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おじさん♡甘ったれました
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セス♡
「彼に、全てを話しましょう!」
論外だ。
アレクサンドールの失言を、そう却下するつもりであった。
そうするべきであった、と…
今頃に、心底に、悔いている。
弟の能力に安眠する妻を囲んでの作戦会議は、一旦は暗礁に乗り上げていた。
無知なる若輩者が、突拍子も無い意見を述べたからだ。
「話にならぬ。言語道断だ」
アレクサンドールは、血迷っている。
妻を面倒に巻き込むとは何事か!
有り得ない!
君は私が守ってみせる!
「しかし、我らにはリリィを御守りする術が無いではありませんか」
弟は目上への敬意に欠けている。
…しかし、一理ある。
「確かに。俺とアレックスがいかに協働しようとも完全とは言い難い」
相棒の言う通りだ。
…ではあるが、愛する妻を煩わせたく無い。
君にはいつも健やかにあって欲しいのだ。
それは…
私の誇りの問題でもある。
「つまらぬ意地を張り通す場面ではありません!」
貴様…!
「…アレクサンドール。さては、私の内心を読んだな」
「いえ!御顔を見たらわかる事です。兄上は分かりやす、うッ…」
言い終える前に、弟は吹っ飛んだ。
彼は背中を壁に激突させた後、派手に転倒して高く勇ましい鼻を強打する。
そして、その鼻から血を飛沫いた。
これはいわゆる、教育的な指導である。
口の聞き方を知らぬ事は、罪だ。
私のこの親切な行動を相棒は遠い目で見守っている。
「アレックス、寝具を汚すなよ。リリィが気にする」
彼はそんなふうに言って、鼻から血を垂らす弟にハンカチを放り投げてやった。
この私の威圧的な一撃に、弟はめげなかった。
「お怒りはごもっとも!しかし、腹を立てている時間も惜しゅうございます」
…ぬぅ。
弟め、懲りぬ男だ。
鼻に詰め物を施しての必死の抗弁だった。
それは何とのう、憐れを誘う姿でもあり…
マクシミリアンが絆された。
「…セスよ、花祭りの招待状が届いている」
ふん、あれはどう考えても召集状であろう。
「来月にはどうあっても参内せねばならぬという事だ。しかし、その備えは果たして盤石であろうか…」
「その為の算段はついたであろう!」
相棒よ、絆されるにも程がある!
「もう、決まった事だ。変更は無い」
我ら、協働戦線を張って臨むのだ。
それが最善の策である。
他に方法は、無い。
「いいえ!ございます」
…アレクサンドール。
確実に、読んだな。
なんと忌々しい能力であろう!
「恐れながら申し上げます。やはり、ご本人に、しかとお気をつけて頂くべきなのです!」
…お前は、この可愛い人に!
げに恐ろしき現実に立ち向かえ、と言うのか。
「ご自身の身の危うさを知らされぬままに、渦中の人となるなどッ…」
このすやすやと夢に憩う優しい君に、戦さ場に立て、と言うのか!
「アレクサンドール、黙れ」
…私は、この人には無垢のままであって欲しいのだ!
「それこそが不幸です!」
不幸、だと?
「セス、俺も同感だ」
マクシミリアン、お前もか。
…畜生め。
私は、知らぬ事の不仕合わせを妻に強いていたと言うのか…
唯一無二の愛妻を、真実に思い遣ってはおらなんだと言うのか…
私の自尊心は打ち拉がれ、血を飛沫いた。
そして、私は絆されたのである。
結局の所、何もかも全てを君に晒す羽目になった。
しかも妻である君が…
なんと!
此度の厳戒なる作戦の、主導権を握ろうというのだ。
この様な現実を受け入れる事は難解だ。
これまでの自分のままでは到底、受け入れられ無い!
私は新しい自尊心を構築せねばならぬだろう。
何という事だ。
私は変化を求められている!
