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第一章
ヤキモチ
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「はぁーー」
「どうしたのだ心音」
「全部わかってるでしょ」
シェイドはいつも私を見てる。
おっと。この表現は不適切だ。ストーカー扱いになってしまう。
精霊王なんて規格外のシェイドに私の行動はお見通し。
つまり。今しがたの庭園での出来事を全て知っていて、私を中傷した令嬢達への仕返しをどうしようかと悩んでいる。
殺すとまではいかないけど、それに匹敵する仕返し。
シェイドの怒りは友愛と一緒になって私を見下し、嘲笑ったことに重点を置いている。
友愛が聖女と言われたことは気にもとめない。
私が止めても聞く耳を持たず、私にしてあげられることはせいぜい、やりすぎないでと注意するだけ。
命を奪う行為はしないから大丈夫だとは思いたいんだけど……。
家が没落することは関係のない家族にも被害が及ぶからやめてねとは言っている。
公女様に連れて行かれる前に、キースが手を引いて風の速さで逃がしてくれた。
手を引かれて走るなんて少女漫画のような展開ではあったけど、ドキドキする余裕はなかった。
だって速いんだもん。
陛下の命令で私を王宮から出せないって言えば納得するんじゃないかな。わざわざ逃げなくても。
貴族が王族に逆らうわけないんだし。
「私が傍にいたのなら心音を泣かせなかった」
「そうだろうけど」
「私なら!!心音の傍を離れるなんてしなかった」
「シェイド……」
泣きそうな表情。私のために心を痛めてくれてる。
「ありがとうシェイド。私は大丈夫だから」
「辛いことを慣れるな。何かあれば私に言えばいい。助けてやる。誰よりも…早く」
その言葉はキースを責めている。自分の代わりに私に同行したのにこの体たらく、と。
悔しそうな、後悔が全面に押し出ている。
私を一人にしたせいで私が泣いてしまった。全ては自分の判断ミスのせいだと。
言い返すこともなくキースは出て行ってしまった。責任なんて感じる必要なんてないのに。
私が慰めでもしたら余計惨めにさせてしまうだろうか。
騎士のプライドに傷をつけていたらどうしよう。
真面目なキースなことだ。聞いても「そんなことない」と言うに決まってる。
あんなにも優しい人を傷つけてしまった罪悪感を、私のほうが感じてしまう。
「あんな男のことなど放っておけ」
「そうはいかないよ」
「いいから私のことだけを考えろ」
「シェイド。もしかしてキースにヤキモチ焼いてる?」
図星だったのか黙り込んだ。場を和ませる冗談で言ったのに。
力の差だけで言えばシェイドのほうが圧倒している。
だって魔法を使うんだよ。生身の人間が適うはずない。
最初から立っているスタートラインが違う。
それが逆に気に食わなかったりするのかな。
私はどうしても人間であるキースを頼りにするときがある。
本当に失礼な話だ。
これだけシェイドの力を使っておきながら、人でないという理由だけで深く歩み寄れない。
シェイドは千年の長い時間を生きてきた。きっと生命に与えられる寿命という命の灯火は存在しないのだろう。
世界が消えてなくなったとしてもシェイドだけが生き残り、永遠の孤独を彷徨うのかもしれない。
想像するだけで胸が痛い。
私と過ごす時間なんて一瞬の出来事のように過ぎ去っていく。
シェイドにも人間のような感情がある。
私がいなくなったら寂しさに押し潰されるかもしれない。
もしもシェイドが私を好きじゃなければ、苦しまずに済むのだろうか。
「どうした。私と二人では気が休まらんか?」
「シェイドは怖くないの。いつかは独りになっちゃうんだよ」
「今更だな。千年。ずっと独りだった。もう慣れた」
辛いことに慣れてしまっている。
時間が経てば寂しいという感情は薄れるかもしれないけど、独りになった瞬間というのは口で言うよりもっと寂しいものだ。
ずっと傍にいると思っていた人が目の前からいなくなる寂しさも辛さも悲しみも、全部わかる。
もう会えない。
そう理解した瞬間が一番苦しい。
会いたいと願えば願うほど、取り残された私達は惨めだ。
生きなきゃいけないのに、死んだら同じとこに行けるかもなんてバカなことを考えたりもした。
そんなわけないのにね。
「ごめん。私はずっとシェイドの傍にはいてあげられない」
「わかっている。そんなこと。いつかではなく今、心音が傍にいてくれるだけでいい」
なんでそんなときめく台詞を簡単に言っちゃうかな。
シェイドを見てると顔が余計に熱くなる。
恋愛経験値がゼロの私にとってイケメンからの甘い囁きは普通に効く。
きっと、キースに同じことを言われても同じ反応をしてしまう。
神官長はどうだろ。……ドキッとはするけどそれだけ。
カイザー様は……性格を知ってる分、誰かに言わされているんだろうなと真に受けない。
どんな理由であれ、シェイドが私なんかを本気で好きだと言ってくれているのなら、私もちゃんとシェイドを見ないとダメだ。
まずはシェイドの良いところをいっぱい見つけよう。
人種が違うとか、そんなのは関係なく。
中途半端はよくない。
シェイドの気持ちに応えられないとしても、真剣に向き合わないまま断るのは失礼だ。
