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〜1〜
その後の話
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時間にしておよそ5分にも満たない時間だったと思う。甘い蜜を啜るかのように首筋に噛みつかれ、急所という恐怖を味わいながら、思考はドロドロにとかされる。体の力も入らない状態で好き勝手に吸われたせいで、地獄のような経験だ。永遠にも感じられる時間であった。
「はっ」
「っん…」
俺は西院が唇を離したその瞬間、繋がれていた指も一緒に解けて支えがなくなり、フラリと後ろに倒れ込んでしまった。ベッドの上。さらには西院の膝の上からの落下である。後頭部から真っ逆さまだ。やばいと思った時には、床に激突するその前に強く引っ張られて、床にはぶつかることはなかったけれど、西院の胸の中に倒れ込んだ。どちらにしても最悪だったわ。
「…」
「…」
「うまい」
「…」
「美味い、なぜだ…ありえない」
「なんでそこが驚愕なんだよ!」
離されてから数秒。最初に放った言葉はその三文字で、しかも心底驚いたというような、驚愕の表情で続けて発せられる言葉たちは、失礼を隠せていない。俺はムカつきが最高潮となる。こいつ最低だ!俺は勢いのまま手を振り上げて力のままに振り落とした。バチンと派手な音が部屋に響く。俺が西院の頬を叩いた音である。叩いたというよりは、力の入らない渾身の状態でだったので、弾いたに近いが。今の俺が出来る全力である。
「…?なんで叩いた?」
「くそ最低野郎!美味くてよかったな!血の味なんて知らねぇよ死ね!」
「なぜそこでキレる?」
「キレねぇ奴なんか居るか馬鹿!」
「うるさい。まずは話を聞け、人間が」
「お断りだわ!死ね!」
「聞け」
「死んどけ!さっさと出ていけ」
力の入らない手で必死に男を押しのけようとするが、相変わらず西院との力の差は圧倒的である。こちらだって嫌なものは嫌だ。せめてもの抵抗というように、思い切り髪を引っ張ってやった。しかし、西院はその手を簡単に振りほどいたかと思えば、威嚇する素振りで尖った牙を見せつけてこちらを睨む。
「聞かないとまた噛む。次は止められ無いかもしれない。気絶するまで吸うぞ」
「っ!」
こんなのは脅しだ。脅し以外の何ものでもない。怖くて、体がまたカタカタと震える。俺は唇を噛み締めた。悔しい。
「聞けばいいんだろっ」
わっと声を荒らげて叫ぶと同時に、目尻に溜まり始めていた涙が一気に溢れた。タガが外れたみたいに一つ二つと頬を伝う。無駄だ。何を言ってもきっと何も通じない。こっちの話なんて聞こうともしない。
「…早く言えよ馬鹿野郎っ」
ボロボロと目頭から涙が落ちる。大粒のそれは先程までのものとは違って、怒りやら悲しみやらが大量に混ざったものだ。ムカつく。怖かった。痛かった。気持ちよかった。ムカつく!ムカつく!
