異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を再建する

おっぱな

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【第四章 救世主編】

お母さん! 図書館に着きました!

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 俺とレイスは図書館に向けて出発した。
 レイスが「人間って分かると少し面倒だからこれを着てね」と渡したのは何故か緑色の全身タイツ。
 俺はデリケート部分がもっこりするし、顔の部分は素肌丸出しだから意味がないと思い、「マジでこれ着る意味あんの?」と尋ねると、レイスが「大丈夫よ。レプティリアンの多くは人間を見た事がないから」と自信満々に言うので、俺も疑いながら肌触りの良い緑色の服に袖を通し、現在に至る。

「おー。これがレプティリアンの町か! 外の世界と変わらないな!」

 石畳が敷かれたメインストリートには大勢のレプティリアンがおり、沿道には隙間がないほど露店が立ち並んでいた。
 食糧や生活雑貨はホワイトシーフ王国やヴァ二アル国にあった物とそんなに変わりがないように見える。
 全身タイツのお陰か周囲のレプティリアンに何も言われずに歩くことが出来た。

「そういや、ここって陽の光がないのに何でこんなに明るいんだ?」

 国の至る所に松明の火がくべられているが、この空間は天井高が30m以上あり、先が見えないほど大きい。
 まるで、バカデカイドームの中にでもいる気分。
 普通、松明の火だけじゃこの大空間をこんなにハッキリ照らす事は不可能だと思うのだが?

「それはあれがあるからよ」

「あれ?」

 レイスは楕円形に丸みを帯びた天井を指差す。
 よく見るとゴツゴツした岩肌にポツポツと豆電球のような光を放つ何かが付着しており、「電球か何かか?」と質問。

「あれは光り苔よ。この洞窟内でしか採取出来ない不思議な植物ね」

「苔か。便利な植物があって良かったな」

 光り苔が無ければ、ここまで文明が発達することも無かっただろうな。

「ええ。これもロイス様のお陰よ」

「全部、ロイス様なんだな」

「そうよ。この私の服も身体も空気も光も全てはロイス様に創造されたもの。この世界の全てはロイス様によって創られたの」

 それ、さっき聞いた。
 信仰心ってのは無いってのも問題だが、あり過ぎるのも問題だな。
 盆と正月にお墓参りや一年に一回くらい神社に行くくらいが丁度いいよ。

「お。何だあのデカイ建物」

 メインストリートを進むと、先が登り坂になっており、その先の小高い丘に一際大きな石造りの建物が建っていた。

「あれは神殿よ。ロイス様がいつ降り立ってもいいように場所を設けているの」

「ほー」

 ギリシャとかエジプトにあるような世界遺産クラスの代物を「ほー」の一言で片付ける俺にレイスは少しムッとしたようで、「まあ、信仰心がない人には古い建物にしか見えないわよね」と皮肉っぽく言った。

「あれがこの国の図書館よ」

 神殿へ向かう坂の途中にある石造りの建物をレイスは指差す。
 神殿よりも小さく、同じように大きな梁があり、その梁を支えるように何十本も石柱が立っている。
 外観の劣化具合から神殿が造られた時と同じ時期に造られた建築物だろうと俺は予想。

「何しているの入るわよ」

「お、おう」

 図書館の圧倒的な存在感に見惚れている俺にレイスは声を掛け、止まっている足を動かした。


 ______図書館内______


「お、おお!!!」

 20mはある天井は楕円形になっており、何の絵か不明だが天井に色鮮やかな壁画が描かれている。
 足元の床材は大理石のような輝きを放ち、柱や壁に埋め込まれた光苔の光を反射していた。
 木製の扉を開けた先のホールを10mほど歩くとカウンターのような場所にレプティリアンの女性が二人座りながら雑談をしており、レイスはその二人に声を掛け、「こっちよ!」と言ってカウンターの先から俺に向けて手招きをしている。

「本は向こうにあるのか?」

 ぐるっと辺りを見渡すがどうやらこの空間には本はない。
 恐らく、本はあのカウンターの先にあるのだろう。
 俺はレイスの元に行くため、レプティリアンの女性の横を通ろうとすると女性の一人に声を掛けられた。

「あなた、見ない顔ね」

「え? あ、ああ。ちょっと、旅人なもんで」

「旅人? どこから来たの?」

「あ、ええっと東の山を越えたずっと先からで......」

 レプティリアンの女性はどうやら部外者である俺に警戒を抱いている様子。
 俺もオドオドしないでスマートな対応をすれば良かったのに、話を急に振られたから言葉に詰まってしまった。

「______おーい! 早く来て!」

 レイスの呼ぶ声がホールに響き、俺は「あ! レイスが呼んでる!」と言ってそそくさとその場を離れた。

「どうしたの?」

「いや、『どこから来た?』とか聞かれて」

「この国に訪れる人は少ないから彼女たちも興味本位で聞いたのかもしれないわね。それに、あなた、カッコイイから」

「まあ、それもそ______カッコイイ!?」

 俺は耳を疑った。
 全身緑色のタイツでクオリティの低い河童のコスプレをしている腹の出たオッサンをカッコイイとよく言えたな!
 お世辞にも度が過ぎるぞ!

「ええ。そのふくよかな体型と大きな黒い目。それにその大きな鼻がとっても凛々しいわ」

「いや、レイス。おちょくるのはもう少し仲良くなってからにしてくれ。俺、いじられキャラだけど初対面の人にいじられるのはちょっと......」

「おちょくってなんかないわ。人間にはどう写っているか分からないけど、レプティリアンという種族は男性はガッチリとした体つきで触ると痛いの。だから、ふくよかな体型ほど好かれるし、それに、レプティリアンは鼻が小さいから大きな人が魅力的に見えるのよ」

 とレイスが俺の母親の顔で微笑みながら言うので、傍から見たら、いい年して母親に「お前はカッコイイよ」と甘やかされている中年にしか見えない。
 俺も自身を肯定される言葉を貰って嬉しいのだが、母親に言われている感じがして複雑な気持ちだ。

「お、おお。そうなのか。それは嬉しいな」

「ええ。私ももう少し若かったら......」

 とレイスは俺の母親の顔で頬を赤らめる。
 俺は自他共に認めるマザコンだと思うが、急に女の顔を見せた母親にゾッとしてしまった。

「お! あれか!」

「ええ。あの先が図書室よ」

 母親との近親相姦ルートを回避した俺は廊下の先に見える大きな木製の扉の前で足が止まる。

「どうしたの?」

「え、いや、この扉のデザインが気になってさ」

 木製の扉には頭から二つの角と背中に羽を持った人間が描かれている。
 確か、これはゴーレムマンションでハンヌが俺を精神支配した時に見せたものと似ている。
 描かれている人間は同じではないが、角や羽など特徴的な部分は一致していた。

「素敵でしょ? 以前、ロイス様がこの地に舞い降りた時の様子を描いたものだと言われているわ」

「......」

 レイスは澄んだ瞳でそう答えた。
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