追放された錬金術師、素材1つで世界を壊す。俺だけ“純度100%”を作れるから

《第一章：価値ゼロ追放から始まる、世界核錬金術師レオンの逆転劇》

第2話 本編：模造錬金術師との遭遇

王都を出て三日目。俺は追っ手の気配を感じていた。

森の中、小さな焚き火の前に座っていると、茂みが揺れる。
剣を握った騎士と、錬金術師のローブを着た少女が姿を現した。

「レオン。価値ゼロ素材を返していただく」

少女は俺を見るなり、どこか勝ち誇った表情を見せた。

「私は“模造錬金術師”リーテ。あなたの研究はすべて解析済みです」

模造錬金術──既存の素材を無理やり合成し、人工的に価値を水増しする術。
だが純度は低く、耐久も弱い。決して本物には敵わない。

「返す？　盗んだのはそっちだろう」

「価値ゼロ素材を？　いえいえ。あれは国王陛下の物です」

（嘘をついている。団が盗んだとき、あいつらは笑っていた）

俺は“ゴミ石”をひとつ取り出し、ゆっくりと精製する。
淡い青光が走り、世界が一瞬だけ揺れた。

リーテの顔色が変わる。

「……世界核の反応。まさか、本物！？」

次の瞬間、騎士が剣を振り下ろしてきた。
純度100％の素材が、青い衝撃波を放ち剣を弾き飛ばす。

リーテは震えながら呟く。

「あなた……世界災級の錬金術師だったの……？」

俺は淡々と告げた。

「いいや。俺はただの落ちこぼれだ」

騎士もリーテも完全に戦意を失った。

だが、問題はここからだ。
リーテが最後に吐き捨てた言葉が気になる。

「……本物の“世界核”を狙っているのは、王国だけじゃないのよ」