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12.何度も絶頂を奪われて
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三回目の絶頂に脳天を貫かれたわたしは、身体も秘部もひくひく震えて止まらなかった。
「はっ……はぁ……」
ぐったりしたわたしの中から、主任は指を抜こうとしない。
滴る蜜液が主任の手の平まで濡らし、気にしていたソファもびしょ濡れだった。
「す……すみま、せん……ソファが……」
「お前……まだ気にしてたのか」
ちょっと呆れた声が返ってくる。
けれどすぐに目元をやわらげ、瞼や鼻先に優しいキスを落としてきた。
「大丈夫だ。気にするな」
なだめるようなキスをいくつも落とされると、これがアフレコのための練習だということを忘れてしまいそうだった。
「しゅ、にん……」
とろけてしまうような快感をいくつも味わったわたしの口からは、甘い吐息がもれる。
「そんなふうに呼ばれると誘ってるみたいだな」
優しい空気にすっかり気を許して身体の力が抜けてきたのに、中に挿れられたままの指がいきなり、お腹側を引っ掻いてきた。
「んぁ……ッ!」
鎮まりかけていた快感が再び燃え上がり、全身に期待の熱がほとばしる。
何度も中を引っ掻かれると快楽の熱で脳みそまでとかされそうなのに、口から出るのは正反対の言葉ばかりだ。
「あぁ、ンっ、いやっ……もう……ダメ……っ」
「本当に嫌なら、もっとちゃんと拒めよ」
――そんなことできない。
こんなにトロトロで腰をくねらせるほど甘くて切ない刺激を、本気で拒むなんてできなかった。
主任は拒まないことをわかっていたようで、ぬちぬちと隘路から蜜を掻き出し官能の悦びを与えてくる。
「あ、や、あん!」
「気持ちいいなら気持ちいいって言ったらどうだ」
言わない。
そんなこと絶対言わないっ。
最初に指を挿れられたときには言っちゃったけど、今思うと死ぬほど恥ずかしいから絶対もう言わないっ!
「とろけた顔して睨んできても、俺の加虐心を煽るだけだぞ?」
ってことはつまり、主任ってやっぱりSなの!?
意地悪な顔をして気持ちいいところを何度も刺激してくるから、わたしは泣きながらまた達してしまった。
「あっ、やっ、ああぁんっ」
泣きながら達するなんて主任の思う壺だ。
案の定、主任は責める手を緩めない。
今度は胸の先端を啄みながら何度も中を擦り、同時に親指で膨らんだ花芽も捏ねくり回してくるから、わたしはひたすら悶えるしかなかった。
「あっ、あっ、また……イッちゃう……ッ……」
我慢できなくて、はしたなさも忘れるほど腰を揺らし、またしてもビクビクッと昇りつめてしまった。
そんなわたしと目を合せた主任は、愛おしいものでも見るような眼差しで深いキスをしてくる。
感じやすくなった身体は、舌で咥内を掻き回されるだけでもう一度達してしまう。
「ん……んん……っ!」
「いい感じにイケるようになったな」
混じり合った唾液が糸を引くほど濃厚なキスに打ち震え、眩暈を覚えた。
さっき主任は、わたしに幻滅しないかと聞いてきたけれど、主任こそ幻滅していないだろうか……
キスのせいで心まで甘く熱く痺れ、こんなにも快感に染まった淫らなわたしを見て。
「……しゅにん」
「なんだ」
「キスのりゆう……きこえなかったので……もう一度……きいてもいいですか……」
理性を取り戻したいのに、全身に巡る甘い気怠さが意識を全部もっていってしまい、頭の中が真っ白になっていく。
(だめだ……、何も考えられなく……なってきた……)
いまにも瞼が閉じそうなわたしの頬を、主任の指が優しく滑っていく。
「……聞こえなかったならいい」
「そんな……ききたい……で……す……」