妻の愛し方を改め、自身の人格を変えろと迫られているのだ。
耐え難い屈辱だ。
私は変化を好まぬ。
…大嫌いである。
しかし、やるしか無い。
愛の為に…
その私の愛はといえば、酷く複雑怪奇となってしまっている。
リリィを愛するのは容易い事だ。
しかし視作生を愛するのは…
私には挑戦である。
『おじさん』の愛し方を私は知らぬ。
そんな君を幸せにする仕方が分からぬ。
…私は、困惑している。
だがしかし、そんな事はものともせず…
夕陽が射し込む妻の寝室で、長い茶会はまだ続いていた。
「だからね、みんなで一つの事をやり遂げるには連携が大事だって話しだよ」
ホウレンソウ、の解釈をサクサクと説く君は今までになく元気だ。
「なるほど!勉強になります」
アレクサンドールのやたらと良い返事に、視作生は満面の笑みを浮かべる。
「アレックス♡可愛い」
たまらない、という風に君は隣に立つ弟を引き寄せた。
そしてコツンと、額と額を合わせる。
それから双方、こそばゆいような顔をして小鳥が啄む様な口づけを交わした。
…面白く、ない。
「視作生、では早速に私から報告しよう」
よりによって!
相棒がこの甘ったれた流れに、早速と身を委ねた。
「うん!して♡何、なぁに?」
彼は花祭りの招待状を視作生の膝の上に置いた。
それからついでとばかりに、妻の柔らかな膝頭をくすぐる。
「マックス、やだ♡」
ちょっとした悪戯にも敏感にムズがる妻は、仕返しに夫の耳朶にカブりついた。
何だ、それは。
何が面白い!
憮然とした私を他所に、ひとしきり戯れ合ってからマクシミリアンは報告した。
「クラウディア様から君に。宴への誘ないだ」
その、煉獄へと誘なう恐怖の手紙は美しい。
我が一族の紋章で封蝋がなされた封筒の中には、百合の花の透かしが入った文がきっちりと畳まれて入っている。
それには母上の華麗なる手筋で文章が綴られているのだ。
恋焦がれる君への、熱烈なる誘いの文句が…
「綺麗だね♡」
君は、実に無邪気に喜んでいる。
…やはり妻にはこの緊迫した状況が今ひとつ理解出来ていないようだ。
「…うん、いや~、ゾクゾクするね!」
君は不吉な予感がしたかの様に、身を震わせた。
「内容はわからないけど。なんか、こう…リリィちゃんへの夢と希望に溢れているよね」
視作生は我が国の言語を理解していない。
君はこの手紙の可憐すぎる出来栄えに、淑女方の望みを窺い見たのだろう。
「僕が女性の皆さんの希望通りのリリィちゃんじゃ無い場合…かなりガッカリしそうだね」
そうなのだ。
それが問題なのだ!
彼女達はそのお好みが明確であられる。
それについて、絶対に変化を許さぬ。
「でも…十中八九、ご希望には添えそうに無いなぁ。僕はしっかり実の詰まった人間だからね」
そうなのだ。
彼女達は、空の器をご所望だ。
「空っぽのフリをしたって、後が無い。何とか誤魔化したって、しょうがない。じゃあどうするか、だよねぇ」
そうなのだ。
どう仕様も無い…
やはりここきて、行き詰まった。
その先は無い。
私には想像もつか無い。
しかし、ここからが視作生の本領であった。
「僕はね、『僕入りのリリィちゃん』でもいいよって言ってもらいたい、と思ってる」
視作生ときたら!
まるで甘い菓子パンにジャムやクリームを詰め込むときの様な気軽さで、そんな事を言う。
「歴代のリリィちゃんは可哀想だ、と僕は思う」
それは、解らぬ。
彼らは無感情な種族だと見做されているのだから。
ただ、私は君が『リリィ』になる事は不幸だと思う。
だが、歴代のリリィと君は違う。
これは一概には言えぬ事だ。
しかし君は過去の『リリィ』も自分と同じ様にその定めを厭っていたと思っている。
「この国にリリィちゃんが居なくなったのって、そういう事じゃないかな?」
「リリィちゃんの為にも、僕は頑張る。上手くやるよ!」
そして同情した上に、自力で救おうとしている。
大人しく、守られる所の話ではない。
自ら救出作戦に乗り出すつもりだ。
妻は可憐な癖に勇ましいのだった。
実に厄介で、想定外だ。
『おじさん』とは、こうも男気があるのか!