「なぜ泣く?情緒不安定すぎないかお前…」
「おまえのせいだろぉ!」
袖口でゴシゴシと擦っても、永遠に涙が流れ続ける。止まらなくて、ひっくひっくとしゃっくりが出る。鼻もズルズルだ。西院はこの姿を見て、ぽかんと見つめてくるだけである。泣く姿が汚くて触りたくねぇってか!最低だ。何がしたいんだ本当に。もう訳が分からなくてまた涙が零れた。こんなのはもう勘弁だ。怖い。
「おまえなんて嫌いだぁ~~!」
「わかった、わかったから落ち着け」
一際大きい声で拒絶すれば、ハッと我に返ったのであろう西院が背中をぽんぽんと叩いてきた。先程までとは打って変わって、優しいその手に困惑する。本当に話を聞いてくれるつもりなのだろうか。
しばらくして、やっと涙としゃっくりが収まり始めた頃に、顔色を伺うように恐る恐る西院が呟いた。
「…お前は、いやだった、のか?本当に?」
「何度も言っただろ!」
何度も何度も嫌だと言ったはずだ。なのに西院の顔を見て分かった。全然、これっぽっちも本気だと思われていなかったらしい。信じらんねぇ。理解不能である。人間とか吸血鬼とか、もうそんなの関係ない気がする。こいつの人間性…?吸血鬼性の問題だ。
「今まで一度も本気で嫌がられたことがない」
「今までの奴と一緒にすんな!最悪だ、ほんとに最悪。まずは謝れよ!」
「…すまなかった?」
「なんで疑問形なんだよ!誠意が伝わんねぇんだよ」
「…なぜ怒るのかが理解出来ない」
「死ね変態!最低だ死ねっ!」
叫びながら、先程噛まれた場所を左手で抑える。正直そこがどうなっているのか怖くて仕方がなかったが、ジンジンと熱を持つ左側の首筋を撫でると、不思議とその場所に傷跡は見当たらない。
教科書に書かれていたが、噛まれたところは吸血鬼の唾液によって歯が外れると瞬時に塞がると記載されていた。それはどうやら事実のようで、血が出ている様子もなかった。マジかよ。
「傷は残そうという意志を持たなければまず残らない」
「心の傷が残ってんだよ」
「俺が美味いと言っているのにか」
「嬉しいわけあるか!嫌がってる相手にこんなやり方は駄目だろ」
「?気持ちよかっただろう」
「半分は痛いっつの!」
「……痛い?」
「皮膚に穴空いてんだよ。痛くねぇ訳ないだろ」
「いや、今までは…」
「今までと違うんだよ!初めてで押さえつけられてこんなのされたら、普通の女の子ならトラウマもんだっての」
「初めて?」
「そうホイホイ吸血鬼様に血をあげることがあってたまるか」
「……?お前…」
「なんだよ」
その後も首筋を抑えながら抗議の言葉を並べるが、目の前の男は呆然とこちらを見つめるだけで何も言い返しては来ない。
気になるのは疑念の目がこちらを見つめている事実だけだ。いや、まさかこんな奴が?と失礼なことをブツブツと独り言をつぶやいている。
「……聞け、重要なことだ。これからのお前の人生に関わる。お前は華族(はなぞく)の人間か?」
睨むように見ていた西院が呟いた言葉は、謎の単語だらけだった。俺は思わず繰り返し呟く。
「…はなぞく?」
聞いたことも無いその単語に疑問を浮べる。
質問や聞きたいことが山ほどあるのはこちらの方である。噛み付かれた挙句に血を吸われて散々だ。偏見は薄れつつあるとは言え、吸血鬼と人間は未だに水面下では完全に別個体としての認識で生きている。
一部を除いて互いに深く干渉はしない、というのが暗黙のルールだ。人間社会には人間社会の、吸血鬼社会には吸血鬼社会の定めた法があり、お互いの定めた条約と法律も勿論あるが、合意の伴わない吸血行為は両方共にご法度だ。完全な犯罪だと定めれているのである。
俺が心の広い人間でよかったな!じゃなきゃ今頃警察に突き出していたところだ。大体意味の分からない単語を出されても、俺が知ってる吸血鬼なんて、顔面が整っていて、裕福な家庭が多く、血を吸うことで体を保っているという認識だけだ。
「…華族だ」
「華族…族…?いや、ヤクザじゃねぇよ」
「違う。少し特殊な環境に育った子供の俗称のことを華族と呼ぶ」
「じゃあ関係ない。貧乏な一般人」
「…」
額を抑えながら面倒臭そうな顔をする。失礼すぎないかこいつ。知らないものは知らないのだ。華族なんて聞いたこともなければ、大学に通う男がそう簡単に花を愛でるような趣味を持っているわけが無い。ごくごく普通の苦学生である。
