異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を再建する

おっぱな

文字の大きさ
187 / 212
【第四章 救世主編】

お母さん! 色のない瞳で

しおりを挟む
「花島......。あれって......」

 木のツルが寄生された給仕は右腕に木のツルが巻かれ、目はくり抜かれ、眼球があった箇所からも木のツルが飛び出しており、まるでゾンビ映画に出て来るゾンビのようなビジュアル。

 腹からは出血しており、足取りもたどたどしい。
 こちらの姿が見えていないのか、木のツルが寄生した給仕は外に出ようと玄関扉の方に向かって歩く。

「外に出したらマズイ。とりあえず、拘束するぞ」

 俺は足元で蜷局を巻いている岩石の蛇に木のツルが寄生した給仕を拘束するように指示。
 岩石の蛇はそれに従い、ガッチリと給仕を拘束した。

「_______アアアアア!!!」

 岩石の蛇に拘束された事で今まで大人しかった給仕が獣のような声で鳴きながら、腕に絡みついた木のツルを叩きつけるようにして、周囲を破壊し始める。

「お、おい、ほ、他も出て来たぞ!」

 給仕の声を聞いてか、給仕室の中から木のツルに寄生された他の給仕や執事もぞろぞろと出てきて「とりあえず、ここは離れよう! 屋上に避難だ!」と俺は二人に声を掛け、階段を駆け上がった。

「くそ! 俺達が国を離れている間に一体何があった!?」

 この事態を引き起こしたのはオッサンの仕業で間違いない。
 だとすると、近くにはシルフもパスもいたはずだ。
 いくらシルフがオッサンに傾倒しているからといって自分の国や給仕があんな状態になっているのを見過ごすはずがないはずだが......。

「三人とも無事かな!? あいつらみたいに木のツルに寄生されているんじゃ......」

 ホワイトは走りながら弱音を吐き、俺は凛とした顔でホワイトを律する。

「余計な事は考えるな。あのオッサンに精神支配の力がないとも言い切れない。弱みは漬け込まれるだけだ」

「う、うん。そうだね」

 ホワイトが弱気になるのは分からない事もない。
 俺達の背後には今までミーレやレミー、ゴーレム幼女という強者の存在があった。
 強者というものはその場にいるだけで周囲の者達に自信という力を与える事が出来る。
 今まで俺達は強者の存在に助けられてきた。
 それは精神的な面も然り。
 強者の存在がない今、力及ばずとも精神面だけでも強くならなければいけない。
 それが今、俺に出来る精一杯の事だ。

「よし! その扉を開ければ屋上に着くぞ!」

 赤い絨毯が敷かれた廊下を駆け、何段もの階段を上ると先に木製の大きな扉が見える。
 一度、城を探索した時にたまたま見付けた屋上に繋がる扉。
 屋上からはホワイトシーフ王国や近隣の森が一望できる。
 今は夜だが屋上から見れば新たな情報が入手出来るかもしれん。
 それに、もしかするとシルフやパス、サンが屋上に避難しているかも......。

「よし! 開けるぞ!」

 微かな希望と望みを抱き、俺は屋上に繋がる扉を勢い良く開けた。

 ______屋上______


「遅かったな。花島。俺は待ちくたびれたぜ」

「......オッサン。この状況は一体何だ!? シルフやパス、サンをどこにやった!」

 学校の屋上のように広い空間には石畳が敷かれ、雲間から現れた赤い月によって周囲は赤く照らされている。
 俺達から数十メートルほど離れた位置にオッサンが一人、黒いマントを身に付け、不敵な笑みを浮かべながらこちらを見やる。

「おいおい。そんなにギャアギャア騒ぐなって。まぁまぁ、少し落ち着こうや。同郷出身なんだろ? 冷静に話し合おうや」

「話す!? お前は仲間を平然と殺し、給仕達もあんな姿にしただろうが! そんな残虐非道な奴と話なんか出来るかよ!」

 オッサンは子供のような仕草で耳を塞ぎ、俺の意見を受け入れたくない様子。
 興奮気味の俺の背中にホワイトがソッと手を当て、自身が一歩前に出る。

「この状況を招いたのには何か理由があるんでしょ? いいよ。それを聞いてあげる」

「おお! 理解が早くて助かる!」

「その前に一つ、質問させてくれる? シルフやパス、サンは無事?」

「ああ。今のところはな」

 今のところは......。
 そう言うとオッサンは黒マントの袖から鈍色に輝く白い魔石を取り出し、俺達に見せる。

「それは? 魔石?」

「あぁ。そうさ。この中にはサキュバスの少女と赤ん坊が入っている」

「パスとサンをどうする気______」

 二人の名前を耳にした俺は咄嗟に声を荒げ、今度はホワイトの兄に止められる。
「い、今、二人の命はあ、あいつの手の内だ。こ、ここは冷静に」と声を掛けられた事で鼻息を荒くしながらも俺は一歩身を引いて状況を見守る事にした。

「......シルフは?」

 俺の言った事が効いたのか、いつになく冷静な態度でホワイトがシルフの安否も確認。

「......シルフ。出て来い」

 オッサンがまるで屋敷の主人のような口調で言葉を発すると、オッサンの後ろからゆっくりとシルフが姿を現し、俺達、三人は変貌したシルフの姿に息を呑んだ。

「し、シルフなの......?」
「う、うわ!」

「し、シルフ......。なのか?」

 オッサンの陰から現れたシルフは腕に木のツルが巻かれ、心臓部に拳大程の木の実のようなものが寄生していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...