視作生はとにかく、逞しい。
…私は、また見損なってしまっていた、らしい。
ふてぶてしき、我が妻が言うには…
私は意固地で思い込みが激しい、らしい。
だから、君の他の夫の様には甘んじられぬ。
だから、仲睦まじく戯れ合う連中を横目に私は一人取り残されている。
胸が塞ぐ。
鉛を飲み込んだ様だ。
この何とも気色の悪い感情は何だ。
…まさか、嫉妬か?
だとしたら、最悪だ!
αの貴公子たる者が、何という体たらく!
これが、恥を掻くという事か。
これは、万死に値する。
これを、私は二度と致さぬ。
しかしこの私が人を羨む等とは、斬新だ。
視作生。
君という人は、よくも私をこの様な羞恥の沙汰に陥れてくれたものだ。
やはり、止めだ。
私が自我を再構築するなど、あり得ない。
心機一転の必要は無い。
全く、馬鹿ばかしい。
私ともあろう者が!
血迷ったものよ。
君に甘える事などはせぬ。
どの道、私にはそんな事は出来ぬ。
この私が、その様な、無様な真似をするものか!
私は、セバスティアンである。
君が、視作生であるように。
ふむ。
なんとも清々とした。
くだらぬ逡巡も無駄ではなかったか。
「視作生、報告がある」
辛酸を舐めさせてくれて、ありがとう。
君には、私がいかに執念深い男かを報せねばなるまい。
「セス?…え、君が?、、…わぁ、…そっか、うん♡嬉しいなぁ♡」
君は甘ったれだ。
「今すぐに、君が欲しい」
しかし、私は甘いものが苦手なのだ。
「…へ?」
君は間の抜けた、可愛い顔をした。
「今すぐに、君を抱く」
『連絡』は簡潔に済ませよう。
そして『相談』は、せぬ。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
「彼に、全てを話しましょう!」
論外だ。
アレクサンドールの失言を、そう却下するつもりであった。
そうするべきであった、と…
今頃に、心底に、悔いている。
弟の能力に安眠する妻を囲んでの作戦会議は、一旦は暗礁に乗り上げていた。
無知なる若輩者が、突拍子も無い意見を述べたからだ。
「話にならぬ。言語道断だ」
アレクサンドールは、血迷っている。
妻を面倒に巻き込むとは何事か!
有り得ない!
君は私が守ってみせる!
「しかし、我らにはリリィを御守りする術が無いではありませんか」
弟は目上への敬意に欠けている。
…しかし、一理ある。
「確かに。俺とアレックスがいかに協働しようとも完全とは言い難い」
相棒の言う通りだ。
…ではあるが、愛する妻を煩わせたく無い。
君にはいつも健やかにあって欲しいのだ。
それは…
私の誇りの問題でもある。
「つまらぬ意地を張り通す場面ではありません!」
貴様…!
「…アレクサンドール。さては、私の内心を読んだな」
「いえ!御顔を見たらわかる事です。兄上は分かりやす、うッ…」
言い終える前に、弟は吹っ飛んだ。
彼は背中を壁に激突させた後、派手に転倒して高く勇ましい鼻を強打する。
そして、その鼻から血を飛沫いた。
これはいわゆる、教育的な指導である。
口の聞き方を知らぬ事は、罪だ。
私のこの親切な行動を相棒は遠い目で見守っている。
「アレックス、寝具を汚すなよ。リリィが気にする」
彼はそんなふうに言って、鼻から血を垂らす弟にハンカチを放り投げてやった。
この私の威圧的な一撃に、弟はめげなかった。
「お怒りはごもっとも!しかし、腹を立てている時間も惜しゅうございます」
…ぬぅ。
弟め、懲りぬ男だ。
鼻に詰め物を施しての必死の抗弁だった。
それは何とのう、憐れを誘う姿でもあり…
マクシミリアンが絆された。
「…セスよ、花祭りの招待状が届いている」
ふん、あれはどう考えても召集状であろう。
「来月にはどうあっても参内せねばならぬという事だ。しかし、その備えは果たして盤石であろうか…」
「その為の算段はついたであろう!」
相棒よ、絆されるにも程がある!
