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文章の書きだしからインスパイアされてみる
■文章の書き出しからインスパイアされてみる 1
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まず小説を書こうとしたときの最初のハードルは、書きだし。
なんて、書きだせば、ペンが走るのだろう。まず自分が書きたいことがいまひとつ固まっていないので、どう書きだしていいかわからない。
逆に、書きたいことがないのに、書き出し、にヒントをもらって書き進める方法があります。
■インプレッションつぶやき法
だれかに、なにかを呟かせたり、叫ばしたりして、そこからストーリーや世界観を展開します。
■------------------------------------------------------------■
あぁ、それって、そういうことなんだ。
彼女はしばらくぼうっと考えた末に、その結論に達した。
「バカにつける薬を発見した」
いきなり彼はそう言ってきた。
■------------------------------------------------------------■
意味あり気に書いていますが、このあとなにも考えていません。えぇ。
でもとりあえず呟いたり、思ったりさせてみる。となんとなく、そのキャラや次の展開が見えてくる。
たとえば、今、ふいに下記の冒頭文が頭に浮かびましたので、そのあと適当に綴っていきます。
■------------------------------------------------------------■
それを彼に告げたとたん、ふたりの関係は終わると心のなかでは理解していた。
だが、それでも彼女は我慢できなかった。
■------------------------------------------------------------■
とここまで書いてみて、このあと突拍子もない展開にして、物語がうごかしてみる。
■------------------------------------------------------------■
「喉笛噛み切らせて!」
彼女はそう言った。いや、伝えきれたかどうかはわからなかった。それが口の端にのぼりきる前に、彼女は彼の喉笛に噛みついていた。彼もそれを承諾したかもわからなかった。彼の返事はごぼごぼと咽を鳴らす音だけだったから....。
沈黙は『肯定』を意味する。
彼女はいつも、そう自分勝手に決めていた。だれがなんと言おうとそれが自分のなかのルールだ。だが、前にだれかにそれを「卑怯者」となじられたことがあった。
笑わせてくれる——。
『卑怯者』は血のかよった人間に投げかけられるべき非難だ。わたしにそれをぶつけてなにになるのだろうか。腹を空かせた狼に取り囲まれて「卑怯者」と言えるものなら言ってみるがいい。
ふいに。ズズッというざらついた破擦音がして彼の長い無言の抗議が終わった。
■------------------------------------------------------------■
ここまでの描写で、彼女の独善的かつ哲学肌のキャラが勝手に浮き彫りになってきた。
なんも決めてないのに適当に書いてて浮かんできたが、こいつ嫌なヤツだなと思う。ひとを殺したという以上にいけ好かない。
まだ主人公か敵役か、端役かは自分のなかで決まっていない。
だが、いやなキャラだ。ならば中途半端な救いをもとめないで、徹底的にいやなキャラにすべきだろう。そう考えたとたん、下記のようなセリフが浮かんできた。
■------------------------------------------------------------■
損をした——。
咽から血を抜いて『生締め』をしているあいだに、すこし味わってみたのだが、おいしくなかったのだ。見てくれに騙されるという典型的なポカをやらかした。
この体格なら、たっぷり一週間分はある。このまずい飯を一週間……。
彼女は肩を落としてうなだれた。
こいつ、美味くない——。
雅美にもしばれたら、またしばらく笑いのネタにされるのがオチだ。
■------------------------------------------------------------■
さて、ここで、勝手に仲間がいる、というより、この食人が茶飯事という光景がみえてきた。
うむむむ....。広げすぎたか....。
しかもこの死体をどうやって片づける。一度に喰っちゃわないといずれバレる。
そのとき、ふっと桐野夏生先生の超名作「OUT」が頭をよぎる。
あぁ、こっちに展開をふってみるか。
■------------------------------------------------------------■
彼女はふーぅと大きくため息をつくと、スマートフォンをとりだし電話をかけた。
呼び出し音がなる。彼女はほっとした。あまりにも忙しいあの男は、『話し中』であることのほうが多い。それは真夜中である今であればなおさらだ。
カチリとして電話がつながった。
「あのーー、わたしです」
「は、またあんたかね。今度はどうした。食い切れないほど殺っちまったか。それともまた間違えて仲間を殺っちまったのかい」
「あ、いえ、イケメンを……」
「ほう、じゃあ、よかったじゃないか」
「あ、ちょっと。それが……、筋ばってて、あまりおいしくなさそうなんです」
電話のむこうであからさまに舌打ちする音が聞こえた。しばらく沈黙が続く。
「で、俺にどうしろ……」
機嫌がわるそうな声だったが、彼女はみなまで言わせず畳みかけるように言った。
「天才料理人 摩訶内 彼方まかない・かなた。あなたにこの人の料理を頼みたいの」
「料金は?」
「もちろん、たっぷり弾むわ。もし良ければ、わたしのからだで払ってもいいわよ」
「は、俺はあんたのおんなの身体も興味ねぇし、あんたのからだを食べようとも思わねぇ」
相変わらず、この男は口さがない。我々異端の種族側に与して商売しているくせに、おべんちゃらのひとつも言わない。本当に『喰えない男』だ。
「じゃあ、お金で払うわよ」
「いいだろう。いますぐ行く。場所を教えろ……」
「この『死に者狂い』が!」
■------------------------------------------------------------■
あぁ!。タイトルが出た。
自分でびっくり。ダラダラ書いていたらふいにタイトル出たー。
とまぁ、これがアイディアを「書き出し」から広げるの一例です。
参考になるかはわかりませんが、今、そうやって「冒頭」のシークエンスとキャラクタ、そして「タイトル」まででき上がったのでした。
