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鹿の道
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香織はその道に違和感を感じた。
なにこれ…上がるでもなく下だるわけでもなく…平坦な道。
もちろん途中坂はいくつかあった。
しかしほとんど平坦な山道だった。
ただカーブがちょっと怖かった。
いきなり車が出てくるかもしれない。
先ほど止まったスポットまではカーブミラーがあったが今度はほとんどない。
だが車が滅多に現れないだろうという感じもあった。
それほど車がない道だ。
だがだからと言って油断してると思わぬところで遭遇する。
日差しと風と木々と山々の世界…
つまりは田舎の山道。
でもそれが気持ちいいな。
それにしてもまだ行くのかな…
途中、下り坂上がり坂があり、落石したソフトボールくらいの石が道の真ん中に落ちていたり、タイヤに絡みそうな枝が落ちていた。
車通りが極端に少ないのだろう。
すると沙織が道の途中で止まった。
バイクが止められるような広めの路肩などない。
まあまあ細い道の途中だ。
沙織はUターンをして反対側の土の路肩にバイクを止めた。
香織もUターンをしてその後ろへ止めた。
「え?ここ?」
土の路肩らしきところはバイクと人が降りる面積がやっとあるくらいだ。
その横は斜面の急な山肌、そこから伸びる木々が路肩に飛び出している。
バイクのキーを抜いた沙織は香織の方を見た。
「じゃ、いくよ」
「行く?…どこに…」
見たところ周囲には道に沿って木々があるだけで道など見当たらない。
沙織は当たり前のように反対側の林の方へ歩いて行った。
「え?どこに行くの?」
「そこ」
無造作に林を指差す沙織。
わけもわからず香織はついていくと沙織は林と林の間へ入っていった。
よく見ると木々の間に草に覆われてはいるが小さな道らしきものがあった。
沙織はそれを登っていった。
香織は歩きの山道で覚悟した。
きっとキツイ登り道なんだろうな…
香織は気合いを入れてその登り道に足を踏み入れた。
しかし見上げると沙織は数メートル上で香織を見下ろして笑顔で待っている。
「ほら。ここ」
香織はわけがわからず沙織の立つ場所へ急ぎ歩を進めた。
「わあ…」
香織は沙織と同じ場所に立つと草原のゲレンデが見えた。
「こっちも」
沙織が後方を見た。
後方にもゲレンデが上まで続いていた。
左右をまるで作られたゴルフコースのように木々が囲っている。
まるで外国の景色のようだ。
「キレイ…」
「鹿の道って読んでるんだ」
「鹿の道?」
「だってほら」
沙織が指差した地面を見ると小さな丸い黒いものが落ちている。
「ん?なにそれ」
「鹿の落とし物」
そしてその横には蹄の窪みが微かに見える。
「鹿の?へえ。鹿が来るんだ」
「そう。だから鹿の道」
香織は左右に広がる草原のゲレンデを見て鹿が通り道にしていることを想像した。
なにこれ…上がるでもなく下だるわけでもなく…平坦な道。
もちろん途中坂はいくつかあった。
しかしほとんど平坦な山道だった。
ただカーブがちょっと怖かった。
いきなり車が出てくるかもしれない。
先ほど止まったスポットまではカーブミラーがあったが今度はほとんどない。
だが車が滅多に現れないだろうという感じもあった。
それほど車がない道だ。
だがだからと言って油断してると思わぬところで遭遇する。
日差しと風と木々と山々の世界…
つまりは田舎の山道。
でもそれが気持ちいいな。
それにしてもまだ行くのかな…
途中、下り坂上がり坂があり、落石したソフトボールくらいの石が道の真ん中に落ちていたり、タイヤに絡みそうな枝が落ちていた。
車通りが極端に少ないのだろう。
すると沙織が道の途中で止まった。
バイクが止められるような広めの路肩などない。
まあまあ細い道の途中だ。
沙織はUターンをして反対側の土の路肩にバイクを止めた。
香織もUターンをしてその後ろへ止めた。
「え?ここ?」
土の路肩らしきところはバイクと人が降りる面積がやっとあるくらいだ。
その横は斜面の急な山肌、そこから伸びる木々が路肩に飛び出している。
バイクのキーを抜いた沙織は香織の方を見た。
「じゃ、いくよ」
「行く?…どこに…」
見たところ周囲には道に沿って木々があるだけで道など見当たらない。
沙織は当たり前のように反対側の林の方へ歩いて行った。
「え?どこに行くの?」
「そこ」
無造作に林を指差す沙織。
わけもわからず香織はついていくと沙織は林と林の間へ入っていった。
よく見ると木々の間に草に覆われてはいるが小さな道らしきものがあった。
沙織はそれを登っていった。
香織は歩きの山道で覚悟した。
きっとキツイ登り道なんだろうな…
香織は気合いを入れてその登り道に足を踏み入れた。
しかし見上げると沙織は数メートル上で香織を見下ろして笑顔で待っている。
「ほら。ここ」
香織はわけがわからず沙織の立つ場所へ急ぎ歩を進めた。
「わあ…」
香織は沙織と同じ場所に立つと草原のゲレンデが見えた。
「こっちも」
沙織が後方を見た。
後方にもゲレンデが上まで続いていた。
左右をまるで作られたゴルフコースのように木々が囲っている。
まるで外国の景色のようだ。
「キレイ…」
「鹿の道って読んでるんだ」
「鹿の道?」
「だってほら」
沙織が指差した地面を見ると小さな丸い黒いものが落ちている。
「ん?なにそれ」
「鹿の落とし物」
そしてその横には蹄の窪みが微かに見える。
「鹿の?へえ。鹿が来るんだ」
「そう。だから鹿の道」
香織は左右に広がる草原のゲレンデを見て鹿が通り道にしていることを想像した。
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