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リコピンとミネラル

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稽古が終わり、駐輪場でバイク組と自転車組に4人は別れた。
走行中、先頭を走っていた沙織が指差しで合図を出した。
どこかに寄ろうという合図だ。
美咲を出てすぐだったので緑が丘公園に行くのだと香織はOKサインを左手で出した。
沙織はバックミラーでそれを確認。
いつものことなのでこのコミュニケーションに二人共慣れている。
バイクを止めた香織と沙織は駄菓子屋で肉まんとラムネを買い公園のベンチに座った。

「へんな2人が入ってきたね」

そう言ったのは香織。
亜香里のことを言ってるのだがオブラートに包んで2人と言ってみた。

「あははははは。黒胡麻は変わってるよね」

沙織も香織のグチを聞きたかったからの寄り道だった。

「らめるのだ~!」

「あははははは」

「教えてたもう~!」

「あははははは。思い出しちゃったよ。しかも似てるし」

「戸的の方はどうなの?」

「なんかね。妹的な感じで可愛く思えてきたかな」

「へえ。妹みたいな後輩か。いいな。こっちは武士だからな」

「いいじゃない。妹みたいな武士だと思えば」

「おかしいでしょ。妹みたいな武士なんですっておかしいじゃん。日本語的にも」

「あ、武士みたいな妹…」

「オカシイオカシイ。武士と妹が同一人物っていうのがそもそもおかしいじゃない」

「そうかな。英語だとShe is a Samrai sisterで通じるよ」

「サムライシスターって安っぽいC級映画みたいなタイトル」

「そうそう。低予算のやつ」

香織はうんざりという顔をあえてして言った。

「安っぽいわ~、心の底から安っぽい」

「なんだっけキメゼリフ?」

「らめるのだぁ~!」

「あははははは」

「今度の週末どうする?」

「デイキャンプ行こうよ」

「え。まさか」

「2人で。だって無理でしょ。自転車であそこまで行くの」

「行けても時間かかりそう」

「そうそう。2人には言わずにね。言ったらリコピンなんてついてくるから」

「リコピン?トマトちゃんのこと?」

「他にいないっしょ。名前にリコピン入ってるやつ」

「じゃ、黒胡麻はミネラル?」

「うん。ミネラル豊富」

「濃過ぎでしょミネラルか知らないけど…」
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