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最終章
番外編 心優しい元悪役令嬢は、静かで平和な未来をお望みです
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始まりは最悪だった。
大好きな兄に殺されて。
大嫌いな悪役令嬢に転生した。
転生だけならまだ良かったのかもしれない。
私刑、国外追放、幽閉。
待ち受ける未来は破滅のみ。
落ち込んでも仕方ない。
私はシオン・グレンジャーとして生きていくしかないのだから。
シナリオ通りに動いて破滅するつもりは毛頭ない。
静かで平穏。それこそ私が望む未来。
それなのに……。
この世界は私の存在を認めてはくれない。
悪は滅ぶべきだと言わんばかりに、どこまでも苦しめる。
何度、心が死んだのか。
生きることを諦めてようやく、小さな願いが叶う。
知らなかったんだ。悪役として作られたキャラが、こんなにも痛みを抱えて生きていたなんて。
ゲームにだって“世界”はあり、その中で生きる人に“意志”もある。
ノアールがいなければ、幼い少女はとっくに命を落としていたのだろう。
変わるはずのない未来。
私が転生したことにより、シナリオは大きく変わる。
未来は自分で選んでいいのだと思えた。
小さな世界の外側には、大きな世界が広がっている。
そこには隠された真実があった。
黒は……忌み嫌われる色ではない。
虐げられ続けた十六年。生きる意味も生まれてくる価値もなかったけど。
少なくとも黒が悪ではないその真実が、希望となったのも事実。
嫌いだった魔法を少しだけ好きになれたのは、人を救えると知ったとき。
嬉しかかった。純粋に。
だってそうでしょう?人を傷つけるだけの魔法が命を救う。好きにならないわけがない。
出会う人々の優しさは心に温もりをくれる。
引いた線を飛び越えて向こう側に行きたくなるような。
死ぬまで関わりを持つつもりのかった、私が生まれた国。
加護が消えたことにより、続いていた平和が終わる。
私は、私を助けてくれなかったあの国の民がどうなろうとあまり興味はなかった。
ただ、私の背中を押して国を出る決意を固めてくれた優しい王太子の願いを叶えたかっただけ。
それでバカだと怒られはしたけど。
受けた恩はしっかりと返さないといけないから。
苦しみからの解放。
隠された真実が明かされたとき。彼らは本性を現した。
傷つくはずのない心が痛みだし、私の命は価値がないどころか、ひたすらに死だけを望まれていたのだ。
卑しく汚らわしい平民を手にかけることを嫌悪し、自ら命を絶つ日を待っていた。
いつかは家族になれると夢見ていたことがバカらしくなるほどに、私は……。
所詮、悪は悪。
どれだけ善行を全うしようが、悪として生まれた私は正義ではない。
使い捨ての物にさえなれなかった私は生まれてきてはいけなかった。
せめて人並みの幸せでもと、欲した罰だったのだろうか。
暗く狭い世界は不思議と居心地が良く、辛いことも苦しいこともない孤独。
魂は朽ちることなく自分が何者かさえ忘れて、生きているだけの人形と化す時間に、その人は私の前に現れた。
千年も前にこの世を去った英雄。
彼が起こした奇跡と初代が起こした悪虐は同じようで異なる。
守りたかった。唯一無二の親友を。身分のせいで失われる命を救うたった一つの方法。
それは……間違いであると知っていながら、歴史に名を刻む殺戮王と呼ばれることになっても、止められなかった。
英雄を殺すことなど誰にも出来ない。
世界は闇によって照らされた。ならば、これからの未来。希望となるのは闇でなくてはならない。
人々の祈りの先にあるものは闇。
それこそが初代の想い。
誰かがその間違いを正すことが出来ていたら。未来は変わっていた。
世界の未来。シオンの未来。
過ぎたことを嘆いたところで何も変わらない。
時間は進む。
真実や想い、記憶さえも隠されたまま何十何百と続き、千年後へ。
全てを諦めた私を救い上げてくれたのは、いつもピンチに助けに来てくれる意地悪な宰相。
