【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス

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決戦!イニャキート

第117話「殉教」

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ヌニェスは勝敗の見えている戦いに腹を決めたのか
せめて副将だけでもとプエリェスの元へ突っ込んで行く。

(参ったなぁ、こりゃ・・
お役人殿はこの状態でもまだ戦うおつもりか?)

「ん・・なんだ?」

ヒロンの前に細長い影が覆いかぶさった。
先ほどベナルカサルと戦っていたニドスであった。

ヒロン(こいつは・・間合いを置かれては終わる・・最初の立ち合いが肝だな)

ニドスは均整の取れた能面の様な顔立ちで構えもせず直立している。

ヒロンは振り向きざまに直ぐに踏み込むと、ニドスの懐に入った。

ヒロン「もらった!」

すかさずニドスの脇腹に剣を突き刺そうとした。

ヒロン(何?!)

ヒロンの剣が寸での所で止まる。

ニドスは槍を器用に自身の足元の方に突き刺していた。
そしてヒロンの前腕と腿辺りにニドスの槍が接触しており、
ヒロンは身体の構造上それ以上剣を押し込む事が出来なくなっていた。

ヒロンが呆気にとられている隙に、ニドスは肘を振り下ろした。

ゴッ!

ニドスの肘がヒロンの顎に入り、ヒロンは地面に倒れた。

ベナルカサル、ヒロンをはじめ主要な者たちはほぼ無力化された。

「グハッ、ヌニェス様・・」
一方ヌニェスの方は、護衛の最後の一人も力尽き
ヌニェスの防具も意味を成して無い程ボロボロになり
絶体絶命の状態となっていた。

ヌニェス「はぁ、はぁ、これは神の為の戦いだ・・」

「かみかみうるせぇな。そろそろ息の根を止めてや・・」

ビュオッという轟音と共に
ヌニェスは槍で相手をひと突きで絶命させた。

プェリェス「しかしあの爺さん突きしかできんのか?
どこまでも真っ直ぐにか・・堅物らしいわ。
やれ。」

複数のプエリェス兵が一斉にヌニェスに襲いかかった。

ヌニェスのどこにそんな力が残っているのか
闘志を漲らせ立ち向かう。

迫り来るプエリェス兵の攻撃を槍で受け止めようと、両手を上げる。

ガクンッ

その時だったヌニェスの膝は事切れた様に
曲がり、体勢を崩した。

バキッ!!

ヌニェスの槍は遂に折れた。
間髪入れずに
エルナンド・デ・トーレスという無名の者のメイスが
ヌニェスのこめかみに命中した。

「か、かみよ・・」

ヌニェス側は300人に対し、ゴンサロ側の死傷者は7人だった。
ヌニェス軍の何人かは絞首刑やチリ追放となったがベナルカサルやヒロンは恩赦を受けた。その場にカルバハルがいなかったのは、彼らにとっては幸運だった。

べニート「規則だからやっただぁ?それは人ではない。意思を持たぬただの道具よ。
道具は我等が使うためにあるもの。
逆に燃やすも壊すも我等の意思次第じゃ。
どうやって処分しようか?」

ベニートはヌニェスの喉元に剣を突きつけ、
侮辱的な言葉を浴びせた。

プエリェス「ベニート殿やめよ!
既に捕られた者に対して、手を下すのは卑劣な行為であろう。」
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