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おじさん♡度肝を抜きます②
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クラウディア♡
今生のリリィは、格別であられます。
私はあなたに、夢中なのです!
ただ一度しか御目見えが叶ってはおりませんが、それでも充分な程に♡
…全く、酷い浮かれ様じゃ。
…全く、妾ともあろう者が!
まあ、良い♡
くるしゅう無い♡
全く!
この様な日が来るとは思うておらなんだのだから。
「Ωを得た」
その様に、我が息子セバスティアンの大手柄を報された時…
妾は全く、信じませんでした。
あの子の気がふれたのだと、ただ失望を致した。
彼は見果てぬ夢を追いかけて、彼の国に渡って行った。
その身と引き換えに、賭けたのです。
それは妾の理解を超える事だ。
セバスティアンこそは、唯一にまともに生まれた我が子でした。
あの子に、全てを託す心算でしたの。
それしか術は無い。
彼は最初で最後の私の子供であり、あれ程のαは我が一族には他に無い。
その子が!
その責務を放棄し、α種族の誇りを蔑ろにした。
Ωは見つからぬ。
それが、当然です。
妾は自国の滅亡を悟り、絶望した。
…しかし、妾は間違えていた。
妾こそが、α種族の誇りを見損なっておりました。
セバスティアンは奇跡を起こした!
我らに真の平和を取り戻してくれた!
そして『リリィ』が、現し身のお姿をとってここに居る。
リリィのお家に、あなたが居る。
…夢の様だ。
私は今日という日に、敢えて馬を駆る事にしました。
あなたを我がお城にお招きし、あなたを御祝いする為に、あなたのお家にお迎えに来た。
花祭りが始まる!
あなたのための祝事でございます。
先代の薄倖だったリリィと同じ様に、お出迎えがしたい。
どうしても再現したかったのだ、あの日を…
沿道には、歓喜する市民が妾を送り出してくれている。
ああ、皆の者!
有難う。
その励ましが妾を鼓舞する。
はい、今度こそは我らが女王を御守りいたす。
必ずや、命に替えて!
ええ、妾は官女では終わらぬ。
必ずや、侍女に成り上がる!
憧れに、憧れ…
恋焦がれし、私のΩ女王♡
必ずや、戴いてみせる!
この披露目の行進は妾の決意表明だ。
沿道でお人形を抱える少女達の、熱い視線を感じる。
ああ、同じです♡
妾も其方らと同じ、恋する少女であった。
憧憬の念も深い懐かしき、あの頃…
妾の愛おしき幸福なる記憶の中の、私…
幼女クラウディア嬢が手持ちの『リリィ』はいつだって評判でした。
お手製で丹精のドレスを着せ掛けて…
折々にお城に参内すれば、どなた様も一様に褒め称えて下すった。
私のお人形はどのお嬢様のお人形より、素敵だわ♡
その様に、幼心を誇りでいっぱいに満たしておりましたわね。
私は貴族の子女です。
だから、リリィを垣間見る事が出来た。
だからこそ、より真に迫ってリリィを再現する事が出来たの。
これは市井の娘には叶わぬ事で、私は幸運でした。
当時のリリィは、領地の奥深くに隠されていた。
五人の選ばれし官女がその御守りをなさっておいでだった。
ああ、憧れのお姉様方!
リリィがΩ女王を名乗る時、彼女らはリリィの侍女に成り上がる。
まるで雲の上の方々で、普段は人前にそのお姿を現す事などは有り得ぬ。
けれど、年に一度だけ下界に御渡りになった。
それこそが花祭りでした。
その際に限っては、お城にお招きしていたのです♡
花祭りはリリィの生誕日に催されるお祝いの行事でした。
西欧の国々はその日を祝日として、皆で盛大に御祝いしたものだ。
リリィはリリィのお家から、お迎えの馬車に乗っておいでになる。
そしてお城に着けば、内門から玄関までの僅か数尺を歩くのだ。
百合の花でなした花道を、リリィは行く。
私は、その間を花道の脇に立って花びらを振りまきつつお出迎えした。
そしてその度に、胸に刻みつけておりましたの!
それはほんに数少ない事でしたから、必死です。
リリィはお人形と同じでした。
いつも共にある私のお人形と一緒で、完璧でした♡
ああ、御髪のお色が全くと一緒ね♡
瞳の御色も、先日にサファイアからアクアマリンに替えて良かった!
どこもかしこも、これで一緒!
そんなふうに、私は大変に満足していましたね。
ただ、ひとりでに歩いているのが私のリリィとは違っていて、感動しました。
それが、『リリィ』だ。
私が、皆が知る、『リリィ』である。
…私が知る先代のリリィは今生のリリィとは違うのです。
なにせ、初めて御目見えした時のあなたは…
お人形では、無かった。
妾は度肝を抜かれましたの!
あなたは完璧なまでにΩで座す。
なのに、何という事でしょう。
お人形が動いた♡
お人形が喋った♡
お人形が笑った♡
『リリィ』は魂を持たぬ、器で在るものです。
少なくとも、西欧の『リリィ』は皆そうでした。
妾が知る、現し身の…
あの、リリィもそうでした。
妾が未だ少女であった頃の事です。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
今生のリリィは、格別であられます。
私はあなたに、夢中なのです!
