上 下
56 / 212
ゴーレムマンション奪還編

お母さん! 魔法少女と婆の様子が変です!

しおりを挟む
____「ゴーレムの森」____

 ホワイトの兄の誘導でゴーレムの森まで来る事が出来た。
 森に入って思ったのだが、鳥や動物の声がなく、とても静かだ。

 _________ドン!!!!
 
 爆発音が再び、ゴーレムマンションの方から聞こえてくる。
 俺とホワイトとホワイトの兄は目を合わせて、ゴーレムマンションまで駆ける。

 □ □ □

 ゴーレムマンションの前に到着すると、大きな門の入口は樽のようなものが積み上げられて、塞がれている。
 なんだよ。
 これじゃあ、入って来るなと言わんばかりじゃないか。
 所有者なのに入れないって何だよ。

「これじゃあ、虫一匹も入って行けないじゃないか... ...」
 
 上を見上げると、小窓から煙が無数に立ち上がっている。
 俺は中にいるはずの魔法少女と婆を呼ぶ。

「おーい! 魔法少女! 婆! いるなら返事してくれ!」

 中から反応はなし。
 くそっ!
 状況が全く掴めない。
 敵に攻められたのか? 
 そもそも、敵って誰だ?

 このまま、立ち尽くしていてもラチが空かない。
 俺はホワイトとホワイトの兄に提案した。

「二人とも、あの、バリケードを取っ払う事は可能か?」

「え? それは、全然、大丈夫だけど、中に入るつもり?」

「ああ、あの中には友人がいるかもしれないんだ」

「で、でも、き、危険じゃないか?」

「このまま、二人を放っておくわけにはいかないよ!」

 ホワイトとホワイトの兄は、俺の言葉を聞くと、ゆっくり扉の前に行き、積み上げられていた樽を薙ぎ払い、二人で扉を押し、悲鳴のような高い音を出し、木製で出来た大きな扉が開く。


____「ゴーレムマンション内部」____


 ゴーレムマンションの内部は昼なのに薄暗く、どうやら、窓にバリケードのように木の板が打ち付けられている。
 ここで、戦闘が行われたのか、壊れた椅子や皿などが床に所々散らばっており、新築時の面影はない。
 
「ホワイト! 明かりはないのか?」

「ないよ! それよりも、花島。この椅子みてよ」

 ホワイトが指さした椅子を見ると、木製の椅子がグニャグニャに変形していた。
 人間の技術で、どうこう出来る形ではない。
 俺が息を呑むと、ホワイトは俺に言った。

「... ...これは、恐らく魔法だね」

「魔法?」

 それを聞いた瞬間に、魔法少女と婆の姿を想像した。
 しかし、魔法少女と婆に椅子を変形させるような魔法はあっただろうか?
 そもそも、魔法少女と婆がゴーレムマンションをこんな風に荒れさせるとは考えられない。

 ホワイトの兄が椅子の成分を調べようと椅子に近づいた瞬間___________。

 ______バン!

 耳元で爆竹が爆破したかのような音がした。
 顔の近くにあった柱を見ると、矢が刺さっている。

「くそ! 外した!」

 部屋の奥にある中央階段の方を見ると、弓と矢を持った魔法少女の姿がそこにはあった。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

その辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:199

黒龍の娘

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:241

亡国の少年は平凡に暮らしたい

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:59

~エンリルの風~ チートを貰って神々の箱庭で遊びましょ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,119

処理中です...