愛してください!〜前世で元親友と元婚約者に殺されましたが、今世の親友と婚約者と共に復讐します〜

あいみ

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第一章

直々の呼び出し【シャロン】

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「え、嘘!シャロン、帰るの!?」

 三限目のチャイムが鳴る前に荷物をまとめると驚かれた。

 余程のことがないと早退なんてしないからね。

 普通に過ごしていたら怪我をすることもなく、病気だったら最初からアカデミーを休む。

 早退はある意味目立つ。私は気にしないけど。

 今日はどうしても外せない用事があって教師には事前に報告しておいた。

 家のほうからも連絡はいってるけど、念には念を入れて。

 伝えるのは信頼のおけるベテラン教師。

 アリーには当日でもいいかと思いつつ、結局言うのを忘れていた。

 というか、言った気でいた。

 休み時間になる度にここまで足を運ぶジーナ令嬢は嬉しそう。友達いないしアリーと第二王子に構って欲しいんだろうけど相手にされてないことがまだわかってない。

 アリーはディルク殿下に構われっぱなしで、第二王子の傍にいるけど会話に入れず、付き人みたいに立ってるだけ。

 Cクラスでも下の成績のジーナ令嬢がSクラスの会話に混ざれるわけがない。

 レベルを落としてくれてるようだけど、会話に割り込むだけでなく「そんなことより」と、第二王子を連れ出そうとしたことにより場がシラケた。

 言っちゃ悪いけどこんなバカ丸出しにどうやってハメられたわけ。あぁ、そうか。実際に動いたのは第二王子とローズ家だっけ。

 蝶よ花よと甘やかされ育てられて、欲しいものは何でも手に入れてきた。物も人さえも。そんなジーナ令嬢に人を陥れる計画が立てられるはずもない。だってバカだもん。

 人が良すぎるのはアリーの欠点でもある。

 私なら心を許したりしない。ましてや衣食住を与えられるのが当然だと思い込み、何の努力もしない寄生虫なんかには。

 家族の愛に飢えていたアリーからしてみれば、突然現れたジーナ令嬢が無償に愛される。ただただ憎らしくて、ただ……羨ましかったはず。

 そんなジーナ令嬢に優しくしていれば、いつかは自分にも……と、叶うはずのない夢を見ていた。 
 アリーの語ってくれた前世のことを私は何も知らない。時を戻ったのがアリーだけなのだから仕方のないことなんだろうけど。

 独りぼっちの世界でアリーは怖くて寂しくて、誰にも助けを求めることも出来ずに殺された。

 見世物のように首をはねるなんて。斬首刑は最も罪が重い罪人に課せられる死刑。

 ──アリーが処刑台に登らなければならない罪を犯したとでも言うの……!!?

 それだけでなく私が信頼していたニコラにまで手を出した。その殺し方は残虐非道。

 女性の尊厳を激しく奪った。

「ひっ…ボニート令嬢。なぜ私のことを睨むんですか」

 ──貴女が汚くて気持ち悪いから。

 そう言えたら楽なんだけど、ここは我慢我慢。

 アリーなんて、こんなのと同じ屋根の下で暮らしてるんだから。

 わざとらしく潤んだ瞳。私がいじめてるみたいね。

 その通りなんだけど。

 暗黙のルールを破ってまでも第二王子を手に入れたいみたいだけど、そんなに良い男?

 見た目は及第点だけど王宮での傲慢態度は目に余る。あんなのが未来の旦那とか死んでもごめんだわ。

 王宮内のことを口外する人がいないのは、給料が他の三倍。額が多いのは口止め料も含まれているから。

 それに口外し噂が広まりでもしたら、侮辱罪が適用され家族もろとも皆殺しの未来が待つ。

 第二王子の逆鱗にさえ触れなければ穏やかに過ごせる。

 彼女達は見つけたのだ。王宮で生き抜く術を。

 第二王子が最も嫌うディルク殿下を不当に扱うことで、その地位を万全のものにした。

 もっともっと調べたら逢瀬が一回だけでないのは明らかになる。

 アリーが気持ち良く復讐出来るように確固たる証拠を集めておくのが私の仕事。

 私がいなくてもアリーを守ってくれる人がいる。だから私は安心して任せられる。

 アルファン小公爵の件は今日の放課後にでも誤解が解けるはず。

「じゃあねアリー。ディルク殿下。アリーをよろしくお願いします」
「気を付けてねシャロン」

 門を少し出たとこに私を待っていた人物が歩み寄ってきた。

 私よりも艶やかな黒髪を風になびかせる、その男には毎度のことながらため息をついてしまう。

「お迎えに上がりました。お嬢様」
「馬車まで一人で行けるって言ったはずよ」
「お嬢様のためになることは何でも致します。むしろ私はそのために存在しています」
「お願いだから外でそういうことは言わないで。ほら、さっさと行くわよ」

 どうしてこうもロクな男がいないわけ。“あの人”のように強くて逞しい男が数人ぐらいいたっておかしくないのに。

 男の魅力は外見じゃなく中身と強さ。小侯爵は剣技だけは綺麗で評価出来る。それ以外は引くほど無理。世の女性がみんな、自分を好きになるとか思ってるとこも。

 無自覚ナルシストとかキモい。

 馬車の中には着飾った父さんいて、開口一番に謝ってくれた。この男を止められなかったことを。

 久しぶりに見たけどよく似合ってる。あの服はロベリア公爵が信用と信頼のために贈ってくれたもの。

 父さんのためだけに作った一点物。シンプルな素材だけど余計な飾りがない分、着る人間を選ぶ。

 普段の恰好でも私はいいと思うけど、伯爵家当主としてそれなりにきちんとする必要がある。

 何せ国王陛下直々に召喚状を頂いたのだから。
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