「もう、決まった事だ。変更は無い」
我ら、協働戦線を張って臨むのだ。
それが最善の策である。
他に方法は、無い。
「いいえ!ございます」
…アレクサンドール。
確実に、読んだな。
なんと忌々しい能力であろう!
「恐れながら申し上げます。やはり、ご本人に、しかとお気をつけて頂くべきなのです!」
…お前は、この可愛い人に!
げに恐ろしき現実に立ち向かえ、と言うのか。
「ご自身の身の危うさを知らされぬままに、渦中の人となるなどッ…」
このすやすやと夢に憩う優しい君に、戦さ場に立て、と言うのか!
「アレクサンドール、黙れ」
…私は、この人には無垢のままであって欲しいのだ!
「それこそが不幸です!」
不幸、だと?
「セス、俺も同感だ」
マクシミリアン、お前もか。
…畜生め。
私は、知らぬ事の不仕合わせを妻に強いていたと言うのか…
唯一無二の愛妻を、真実に思い遣ってはおらなんだと言うのか…
私の自尊心は打ち拉がれ、血を飛沫いた。
そして、私は絆されたのである。
結局の所、何もかも全てを君に晒す羽目になった。
しかも妻である君が…
なんと!
此度の厳戒なる作戦の、主導権を握ろうというのだ。
この様な現実を受け入れる事は難解だ。
これまでの自分のままでは到底、受け入れられ無い!
私は新しい自尊心を構築せねばならぬだろう。
何という事だ。
私は変化を求められている!
妻の愛し方を改め、自身の人格を変えろと迫られているのだ。
耐え難い屈辱だ。
私は変化を好まぬ。
…大嫌いである。
しかし、やるしか無い。
愛の為に…
その私の愛はといえば、酷く複雑怪奇となってしまっている。
リリィを愛するのは容易い事だ。
しかし視作生を愛するのは…
私には挑戦である。
『おじさん』の愛し方を私は知らぬ。
そんな君を幸せにする仕方が分からぬ。
…私は、困惑している。
だがしかし、そんな事はものともせず…
夕陽が射し込む妻の寝室で、長い茶会はまだ続いていた。
「だからね、みんなで一つの事をやり遂げるには連携が大事だって話しだよ」
ホウレンソウ、の解釈をサクサクと説く君は今までになく元気だ。
「なるほど!勉強になります」
アレクサンドールのやたらと良い返事に、視作生は満面の笑みを浮かべる。
「アレックス♡可愛い」
たまらない、という風に君は隣に立つ弟を引き寄せた。
そしてコツンと、額と額を合わせる。
それから双方、こそばゆいような顔をして小鳥が啄む様な口づけを交わした。
…面白く、ない。
「視作生、では早速に私から報告しよう」
よりによって!
相棒がこの甘ったれた流れに、早速と身を委ねた。
「うん!して♡何、なぁに?」
彼は花祭りの招待状を視作生の膝の上に置いた。
それからついでとばかりに、妻の柔らかな膝頭をくすぐる。
「マックス、やだ♡」
ちょっとした悪戯にも敏感にムズがる妻は、仕返しに夫の耳朶にカブりついた。
何だ、それは。
何が面白い!
