは恋だ。もう、モブではいたくない」 守られるだけの存在ではなく、選ばれる覚悟を決めたモブ令嬢と、 現実しか知らない騎士の、静かで激しい溺愛の始まり。 これは―― モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまでの物語。 ※溺愛表現は後半からです。のんびり更新します。 ※作者の好みにより筋肉と気合い…ヤンデレ落ち掛けが踊りながらやって来ます。 ※これは恋愛ファンタジーです。ヒロインと違ってモブは本当に大変なんです。みんなアイナを応援してあげて下さい!!

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

「愛することはない」と言った冷徹公爵様、やり直しの人生は溺愛が重すぎます!~王宮が滅びるのは記憶を隠した旦那様と幸運な息子のせい?~

ソラ
恋愛
王宮の陰湿な包囲網、そして夫であるアリステア公爵の無関心。心身を削り取られたセラフィナは、孤独と絶望の中でその短い一生を終えた。 だが、彼女は知らなかった。 彼女の死を知ったアリステアが、復讐の鬼と化して王宮へ反乱を起こし、彼女を虐げた者たちを血の海に沈めたことを。そして彼もまた、非業の死を遂げたことを。 「……セラフィナ。二度と、君を離さない。この命、何度繰り返してでも」 気がつくと、そこは五年前――結婚三日目の朝。 セラフィナが「今度は期待せずに生きよう」と決意した矢先、飛び込んできたアリステアは泣きながら彼女を抱きしめた。 前世の冷淡さが嘘のように、甘く、重すぎるほどの愛を注いでくるアリステア。 さらに、前世には存在しなかった息子・ノエルまで現れ、セラフィナを苦しめるはずだった敵は、彼女が知らないうちに裏で次々と社会的に抹殺されていく。 アリステアは記憶がないふりをして、狂気的な執着を「優しさ」という仮面で隠し、今度こそ彼女を檻のような幸福の中に閉じ込めようと画策していた。 知っているのは、読者(あなた)だけ。 嘘から始まる、究極のやり直し溺愛ファンタジー! (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

追放された養女令嬢は、聖騎士団長の腕の中で真実の愛を知る。~元婚約者が自滅する横で、私は最高に幸せになります~

有賀冬馬
恋愛
「お前のような無能な女、私の格が下がるのだよ」 最愛の婚約者だったはずの王子に罵られ、雨の夜に放り出されたエルナ。 すべてを失った彼女が救われたのは、国の英雄である聖騎士団長・レオナードの手によってだった。 虚飾の社交界では見えなかった、本当の価値。 泥にまみれて子供たちを笑顔にするエルナの姿に、レオナードは心を奪われていく。 「君の隣に、私以外の居場所は作らせない」 そんな二人の裏側で、エルナを捨てた王子は破滅へのカウントダウンを始めていた。

完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜

恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。 だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。 自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。 しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で…… ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています ※完結まで毎日投稿します

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。

尾道小町
恋愛
登場人物紹介 ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢  17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。 ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。 シェーン・ロングベルク公爵 25歳 結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。 ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳 優秀でシェーンに、こき使われている。 コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳 ヴィヴィアンの幼馴染み。 アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳 シェーンの元婚約者。 ルーク・ダルシュール侯爵25歳 嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。 ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。 ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。 この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。 ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳 ロミオ王太子殿下の婚約者。 ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳 私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。 一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。 正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?

処理中です...