まぁ、このあと書くつもりはないです。続きに興味を示されても「ない」と断言しますw。ねかせておいたらいつか目を覚ますかもしれませんが。
どうでしょう。ライブで適当に書いてみたのですが、作品が起ち上がる時のプロセスが見えてきてくれていれば嬉しいです。
なんて、書きだせば、ペンが走るのだろう。まず自分が書きたいことがいまひとつ固まっていないので、どう書きだしていいかわからない。
逆に、書きたいことがないのに、書き出し、にヒントをもらって書き進める方法があります。
■インプレッションつぶやき法
だれかに、なにかを呟かせたり、叫ばしたりして、そこからストーリーや世界観を展開します。
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あぁ、それって、そういうことなんだ。
彼女はしばらくぼうっと考えた末に、その結論に達した。
「バカにつける薬を発見した」
いきなり彼はそう言ってきた。
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意味あり気に書いていますが、このあとなにも考えていません。えぇ。
でもとりあえず呟いたり、思ったりさせてみる。となんとなく、そのキャラや次の展開が見えてくる。
たとえば、今、ふいに下記の冒頭文が頭に浮かびましたので、そのあと適当に綴っていきます。
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それを彼に告げたとたん、ふたりの関係は終わると心のなかでは理解していた。
だが、それでも彼女は我慢できなかった。
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とここまで書いてみて、このあと突拍子もない展開にして、物語がうごかしてみる。
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「喉笛噛み切らせて!」
彼女はそう言った。いや、伝えきれたかどうかはわからなかった。それが口の端にのぼりきる前に、彼女は彼の喉笛に噛みついていた。彼もそれを承諾したかもわからなかった。彼の返事はごぼごぼと咽を鳴らす音だけだったから....。
沈黙は『肯定』を意味する。
彼女はいつも、そう自分勝手に決めていた。だれがなんと言おうとそれが自分のなかのルールだ。だが、前にだれかにそれを「卑怯者」となじられたことがあった。
笑わせてくれる——。
『卑怯者』は血のかよった人間に投げかけられるべき非難だ。わたしにそれをぶつけてなにになるのだろうか。腹を空かせた狼に取り囲まれて「卑怯者」と言えるものなら言ってみるがいい。
ふいに。ズズッというざらついた破擦音がして彼の長い無言の抗議が終わった。
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ここまでの描写で、彼女の独善的かつ哲学肌のキャラが勝手に浮き彫りになってきた。
なんも決めてないのに適当に書いてて浮かんできたが、こいつ嫌なヤツだなと思う。ひとを殺したという以上にいけ好かない。
まだ主人公か敵役か、端役かは自分のなかで決まっていない。
だが、いやなキャラだ。ならば中途半端な救いをもとめないで、徹底的にいやなキャラにすべきだろう。そう考えたとたん、下記のようなセリフが浮かんできた。
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損をした——。
咽から血を抜いて『生締め』をしているあいだに、すこし味わってみたのだが、おいしくなかったのだ。見てくれに騙されるという典型的なポカをやらかした。
この体格なら、たっぷり一週間分はある。このまずい飯を一週間……。
彼女は肩を落としてうなだれた。
こいつ、美味くない——。
雅美にもしばれたら、またしばらく笑いのネタにされるのがオチだ。
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さて、ここで、勝手に仲間がいる、というより、この食人が茶飯事という光景がみえてきた。
うむむむ....。広げすぎたか....。
しかもこの死体をどうやって片づける。一度に喰っちゃわないといずれバレる。
そのとき、ふっと桐野夏生先生の超名作「OUT」が頭をよぎる。
あぁ、こっちに展開をふってみるか。
■------------------------------------------------------------■
彼女はふーぅと大きくため息をつくと、スマートフォンをとりだし電話をかけた。
呼び出し音がなる。彼女はほっとした。あまりにも忙しいあの男は、『話し中』であることのほうが多い。それは真夜中である今であればなおさらだ。
カチリとして電話がつながった。
「あのーー、わたしです」
「は、またあんたかね。今度はどうした。食い切れないほど殺っちまったか。それともまた間違えて仲間を殺っちまったのかい」
「あ、いえ、イケメンを……」
「ほう、じゃあ、よかったじゃないか」
「あ、ちょっと。それが……、筋ばってて、あまりおいしくなさそうなんです」
電話のむこうであからさまに舌打ちする音が聞こえた。しばらく沈黙が続く。
「で、俺にどうしろ……」
機嫌がわるそうな声だったが、彼女はみなまで言わせず畳みかけるように言った。
「天才料理人 摩訶内 彼方まかない・かなた。あなたにこの人の料理を頼みたいの」
「料金は?」
「もちろん、たっぷり弾むわ。もし良ければ、わたしのからだで払ってもいいわよ」
「は、俺はあんたのおんなの身体も興味ねぇし、あんたのからだを食べようとも思わねぇ」
相変わらず、この男は口さがない。我々異端の種族側に与して商売しているくせに、おべんちゃらのひとつも言わない。本当に『喰えない男』だ。
「じゃあ、お金で払うわよ」
「いいだろう。いますぐ行く。場所を教えろ……」
「この『死に者狂い』が!」
■------------------------------------------------------------■
あぁ!。タイトルが出た。
自分でびっくり。ダラダラ書いていたらふいにタイトル出たー。
とまぁ、これがアイディアを「書き出し」から広げるの一例です。
参考になるかはわかりませんが、今、そうやって「冒頭」のシークエンスとキャラクタ、そして「タイトル」まででき上がったのでした。
まぁ、このあと書くつもりはないです。続きに興味を示されても「ない」と断言しますw。ねかせておいたらいつか目を覚ますかもしれませんが。
どうでしょう。ライブで適当に書いてみたのですが、作品が起ち上がる時のプロセスが見えてきてくれていれば嬉しいです。
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