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2章 傭兵団拡張編
9話
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倒れる二人をそのままにカオルはセルベスの元に向かった。
「セルベスさん、心配をかけましたがもう大丈夫です」
「そうか。なら、あとは儂に任せてくれ」
そう言うとセルベスはガルドの元に向かった。
ガルドはまだ筒状の物を握ったまま静止していたが、セルベスはそんなガルドを殴り飛ばした。
「がぁっ!?な、何を!」
「これ程の事をしたんだ、ただでは済まさんぞガルド!!」
セルベスは怒鳴りながら逃げようとするガルドを捕まえ、拘束した。
他のギルド長に衛兵を連れてくるように言い、他のギルド長達にはこれから数日の商談の日程をズラしたりする作業に取りかからせた。
カオルもアルとイルに簡単には千切れたり、外れない丈夫な紐で手や足などを縛った。
縛り終えた頃になってセルベスは話しかけてきた。
「カオル殿、今回の件は本当に申し訳なかった」
セルベスは頭を深く下げて謝罪した。そんなセルベスにカオルは頭を上げるよう言った。
「僕こそセルベスさん達をこちらの事情に巻き込んでしまいすみませんでした」
カオルも頭を下げたが、セルベスに頭を上げるよう言われた。
その後、軽い話などをして今後の事について話し合った。
「商会ギルドとしては、ディグル領の商会ギルドは一時副ギルド長に一任し、そのあと正式に別の者を向かわせる予定だ。他にもカディス商会にかかっている圧力の撤去、賠償もさせてもらうよ」
「僕個人としてはそこまでしてもらう事に遠慮したいですが、ディグルの商人やその周辺の商会らに解決した事を知らせる為にも必要なのでお願いします」
「ちゃんと理解しているようで良かったよ。まぁ、たとえ断れたとして、勝手に賠償はさせてもらうがな」
そう言ってセルベスは笑い、僕も笑った。
________________________
その後、セルベスの計らいによって、問題事を世間に公開し、解決した事も公表した。
カディス商会には賠償として被害にあった商品の金額と迷惑料、それにフィル達への誘拐に対する賠償金の支払いがされた。他にも、カディス商会との提携や関税免除などが行われた。
商会ギルドがここまで一商会にここまで肩入れしている事に他の商会は騒いだ。
ディグル領にわざわざ来て、「うちとも提携して欲しい」と言ってくる商会が増えた。
カディス商会と提携しに来る商会のうち殆どは、カディス商会と提携した商会ギルドとの繋がり欲しさであるのは明らかで断った。
元々、提携しなくてもやっていけるからセルベスには断っていたが押しきられたのだ。
他にもカディス団に入りたいと言う人が増え、フィル達入れて数十人程の規模だったのが、今では50数名程までになった。
これよりももっと申請はあったがあまりに多く、審査をして落とし、なるべく若い者達を入団させた。
団に入る以前に冒険者や傭兵になる者で若い者や幼い子は身寄りのない子が多いだからこそ、団を身寄りの場にと思い入団させた。
「カオル君、久しぶりだね」
「スレインさんも元気そうで良かったです」
「スレインさんはこう見えて、カオルさんのことが心配過ぎて仕事手付かずで大変だったんですよ」
「エミリー、そんな事をわざわざ言う必要はないだろ?」
「あら?その間私の仕事量は2、3倍になって大変だったんですが」
「分かった。あとで君には特別給付金を出そう」
「そうしてもらえますと嬉しいです」
そんな二人の会話聞き、カオルは笑った。そんなカオルの様子を見て、スレインとエミリーも静かに微笑んだ。
「最初はどうなるかと思ったが上手くやったようだね。商会ギルドと提携するとは、私との約束もわすれていないだろ?」
「当たり前ですよ、スレインさんには影で店を守ってもらってたりしましたから」
カオルがそう言うとスレインは驚いた顔をして、エミリーは微笑み、スレインを茶化し始めた。
「全部かは分かりませんが、バレてましたねスレインさんの影でやっていたこと」
「茶化ししたりするな。君はそう言う所があるから婚期を逃しかけているのだぞ」
「スレインさん!それと今のとは別ですよ!それに女性に対してその発言はデリカシーがないですよ。そんなんだから、好きな女性に振り向いてもらえないんですよ」
「なっ!君こそそれは余計だ」
二人の他愛もない会話に安心感を覚えた。今回の騒動で前よりも互いの絆のようなものは深まったと僕は思う。
「カオル君からもエミリーに何か言ってやってくれ」
「カオル君は私の味方よね~」
「お二人は仲が良くていいですね。羨ましい程ですよ」
僕がそう言うと二人は顔を見合わせ、笑っていた。
スレインさん、傭兵ギルドとの関係も復活した僕らは、ディグル領での生活は元よりも良好になって再スタートした。
________________________
ドレイク王国王城内の王室で二人の人物が話していた。
「国王陛下、勇者様方の準備が、整いました」
