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4人の南蛮の服の姿

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放課後、武道場に来た香織は妙に懐かしく感じた。
つい先週稽古したばかりなのに長いこと来てなかった感覚だった。
古びた木目の壁を手で触りながら歩く。
武道場に射し込む日の光は相変わらず神秘的だ。
沙織が入って来た。

「オッスゥー」

香織はなんとなくその姿を写メに撮った。

「え、なになに?待って待って今、ポーズキメるから」

「いやキメなくていいから」

沙織が腰をひねって後ろの髪をかきおろすような女っぽいポーズをキメる。

「ちょっと古いよ」

「今度ワンレンにするから」

「なにそれ」

「JKでワンレンって憧れる」

「わたしはぜったいヤダけどね」

そこへ亜香里が入って来た。

「おぬしらなにをしておる!」

前世とあまり変わらないよね亜香里は…

「グラビア」

「なにぃ!グラビアだと?」

香織が皆をまとめようと提案した。

「みんなで写真撮ろうよ」

「みんなで?なにゆえ?」

「制服で撮ったことないじゃん」

沙織はノリ気だ。

「いいよいいよ。思い出は多ければ多いほどだから」

今度は真紀理が入って来た。
亜香里はなぜか恥ずかしさを隠して冷静を装った。
ただそれはぎこちなかった。
宣誓のように右手を上げ「やあ!」

「あ。お願いしまーッス」

香織は数百年ぶりの真紀理の肩を思わず掴んでしまった。
なんて言っていいかわからずを口走った。

「お。いい肩!」

肩に触れられ真紀理はすぐにスイッチが入った。
香織の顔に指先を軽く当て「香織…」と、男モードを発揮した。
ドキっとして香織は顔を赤らめた。
そこへ沙織が割って入った。

「ハイ!そこまでそれ以上やったら逮捕するよ」

香織は首元に手を当て壁に靠れた。

ヤバい現世で惚れたら元も子もない…

「ハイハイ!じゃ写真撮るよ!」

沙織のリードで4人は写真に収まった。
香織はスマホの4人を見て思った。

これが4人の南蛮の服の姿だよ…
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