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異世界転生と輪廻転生

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武道場に大爆笑が起こった。

「あはははははははははは!」

「ダメだぁ~お腹が…ちぎれる…」

「ワハハハハ。なんじゃそれはぁ!」

香織は畳を叩きまくり、真紀理は腹を抱え、亜香里は足をバタバタさせている。

「なに勇者スヴェトラナ・アンクティノヴァって!で、わたしが王女カオリーヌ?」

「なんですかドラゴンエルフって!」

亜香里だけハッと我に返った。

「ちょっと待て!キノコ使いとはなんだ?」

「知らない。なんかやってたよ。こうやって」

沙織はあのキャラクターのごとく拳と膝を突き上げ飛んだ。

「チャリーンってキノコが落ちてきてたから」

「それはなんとかブラザーズとかいうゲームだろう!」

「知らない。あんたが夢でやってたんだから自己責任でしょ」

「なにを言う。おぬしの夢であろう。ならばおぬしの責任じゃ!」

「それで変身したんでしょ?」

香織が笑いながらハイライトを欲してきた。

「そうそう。こうやって回ったの」

クルクルとターンし「ブレザームーン!」

「ブ、ブレザームーン…」

真紀理など腹を抱えて声が出ない。

「それでなんて言ったんだっけ?」

沙織は全力出ポーズをキメ「土星に替わってオシオキよ!」と言い放った。

全員声が出ないほど笑い震えている。
しばらくして香織がかろうじて起き上がるとようやくツッコんだ。

「な、なんで土星なのよ…ムーンって自分で言ってんでしょ…」

「あ、そっか。まあ夢の話だから」

「それにしてもキノコ使いは納得いかんぞ」

「だから自己責任だから」

「おぬしの夢であろう!おぬしの責任じゃ」

「沙織がわたしのことを王女だと思ってくれてたなんて意外…」

「今度夢に出てきたら香織がキノコ使いになってるかもよ」

「え~!キノコ使いなんてやだぁ!」

「ま、今度また異世界の夢見たらわたしがヒーローとして活躍するから乞うご期待」

「続き聞かせてぜひ」

「夢でよかったですね。姉さん」

「え?異世界転生のほうが良くない?」

「転生ってことは死んでるってことですよ」

「あ。そっか…アブナ!」

「ってかないから。異世界転生って」

「あるとしたら輪廻転生だな」

香織と亜香里の言葉に沙織はなんとか対抗しようと言葉を絞り出した。

「異世界輪廻転生…」

「ナイナイナイ!ってどんだけ異世界に憧れてんのって話!」

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