「……ならお前、ベジタリアンだったりするか」
「ベジタリアン?俺が?」
俺がベジタリアンに見えるか!?ベジタリアンというのは、確か菜食主義とかそんな意味であっただろうか。いや…まぁ確かに、食費を節約しているので、俺の食卓に肉が入ることは稀だ。肉はとくに高級品である。しかし大好物だ。アルバイト先のまかないに入ってる度に幸せになるほどに。
あ、そういえば巷でベジタリアンの血は吸血鬼に高く売れると聞いたことがあるな。残念ながら俺は血を提供する気は全くない。同級生たちは血の提供はいい小遣い稼ぎになると言うけれど、それならばボランティアで万年不足がちである人間のための献血に参加するタイプだ。
「俺、昨日まかないで肉食った」
「…ならば、食糧の規制は?もしくは、吸血鬼の献血を行うために食事制限が設けられたか?」
「はぁ?そんなのするわけねぇじゃん」
人間のための献血はボランティアだが、吸血鬼に渡す血は吸血鬼の政府が全て買取をしてくれる。そう簡単に毎日提供し続けられるものではないからである。
しかし、血液を提供するまでが面倒なのだ。というのも、採血をする3日前から、人間側には厳しく食事制限が設けられる。大体が肉やニンニク、キムチといった刺激の強いものを口に含まないことが条件だ。もちろん血の質によって値段は大きく変わる。一度につき安くて5千円。高くて3万円程度で買い取ってくれるらしいが、俺は吸血鬼に血をあげるために食事制限なんて面倒臭い。正気の沙汰ではない。
大体、野菜より肉の方が好きなのだ。健全な食欲旺盛の大学生だぞ。
「パクチーとかパセリとか青々しいのは無理」と呟いて、西院に苦い顔をするが、奴は全く話を聞いていないようであった。聞いといてこの仕打ち。
「なら、国からの要請で血液の検査とかしたことあるか、お前」
その言葉に、ふと頭の中で黄色い封筒でお国から届いた手紙が蘇った。高校に入学した頃に家に届いたのは覚えている。この国、日本では16歳から献血は認められているからだ。適正年齢になる年に、さながら年金の催促のように紙が届くのだと大人が呟いていた。
「あー…なんか、吸血鬼との適正見る?みたいなやつか…そういえば手紙きてたな」
「それだ」
「吸血鬼には血に好みがあって、人間と血がマッチしたら、人間側は血を提供する代わりに生涯遊んで暮らせるとかいうやつだろ?国民の9割以上がやったって聞いた」
実際のところ吸血鬼の好みに合った人物は、吸血鬼の人口の30%にも満たなかったと聞いたけれども。そういえば、適正に合った人間は今、悠々自適に遊び明かしていると聞いたことがある。
「俺はやってないけど…」
「何故」
「おじさんとおばさんがよく思わなかったから」
「一生遊べる可能性を捨てたのか」
「いや…俺もあの時は宝くじ感覚でやってみるかとも考えたけど、お前はする必要ないってさ」
俺は幼い時に両親を亡くしていて、遠い親戚のおじさんとおばさんの元で育てられた。おじさんとおばさんには、俺の存在はあまりよく思われていなくて、肩身の狭い思いをしたものだ。そんな2人はまだ吸血鬼と人間の間にある差別が濃い時代に生まれた世代の人間で、吸血鬼のことをあまり良く思っていなかったので、自分から強く受けるとも言えなかったのである。
「お前たちには利益しかないだろう」
「なにムカついてんのか知らねぇけど、ムカつくのはこっちだっつの」
「こっちは今か今かと待っているのにか」
「はぁ?そんなの言われても番制度?とかいうのに差程興味ねぇもん」
そういう上からの態度のせいで、人間と吸血鬼の間に血が流れたんだろうなと考える。吸血鬼というのは元来生物から血液を貰い、命を繋いでいる種族だ。吸血対象の生物の中でも、人間の血液の栄養価は非常に高いらしく、一昔前は吸血鬼の家畜だったという闇の歴史がある。これは皆が知る事実の歴史だ。
抗うために、鬼に血をあげるなら自害するといった暴挙に出た人間達。そして途端に血の供給が受けられなくなった吸血鬼達は、お互いに年々人口を減らしていく。といっても人口が圧倒的に多く、繁殖力の高い人間と、今現在も繁殖力が低く、絶滅の危機に瀕している吸血鬼では、圧倒的に不利なのは吸血鬼側であったらしい。