だっていま、少し寂しそうな顔した。
そんな顔をされたら、食い下がりたくなる。
けれど、身体はいうことをきいてくれなくて、これ以上口がまわらない。
「……また今度な」
額にゆっくりと、主任の温もりが触れた。
結局理由を聞けないまま、わたしは深い眠りに落ちていった。
◆◆◆◆◆
月曜日。
社内にはいつも通り、主任の怒鳴り声が響いていた。
「何やってるんだっ、そんなんじゃ間に合わないだろ! さっさと先方にアポとって行ってこい!」
「すみませんっ、すぐ行ってきます!」
(相変わらずすごい迫力……)
今日怒られているのは同期の男性社員だ。
気の毒に。
女性社員は自分に火の粉が飛ばないよう、脇目も振らず目の前の仕事をこなしている。
わたしはというと、いつもと変わらない主任の姿に、土曜日の出来事は夢だったのではないかと思っていた。
あの後どうなったかというと、スミレからパソコンの調子が悪いからアフレコは日曜に変更と連絡が入ったため、主任はわたしが目覚めるとさっさと車で家まで送り解散となった。
車の中での会話はほぼゼロ。
そして翌日、何事もなかったようにわたしと主任はスミレのマンションに集まりアフレコ開始。
何回かやり直しはあったものの、格段に上手くなったわたしをスミレは大絶賛、大満足してくれる結果となった。
そりゃそうだろう。あんだけ激しい練習をしたのだから。
収録は1時間半ほどで終わり、はいさようなら、だった。
――で今日にいたる、というわけである。
とりあえず役目は果たしたし、土曜日のアレはただ練習に付き合ってくれただけと思うことにして、深く考えないようにした。
(むしろ、思い出すと恥ずかしいし忘れよう)
主任にとってもアレは、出来損ないの部下を教育し育て上げたみたいなものだろう。
深い意味はないはずだ。
わたしは気持ちを入れ替え仕事に集中した。
しばらくすると、窓際の席から「吉住」と呼ばれる。
主任だ。
思わず身構えたが、相変わらず顔が素敵なくらい険しいのでオタク丸出しで萌えてしまった。
わたしって本当異常すぎる。
自覚はあるけれど、やっぱり主任の整った顔が好きというオタク心は止められない。
心をざわつかせながら、何食わぬ顔を装って主任の席まで行くのも、もうお手の物だ。
「なんでしょうか?」
「ちょっと来い」
(なんだろう……わたしなんかまたミスした?)
「はい……」
そそくさと主任の後についていくと、会議室に入っていく。
パタンとドアが閉まり、こちらを見てくる主任にドキリと心臓が跳ねた。
「あの……ご用件はなんでしょう?」
やっぱり土曜日のことを忘れるなんてムリだ。
ふたりきりになるとあれこれ思い出してしまう。
「お前、顔が赤いが熱でもあるのか?」
「へ、平気です。平熱ですからっ。それよりご用件を……!」
「ああ、これを渡そうと思ってな」
主任は手にしていたファイルの中から、薄い冊子を出して渡してくる。
「スミレから預かった」
(なんだろうこれ?)
表紙は真っ白。
ひっくり返した裏側も真っ白だ。
「これは?」
「新しい台本だ」
(……はい?)
目を瞬かせながら主任を窺う。
スミレからの依頼はきちんとこなして、もう終わったはずだ。
なのに台本って何?
不思議に思ったが、この謎はすぐ解けることとなる。
「伝言だ。『これからもアフレコよろしく』ってさ」
「………………ええーーっ!?」
「次からは報酬払わせてくれって言ってたぞ。よかったな」
全然よくない!
一回きりだから割り切ってやれたのだ。
さすがに二回も三回もできることじゃない。
しかし、スミレはこうと決めたら考えを曲げない人だ。
これはもう断る権利のない決定事項なのである。
「そういえば、今後はもっと過激なものを描くって言ってたな」
(えっ、嘘でしょ……!)
