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おじさん♡尽くされてます②
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相棒と俺は孤独な闘いを強いられていた。
リリィの戴冠は、この大陸の全ての人の希望である。
それは、分かっている。
痛いほど、よく知っている。
それでも、俺達は畏れ多くとも…それに刃向かっているのだ。
全ては、愛の為に。
当然の如く、我々は劣勢に置かれ、痛めつけられている。
連日を、理不尽な公務で振り回されては無理難題に費やしていた。
「この西欧の、α一族の統率に尽力せよ」
…これは途方もない任務だ。
それを上司たる我が叔母により、俺達は授けられたのだ。
否や、等は許されない。
以来、日々は困難を極め苦痛に満ちていた。
セバスティアンはその『威圧』の能力を発揮し、膨大な案件を打破し続けている。
そして俺はこの『推察』の能力で彼を援護しつつ、水面下で諜報に勤しむ。
…元より、無理難題なのだ。
それはもう、笑える程に成果は無い。
疲労困憊の果てに、叱責と非難を浴びる毎日だ。
だが、どれ程に報われずとも良い。
にべもなくあしらわれようとも、俺は誰かの思惑の通りに激昂などしない。
そも、気の短い俺だというのに!
それはあのセバスティアンに、心配をされる程だった。
余りにも大人しすぎる、と訝しんだ彼が無理を通して俺の元に駆けつけたのだから。
この男の、あの様な顔を拝めるとは…実に、光栄であった。
…これは自分でも、不思議なのだよ。
リリィ、君の柔らかな笑みを瞼の裏に浮かべれば…
俺は、大丈夫だ。
そう、思う。
君の為なら、自我をも殺せる。
これは、凄まじい様な感情の昂ぶりであった。
リリィの御為にと、身を焦がす叔母の気持ちが理解できる。
俺の愛する、ブレンダリー叔母上。
貴女を母と慕い、貴女も俺を息子同然に愛してくだすった。
どこまでも自国とその民に忠実で理性的な気高き貴婦人で居られる。
実に、その様な方が!
全てを投げ打ち、リリィへの純愛に生きる事を望まれましたね。
俺は、嬉しかった。
貴女と俺は叔母と甥であるが、実によく似た性質だと存じ上げていたが、真に絆を感じたものです。
だから、貴女がリリィの御為にと俺を罰する事は当然だ。
叔母上にはその資格がお有りだし、俺も納得尽くで受けて立つ。
しかし、彼女の権威を傘に着た上で小賢しい策略を巡らせる連中には辟易する。
滑稽な事に!
奴らめは、正夫であるセバスティアンと俺を妻の元に帰宅出来ぬようにと謀っているのだ。
それも、念入りな事に能力を酷使する事で精力を削ごうという思惑が窺える。
肝心な時に使い物にならぬ夫に、リリィが不満を募らせれば良いとでも下衆な浅知恵を捻らせたのだ。
全く、馬鹿馬鹿しい。
無知とは、悲しい物だと痛感する。
俺達が愛する妻を前に、男性を激らせない訳がない。
リリィを目の当たりにすれば、分かること。
全てが、一瞬で潤され、愛で満ち足り、力が漲るのだ。
貴様らは知らぬ。
全く、哀れな連中だった。
俺は、残酷な待遇に処されても少しも挫ける事は無い。
むしろ、優越感すら感じているのだ!