ただ一度しか御目見えが叶ってはおりませんが、それでも充分な程に♡
…全く、酷い浮かれ様じゃ。
…全く、妾ともあろう者が!
まあ、良い♡
くるしゅう無い♡
全く!
この様な日が来るとは思うておらなんだのだから。
「Ωを得た」
その様に、我が息子セバスティアンの大手柄を報された時…
妾は全く、信じませんでした。
あの子の気がふれたのだと、ただ失望を致した。
彼は見果てぬ夢を追いかけて、彼の国に渡って行った。
その身と引き換えに、賭けたのです。
それは妾の理解を超える事だ。
セバスティアンこそは、唯一にまともに生まれた我が子でした。
あの子に、全てを託す心算でしたの。
それしか術は無い。
彼は最初で最後の私の子供であり、あれ程のαは我が一族には他に無い。
その子が!
その責務を放棄し、α種族の誇りを蔑ろにした。
Ωは見つからぬ。
それが、当然です。
妾は自国の滅亡を悟り、絶望した。
…しかし、妾は間違えていた。
妾こそが、α種族の誇りを見損なっておりました。
セバスティアンは奇跡を起こした!
我らに真の平和を取り戻してくれた!
そして『リリィ』が、現し身のお姿をとってここに居る。
リリィのお家に、あなたが居る。
…夢の様だ。
私は今日という日に、敢えて馬を駆る事にしました。
あなたを我がお城にお招きし、あなたを御祝いする為に、あなたのお家にお迎えに来た。
花祭りが始まる!
あなたのための祝事でございます。
先代の薄倖だったリリィと同じ様に、お出迎えがしたい。
どうしても再現したかったのだ、あの日を…
沿道には、歓喜する市民が妾を送り出してくれている。
ああ、皆の者!
有難う。
その励ましが妾を鼓舞する。
はい、今度こそは我らが女王を御守りいたす。
必ずや、命に替えて!
ええ、妾は官女では終わらぬ。
必ずや、侍女に成り上がる!
憧れに、憧れ…
恋焦がれし、私のΩ女王♡
必ずや、戴いてみせる!
この披露目の行進は妾の決意表明だ。
沿道でお人形を抱える少女達の、熱い視線を感じる。
ああ、同じです♡
妾も其方らと同じ、恋する少女であった。
憧憬の念も深い懐かしき、あの頃…
妾の愛おしき幸福なる記憶の中の、私…
幼女クラウディア嬢が手持ちの『リリィ』はいつだって評判でした。
お手製で丹精のドレスを着せ掛けて…
折々にお城に参内すれば、どなた様も一様に褒め称えて下すった。
私のお人形はどのお嬢様のお人形より、素敵だわ♡
その様に、幼心を誇りでいっぱいに満たしておりましたわね。
私は貴族の子女です。
だから、リリィを垣間見る事が出来た。
だからこそ、より真に迫ってリリィを再現する事が出来たの。
これは市井の娘には叶わぬ事で、私は幸運でした。
当時のリリィは、領地の奥深くに隠されていた。
五人の選ばれし官女がその御守りをなさっておいでだった。
ああ、憧れのお姉様方!
リリィがΩ女王を名乗る時、彼女らはリリィの侍女に成り上がる。
まるで雲の上の方々で、普段は人前にそのお姿を現す事などは有り得ぬ。
けれど、年に一度だけ下界に御渡りになった。
それこそが花祭りでした。
その際に限っては、お城にお招きしていたのです♡
花祭りはリリィの生誕日に催されるお祝いの行事でした。
西欧の国々はその日を祝日として、皆で盛大に御祝いしたものだ。
リリィはリリィのお家から、お迎えの馬車に乗っておいでになる。
そしてお城に着けば、内門から玄関までの僅か数尺を歩くのだ。
百合の花でなした花道を、リリィは行く。
私は、その間を花道の脇に立って花びらを振りまきつつお出迎えした。
そしてその度に、胸に刻みつけておりましたの!
それはほんに数少ない事でしたから、必死です。
リリィはお人形と同じでした。
いつも共にある私のお人形と一緒で、完璧でした♡
ああ、御髪のお色が全くと一緒ね♡
瞳の御色も、先日にサファイアからアクアマリンに替えて良かった!
どこもかしこも、これで一緒!
そんなふうに、私は大変に満足していましたね。
ただ、ひとりでに歩いているのが私のリリィとは違っていて、感動しました。
それが、『リリィ』だ。
私が、皆が知る、『リリィ』である。
…私が知る先代のリリィは今生のリリィとは違うのです。
なにせ、初めて御目見えした時のあなたは…
お人形では、無かった。
妾は度肝を抜かれましたの!
あなたは完璧なまでにΩで座す。
なのに、何という事でしょう。
お人形が動いた♡
お人形が喋った♡
お人形が笑った♡
『リリィ』は魂を持たぬ、器で在るものです。
少なくとも、西欧の『リリィ』は皆そうでした。
妾が知る、現し身の…
あの、リリィもそうでした。
妾が未だ少女であった頃の事です。
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