そうしてお互いのために条約を結び、法律を定めた。人間側には血液の提供を求め、吸血鬼は対価を差し出すというものである。そんな吸血鬼の提案した対価、というものが金銭や知識を人間側に提供すると言った、持ちつ持たれつの関係というやつである。
元より吸血鬼は突出した才能を持っているから、代々裕福な家庭しか無いのもまた周知の事実である。また、吸血鬼はグルメだ。好みにうるさいらしい。
自身にも個々に好物の血液があるらしく、適性でマッチした「番」と呼ばれる血液を持った人間は、生涯その吸血鬼に重宝視され、時には深く寵愛されるのだという。その番を探すために、血の採血をしてみないかという手紙が、その黄色の封筒という話だ。
「はぁ…まじか……」
額に手を当てて、男は大きく息を吐く。やがて数秒考え込むように瞳を閉じた。
綺麗だなと、一番最初に浮かんだ言葉はそれだけである。その白い肌や整った鼻筋に、長い睫毛は生まれ持ったものだと安易に想像がついて正直羨ましい。吸血鬼ってのは顔面が整ってると有名だし、最近は吸血鬼だけのアイドルグループなんてのが出来て、世間を湧かせているのも知っているが、どうやら吸血鬼は美形というのは紛れもない真実のようである。この目の前の男は、そのアイドルグループよりも確実に数段はかっこいいけども、なんて。そういえば、男の腹の傷が気になる。先程から痛がる素振りも見せないし、もう大丈夫なんだろうかと、服の色が変わっている所を見ていると、急に声が掛けられた。
「……お前、俺の番だ」
正直、突然そんな爆弾発言が投下されでも、他のことに気を取られていて頭になんか全く単語は入らなかった。ただただその言われた言葉がぐわんぐわんと脳裏で響く。つがい。番?
「?」
「お前の血は、格別に美味かった。吸うのが止まらないほどに」
「…はぁ?そりゃよかったな」
「俺はそもそも、血液はさほど飲まなくても生きていける特別な体質をしている。そもそも生臭くて好ましいと思ったことがない」
「いや、説得力」
「聞け。お前の血は、腹の穴もすぐに塞がるほどの回復力と、ありえないほどの栄養価の高さ。何よりも美味い、とても」
「…えっと、何急に。血のこと語られても困るんだけど…」
「聞け」
「はい」
「以上のことを踏まえて、お前は俺の番だろう」
「つまり?」
「…俺の餌として来い。悪いようにはしない」
その言葉を言った途端、急に右手を取られたかと思えば、鍵で掠って怪我をしていたそこに形の良い唇が当てられる。血はもうとっくに止まって固まっているというのに、その上をぺろりと舐められて牙が当てられた。せっかく治ったそこにとんがった歯をくい込ませようとしている。その瞬間に俺の頭の中でプツリと何かが切れる音を感じた。
確かに、その牙が傷口を抉るのが怖いとか、襲い来る痛みに耐えなければならないとか、しないといけない行動は山ほどあったけれど、そんなことよりも、最後に言われた「餌」という言葉。その意味を正しくも理解した瞬間に、感情が一気に湧き出て沸騰する。こいつ、絶対に許さないからな。俺は力の限りで西院を押しのけた。俺は今度こそ綺麗にベッドの上から落下して、ドンッと派手な音を立てながら尻もちをつくが知ったことか。ふざけんな馬鹿野郎!
「やっぱり死ね!」
渾身の一撃で男のやたら整った顔を思い切り叩いて、俺は西院の首根っこをつかみ、ズルズルと廊下を引きずって西院を家から放り出した。狭い我が家に初めて感謝だ。
人間、本気でキレたらありえないほどの力を発揮出来るらしい。これが火事場の馬鹿力というやつかという、心からの驚き。
対する西院は、俺の急な行動に抵抗する気もないのか、驚いた顔でこちらを見ている。もう知ったことか。俺は親切だった!自分のベッドを差し出し、介抱して血まで提供してやったのに、奴から返ってきたのは感謝どころか、家畜になれという失礼なもので、しかも散々血を吸っといて、更にまた吸おうとするし。くそっ!許すわけが無い。俺は玄関に転がっていた奴の靴を投げつけて、最後もう一度「死ねっ!」と叫んで、玄関の扉を閉める。
絶対、何があっても許さない!