主任はひとり言のように言うと、Sっ気たっぷりの笑みを浮かべた。
それは暗に、土曜日のような練習が必要ならまた言ってこいと言われてるように見える。
その思惑どおり、再びとろけるような甘い練習が待ちかまえているなんて、このときのわたしは思いもしないのだった。
「はっ……はぁ……」
ぐったりしたわたしの中から、主任は指を抜こうとしない。
滴る蜜液が主任の手の平まで濡らし、気にしていたソファもびしょ濡れだった。
「す……すみま、せん……ソファが……」
「お前……まだ気にしてたのか」
ちょっと呆れた声が返ってくる。
けれどすぐに目元をやわらげ、瞼や鼻先に優しいキスを落としてきた。
「大丈夫だ。気にするな」
なだめるようなキスをいくつも落とされると、これがアフレコのための練習だということを忘れてしまいそうだった。
「しゅ、にん……」
とろけてしまうような快感をいくつも味わったわたしの口からは、甘い吐息がもれる。
「そんなふうに呼ばれると誘ってるみたいだな」
優しい空気にすっかり気を許して身体の力が抜けてきたのに、中に挿れられたままの指がいきなり、お腹側を引っ掻いてきた。
「んぁ……ッ!」
鎮まりかけていた快感が再び燃え上がり、全身に期待の熱がほとばしる。
何度も中を引っ掻かれると快楽の熱で脳みそまでとかされそうなのに、口から出るのは正反対の言葉ばかりだ。
「あぁ、ンっ、いやっ……もう……ダメ……っ」
「本当に嫌なら、もっとちゃんと拒めよ」
――そんなことできない。
こんなにトロトロで腰をくねらせるほど甘くて切ない刺激を、本気で拒むなんてできなかった。
主任は拒まないことをわかっていたようで、ぬちぬちと隘路から蜜を掻き出し官能の悦びを与えてくる。
「あ、や、あん!」
「気持ちいいなら気持ちいいって言ったらどうだ」
言わない。
そんなこと絶対言わないっ。
最初に指を挿れられたときには言っちゃったけど、今思うと死ぬほど恥ずかしいから絶対もう言わないっ!
「とろけた顔して睨んできても、俺の加虐心を煽るだけだぞ?」
ってことはつまり、主任ってやっぱりSなの!?
意地悪な顔をして気持ちいいところを何度も刺激してくるから、わたしは泣きながらまた達してしまった。
「あっ、やっ、ああぁんっ」
泣きながら達するなんて主任の思う壺だ。
案の定、主任は責める手を緩めない。
今度は胸の先端を啄みながら何度も中を擦り、同時に親指で膨らんだ花芽も捏ねくり回してくるから、わたしはひたすら悶えるしかなかった。
「あっ、あっ、また……イッちゃう……ッ……」
我慢できなくて、はしたなさも忘れるほど腰を揺らし、またしてもビクビクッと昇りつめてしまった。
そんなわたしと目を合せた主任は、愛おしいものでも見るような眼差しで深いキスをしてくる。
感じやすくなった身体は、舌で咥内を掻き回されるだけでもう一度達してしまう。
「ん……んん……っ!」
「いい感じにイケるようになったな」
混じり合った唾液が糸を引くほど濃厚なキスに打ち震え、眩暈を覚えた。
さっき主任は、わたしに幻滅しないかと聞いてきたけれど、主任こそ幻滅していないだろうか……
キスのせいで心まで甘く熱く痺れ、こんなにも快感に染まった淫らなわたしを見て。
「……しゅにん」
「なんだ」
「キスのりゆう……きこえなかったので……もう一度……きいてもいいですか……」
理性を取り戻したいのに、全身に巡る甘い気怠さが意識を全部もっていってしまい、頭の中が真っ白になっていく。
(だめだ……、何も考えられなく……なってきた……)
いまにも瞼が閉じそうなわたしの頬を、主任の指が優しく滑っていく。
「……聞こえなかったならいい」
「そんな……ききたい……で……す……」
だっていま、少し寂しそうな顔した。
そんな顔をされたら、食い下がりたくなる。
けれど、身体はいうことをきいてくれなくて、これ以上口がまわらない。