私の居場所、帰りたい場所を示してくれた。
生まれる価値も、存在理由さえもなかった私でも、みんなと一緒に帰っていいと。
私の死を望んでいた三人と暴走した愛に取り憑かれた一人と、私の……母親だと名乗る女性は投獄されることとなった。
自らの罪を省みない彼らは真実と現実を受け入れることなく、正しいのは自分達のほうだと主張を続ける。
皆に愛されるヒロインは唯一、罰を望んだ。
私を故意に陥れるつもりはなかったとしても、結果としてそうなってしまったのであれば、罪を犯したのと変わりない。
どこまでも真っ直ぐに信念を持ったヒロイン。
過ちを認められる強さ。愛されるわけだ。
彼女がヒロインなのも納得。
修道院に入ったヒロインは人並みの幸せを望むことなく、残された時間の全てを他者に使う。
尽くすのだ。献身的に。
これは後で知ったことなんだけどね。
ヒロインは知っていたのだ。私が学園でのいじめを止めていたことを。魔法を使って助けたことも。
ずっとお礼を言いたかったのに、私に声をかけようとしたら意識が乗っ取られしまっていた。
なんだろう。感謝されたかったわけではない。
ヒロインに何かあって私のせいにされるのが嫌だから助けただけ。
それでも、知ってくれていたことが嬉しくてたまらない。
感謝したいのは私のほうだ。
投獄された四人は日に日に目から光が失われていく。
ようやく、自分達が置かれている状況を理解した。
死ねない苦しみ。
それこそが彼らに与えられた本当の罰。
私が死刑を望まないことにより、生かされるだけとなった命。
どんなに死を望んでも、命尽きるまで死ぬことは許されない。
それでも彼らは、反省はしなかった。
こうなってしまった原因は全て、私にあるのだと罪と責任を押し付ける。
その考えと性格は一生変わらないで欲しい。
もしも、心を入れ替えて本気で反省しようものなら、許してしまいそうだから。
ヒロインを好きになるはずの攻略対象者の王太子。
嘘で私に優しくしてくれていると思っていた彼は私を好きだと言ってくれた。世界で一番愛していると。
家族の愛とは違う。生涯を誓う愛。
人生初の告白に戸惑い、嬉しくなり。返事にも困った。
そして……知った。
人は好きだ。でも、特別が欲しいわけではない。
私は臆病なんだ。傷が癒えるまで、まだまだ時間はかかる。
私を守るお守り。水の加護。四つ葉のクローバー。他にも様々なプレゼントを受け取った。
限られた時間で私のために選んでくれた、どれも大切な思い出。
もっと早くに気付くべきだった。
世界は広く、私が思っているより酷いものではなかったと。
優しい人はずっと近くにいた。ただ、私が疎くて、それが優しさであると気付けなかっただけで。
【シオン!みんなのとこ、行こ】
「ええ、そうね」
私を愛してくれるノアールと名前を呼んでくれる彼らと共に静かで平和な今日を生きていく。
【あのね、シオン。生まれてきてくれて、ぼくと出会ってくれて、ありがとう!!】
「私こそありがとう。出会ってくれて、私を独りにしないでくれて」
溢れんばかりの幸せと優しさが詰まった、愛おしいリーネットで。
【誕生日、おめでとう。シオン!】
「ノアールも。誕生日おめでとう」
今日は私達の誕生日であり、私が成人を迎える日。
過去に鑑定されているため誕生日はバレている。盛大にお祝いしたいから来て欲しいと、招待状が届いた。
断れない文面を考えたのは意地悪な宰相と甥っ子に違いない。
【ぼくね。シオンとお揃い、すっっごく嬉しかったよ】
尻尾をパタパタ振るノアールの想いは本物。
【でもね。この、きれいな色も好き!!】
今日という特別な日だけは、醜いと蔑まれたシオンの白銀に戻してもらった。
会場の扉が開き、中にいた人々はザワっと動揺が広がる。
侮蔑の視線ではない。飛んでくるのは。
この髪色を綺麗だと、花束を手渡してくれる王太子が言ってくれたから。
私はもっと好きになれた。自分の色を。
生まれてきて、生きてて良かったと想いを告げれば、私が生きて、出会ってくれたことに感謝をしてくれた。