「はっ」
「っん…」
俺は西院が唇を離したその瞬間、繋がれていた指も一緒に解けて支えがなくなり、フラリと後ろに倒れ込んでしまった。ベッドの上。さらには西院の膝の上からの落下である。後頭部から真っ逆さまだ。やばいと思った時には、床に激突するその前に強く引っ張られて、床にはぶつかることはなかったけれど、西院の胸の中に倒れ込んだ。どちらにしても最悪だったわ。
「…」
「…」
「うまい」
「…」
「美味い、なぜだ…ありえない」
「なんでそこが驚愕なんだよ!」
離されてから数秒。最初に放った言葉はその三文字で、しかも心底驚いたというような、驚愕の表情で続けて発せられる言葉たちは、失礼を隠せていない。俺はムカつきが最高潮となる。こいつ最低だ!俺は勢いのまま手を振り上げて力のままに振り落とした。バチンと派手な音が部屋に響く。俺が西院の頬を叩いた音である。叩いたというよりは、力の入らない渾身の状態でだったので、弾いたに近いが。今の俺が出来る全力である。
「…?なんで叩いた?」
「くそ最低野郎!美味くてよかったな!血の味なんて知らねぇよ死ね!」
「なぜそこでキレる?」
「キレねぇ奴なんか居るか馬鹿!」
「うるさい。まずは話を聞け、人間が」
「お断りだわ!死ね!」
「聞け」
「死んどけ!さっさと出ていけ」
力の入らない手で必死に男を押しのけようとするが、相変わらず西院との力の差は圧倒的である。こちらだって嫌なものは嫌だ。せめてもの抵抗というように、思い切り髪を引っ張ってやった。しかし、西院はその手を簡単に振りほどいたかと思えば、威嚇する素振りで尖った牙を見せつけてこちらを睨む。
「聞かないとまた噛む。次は止められ無いかもしれない。気絶するまで吸うぞ」
「っ!」
こんなのは脅しだ。脅し以外の何ものでもない。怖くて、体がまたカタカタと震える。俺は唇を噛み締めた。悔しい。
「聞けばいいんだろっ」
わっと声を荒らげて叫ぶと同時に、目尻に溜まり始めていた涙が一気に溢れた。タガが外れたみたいに一つ二つと頬を伝う。無駄だ。何を言ってもきっと何も通じない。こっちの話なんて聞こうともしない。
「…早く言えよ馬鹿野郎っ」
ボロボロと目頭から涙が落ちる。大粒のそれは先程までのものとは違って、怒りやら悲しみやらが大量に混ざったものだ。ムカつく。怖かった。痛かった。気持ちよかった。ムカつく!ムカつく!
「なぜ泣く?情緒不安定すぎないかお前…」
「おまえのせいだろぉ!」
袖口でゴシゴシと擦っても、永遠に涙が流れ続ける。止まらなくて、ひっくひっくとしゃっくりが出る。鼻もズルズルだ。西院はこの姿を見て、ぽかんと見つめてくるだけである。泣く姿が汚くて触りたくねぇってか!最低だ。何がしたいんだ本当に。もう訳が分からなくてまた涙が零れた。こんなのはもう勘弁だ。怖い。
「おまえなんて嫌いだぁ~~!」
「わかった、わかったから落ち着け」
一際大きい声で拒絶すれば、ハッと我に返ったのであろう西院が背中をぽんぽんと叩いてきた。先程までとは打って変わって、優しいその手に困惑する。本当に話を聞いてくれるつもりなのだろうか。
しばらくして、やっと涙としゃっくりが収まり始めた頃に、顔色を伺うように恐る恐る西院が呟いた。
「…お前は、いやだった、のか?本当に?」
「何度も言っただろ!」
何度も何度も嫌だと言ったはずだ。なのに西院の顔を見て分かった。全然、これっぽっちも本気だと思われていなかったらしい。信じらんねぇ。理解不能である。人間とか吸血鬼とか、もうそんなの関係ない気がする。こいつの人間性…?吸血鬼性の問題だ。
「今まで一度も本気で嫌がられたことがない」
「今までの奴と一緒にすんな!最悪だ、ほんとに最悪。まずは謝れよ!」
「…すまなかった?」
「なんで疑問形なんだよ!誠意が伝わんねぇんだよ」
「…なぜ怒るのかが理解出来ない」
「死ね変態!最低だ死ねっ!」
叫びながら、先程噛まれた場所を左手で抑える。正直そこがどうなっているのか怖くて仕方がなかったが、ジンジンと熱を持つ左側の首筋を撫でると、不思議とその場所に傷跡は見当たらない。