俺の妻は素晴らしい。
それは俺の信頼する、愛すべき男だけが真実に分かっていれば良い。
さて。
この扉の向こうに居る男は、相棒と俺の眼鏡に叶うだろうか。
期待はない。
ただ、今以上の失望を味わうのだけは…御免だった。
辛酸を舐める日々には随分と慣れた。
だがこの扉の向こうで、愛する妻が俺の知らぬ男と添い寝しているのだ。
せめて、君がとても幸せそうでなくてはならない。
みっともなく取り乱しそうな俺の隣には、いつも通りに不敵な相棒が居る。
全く、君が居て良かった。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
相棒と俺は孤独な闘いを強いられていた。
リリィの戴冠は、この大陸の全ての人の希望である。
それは、分かっている。
痛いほど、よく知っている。
それでも、俺達は畏れ多くとも…それに刃向かっているのだ。
全ては、愛の為に。
当然の如く、我々は劣勢に置かれ、痛めつけられている。
連日を、理不尽な公務で振り回されては無理難題に費やしていた。
「この西欧の、α一族の統率に尽力せよ」
…これは途方もない任務だ。
それを上司たる我が叔母により、俺達は授けられたのだ。
否や、等は許されない。
以来、日々は困難を極め苦痛に満ちていた。
セバスティアンはその『威圧』の能力を発揮し、膨大な案件を打破し続けている。
そして俺はこの『推察』の能力で彼を援護しつつ、水面下で諜報に勤しむ。
…元より、無理難題なのだ。
それはもう、笑える程に成果は無い。
疲労困憊の果てに、叱責と非難を浴びる毎日だ。
だが、どれ程に報われずとも良い。
にべもなくあしらわれようとも、俺は誰かの思惑の通りに激昂などしない。
そも、気の短い俺だというのに!
それはあのセバスティアンに、心配をされる程だった。
余りにも大人しすぎる、と訝しんだ彼が無理を通して俺の元に駆けつけたのだから。
この男の、あの様な顔を拝めるとは…実に、光栄であった。
…これは自分でも、不思議なのだよ。
リリィ、君の柔らかな笑みを瞼の裏に浮かべれば…
俺は、大丈夫だ。
そう、思う。
君の為なら、自我をも殺せる。
これは、凄まじい様な感情の昂ぶりであった。
リリィの御為にと、身を焦がす叔母の気持ちが理解できる。
俺の愛する、ブレンダリー叔母上。
貴女を母と慕い、貴女も俺を息子同然に愛してくだすった。
どこまでも自国とその民に忠実で理性的な気高き貴婦人で居られる。
実に、その様な方が!
全てを投げ打ち、リリィへの純愛に生きる事を望まれましたね。
俺は、嬉しかった。
貴女と俺は叔母と甥であるが、実によく似た性質だと存じ上げていたが、真に絆を感じたものです。
だから、貴女がリリィの御為にと俺を罰する事は当然だ。
叔母上にはその資格がお有りだし、俺も納得尽くで受けて立つ。
しかし、彼女の権威を傘に着た上で小賢しい策略を巡らせる連中には辟易する。
滑稽な事に!
奴らめは、正夫であるセバスティアンと俺を妻の元に帰宅出来ぬようにと謀っているのだ。
それも、念入りな事に能力を酷使する事で精力を削ごうという思惑が窺える。
肝心な時に使い物にならぬ夫に、リリィが不満を募らせれば良いとでも下衆な浅知恵を捻らせたのだ。
全く、馬鹿馬鹿しい。
無知とは、悲しい物だと痛感する。
俺達が愛する妻を前に、男性を激らせない訳がない。
リリィを目の当たりにすれば、分かること。
全てが、一瞬で潤され、愛で満ち足り、力が漲るのだ。
貴様らは知らぬ。
全く、哀れな連中だった。
俺は、残酷な待遇に処されても少しも挫ける事は無い。
むしろ、優越感すら感じているのだ!
俺の妻は素晴らしい。
それは俺の信頼する、愛すべき男だけが真実に分かっていれば良い。
さて。
この扉の向こうに居る男は、相棒と俺の眼鏡に叶うだろうか。
期待はない。
ただ、今以上の失望を味わうのだけは…御免だった。
辛酸を舐める日々には随分と慣れた。
だがこの扉の向こうで、愛する妻が俺の知らぬ男と添い寝しているのだ。
せめて、君がとても幸せそうでなくてはならない。
みっともなく取り乱しそうな俺の隣には、いつも通りに不敵な相棒が居る。
全く、君が居て良かった。
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