空は青い。私はそのことを知っている。
生きていくんだ。ゲームではない、この現実を。
大好きな兄に殺されて。
大嫌いな悪役令嬢に転生した。
転生だけならまだ良かったのかもしれない。
私刑、国外追放、幽閉。
待ち受ける未来は破滅のみ。
落ち込んでも仕方ない。
私はシオン・グレンジャーとして生きていくしかないのだから。
シナリオ通りに動いて破滅するつもりは毛頭ない。
静かで平穏。それこそ私が望む未来。
それなのに……。
この世界は私の存在を認めてはくれない。
悪は滅ぶべきだと言わんばかりに、どこまでも苦しめる。
何度、心が死んだのか。
生きることを諦めてようやく、小さな願いが叶う。
知らなかったんだ。悪役として作られたキャラが、こんなにも痛みを抱えて生きていたなんて。
ゲームにだって“世界”はあり、その中で生きる人に“意志”もある。
ノアールがいなければ、幼い少女はとっくに命を落としていたのだろう。
変わるはずのない未来。
私が転生したことにより、シナリオは大きく変わる。
未来は自分で選んでいいのだと思えた。
小さな世界の外側には、大きな世界が広がっている。
そこには隠された真実があった。
黒は……忌み嫌われる色ではない。
虐げられ続けた十六年。生きる意味も生まれてくる価値もなかったけど。
少なくとも黒が悪ではないその真実が、希望となったのも事実。
嫌いだった魔法を少しだけ好きになれたのは、人を救えると知ったとき。
嬉しかかった。純粋に。
だってそうでしょう?人を傷つけるだけの魔法が命を救う。好きにならないわけがない。
出会う人々の優しさは心に温もりをくれる。
引いた線を飛び越えて向こう側に行きたくなるような。
死ぬまで関わりを持つつもりのかった、私が生まれた国。
加護が消えたことにより、続いていた平和が終わる。
私は、私を助けてくれなかったあの国の民がどうなろうとあまり興味はなかった。
ただ、私の背中を押して国を出る決意を固めてくれた優しい王太子の願いを叶えたかっただけ。
それでバカだと怒られはしたけど。
受けた恩はしっかりと返さないといけないから。
苦しみからの解放。
隠された真実が明かされたとき。彼らは本性を現した。
傷つくはずのない心が痛みだし、私の命は価値がないどころか、ひたすらに死だけを望まれていたのだ。
卑しく汚らわしい平民を手にかけることを嫌悪し、自ら命を絶つ日を待っていた。
いつかは家族になれると夢見ていたことがバカらしくなるほどに、私は……。
所詮、悪は悪。
どれだけ善行を全うしようが、悪として生まれた私は正義ではない。
使い捨ての物にさえなれなかった私は生まれてきてはいけなかった。
せめて人並みの幸せでもと、欲した罰だったのだろうか。
暗く狭い世界は不思議と居心地が良く、辛いことも苦しいこともない孤独。
魂は朽ちることなく自分が何者かさえ忘れて、生きているだけの人形と化す時間に、その人は私の前に現れた。
千年も前にこの世を去った英雄。
彼が起こした奇跡と初代が起こした悪虐は同じようで異なる。
守りたかった。唯一無二の親友を。身分のせいで失われる命を救うたった一つの方法。
それは……間違いであると知っていながら、歴史に名を刻む殺戮王と呼ばれることになっても、止められなかった。
英雄を殺すことなど誰にも出来ない。
世界は闇によって照らされた。ならば、これからの未来。希望となるのは闇でなくてはならない。
人々の祈りの先にあるものは闇。
それこそが初代の想い。
誰かがその間違いを正すことが出来ていたら。未来は変わっていた。
世界の未来。シオンの未来。
過ぎたことを嘆いたところで何も変わらない。
時間は進む。
真実や想い、記憶さえも隠されたまま何十何百と続き、千年後へ。
全てを諦めた私を救い上げてくれたのは、いつもピンチに助けに来てくれる意地悪な宰相。
私の居場所、帰りたい場所を示してくれた。
生まれる価値も、存在理由さえもなかった私でも、みんなと一緒に帰っていいと。
