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第二章

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 チュンチュン……気持ちのいい朝だ。何かガサゴソ物音が聞こえた気もしたが、久し振りに熟睡した気がする。
 何時もだったら昨日の様にネメシスや、アテナとアルテミスが代わる代わる……そういえばもう一週間経つのか……あいつら喧嘩せず上手くやっているかな? トラブルに巻き込まれちゃいないかな?この島に着いた時魔法鳩で飛ばした手紙はもう届いたかな?

 「……おはよう……ございます……今日はラジオ体操はしてないのかな?」
 眠たげなウェンティが覗き込んでくる……一体何を期待してるんだ。
 「おはよう。ま、まあ……初日はアレだったけど、そんな毎日……シてる訳じゃないぞ? こう見えても多分に君の祖父母とかよりも年上だし、そこまで体力もないしな」
 「????? ラジオ体操って、そこまで体力使う物なの?」

 ……まるで含みの無い、純粋な目で見てくる……これはもしかして、本当にラジオ体操と勘違いしているのかもしれないな……。
 「そ、そうだな……所でネメシスは? ウェンティと一緒に寝ていた筈だが……」
 「????? 私が起きた時には、もう居なかったよ……だからてっきり二人で体操を……」
 「いや、今日は本当にこちらには来ていないぞ……」

 ……あたりを見回すが彼女の姿はない……そういえば……ここでぱっと思い出す……!
 「ま、まさか……スレイの街で襲って来たあいつらに……」

 「????? お、落ち着いて……凄い顔、してるよ?」
  ウェンティが困惑顔をする。思ってたより表情に出てしまったらしい……。
 「す、すまない……しかし一体どこへ……」
 ……その時……。

 「あ、二人とも起きてらっしゃたのですね、おはようございます♪」
 遥か上から声が聞こえた! 俺とウェンティは虚を突かれたように吃驚して空を見上げると……。
 「上から失礼いたしますわ♪ すいませんが、危ないですのでわたくしの下からお除け下さいませ♪」
 何とローブ姿のネメシスが、ゆっくりと上から降りて来るではないか!
 親方!空から女の子が! という暇もなくネメシスは俺たちの前に降り立った。
 「吃驚させてしまった様で申し訳ございませんわ。少し早起きをしてしまったので、フライの魔法の鍛錬と偵察を兼ねて限界高度まで浮き上がっていたのです……特に周囲に異常はありませんでしたのでご安心をば♪」
 見た所目測15~20m、俺の緊急回避の最大高度よりも高く浮き上がっていた。
 「そ、そうか……しかし凄いな、改めて多彩な才能に驚かされるよ……そこまで高く浮き上がれるのなら俺の例の技能は必要な」
 「いいえっ! わたくしのフライはただ浮かび上がるだけで、とても旦那様の如くあのようなスピードで飛び回る事は出来ませんわっ! ……嗚呼、あの夢の様な時間……是非また体験したいものです……空駆ける天馬に乗られた、わたくしの大天使様……♪」
 しまった、また俺の呼称が天使に戻ってしまった……。
 「アヤカートって……天使だったの? お、御祈りとか捧げものとかした方がいい? とりあえずこの昨日の戦果のこれを……」
 俺に抱き着きながら盛んに唇と胸と腰を押し擦りつけてくるネメシスと、昨日の戦果、ゴブリンの死骸からほじくり出した魔石を俺の前に並べてへへぇ~と平伏をするウェンティ。

 何だこのカオスディメンション。
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