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ラナちゃん
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天気の良い屋上で香織は昼休み幸介とMINEで話していた。
相変わらず熊の話が多い。
どうやって熊を倒すかから始まり、熊の皮膚は硬いからインディアンのナイフの使い方を参考にするといいだの、呆れる熊マニアだ。
しかしそれが香織には楽しい。
〈クマクマ言ってると熊之助さんて呼びますよ〉
〈それもう沙織に呼ばれてるよ…〉
「そうなんだ。幸介さん、カワイイ」
「誰がカワイイって?」
聞き覚えのある声が背後からした。
スマホの画面を隠しながら背後を向くとそこには沙織が腕を組んで仁王立ちしていた。
「誰とメールしてんの?」
「あの…合気道の人…」
「あ~通ってる道場のね。で、その人がカワイイの?」
「うん。ロシア人でね。女の子なの。スゴイカワイイの」
「へえ。ロシア人の女の子が来てるんだ。またなんで合気道なんだろ?」
「なんか大学の部活で選んだらしいんだけどアルファベットで一番上にあったAから始まる部活で合気道があったからなんだって」
「合気道…AIKIDO…なるほどね」
香織はとっさに道場に稽古に来ていたロシア人の女の子のことを思い出した。
アルファベット順の話もこの間聞いたばかりの事実だ。
下手にウソをつくと沙織に勘繰られる。
香織は沙織の疑惑の矛先を変えた。
これも一種の合気だな…
「なんていう子?」
「なにが?」
「名前。ロシア人なんでしょ?」
「ラナちゃんてみんな呼んでた」
「ラナ?それってロシア人の名前?」
沙織が目を細めた。
間違いなく香織を疑っている。
「えっと…たしか…スヴェトラナでラナちゃん」
「なるほどね。エリザベスをリズとかベスって呼ぶ感じか」
「で、名字は?」
「え?尋問?これ?」
「名字。さっさと吐いて」
「えっと…なんて言ったかな…アンク…ティノヴァ…だったかな」
「スヴェトラナ・アンクティノヴァか…ロシアっぽい。で?その子とメールしてたんだ…」
「うん…」
違うんだけど…騙されて…
香織の額から汗がにじみ出た。
尋問される潜入スパイの気持ちだ。
表情のない沙織の目がなんか怖い。
しかし沙織の興味はロシア人に移った。
「で、そのラナちゃんはうまいの?合気道」
「ああ。うまいよ。てか速いし強いの力とか」
「ほう」
「体の変換とか男の人でもああはいかないと思う」
「じゃあ。連れてきてよ。わたしの地井頭沙織拳をかわせるか試してあげる」
「いや。今、東京の専門学校行ってるから」
「なーんだいないんだこっちに。勝負したかったなあ」
香織は一応聞いてみた。
「なんの勝負?武道の?」
「武道ってかさ。カワイくて強いってわたしの専売特許じゃん」
「はあ?誰の専売特許?」
「わたしの」
「強くてなんだって?」
「カワイイっていうの」
それ以上なにも香織は言えなかった。
まさか、それはわたしもだ!とはさすがに言えなかった。
ラナちゃんに会わせてやりたかったほんと。
そのかわり香織はスマホでラナの写真を探しておもむろに沙織に見せた。
ロシアやウクライナの女子の容姿は欧州でも指折りである。
「うっ…」
沙織は固まったままもう言葉を発さなくなった。
ふふふふ…
香織は心の中でほくそえんだ。
相変わらず熊の話が多い。
どうやって熊を倒すかから始まり、熊の皮膚は硬いからインディアンのナイフの使い方を参考にするといいだの、呆れる熊マニアだ。
しかしそれが香織には楽しい。
〈クマクマ言ってると熊之助さんて呼びますよ〉
〈それもう沙織に呼ばれてるよ…〉
「そうなんだ。幸介さん、カワイイ」
「誰がカワイイって?」
聞き覚えのある声が背後からした。
スマホの画面を隠しながら背後を向くとそこには沙織が腕を組んで仁王立ちしていた。
「誰とメールしてんの?」
「あの…合気道の人…」
「あ~通ってる道場のね。で、その人がカワイイの?」
「うん。ロシア人でね。女の子なの。スゴイカワイイの」
「へえ。ロシア人の女の子が来てるんだ。またなんで合気道なんだろ?」
「なんか大学の部活で選んだらしいんだけどアルファベットで一番上にあったAから始まる部活で合気道があったからなんだって」
「合気道…AIKIDO…なるほどね」
香織はとっさに道場に稽古に来ていたロシア人の女の子のことを思い出した。
アルファベット順の話もこの間聞いたばかりの事実だ。
下手にウソをつくと沙織に勘繰られる。
香織は沙織の疑惑の矛先を変えた。
これも一種の合気だな…
「なんていう子?」
「なにが?」
「名前。ロシア人なんでしょ?」
「ラナちゃんてみんな呼んでた」
「ラナ?それってロシア人の名前?」
沙織が目を細めた。
間違いなく香織を疑っている。
「えっと…たしか…スヴェトラナでラナちゃん」
「なるほどね。エリザベスをリズとかベスって呼ぶ感じか」
「で、名字は?」
「え?尋問?これ?」
「名字。さっさと吐いて」
「えっと…なんて言ったかな…アンク…ティノヴァ…だったかな」
「スヴェトラナ・アンクティノヴァか…ロシアっぽい。で?その子とメールしてたんだ…」
「うん…」
違うんだけど…騙されて…
香織の額から汗がにじみ出た。
尋問される潜入スパイの気持ちだ。
表情のない沙織の目がなんか怖い。
しかし沙織の興味はロシア人に移った。
「で、そのラナちゃんはうまいの?合気道」
「ああ。うまいよ。てか速いし強いの力とか」
「ほう」
「体の変換とか男の人でもああはいかないと思う」
「じゃあ。連れてきてよ。わたしの地井頭沙織拳をかわせるか試してあげる」
「いや。今、東京の専門学校行ってるから」
「なーんだいないんだこっちに。勝負したかったなあ」
香織は一応聞いてみた。
「なんの勝負?武道の?」
「武道ってかさ。カワイくて強いってわたしの専売特許じゃん」
「はあ?誰の専売特許?」
「わたしの」
「強くてなんだって?」
「カワイイっていうの」
それ以上なにも香織は言えなかった。
まさか、それはわたしもだ!とはさすがに言えなかった。
ラナちゃんに会わせてやりたかったほんと。
そのかわり香織はスマホでラナの写真を探しておもむろに沙織に見せた。
ロシアやウクライナの女子の容姿は欧州でも指折りである。
「うっ…」
沙織は固まったままもう言葉を発さなくなった。
ふふふふ…
香織は心の中でほくそえんだ。
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