私の死を望んでいた三人と暴走した愛に取り憑かれた一人と、私の……母親だと名乗る女性は投獄されることとなった。
自らの罪を省みない彼らは真実と現実を受け入れることなく、正しいのは自分達のほうだと主張を続ける。
皆に愛されるヒロインは唯一、罰を望んだ。
私を故意に陥れるつもりはなかったとしても、結果としてそうなってしまったのであれば、罪を犯したのと変わりない。
どこまでも真っ直ぐに信念を持ったヒロイン。
過ちを認められる強さ。愛されるわけだ。
彼女がヒロインなのも納得。
修道院に入ったヒロインは人並みの幸せを望むことなく、残された時間の全てを他者に使う。
尽くすのだ。献身的に。
これは後で知ったことなんだけどね。
ヒロインは知っていたのだ。私が学園でのいじめを止めていたことを。魔法を使って助けたことも。
ずっとお礼を言いたかったのに、私に声をかけようとしたら意識が乗っ取られしまっていた。
なんだろう。感謝されたかったわけではない。
ヒロインに何かあって私のせいにされるのが嫌だから助けただけ。
それでも、知ってくれていたことが嬉しくてたまらない。
感謝したいのは私のほうだ。
投獄された四人は日に日に目から光が失われていく。
ようやく、自分達が置かれている状況を理解した。
死ねない苦しみ。
それこそが彼らに与えられた本当の罰。
私が死刑を望まないことにより、生かされるだけとなった命。
どんなに死を望んでも、命尽きるまで死ぬことは許されない。
それでも彼らは、反省はしなかった。
こうなってしまった原因は全て、私にあるのだと罪と責任を押し付ける。
その考えと性格は一生変わらないで欲しい。
もしも、心を入れ替えて本気で反省しようものなら、許してしまいそうだから。
ヒロインを好きになるはずの攻略対象者の王太子。
嘘で私に優しくしてくれていると思っていた彼は私を好きだと言ってくれた。世界で一番愛していると。
家族の愛とは違う。生涯を誓う愛。
人生初の告白に戸惑い、嬉しくなり。返事にも困った。
そして……知った。
人は好きだ。でも、特別が欲しいわけではない。
私は臆病なんだ。傷が癒えるまで、まだまだ時間はかかる。
私を守るお守り。水の加護。四つ葉のクローバー。他にも様々なプレゼントを受け取った。
限られた時間で私のために選んでくれた、どれも大切な思い出。
もっと早くに気付くべきだった。
世界は広く、私が思っているより酷いものではなかったと。
優しい人はずっと近くにいた。ただ、私が疎くて、それが優しさであると気付けなかっただけで。
【シオン!みんなのとこ、行こ】
「ええ、そうね」
私を愛してくれるノアールと名前を呼んでくれる彼らと共に静かで平和な今日を生きていく。
【あのね、シオン。生まれてきてくれて、ぼくと出会ってくれて、ありがとう!!】
「私こそありがとう。出会ってくれて、私を独りにしないでくれて」
溢れんばかりの幸せと優しさが詰まった、愛おしいリーネットで。
【誕生日、おめでとう。シオン!】
「ノアールも。誕生日おめでとう」
今日は私達の誕生日であり、私が成人を迎える日。
過去に鑑定されているため誕生日はバレている。盛大にお祝いしたいから来て欲しいと、招待状が届いた。
断れない文面を考えたのは意地悪な宰相と甥っ子に違いない。
【ぼくね。シオンとお揃い、すっっごく嬉しかったよ】
尻尾をパタパタ振るノアールの想いは本物。
【でもね。この、きれいな色も好き!!】
今日という特別な日だけは、醜いと蔑まれたシオンの白銀に戻してもらった。
会場の扉が開き、中にいた人々はザワっと動揺が広がる。
侮蔑の視線ではない。飛んでくるのは。
この髪色を綺麗だと、花束を手渡してくれる王太子が言ってくれたから。
私はもっと好きになれた。自分の色を。
生まれてきて、生きてて良かったと想いを告げれば、私が生きて、出会ってくれたことに感謝をしてくれた。
空は青い。私はそのことを知っている。
生きていくんだ。ゲームではない、この現実を。
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