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ゴーレムマンション奪還編
お母さん! 惨劇、未練
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他に誰かいないか辺りを見回したのだが、誰の姿もなく、ダルンと腕を垂らしたゴーレム幼女を胸に抱きかかえながら、俺の頭の中のように渦を巻いている螺旋階段を下っていった。
さっきまで、足が重かったのだが、今は一人の人間を抱えていることもあってか更に重く、階段を一段下りていく毎に細々とした指先を伝って大切なゴーレム幼女の一部がポタポタとかすかに音を立てながら落ちる。
□ □ □
ゴーレム幼女をこのまま放置していたら、恐らく、獣に食べられてしまうと思い、俺は木の棒で穴を掘り、応急処置ではあるがそこに埋める。
もしかしたら破れた服では寒いのではと思い、自身の着ていた服を一枚脱いでゴーレム幼女にかけた。
「... ...」
埋葬用の穴を掘るまでは良かったが、人に土をかけるという今まで経験した事のない作業をして頭が痛くなり、その場にしゃがみ込む。
「... ...大丈夫?」
すかさず、大丈夫オジサンは横にきて、俺を励ますかのように腕をチョコンと乗せてくる。
「... ...うん。何とか」
この状況下の中で「何とか」と言えるほど、この不条理な出来事を受け入れていて、それを平然と言う自身がとても気持ち悪いと思い、その場で再び嘔吐してしまった。
□ □ □
【ホワイトシーフ王国】
丁重にゴーレム幼女を埋葬すると、町の方から大勢の人の叫び声のようなものが聞こえ、ふらつきながらも広場に戻ってきた。
町は予想はしていたが悲惨な惨状。
復興しかけていた町は破壊され、塗装をしていたのかと錯覚するほどに町は赤で染まり、町人の大半は広場にある噴水にまるでゴミのように重ねられている。
まるで、この町全体が悪魔の作ったアート作品のように一つのテーマ性を持っているみたいだ。
広場から少し離れた路地にはホワイトとホワイトの兄の首が挿げ替えられ、祀られるような状態で壁にはりつけられている。
町人に馴染めなかった巨人の兄弟だったから、町人とは違う場所でこのような状態なのかと作成者の意図を読み取れる自分が怖い。
どうあがいても、俺はホワイトとホワイトの兄の亡骸を壁から降ろしてやる事は出来ない。
「... ...ごめんな」
と遠目から謝罪をし、王宮に向かう。
人の死に慣れてしまった俺は自身を軽蔑することすらも忘れていた。
□ □ □
「... ...シルフ」
王宮に着く前の道の脇にシルフは飾られる事もなく、まるでゴミのように投げ捨てられていた。
シルフの身体に目立った外傷がなく、もしかしたらと少しの希望を抱きながらシルフの腰を持つと... ...。
「... ...軽い。軽すぎる」
シルフの身体を抱き抱えた事はないので何とも言えないが、まるでコップやスプーンを持つかのようにシルフは軽く、このまま、キチンと持ち上げると腰が180度に曲がってしまうかと思った。
シルフの腹部を見ると服の上からでも分かるくらいに異様に凹んでいて、それを見た時には俺は再び、吐き気を催すが、口からは胃液しか出なかった。
「... ...大丈夫?」
「... ...」
俺は疲弊しきっていて大丈夫オジサンに返答する事も出来なくなっていた。
フラフラと歩き、もう、土を掘る事も出来ない。
俺はシルフに。
「ごめんな。俺もすぐにそっちに行くから... ...」
と言い残し、王宮に向かった。
さっきまで、足が重かったのだが、今は一人の人間を抱えていることもあってか更に重く、階段を一段下りていく毎に細々とした指先を伝って大切なゴーレム幼女の一部がポタポタとかすかに音を立てながら落ちる。
□ □ □
ゴーレム幼女をこのまま放置していたら、恐らく、獣に食べられてしまうと思い、俺は木の棒で穴を掘り、応急処置ではあるがそこに埋める。
もしかしたら破れた服では寒いのではと思い、自身の着ていた服を一枚脱いでゴーレム幼女にかけた。
「... ...」
埋葬用の穴を掘るまでは良かったが、人に土をかけるという今まで経験した事のない作業をして頭が痛くなり、その場にしゃがみ込む。
「... ...大丈夫?」
すかさず、大丈夫オジサンは横にきて、俺を励ますかのように腕をチョコンと乗せてくる。
「... ...うん。何とか」
この状況下の中で「何とか」と言えるほど、この不条理な出来事を受け入れていて、それを平然と言う自身がとても気持ち悪いと思い、その場で再び嘔吐してしまった。
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【ホワイトシーフ王国】
丁重にゴーレム幼女を埋葬すると、町の方から大勢の人の叫び声のようなものが聞こえ、ふらつきながらも広場に戻ってきた。
町は予想はしていたが悲惨な惨状。
復興しかけていた町は破壊され、塗装をしていたのかと錯覚するほどに町は赤で染まり、町人の大半は広場にある噴水にまるでゴミのように重ねられている。
まるで、この町全体が悪魔の作ったアート作品のように一つのテーマ性を持っているみたいだ。
広場から少し離れた路地にはホワイトとホワイトの兄の首が挿げ替えられ、祀られるような状態で壁にはりつけられている。
町人に馴染めなかった巨人の兄弟だったから、町人とは違う場所でこのような状態なのかと作成者の意図を読み取れる自分が怖い。
どうあがいても、俺はホワイトとホワイトの兄の亡骸を壁から降ろしてやる事は出来ない。
「... ...ごめんな」
と遠目から謝罪をし、王宮に向かう。
人の死に慣れてしまった俺は自身を軽蔑することすらも忘れていた。
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「... ...シルフ」
王宮に着く前の道の脇にシルフは飾られる事もなく、まるでゴミのように投げ捨てられていた。
シルフの身体に目立った外傷がなく、もしかしたらと少しの希望を抱きながらシルフの腰を持つと... ...。
「... ...軽い。軽すぎる」
シルフの身体を抱き抱えた事はないので何とも言えないが、まるでコップやスプーンを持つかのようにシルフは軽く、このまま、キチンと持ち上げると腰が180度に曲がってしまうかと思った。
シルフの腹部を見ると服の上からでも分かるくらいに異様に凹んでいて、それを見た時には俺は再び、吐き気を催すが、口からは胃液しか出なかった。
「... ...大丈夫?」
「... ...」
俺は疲弊しきっていて大丈夫オジサンに返答する事も出来なくなっていた。
フラフラと歩き、もう、土を掘る事も出来ない。
俺はシルフに。
「ごめんな。俺もすぐにそっちに行くから... ...」
と言い残し、王宮に向かった。
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