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第二章

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 2人を落ち着かせ(物理)、改めて支度をしてダンジョン攻略を再開する。特に1日経ってダンジョンに変化が起きた訳ではないが、大分仕留めた筈のモンスターが再び沸いていた。
 「この様なダンジョンでは数時間から1日で、仕留めたモンスターの死骸が床に吸収され、新たにモンスターが沸くのですわ。モンスターの装備品や魔石の様に一度死骸から奪った部位は残りますので、龍の鱗の様な硬質な素材は鎧の材料になったり冒険の役にたちますわ」
 「成程、その辺もRPGゲフン! 俺の住んでいた村の元冒険者の話と一緒だな」
 俺の冒険知識はその人から教えて貰った事にしている。無論そういう設定で実際はゲームや小説からの知識だがな。

 1階(実際は2階だが)の探索もほぼ終わり、後回しにしていた広めの空間があると思われる少し豪勢な扉を残すだけとなった。
 「セオリーに従うとですが、こちらの扉の先には上の階へ通じる階段と……そこを守護する少し手強い敵……ボスモンスターが出現すると思いますわ。一度入ると扉は閉ざされ、その敵を倒すまで戻る事も先へ進む事も出来ません……充分な防御魔法をかけてから突入しますが、皆さん、覚悟は御済みですか?……って、聞くまでもなさそうですわね♪」
 ネメシスの言葉を聞くまでもなく、俺もウェンティも士気は充分だ。
 
 「事前に練習した連携の合図を忘れぬ様……では、行きます!」
 ネメシスが重い扉を開くと、そこには……

 ……
 
 「うっ……」

 「うねうね~~~~~っ?????」
 ウェンティが驚愕の声を上げる。そう、この島に上陸した際に出現した例のアレ……触手が、高さ10m、縦横30㎡ほどの部屋一面にびっしりと生えていた!
 長いもので2~3mほどに達し、粘液に塗れているのは一緒だが、色はピンク色だけではなく紫色、緑色と様々で、形も太い触手から何10本もの細い触手が枝分かれしてたり、先もパカパカとエイリアンのように開いていたり……それらが複雑にうねうねと動くさまは正直嫌悪の対象でしかない……。
 触手物のエロ同人誌とか使った^p^ 事はあるが、そこで襲われているくっころ女騎士さんたち、あの嫌悪の表情は今なら判ります、どうもすいませんでした。
 「こっ、これは……最初に遭遇した触手状の生物の、成体……でしょうかね? 普通の迷宮と思ってましたしボスもゴブリンキング・オークロードあたりだと思って正直油断していましたわ……」
 「あ、嗚呼……流石にこれは気持ちが悪い……ネメシス、君の炎魔法で焼き払えるか?」
 「……努力はしますが、一度に全ては難しそうですわね……階段までの道くらいまでなら何とか、ですが最初に見た触手程の再生能力があればすぐ復活するでしょうし……防御魔法がかかっていても足を絡めとられたりしたら……」

 ちなみにのんびりと戦力分析をしてるように見えるが、扉の外から内部を見ている状態だ。中の敵が出てくる事もない。
 「ダンジョンのルール」として勿論獲物を捕らえないといけないが、あまりに初見殺しばかりだと下の階に行く事も出来ない(下の階に餌を回せない)ので、こうやって外から覗き見、対策を考える事が出来るようになっている。

 「う……ご、ごめん……ああいうの……無理……吐きそおろろろろろろ……」
 「だ、大丈夫ですか……一度吐き切ってしまった方が楽ですわ。胃が空になってからお薬をお渡し致しますね」
 ウェンティは青褪めた表情で目を逸らしていたが、遂に我慢出来なくなったようで……迷宮の端の方に粗相をしてしまった……ネメシスが優しく背中を摩り、俺はあまり見ないように指示された。麻痺していたがああいう物を見た時の反応としてはネメシスの様に慣れていない限りはウェンティのようになるのが普通だよな。
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