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おじさん♡尽くされてます①
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セス♡
夜更け過ぎの帰宅は最早、いつもの事だった。
近頃の私は、愛する人をいつも待たせてしまう。
眠る君を揺り起こして、性交を施さねばならぬ事は私自身にも辛い事だった。
ただでさえ妻は身重であり、眠気が差しやすい。
本来なら彼の体調に合わせて精食を摂るため、常に夫が側で控えて居るべきなのだ。
自身の不甲斐無さには、反吐が出る。
それでも、妻は至らぬ私を愛おしがってくれた。
いつしか夜のしじまに、暗く静まり返っていた君の屋敷に希望の光を灯してくれる様になったのだ。
私が屋敷の門を潜る頃には、いつも君の寝室の明かりが灯る。
妻は私の気配を感じると起き出して、お出迎えをしてくれるのだ。
どれ程に、私が嬉しかった事か!
君の『おかえりなさい』を聞く時が、私の至福である。
だが、今夜は違っていた。
私達が門を潜り、玄関扉の前に立っても…
あの寝室は暗いままだ。
私は、胸に込み上げる焦燥を打ち消す努力をする。
君は今、私でも相棒でも無い、知らぬ男の胸に抱かれて眠っているのだろう。
リリィが新しい夫を得た、という一報は速やかに告げられた。
相手は庭師の男だという。
実際は庭師で等ある筈も無いのだが、どうでもよい。
私の妻が、あの身体をひらいたのだ。
ついにその時が来た。
意外にも平静な自身に驚いている。
例えば、君の選んだ男が私の気に食わぬとも良い。
そんなふうに、訳もなく腑に落ちているのだった。
それ程に、君を愛している。
君の全てを、私は受け入れよう。
それに、この日はもっと早くに迎える予定だったのだ。
…許して欲しい。
私は君を寂しがらせてしまった。
本来なら、夫である我々が君に相応しい男を紹介しなくてはならなかったのだ。
言い訳はせぬ。
私は分かっていながら、君の愛を他の誰かに渡したくなかった。
ほんの一欠片も、嫌だったのだ。
何と身勝手な男であろうか。
リリィの夫として、まるで相応しく無い振舞いだ。
我ながら呆れ果てる。
だが、後悔は無い。
今、君を抱く男は、君を満足させただろうか。
それが、気がかりだ。
…正直に申せば、酷く狂おしい。
だが、君が幸せならばそれが良い。
この様な事を鬱々と考え巡らせつつ、君の優美な館を行く。
今までに無く、君の寝室が遠く感じ、向かう足取りも重い。
これまでは、はしたなくも走りだしたくなる程に、軽やかだったというのに。
そして辿り着いた妻の寝室の前に、私の分身とも言える男と、二人で立ちつくす。
扉を睨め付けながら、相棒が私に聞いた。
「セス、心の準備はいいか?」
どこか茶化すようだったが、彼の内心の憤りを感じる。
「ふん。何故、準備が必要なのだ」
夫が妻の寝室に入ろうというのだ、何の問題もない。
「…では、行こう」
彼は少し呆れた様子だった。
…決して口には出さぬ。
マクシミリアン。
今、君と共にこの扉を開く事が出来て、幸いだ。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
夜更け過ぎの帰宅は最早、いつもの事だった。
近頃の私は、愛する人をいつも待たせてしまう。
眠る君を揺り起こして、性交を施さねばならぬ事は私自身にも辛い事だった。
ただでさえ妻は身重であり、眠気が差しやすい。
本来なら彼の体調に合わせて精食を摂るため、常に夫が側で控えて居るべきなのだ。
自身の不甲斐無さには、反吐が出る。
それでも、妻は至らぬ私を愛おしがってくれた。
いつしか夜のしじまに、暗く静まり返っていた君の屋敷に希望の光を灯してくれる様になったのだ。
私が屋敷の門を潜る頃には、いつも君の寝室の明かりが灯る。
妻は私の気配を感じると起き出して、お出迎えをしてくれるのだ。
どれ程に、私が嬉しかった事か!
君の『おかえりなさい』を聞く時が、私の至福である。
だが、今夜は違っていた。
私達が門を潜り、玄関扉の前に立っても…
あの寝室は暗いままだ。
私は、胸に込み上げる焦燥を打ち消す努力をする。
君は今、私でも相棒でも無い、知らぬ男の胸に抱かれて眠っているのだろう。
リリィが新しい夫を得た、という一報は速やかに告げられた。
相手は庭師の男だという。
実際は庭師で等ある筈も無いのだが、どうでもよい。
私の妻が、あの身体をひらいたのだ。
ついにその時が来た。
意外にも平静な自身に驚いている。
例えば、君の選んだ男が私の気に食わぬとも良い。
そんなふうに、訳もなく腑に落ちているのだった。
それ程に、君を愛している。
君の全てを、私は受け入れよう。
それに、この日はもっと早くに迎える予定だったのだ。
…許して欲しい。
私は君を寂しがらせてしまった。
本来なら、夫である我々が君に相応しい男を紹介しなくてはならなかったのだ。
言い訳はせぬ。
私は分かっていながら、君の愛を他の誰かに渡したくなかった。
ほんの一欠片も、嫌だったのだ。
何と身勝手な男であろうか。
リリィの夫として、まるで相応しく無い振舞いだ。
我ながら呆れ果てる。
だが、後悔は無い。
今、君を抱く男は、君を満足させただろうか。
それが、気がかりだ。
…正直に申せば、酷く狂おしい。
だが、君が幸せならばそれが良い。
この様な事を鬱々と考え巡らせつつ、君の優美な館を行く。
今までに無く、君の寝室が遠く感じ、向かう足取りも重い。
これまでは、はしたなくも走りだしたくなる程に、軽やかだったというのに。
そして辿り着いた妻の寝室の前に、私の分身とも言える男と、二人で立ちつくす。
扉を睨め付けながら、相棒が私に聞いた。
「セス、心の準備はいいか?」
どこか茶化すようだったが、彼の内心の憤りを感じる。
「ふん。何故、準備が必要なのだ」
夫が妻の寝室に入ろうというのだ、何の問題もない。
「…では、行こう」
彼は少し呆れた様子だった。
…決して口には出さぬ。
マクシミリアン。
今、君と共にこの扉を開く事が出来て、幸いだ。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
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