「……また今度な」
額にゆっくりと、主任の温もりが触れた。
結局理由を聞けないまま、わたしは深い眠りに落ちていった。
◆◆◆◆◆
月曜日。
社内にはいつも通り、主任の怒鳴り声が響いていた。
「何やってるんだっ、そんなんじゃ間に合わないだろ! さっさと先方にアポとって行ってこい!」
「すみませんっ、すぐ行ってきます!」
(相変わらずすごい迫力……)
今日怒られているのは同期の男性社員だ。
気の毒に。
女性社員は自分に火の粉が飛ばないよう、脇目も振らず目の前の仕事をこなしている。
わたしはというと、いつもと変わらない主任の姿に、土曜日の出来事は夢だったのではないかと思っていた。
あの後どうなったかというと、スミレからパソコンの調子が悪いからアフレコは日曜に変更と連絡が入ったため、主任はわたしが目覚めるとさっさと車で家まで送り解散となった。
車の中での会話はほぼゼロ。
そして翌日、何事もなかったようにわたしと主任はスミレのマンションに集まりアフレコ開始。
何回かやり直しはあったものの、格段に上手くなったわたしをスミレは大絶賛、大満足してくれる結果となった。
そりゃそうだろう。あんだけ激しい練習をしたのだから。
収録は1時間半ほどで終わり、はいさようなら、だった。
――で今日にいたる、というわけである。
とりあえず役目は果たしたし、土曜日のアレはただ練習に付き合ってくれただけと思うことにして、深く考えないようにした。
(むしろ、思い出すと恥ずかしいし忘れよう)
主任にとってもアレは、出来損ないの部下を教育し育て上げたみたいなものだろう。
深い意味はないはずだ。
わたしは気持ちを入れ替え仕事に集中した。
しばらくすると、窓際の席から「吉住」と呼ばれる。
主任だ。
思わず身構えたが、相変わらず顔が素敵なくらい険しいのでオタク丸出しで萌えてしまった。
わたしって本当異常すぎる。
自覚はあるけれど、やっぱり主任の整った顔が好きというオタク心は止められない。
心をざわつかせながら、何食わぬ顔を装って主任の席まで行くのも、もうお手の物だ。
「なんでしょうか?」
「ちょっと来い」
(なんだろう……わたしなんかまたミスした?)
「はい……」
そそくさと主任の後についていくと、会議室に入っていく。
パタンとドアが閉まり、こちらを見てくる主任にドキリと心臓が跳ねた。
「あの……ご用件はなんでしょう?」
やっぱり土曜日のことを忘れるなんてムリだ。
ふたりきりになるとあれこれ思い出してしまう。
「お前、顔が赤いが熱でもあるのか?」
「へ、平気です。平熱ですからっ。それよりご用件を……!」
「ああ、これを渡そうと思ってな」
主任は手にしていたファイルの中から、薄い冊子を出して渡してくる。
「スミレから預かった」
(なんだろうこれ?)
表紙は真っ白。
ひっくり返した裏側も真っ白だ。
「これは?」
「新しい台本だ」
(……はい?)
目を瞬かせながら主任を窺う。
スミレからの依頼はきちんとこなして、もう終わったはずだ。
なのに台本って何?
不思議に思ったが、この謎はすぐ解けることとなる。
「伝言だ。『これからもアフレコよろしく』ってさ」
「………………ええーーっ!?」
「次からは報酬払わせてくれって言ってたぞ。よかったな」
全然よくない!
一回きりだから割り切ってやれたのだ。
さすがに二回も三回もできることじゃない。
しかし、スミレはこうと決めたら考えを曲げない人だ。
これはもう断る権利のない決定事項なのである。
「そういえば、今後はもっと過激なものを描くって言ってたな」
(えっ、嘘でしょ……!)
主任はひとり言のように言うと、Sっ気たっぷりの笑みを浮かべた。
それは暗に、土曜日のような練習が必要ならまた言ってこいと言われてるように見える。
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