「そうか、なら早速出発させよ」
「はっ」
宰相は、国王の命を伝兵に伝え走らせた。
「国王陛下、本当によろしかったのですか?」
「何かだ?」
「彼らはまだこの世界の知識が乏しいのですよ。そんな彼らを辺境近くに向かわせ何かあったとしても」
「大丈夫だ。彼らを召喚してから半年は過ぎた。そろそろ王都付近ではなく外での経験も必要だろう」
「しかし、それなら別の所でも良かったのでは?」
「知らないか、最近のディグル領の事を」
国王はニヤッと笑いながら宰相を見た。
宰相はそんな国王を見てため息を吐いていた。
「彼らの中には問題事を起こしかねない者もいたのですから、もう少し考えて欲しいものです」
「いざとなれば力を貸すようディグル領のディグル卿に手紙を出してある。勇者は問題ないだろう」
「勇者の方に問題なくても、噂のカディス商会やその団との関係が悪くなれば我が国として大きな損失になりかねませんよ」
「お前がそこまで高く評価するような奴らなのか?」
国王は先程まで悪戯小僧のような顔をしていたが、一変して場に緊張感が走った。
「あの商会の商品であるポーションは素晴らしいの一言に限りますね。ポーションは作るのに材料も時間、少なからずの技術が必要です。あれだけの量を売るとなりますと人件費も馬鹿にならないはずなのに値段は良心的と市民からの声は良いですね」
「私も資料でその事は知っているが、お前が認めているのはそれだけではないのだろ?」
「はい。あの商会は、ポーションの種類や値段だけでなく、なによりも質がとても高いのです。あれ程の質なら現在の4倍にしても良いかと思える程に高いです」
宰相の言葉に国王は疑問に思った。
「彼らはなぜそれ程の物をそこらのポーションよりも安く売っているんだ?」
「資料にも記載されておりましたが、"より良い物を安く売る" をモットーにしている為かと」
「資料には、そこで働くスタッフの名前は載っていたが、ポーションを作っている者の名前や材料の入手ルートなどが載っていなかったが、分からなかったのか?」
「はい、調査させましたが足取りを捉える事は出来ませんでした」
「謎の多そうな商会だな」
「はい。商会で売られている物の安全性は確認済みですのでその点に関しては問題はありません」
「お前はいつも行動が早くて助かる。それで、商会や団は何か問題事は起きてないのか?これ程の事をしていれば少なくとも問題に巻き込まれておるだろう」
国王がそう言うことが既に分かっていたかのように宰相は、資料をめくり質問に答えた。
「国王陛下の言う通り、商会ギルドとの間で問題事が起きておりますね」
そう聞いた国王はニヤッと笑った。
「なら、その件に介入して恩でも売っておけ。今後、その商会の手助けが必要な時があるだろうからな」
国王の言葉に宰相は眉をピクッとさせ反応した。
「国王も戦争が起きるとお思いですか?」
「帝国の奴らの動きがきな臭いからな。1年以内には戦争を起こすだろうな」
国王はそう言いながら、窓の外の景色を眺めた。
「俺はこの光景を守らなければならない。その為にも勇者達には強くなって戦争が起きても生き残るだけの力を持ってもらいたい。戦争は予想外なビックリ箱が潜んでいたりするからな」
「左様ですな。それで今回、勇者達にディグル領に向かわせたのですね」
「それもあるが、最近辺境やその付近で高レベルモンスターが発見されたり討伐されている。戦闘訓練とその調査を頼んでいる」
「左様でしたか。力を奢らず成長してくれる事を祈りながら帰りを待っていましょう」
「女神より授けられた力に溺れた者の末路は最悪な結果だからな」
宰相と国王は今日も王国の為に動いていた。
【後文】
はい、どうもミストレです。
ひとまず、これで2章は完結とします。
もしかしたら後で修正したり追加するかもしれませんが、ダラダラと続けずに終わらせたかった章でしたのでご了承下さい。
この第2章9話の更新をもって、一時休載します。再開は未定です。
休載理由としては、現在もそうですがリアルが忙しい事、和数を貯めたい、3章目からはストーリー展開の設定をしておきたいからです。
あとは、書き続けると飽きてしまうので、クールダウンも兼ねています。
その間、投稿するかは分かりませんが、別のジャンルのものを書いてみようかと思ってます。
語彙力がないので、クールダウンしてる間に語彙力もダウンしない為にもやろうと思ってます。
のんびりマイペースな投稿で読者の皆さんには迷惑をかけきてすみませんと思いますが、よろしくお願いします。
投稿はある程度貯まり次第、再開する予定ですので、お気に入り登録したままでいて下さると嬉しいです。
今後もよろしくお願いします。
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…はい、落ち着きます。
長文で失礼しました。ではでは( ´ ▽ ` )ノシ
今度に楽しみ
感想ありがとうございます。
風邪を引いてまして、中々書けていませんでした。なるべく書いて投稿していきますのでよろしくお願いします。