教科書に書かれていたが、噛まれたところは吸血鬼の唾液によって歯が外れると瞬時に塞がると記載されていた。それはどうやら事実のようで、血が出ている様子もなかった。マジかよ。
「傷は残そうという意志を持たなければまず残らない」
「心の傷が残ってんだよ」
「俺が美味いと言っているのにか」
「嬉しいわけあるか!嫌がってる相手にこんなやり方は駄目だろ」
「?気持ちよかっただろう」
「半分は痛いっつの!」
「……痛い?」
「皮膚に穴空いてんだよ。痛くねぇ訳ないだろ」
「いや、今までは…」
「今までと違うんだよ!初めてで押さえつけられてこんなのされたら、普通の女の子ならトラウマもんだっての」
「初めて?」
「そうホイホイ吸血鬼様に血をあげることがあってたまるか」
「……?お前…」
「なんだよ」
その後も首筋を抑えながら抗議の言葉を並べるが、目の前の男は呆然とこちらを見つめるだけで何も言い返しては来ない。
気になるのは疑念の目がこちらを見つめている事実だけだ。いや、まさかこんな奴が?と失礼なことをブツブツと独り言をつぶやいている。
「……聞け、重要なことだ。これからのお前の人生に関わる。お前は華族(はなぞく)の人間か?」
睨むように見ていた西院が呟いた言葉は、謎の単語だらけだった。俺は思わず繰り返し呟く。
「…はなぞく?」
聞いたことも無いその単語に疑問を浮べる。
質問や聞きたいことが山ほどあるのはこちらの方である。噛み付かれた挙句に血を吸われて散々だ。偏見は薄れつつあるとは言え、吸血鬼と人間は未だに水面下では完全に別個体としての認識で生きている。
一部を除いて互いに深く干渉はしない、というのが暗黙のルールだ。人間社会には人間社会の、吸血鬼社会には吸血鬼社会の定めた法があり、お互いの定めた条約と法律も勿論あるが、合意の伴わない吸血行為は両方共にご法度だ。完全な犯罪だと定めれているのである。
俺が心の広い人間でよかったな!じゃなきゃ今頃警察に突き出していたところだ。大体意味の分からない単語を出されても、俺が知ってる吸血鬼なんて、顔面が整っていて、裕福な家庭が多く、血を吸うことで体を保っているという認識だけだ。
「…華族だ」
「華族…族…?いや、ヤクザじゃねぇよ」
「違う。少し特殊な環境に育った子供の俗称のことを華族と呼ぶ」
「じゃあ関係ない。貧乏な一般人」
「…」
額を抑えながら面倒臭そうな顔をする。失礼すぎないかこいつ。知らないものは知らないのだ。華族なんて聞いたこともなければ、大学に通う男がそう簡単に花を愛でるような趣味を持っているわけが無い。ごくごく普通の苦学生である。
「……ならお前、ベジタリアンだったりするか」
「ベジタリアン?俺が?」
俺がベジタリアンに見えるか!?ベジタリアンというのは、確か菜食主義とかそんな意味であっただろうか。いや…まぁ確かに、食費を節約しているので、俺の食卓に肉が入ることは稀だ。肉はとくに高級品である。しかし大好物だ。アルバイト先のまかないに入ってる度に幸せになるほどに。
あ、そういえば巷でベジタリアンの血は吸血鬼に高く売れると聞いたことがあるな。残念ながら俺は血を提供する気は全くない。同級生たちは血の提供はいい小遣い稼ぎになると言うけれど、それならばボランティアで万年不足がちである人間のための献血に参加するタイプだ。
「俺、昨日まかないで肉食った」
「…ならば、食糧の規制は?もしくは、吸血鬼の献血を行うために食事制限が設けられたか?」
「はぁ?そんなのするわけねぇじゃん」
人間のための献血はボランティアだが、吸血鬼に渡す血は吸血鬼の政府が全て買取をしてくれる。そう簡単に毎日提供し続けられるものではないからである。
しかし、血液を提供するまでが面倒なのだ。というのも、採血をする3日前から、人間側には厳しく食事制限が設けられる。大体が肉やニンニク、キムチといった刺激の強いものを口に含まないことが条件だ。もちろん血の質によって値段は大きく変わる。一度につき安くて5千円。高くて3万円程度で買い取ってくれるらしいが、俺は吸血鬼に血をあげるために食事制限なんて面倒臭い。正気の沙汰ではない。
大体、野菜より肉の方が好きなのだ。健全な食欲旺盛の大学生だぞ。
