始まりの魔女と

あるまん

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第一章

第6話

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「さて、最後に……此方へ来なさい、Princess」
 私は飴玉を口に放り込み、とてとてと近付いてきた白黒の顎を持ち

むちゅう

 ……髪だけじゃなく目も白黒させている彼女の口に、舌で飴玉を押し込む。
 其れoozeはどろりと溶け喉の奥に流れ込み、上手く気管の先に定着している筈だ。
「……貴方の名前を考えながら、息を吐きなさい」

「……あ~……あっ、あれっ????? えっ、な、なんでわたくし、こえがっ!」
「ほう、仮初の物で棒読みとはいえイメージ通りの優しい囀りだ。是は今夜の宴が楽しみだっ♪」
「……まだ居たのですか、そして今夜も居るつもり宴に参加するつもりですか泥棒鼠……さ、Princess……貴方の咽頭……喉に魔法生物を付着させました。永続的ではないにしろ、貴方の意思通りに音声を発する喋る事が出来ます。是で意思疎通も……」
「うっ……うわああああああああああああああああん!!」
 ……感極まった様子で泣きだす白黒。
「やれやれ、其の声はあくまで仮の物、数カ月程で息絶え剥がれ落ちます。精々其れ迄私の期待に応え働きなさい。契約を更新する時にまた一つ飴玉をあげましょう話せる様にしてあげましょう
「何だかんだで優しいね、Fräuleinは。まるでママの様だ……まぁ身長や胸の大きさとかはワタシの方がよほどママdやめてやめてとめてそんな先が開閉する触手を差し向けないで仕事の前に腰が立たなくなっちゃアッー!」

 ……泥棒鼠の絶叫、まだ泣き止まない白黒の声を聞き、私は溜息を一つ。

 ……

「さて」
 鼠が退散し、白黒や他のメイドも書架以外の仕事に向かって静寂が訪れる。

 ……白黒の呪詛について。
「懐かしいですね。あれは……あのサウィンド城にあの子の先祖が居た時……美しい声だった当時の姫に、でした」
 白黒に瓜二つだった彼女を思い出す。
「王族でありながら歌姫divaとしても名を馳せた彼女……其の声が突如失われる……まさか死ぬ迄幽閉されそうになるとは……ただ一つの才能の欠如如きで全てを否定するとは、何とも愚かしい物です」
 私は紅茶を手に取り、お気に入りのカップに注ぐ。
「あれから幾数年経ったかしら? 僅か刹那の時文明が変わる時しか経っていないのにもぅ忘れるとは、人間は記憶力も度し難い。前も幽閉した姫を助けようと立ち上がったに蹂躙され、滅びかけた事も伝わっていないのかしら? ちゃんと清濁を選別した筈だけど……」

 とある本を手元に引き寄せ、読み始める。
「あの時の呪詛は何もしなくても解ける物でした。実際彼女が私の書架にメイドとして来た際直ぐに喋れる様になりましたしね。勿論

 ……懐かしい顔を思い出す。
「嗚呼、嗚呼……Princessの美しい白黒の髪……久し振りに会いたいという書状love letterだったのかしら? 、私の都合で何も伝えずにこの場所亜空間に移動したから怒っているのかしら? 仕方ないでしょう、貴方は其の時一度のですしね」

 手元の本を見る。其の書名を懐かしげに擦り

「私も、久々に会いたいですね……魔女王様……」
 白黒の髪の美しき彼女を思い出し、胸がとくん、と揺れた。

 第一部完
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