「どうしたのだ心音」
「全部わかってるでしょ」
シェイドはいつも私を見てる。
おっと。この表現は不適切だ。ストーカー扱いになってしまう。
精霊王なんて規格外のシェイドに私の行動はお見通し。
つまり。今しがたの庭園での出来事を全て知っていて、私を中傷した令嬢達への仕返しをどうしようかと悩んでいる。
殺すとまではいかないけど、それに匹敵する仕返し。
シェイドの怒りは友愛と一緒になって私を見下し、嘲笑ったことに重点を置いている。
友愛が聖女と言われたことは気にもとめない。
私が止めても聞く耳を持たず、私にしてあげられることはせいぜい、やりすぎないでと注意するだけ。
命を奪う行為はしないから大丈夫だとは思いたいんだけど……。
家が没落することは関係のない家族にも被害が及ぶからやめてねとは言っている。
公女様に連れて行かれる前に、キースが手を引いて風の速さで逃がしてくれた。
手を引かれて走るなんて少女漫画のような展開ではあったけど、ドキドキする余裕はなかった。
だって速いんだもん。
陛下の命令で私を王宮から出せないって言えば納得するんじゃないかな。わざわざ逃げなくても。
貴族が王族に逆らうわけないんだし。
「私が傍にいたのなら心音を泣かせなかった」
「そうだろうけど」
「私なら!!心音の傍を離れるなんてしなかった」
「シェイド……」
泣きそうな表情。私のために心を痛めてくれてる。
「ありがとうシェイド。私は大丈夫だから」
「辛いことを慣れるな。何かあれば私に言えばいい。助けてやる。誰よりも…早く」
その言葉はキースを責めている。自分の代わりに私に同行したのにこの体たらく、と。
悔しそうな、後悔が全面に押し出ている。
私を一人にしたせいで私が泣いてしまった。全ては自分の判断ミスのせいだと。
言い返すこともなくキースは出て行ってしまった。責任なんて感じる必要なんてないのに。
私が慰めでもしたら余計惨めにさせてしまうだろうか。
騎士のプライドに傷をつけていたらどうしよう。
真面目なキースなことだ。聞いても「そんなことない」と言うに決まってる。
あんなにも優しい人を傷つけてしまった罪悪感を、私のほうが感じてしまう。
「あんな男のことなど放っておけ」
「そうはいかないよ」
「いいから私のことだけを考えろ」
「シェイド。もしかしてキースにヤキモチ焼いてる?」
図星だったのか黙り込んだ。場を和ませる冗談で言ったのに。
力の差だけで言えばシェイドのほうが圧倒している。
だって魔法を使うんだよ。生身の人間が適うはずない。
最初から立っているスタートラインが違う。
それが逆に気に食わなかったりするのかな。
私はどうしても人間であるキースを頼りにするときがある。
本当に失礼な話だ。
これだけシェイドの力を使っておきながら、人でないという理由だけで深く歩み寄れない。
シェイドは千年の長い時間を生きてきた。きっと生命に与えられる寿命という命の灯火は存在しないのだろう。
世界が消えてなくなったとしてもシェイドだけが生き残り、永遠の孤独を彷徨うのかもしれない。
想像するだけで胸が痛い。
私と過ごす時間なんて一瞬の出来事のように過ぎ去っていく。
シェイドにも人間のような感情がある。
私がいなくなったら寂しさに押し潰されるかもしれない。
もしもシェイドが私を好きじゃなければ、苦しまずに済むのだろうか。
「どうした。私と二人では気が休まらんか?」
「シェイドは怖くないの。いつかは独りになっちゃうんだよ」
「今更だな。千年。ずっと独りだった。もう慣れた」
辛いことに慣れてしまっている。
時間が経てば寂しいという感情は薄れるかもしれないけど、独りになった瞬間というのは口で言うよりもっと寂しいものだ。
ずっと傍にいると思っていた人が目の前からいなくなる寂しさも辛さも悲しみも、全部わかる。
もう会えない。
そう理解した瞬間が一番苦しい。
会いたいと願えば願うほど、取り残された私達は惨めだ。
生きなきゃいけないのに、死んだら同じとこに行けるかもなんてバカなことを考えたりもした。
そんなわけないのにね。
「ごめん。私はずっとシェイドの傍にはいてあげられない」
「わかっている。そんなこと。いつかではなく今、心音が傍にいてくれるだけでいい」
なんでそんなときめく台詞を簡単に言っちゃうかな。
シェイドを見てると顔が余計に熱くなる。
恋愛経験値がゼロの私にとってイケメンからの甘い囁きは普通に効く。
きっと、キースに同じことを言われても同じ反応をしてしまう。
神官長はどうだろ。……ドキッとはするけどそれだけ。
カイザー様は……性格を知ってる分、誰かに言わされているんだろうなと真に受けない。
どんな理由であれ、シェイドが私なんかを本気で好きだと言ってくれているのなら、私もちゃんとシェイドを見ないとダメだ。
まずはシェイドの良いところをいっぱい見つけよう。
人種が違うとか、そんなのは関係なく。
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シェイドの気持ちに応えられないとしても、真剣に向き合わないまま断るのは失礼だ。
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