「パクチーとかパセリとか青々しいのは無理」と呟いて、西院に苦い顔をするが、奴は全く話を聞いていないようであった。聞いといてこの仕打ち。
「なら、国からの要請で血液の検査とかしたことあるか、お前」
その言葉に、ふと頭の中で黄色い封筒でお国から届いた手紙が蘇った。高校に入学した頃に家に届いたのは覚えている。この国、日本では16歳から献血は認められているからだ。適正年齢になる年に、さながら年金の催促のように紙が届くのだと大人が呟いていた。
「あー…なんか、吸血鬼との適正見る?みたいなやつか…そういえば手紙きてたな」
「それだ」
「吸血鬼には血に好みがあって、人間と血がマッチしたら、人間側は血を提供する代わりに生涯遊んで暮らせるとかいうやつだろ?国民の9割以上がやったって聞いた」
実際のところ吸血鬼の好みに合った人物は、吸血鬼の人口の30%にも満たなかったと聞いたけれども。そういえば、適正に合った人間は今、悠々自適に遊び明かしていると聞いたことがある。
「俺はやってないけど…」
「何故」
「おじさんとおばさんがよく思わなかったから」
「一生遊べる可能性を捨てたのか」
「いや…俺もあの時は宝くじ感覚でやってみるかとも考えたけど、お前はする必要ないってさ」
俺は幼い時に両親を亡くしていて、遠い親戚のおじさんとおばさんの元で育てられた。おじさんとおばさんには、俺の存在はあまりよく思われていなくて、肩身の狭い思いをしたものだ。そんな2人はまだ吸血鬼と人間の間にある差別が濃い時代に生まれた世代の人間で、吸血鬼のことをあまり良く思っていなかったので、自分から強く受けるとも言えなかったのである。
「お前たちには利益しかないだろう」
「なにムカついてんのか知らねぇけど、ムカつくのはこっちだっつの」
「こっちは今か今かと待っているのにか」
「はぁ?そんなの言われても番制度?とかいうのに差程興味ねぇもん」
そういう上からの態度のせいで、人間と吸血鬼の間に血が流れたんだろうなと考える。吸血鬼というのは元来生物から血液を貰い、命を繋いでいる種族だ。吸血対象の生物の中でも、人間の血液の栄養価は非常に高いらしく、一昔前は吸血鬼の家畜だったという闇の歴史がある。これは皆が知る事実の歴史だ。
抗うために、鬼に血をあげるなら自害するといった暴挙に出た人間達。そして途端に血の供給が受けられなくなった吸血鬼達は、お互いに年々人口を減らしていく。といっても人口が圧倒的に多く、繁殖力の高い人間と、今現在も繁殖力が低く、絶滅の危機に瀕している吸血鬼では、圧倒的に不利なのは吸血鬼側であったらしい。
そうしてお互いのために条約を結び、法律を定めた。人間側には血液の提供を求め、吸血鬼は対価を差し出すというものである。そんな吸血鬼の提案した対価、というものが金銭や知識を人間側に提供すると言った、持ちつ持たれつの関係というやつである。
元より吸血鬼は突出した才能を持っているから、代々裕福な家庭しか無いのもまた周知の事実である。また、吸血鬼はグルメだ。好みにうるさいらしい。
自身にも個々に好物の血液があるらしく、適性でマッチした「番」と呼ばれる血液を持った人間は、生涯その吸血鬼に重宝視され、時には深く寵愛されるのだという。その番を探すために、血の採血をしてみないかという手紙が、その黄色の封筒という話だ。
「はぁ…まじか……」
額に手を当てて、男は大きく息を吐く。やがて数秒考え込むように瞳を閉じた。
綺麗だなと、一番最初に浮かんだ言葉はそれだけである。その白い肌や整った鼻筋に、長い睫毛は生まれ持ったものだと安易に想像がついて正直羨ましい。吸血鬼ってのは顔面が整ってると有名だし、最近は吸血鬼だけのアイドルグループなんてのが出来て、世間を湧かせているのも知っているが、どうやら吸血鬼は美形というのは紛れもない真実のようである。この目の前の男は、そのアイドルグループよりも確実に数段はかっこいいけども、なんて。そういえば、男の腹の傷が気になる。先程から痛がる素振りも見せないし、もう大丈夫なんだろうかと、服の色が変わっている所を見ていると、急に声が掛けられた。