憮然とした私を他所に、ひとしきり戯れ合ってからマクシミリアンは報告した。
「クラウディア様から君に。宴への誘ないだ」
その、煉獄へと誘なう恐怖の手紙は美しい。
我が一族の紋章で封蝋がなされた封筒の中には、百合の花の透かしが入った文がきっちりと畳まれて入っている。
それには母上の華麗なる手筋で文章が綴られているのだ。
恋焦がれる君への、熱烈なる誘いの文句が…
「綺麗だね♡」
君は、実に無邪気に喜んでいる。
…やはり妻にはこの緊迫した状況が今ひとつ理解出来ていないようだ。
「…うん、いや~、ゾクゾクするね!」
君は不吉な予感がしたかの様に、身を震わせた。
「内容はわからないけど。なんか、こう…リリィちゃんへの夢と希望に溢れているよね」
視作生は我が国の言語を理解していない。
君はこの手紙の可憐すぎる出来栄えに、淑女方の望みを窺い見たのだろう。
「僕が女性の皆さんの希望通りのリリィちゃんじゃ無い場合…かなりガッカリしそうだね」
そうなのだ。
それが問題なのだ!
彼女達はそのお好みが明確であられる。
それについて、絶対に変化を許さぬ。
「でも…十中八九、ご希望には添えそうに無いなぁ。僕はしっかり実の詰まった人間だからね」
そうなのだ。
彼女達は、空の器をご所望だ。
「空っぽのフリをしたって、後が無い。何とか誤魔化したって、しょうがない。じゃあどうするか、だよねぇ」
そうなのだ。
どう仕様も無い…
やはりここきて、行き詰まった。
その先は無い。
私には想像もつか無い。
しかし、ここからが視作生の本領であった。
「僕はね、『僕入りのリリィちゃん』でもいいよって言ってもらいたい、と思ってる」
視作生ときたら!
まるで甘い菓子パンにジャムやクリームを詰め込むときの様な気軽さで、そんな事を言う。
「歴代のリリィちゃんは可哀想だ、と僕は思う」
それは、解らぬ。
彼らは無感情な種族だと見做されているのだから。
ただ、私は君が『リリィ』になる事は不幸だと思う。
だが、歴代のリリィと君は違う。
これは一概には言えぬ事だ。
しかし君は過去の『リリィ』も自分と同じ様にその定めを厭っていたと思っている。
「この国にリリィちゃんが居なくなったのって、そういう事じゃないかな?」
「リリィちゃんの為にも、僕は頑張る。上手くやるよ!」
そして同情した上に、自力で救おうとしている。
大人しく、守られる所の話ではない。
自ら救出作戦に乗り出すつもりだ。
妻は可憐な癖に勇ましいのだった。
実に厄介で、想定外だ。
『おじさん』とは、こうも男気があるのか!
視作生はとにかく、逞しい。
…私は、また見損なってしまっていた、らしい。
ふてぶてしき、我が妻が言うには…
私は意固地で思い込みが激しい、らしい。
だから、君の他の夫の様には甘んじられぬ。
だから、仲睦まじく戯れ合う連中を横目に私は一人取り残されている。
胸が塞ぐ。
鉛を飲み込んだ様だ。
この何とも気色の悪い感情は何だ。
…まさか、嫉妬か?
だとしたら、最悪だ!
αの貴公子たる者が、何という体たらく!
これが、恥を掻くという事か。
これは、万死に値する。
これを、私は二度と致さぬ。
しかしこの私が人を羨む等とは、斬新だ。
視作生。
君という人は、よくも私をこの様な羞恥の沙汰に陥れてくれたものだ。
やはり、止めだ。
私が自我を再構築するなど、あり得ない。
心機一転の必要は無い。
全く、馬鹿ばかしい。
私ともあろう者が!
血迷ったものよ。
君に甘える事などはせぬ。
どの道、私にはそんな事は出来ぬ。
この私が、その様な、無様な真似をするものか!
私は、セバスティアンである。
君が、視作生であるように。
ふむ。
なんとも清々とした。
くだらぬ逡巡も無駄ではなかったか。
「視作生、報告がある」
辛酸を舐めさせてくれて、ありがとう。
君には、私がいかに執念深い男かを報せねばなるまい。
「セス?…え、君が?、、…わぁ、…そっか、うん♡嬉しいなぁ♡」
君は甘ったれだ。
「今すぐに、君が欲しい」
しかし、私は甘いものが苦手なのだ。
「…へ?」
君は間の抜けた、可愛い顔をした。
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