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ジェームス・ディーンっぽく
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〈キャンプで熊に遭遇したらどうしたらいいんですか?〉
香織が知恵を絞って必ず幸介が返信するであろう話題をMINEでメッセした。
幸介が熊斬斎ならけっして無視できない内容だ。
案の定、幸介は速読で即効返信してきた。
〈まず慌てない、背中を向けて走らないこと。熊の方を向きながらゆっくり退却。またはフライパンをカップで叩くなどして音を鳴らして威嚇する〉
〈それでも襲ってきたら?〉
〈今度、熊退治用のスプレーあげるよ〉
〈フリップトップ式たから慣れるのに練習がいるけど安全だし、あると心強い〉
〈ありがとうございます〉
2人で会う約束までこぎつけた。
香織は部屋で「やった!」とガッツポーズを取った。
幸介はリビングのテーブルでゆったりとスマホを見て優しイ笑みを浮かべていた。
「熊か。危ないな。一緒に行ってあげたほうがいいかもな」
「どこに?誰と?」
背後から沙織が鋭く目を光らせ幸介を見下ろしていた。
「おお。どうした?」
「どうしたとかじゃなくて。誰にメールしてるの?MINEたよね?大学の友達?」
「なんだよ」
「ほら、スマホ渡して。確認するから」
「なんで俺のスマホを確認するんだ?」
「妹として当然でしょ!誰とメッセしてたの?アキラくん?正治くん?」
「なんでお前にいちいち言わなきゃいけないんだ?彼女じゃあるまいし」
「当然でしょ!お兄ちゃんに彼女ができるまでわたしが管理するの。へんな女にひっかからないように。もし女がいたらわたしが直接面接するから」
「お前の面接通してたら逆にカノジョできねえよ」
それが目的だと言わんばかりに沙織は悪い笑みを浮かべた。
「フフフ…そんなことないから。ほらスマホ渡しな」
「ホラー映画で悪魔に取り憑かれた主人公の女友達みたいな顔してるぞ」
「ホラホラ、ニイチャン観念しな」
「なにがニイチャンだ。それ違う意味のニイチャンだろ」
沙織が身体能力を活かして幸介のスマホを奪おうとする。
素早く鮮やかな動きだ。
しかしその兄である口は余裕の身体能力でそれを幸介はかわす。
「あ~!よけたな!じゃ泣くぞ!いいのか?カワイイ妹が泣くぞ!」
「泣くぞじゃねえよ。高校生にもなってギャン泣きするのか?」
「するよ…」
目が本気だ。
沙織ならやりかねない。
侍だった時代は幸之介の言葉は沙織にとって絶対だった。
しかし今の時代だからこそ沙織は言いたいこを言うしやりたい放題やる。
魂の因果だ。
「そんなこと言うんだったら俺も泣くぞ!」
不意の言葉に沙織は大笑いした。
「あはははははは!兄ちゃんが泣くの?見てみたい。泣いて!」
「今度な。カノジョが出来たらお前の好きなジェームス・ディーンのように泣いてやる」
「ジェームス・ディーンみたいに?今泣いて!」
幸介は壁に寄りかかって人差し指を腰の位置から壁に向けた。
どこかで見たようなジェームス・ディーンのポーズだ。
しかも幸介に演技の才能があるのかその表情がジェームス・ディーンっぽく見える。
「っで?からの?」
沙織はすっかりスマホのことなど頭にない。
兄の滅多に見ないあえてのイケメンポーズに酔った。
「今日はここまで。また次回お越しくださいお客さん」
「ええええ!もっと見たい~」
ジェームス・ディーンの真似はとても赤の他人にはとても見せられない姿だと幸介は密かに反省した。
香織が知恵を絞って必ず幸介が返信するであろう話題をMINEでメッセした。
幸介が熊斬斎ならけっして無視できない内容だ。
案の定、幸介は速読で即効返信してきた。
〈まず慌てない、背中を向けて走らないこと。熊の方を向きながらゆっくり退却。またはフライパンをカップで叩くなどして音を鳴らして威嚇する〉
〈それでも襲ってきたら?〉
〈今度、熊退治用のスプレーあげるよ〉
〈フリップトップ式たから慣れるのに練習がいるけど安全だし、あると心強い〉
〈ありがとうございます〉
2人で会う約束までこぎつけた。
香織は部屋で「やった!」とガッツポーズを取った。
幸介はリビングのテーブルでゆったりとスマホを見て優しイ笑みを浮かべていた。
「熊か。危ないな。一緒に行ってあげたほうがいいかもな」
「どこに?誰と?」
背後から沙織が鋭く目を光らせ幸介を見下ろしていた。
「おお。どうした?」
「どうしたとかじゃなくて。誰にメールしてるの?MINEたよね?大学の友達?」
「なんだよ」
「ほら、スマホ渡して。確認するから」
「なんで俺のスマホを確認するんだ?」
「妹として当然でしょ!誰とメッセしてたの?アキラくん?正治くん?」
「なんでお前にいちいち言わなきゃいけないんだ?彼女じゃあるまいし」
「当然でしょ!お兄ちゃんに彼女ができるまでわたしが管理するの。へんな女にひっかからないように。もし女がいたらわたしが直接面接するから」
「お前の面接通してたら逆にカノジョできねえよ」
それが目的だと言わんばかりに沙織は悪い笑みを浮かべた。
「フフフ…そんなことないから。ほらスマホ渡しな」
「ホラー映画で悪魔に取り憑かれた主人公の女友達みたいな顔してるぞ」
「ホラホラ、ニイチャン観念しな」
「なにがニイチャンだ。それ違う意味のニイチャンだろ」
沙織が身体能力を活かして幸介のスマホを奪おうとする。
素早く鮮やかな動きだ。
しかしその兄である口は余裕の身体能力でそれを幸介はかわす。
「あ~!よけたな!じゃ泣くぞ!いいのか?カワイイ妹が泣くぞ!」
「泣くぞじゃねえよ。高校生にもなってギャン泣きするのか?」
「するよ…」
目が本気だ。
沙織ならやりかねない。
侍だった時代は幸之介の言葉は沙織にとって絶対だった。
しかし今の時代だからこそ沙織は言いたいこを言うしやりたい放題やる。
魂の因果だ。
「そんなこと言うんだったら俺も泣くぞ!」
不意の言葉に沙織は大笑いした。
「あはははははは!兄ちゃんが泣くの?見てみたい。泣いて!」
「今度な。カノジョが出来たらお前の好きなジェームス・ディーンのように泣いてやる」
「ジェームス・ディーンみたいに?今泣いて!」
幸介は壁に寄りかかって人差し指を腰の位置から壁に向けた。
どこかで見たようなジェームス・ディーンのポーズだ。
しかも幸介に演技の才能があるのかその表情がジェームス・ディーンっぽく見える。
「っで?からの?」
沙織はすっかりスマホのことなど頭にない。
兄の滅多に見ないあえてのイケメンポーズに酔った。
「今日はここまで。また次回お越しくださいお客さん」
「ええええ!もっと見たい~」
ジェームス・ディーンの真似はとても赤の他人にはとても見せられない姿だと幸介は密かに反省した。
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