「……お前、俺の番だ」
正直、突然そんな爆弾発言が投下されでも、他のことに気を取られていて頭になんか全く単語は入らなかった。ただただその言われた言葉がぐわんぐわんと脳裏で響く。つがい。番?
「?」
「お前の血は、格別に美味かった。吸うのが止まらないほどに」
「…はぁ?そりゃよかったな」
「俺はそもそも、血液はさほど飲まなくても生きていける特別な体質をしている。そもそも生臭くて好ましいと思ったことがない」
「いや、説得力」
「聞け。お前の血は、腹の穴もすぐに塞がるほどの回復力と、ありえないほどの栄養価の高さ。何よりも美味い、とても」
「…えっと、何急に。血のこと語られても困るんだけど…」
「聞け」
「はい」
「以上のことを踏まえて、お前は俺の番だろう」
「つまり?」
「…俺の餌として来い。悪いようにはしない」
その言葉を言った途端、急に右手を取られたかと思えば、鍵で掠って怪我をしていたそこに形の良い唇が当てられる。血はもうとっくに止まって固まっているというのに、その上をぺろりと舐められて牙が当てられた。せっかく治ったそこにとんがった歯をくい込ませようとしている。その瞬間に俺の頭の中でプツリと何かが切れる音を感じた。
確かに、その牙が傷口を抉るのが怖いとか、襲い来る痛みに耐えなければならないとか、しないといけない行動は山ほどあったけれど、そんなことよりも、最後に言われた「餌」という言葉。その意味を正しくも理解した瞬間に、感情が一気に湧き出て沸騰する。こいつ、絶対に許さないからな。俺は力の限りで西院を押しのけた。俺は今度こそ綺麗にベッドの上から落下して、ドンッと派手な音を立てながら尻もちをつくが知ったことか。ふざけんな馬鹿野郎!
「やっぱり死ね!」
渾身の一撃で男のやたら整った顔を思い切り叩いて、俺は西院の首根っこをつかみ、ズルズルと廊下を引きずって西院を家から放り出した。狭い我が家に初めて感謝だ。
人間、本気でキレたらありえないほどの力を発揮出来るらしい。これが火事場の馬鹿力というやつかという、心からの驚き。
対する西院は、俺の急な行動に抵抗する気もないのか、驚いた顔でこちらを見ている。もう知ったことか。俺は親切だった!自分のベッドを差し出し、介抱して血まで提供してやったのに、奴から返ってきたのは感謝どころか、家畜になれという失礼なもので、しかも散々血を吸っといて、更にまた吸おうとするし。くそっ!許すわけが無い。俺は玄関に転がっていた奴の靴を投げつけて、最後もう一度「死ねっ!」と叫んで、玄関の扉を閉める。
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BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
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しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
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いつの間にか整えられていく環境。
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番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
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これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
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そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
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