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ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第75話 すぐにあいつの首を刎ねろ
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セイが手を上にあげたまま、念をこめると、地上に展開していた刀剣が次々と水のなかに飛び込んできた。何本もの剣が水のなかで網状に組み上がりはじめると、足場になるほどの密度になったところで、ラ・イールたちのからだを上に持ちあげるように上昇しはじめた。
自分も含めて四人同時のからだを持ちあげるのは、今のセイには負担がおおきかったが、泣き言を言っている余裕はなかった。
だが本当に余裕がないのは、四人とも無事に岸に戻ってきてからのほうだった。
「セイ! リアム様が……」
まだ肩で息をしているセイに駆け寄ってきたジャンヌが、涙声で訴えてきた。セイのキズはまだ完全に治癒していなかったが、セイはただならぬ血相に促されるようにして、立ちあがった。
リアムは息をしていないように見えた。
頭の片側が吹き飛び、右胸からは血が吹きだし、腹におおきな穴が開いていた。左足は太ももの半分くらいが削れて骨が剥き出しになっていた。
到底生命がるとは思えないほどの損壊——
だが、ジャンヌが声をかけると、リアムはかろうじて応じた。
「リアムさま! セイが、神の子、セイが戻ってきました」
「セ……イ…… ぶ……じ……だった……」
「リアムさん、しっかりしてください。借りてた精神力をお返しします。すぐに修復と回復に……」
「ばーか…… そしたらおまえがジャンヌを守れねぇだろうが……」
「でも、このままじゃあ……」
「しん……ぱい……すんな。まだアイツをこう……そくしてる」
「拘束?」
セイは反射的にふりむいて、川面の中空に浮いているハマリエルのほうを見た。
ハマリエルはその場にいた。そして厚い空気の層で締めつけられていた。
「セイ…… すぐにあいつの首を刎ねろ。こっちはあんまりもたねぇ」
「リアムさん、回復につとめてください」
「ん……ああ……おまえがあいつ……を倒したら……」
ジル・ド・レが叫んだ。
「ああっ! 空気の壁が薄くなってきてるっ!」
ハマリエルを取り巻いている空気の壁が先ほどより薄くなっているのがわかった。表層部分がペラペラとはげ落ちているように見えた。
「セイ……早いこと……頼むぜ。じき、おさえ……らンなくなりそうだ……」
リアムのことばは、うわ言のようだった。
セイはハマリエルのほうに向き直ると、背中越しにリアムに声をかけた。
「リアムさん、まかせてください。かならず倒します」
自分も含めて四人同時のからだを持ちあげるのは、今のセイには負担がおおきかったが、泣き言を言っている余裕はなかった。
だが本当に余裕がないのは、四人とも無事に岸に戻ってきてからのほうだった。
「セイ! リアム様が……」
まだ肩で息をしているセイに駆け寄ってきたジャンヌが、涙声で訴えてきた。セイのキズはまだ完全に治癒していなかったが、セイはただならぬ血相に促されるようにして、立ちあがった。
リアムは息をしていないように見えた。
頭の片側が吹き飛び、右胸からは血が吹きだし、腹におおきな穴が開いていた。左足は太ももの半分くらいが削れて骨が剥き出しになっていた。
到底生命がるとは思えないほどの損壊——
だが、ジャンヌが声をかけると、リアムはかろうじて応じた。
「リアムさま! セイが、神の子、セイが戻ってきました」
「セ……イ…… ぶ……じ……だった……」
「リアムさん、しっかりしてください。借りてた精神力をお返しします。すぐに修復と回復に……」
「ばーか…… そしたらおまえがジャンヌを守れねぇだろうが……」
「でも、このままじゃあ……」
「しん……ぱい……すんな。まだアイツをこう……そくしてる」
「拘束?」
セイは反射的にふりむいて、川面の中空に浮いているハマリエルのほうを見た。
ハマリエルはその場にいた。そして厚い空気の層で締めつけられていた。
「セイ…… すぐにあいつの首を刎ねろ。こっちはあんまりもたねぇ」
「リアムさん、回復につとめてください」
「ん……ああ……おまえがあいつ……を倒したら……」
ジル・ド・レが叫んだ。
「ああっ! 空気の壁が薄くなってきてるっ!」
ハマリエルを取り巻いている空気の壁が先ほどより薄くなっているのがわかった。表層部分がペラペラとはげ落ちているように見えた。
「セイ……早いこと……頼むぜ。じき、おさえ……らンなくなりそうだ……」
リアムのことばは、うわ言のようだった。
セイはハマリエルのほうに向き直ると、背中越しにリアムに声をかけた。
「リアムさん、まかせてください。かならず倒します」
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