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二教と関節
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放課後、武道場では合気道の稽古をしていた。
「襟取りから二教をやるね。襟掴んで」
沙織が香織の道着の襟を掴んだ。
「え。カツアゲ?」
「カツアゲされたらこの技使っていいから」
掴まれた襟の下を自ら掴み、沙織の顎へ下から突きを寸止めし、横へ一歩踏み出した。
と、同時に突いた腕で沙織の腕をしごいた。
「あ」
沙織の体勢がわずかに崩れた。
襟を掴んだ手を上から掴み沙織の方へ腰を切ると沙織の腕はねじられた。
沙織の肘を下から掴み、襟を掴んだ手を外すと二教の抑え技の体勢に入った。
肘を伸ばし手首を肩に向けて曲げる。
と、同時に肘を下へ落とすので沙織は畳に伏せた状態となった。
香織は正座をし、さらに沙織の手首を折り曲げた。
「手首をこうやって鍛えるの」
「ふーん」
しかし沙織にはあまり効いていない。
なんつー柔らかい手首なの?
もっと締め付けてやらないと…
手首が曲がる角度が90°を超え120°くらいまでまがった。
「痛かったら畳叩いて」
「はい」
沙織がタップした。
今度は肘を中心に腕を持ち上げ伏せたままの沙織の肩を膝で挟む。
手首を折り曲げた手で肘を手刀で己のへそに当てて沙織の手を肘の内側で挟み、上半身を沙織の頭の方へ反転させた。
が、まだ効いてないようだ。
さらに反転を続け、ようやく沙織がタップした。
女子の身体は柔らかいな…
いや、地井頭はとくに柔らかい。
こういう子たまにいる…
「関節柔らかいよね」
「そうかも。手首とかイジメ甲斐ないでしょ」
「イジメてるんじゃなくて手首を鍛えるの。ガクサオと一緒」
「ガクサオは手首の外側を鍛えるけど、えっと二教?は関節そのもの鍛えるのね」
「あ、そうだね」
「あたしは関節軟らかいからあまりイジメ甲斐ないかもよ」
「だからイジメてるんじゃなくて鍛えるの。次、裏行くよ。じゃ襟掴んで」
大げさに沙織がいかり肩を見せて香織の襟を掴んだ。
「ヨーヨーネエちゃん。そこの裏まで顔貸しな」
「その裏じゃないし、ガラ悪く襟掴まなくていいから」
香織はさっと一連の動作をして沙織の腕をねじり襟から外すと手首を両手で横笛のように持ち、鎖骨に当てて頭を「の」の字を描くように回した。
そして思い切りお辞儀をして見せると沙織は「痛い痛い!」と、声を上げた。
初めて聞く苦悶の声に香織は、初めて優越感を感じた。
「効くでしょ」
「効く効くぅ」
腰が引けた沙織を身を返してさらに畳伏せさせた。
あとは先ほどと同じように抑えた。
「最後の抑え込みってどうやってるの?」
「そっか。やるときはわたしが受けだからかけてるとこ見えないんだよね」
香織は己のお腹に手刀を当てた。
「肘をへそにこうやって当てて」
沙織が真似する。
もう片方は手の平を上に向け、肘を織り込んだ。
「ここに手を挟む」
と、自分の手を肘で挟んだ。
「で、身体を頭の方へ反転させる」
沙織はわからないが真似する。
「じゃ今度はわたしが受け取るから、襟掴むね」
「うん」
「ちゃんとやんなきゃダメだから」
「わかったわかった」
香織はおもむろに沙織に近づくと、ガッと沙織のジャージの襟を掴んでせいいっぱいのガラ悪の感じで言った。
「ヨーヨーネエちゃん!借金、耳揃えて返してもらおうか!」
「あははははは!」
「襟取りから二教をやるね。襟掴んで」
沙織が香織の道着の襟を掴んだ。
「え。カツアゲ?」
「カツアゲされたらこの技使っていいから」
掴まれた襟の下を自ら掴み、沙織の顎へ下から突きを寸止めし、横へ一歩踏み出した。
と、同時に突いた腕で沙織の腕をしごいた。
「あ」
沙織の体勢がわずかに崩れた。
襟を掴んだ手を上から掴み沙織の方へ腰を切ると沙織の腕はねじられた。
沙織の肘を下から掴み、襟を掴んだ手を外すと二教の抑え技の体勢に入った。
肘を伸ばし手首を肩に向けて曲げる。
と、同時に肘を下へ落とすので沙織は畳に伏せた状態となった。
香織は正座をし、さらに沙織の手首を折り曲げた。
「手首をこうやって鍛えるの」
「ふーん」
しかし沙織にはあまり効いていない。
なんつー柔らかい手首なの?
もっと締め付けてやらないと…
手首が曲がる角度が90°を超え120°くらいまでまがった。
「痛かったら畳叩いて」
「はい」
沙織がタップした。
今度は肘を中心に腕を持ち上げ伏せたままの沙織の肩を膝で挟む。
手首を折り曲げた手で肘を手刀で己のへそに当てて沙織の手を肘の内側で挟み、上半身を沙織の頭の方へ反転させた。
が、まだ効いてないようだ。
さらに反転を続け、ようやく沙織がタップした。
女子の身体は柔らかいな…
いや、地井頭はとくに柔らかい。
こういう子たまにいる…
「関節柔らかいよね」
「そうかも。手首とかイジメ甲斐ないでしょ」
「イジメてるんじゃなくて手首を鍛えるの。ガクサオと一緒」
「ガクサオは手首の外側を鍛えるけど、えっと二教?は関節そのもの鍛えるのね」
「あ、そうだね」
「あたしは関節軟らかいからあまりイジメ甲斐ないかもよ」
「だからイジメてるんじゃなくて鍛えるの。次、裏行くよ。じゃ襟掴んで」
大げさに沙織がいかり肩を見せて香織の襟を掴んだ。
「ヨーヨーネエちゃん。そこの裏まで顔貸しな」
「その裏じゃないし、ガラ悪く襟掴まなくていいから」
香織はさっと一連の動作をして沙織の腕をねじり襟から外すと手首を両手で横笛のように持ち、鎖骨に当てて頭を「の」の字を描くように回した。
そして思い切りお辞儀をして見せると沙織は「痛い痛い!」と、声を上げた。
初めて聞く苦悶の声に香織は、初めて優越感を感じた。
「効くでしょ」
「効く効くぅ」
腰が引けた沙織を身を返してさらに畳伏せさせた。
あとは先ほどと同じように抑えた。
「最後の抑え込みってどうやってるの?」
「そっか。やるときはわたしが受けだからかけてるとこ見えないんだよね」
香織は己のお腹に手刀を当てた。
「肘をへそにこうやって当てて」
沙織が真似する。
もう片方は手の平を上に向け、肘を織り込んだ。
「ここに手を挟む」
と、自分の手を肘で挟んだ。
「で、身体を頭の方へ反転させる」
沙織はわからないが真似する。
「じゃ今度はわたしが受け取るから、襟掴むね」
「うん」
「ちゃんとやんなきゃダメだから」
「わかったわかった」
香織はおもむろに沙織に近づくと、ガッと沙織のジャージの襟を掴んでせいいっぱいのガラ悪の感じで言った。
「ヨーヨーネエちゃん!借金、耳揃えて返してもらおうか!」
「あははははは!」
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