VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第五章 幸せに向かって

第七話 演目 楽器の村の復旧作業

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 縁達はコウの依頼により、自然災害の被害にあった村の近くに来ていた。
 
「唐突に復興支援する事になりましたが……俺にも出来るんですか?」
「もちろんだ天空原君、だだ状況によって必要な物が変わる」
「状況ですか?」
「極端な話だが、衣食住がしっかりとしてないのに、娯楽を提供されても仕方ないよな?」
「確かにそうですね」
「とりあえず目で確かめよう、そして言っておくのは」
「何でしょうか」
「君は現状出来る事は少ないが、君にしかできない事もある」
「……はい」

 遠目からでも土砂や木々が積りに積もっている、縁達は早歩きで村へと向かった。

「おいおい、酷いなこりゃ」

 斬銀がそう声を上げるほど酷かった、家も畑も何もかもが土に飲まれていた。
 少し離れた所にテントや飲食類が入っていそうな木箱もある。
 そして村人達は必死になって作業をしている。

「ん? アンタらが黄龍が言っていた奴らか?」

 顔が白虎、尻尾が狐の亜人が縁達の所へと早足で来た。
 作業着が一番泥まみれで、顔や尻尾にも泥がついている。

「あたいは白虎のビャッコン、白虎と狐のハーフってやつだね」
「ビャッコン、状況は?」
「おう斬銀! んじゃ状況を説明すると、自然災害で村は崩壊、大切な物が土砂等で埋まっている為に、力技で退けるのは無理、村人達の衣食住は何とかなっている」
「ビャッコンさん、その大切な物とは?」
「……ほう、お前さんは縁の神か、大切な物は楽器――」
「おっとっと、楽器と聞いたら縁君より私が黙っちゃいないよん」

 結びはトライアングルを出しビーダーで叩いた。
 高い音が鳴り響くが村人達は気付いていない。
 つまりはそれだけ、埋もれてしまった楽器が大切ということだ。
 何かを感じ取った結びが縁を見る。

「縁君、村人の人達の楽器全てどうにかできる?」
「もちろんだ、俺も良き縁を感じた……これなら大丈夫だ」

 そう言いつつ縁は鞄からブルーシートを取り出した。
 結び達はブルーシートを広げて、縁は鞄をあさり始める。
 そして鞄からは泥まみれの楽器が出て来た。

「これを広げてくれ、取り出した物を並べる」
「よっしゃ」

 次々と楽器をブルーシートに並べていくと、女の子が不思議そうな顔をしながやってきた。

「虎と狐のおばあちゃん、何しているの?」

 そう言いながら女の子はブルーシートを見ると……

「あ! 村長さんのトライアングル!」

 女の子がとても大きな声を出した。
 それに反応してわらわらと村人達がブルーシートの前に集まってくる。
 並べられている楽器を見て、村人達はガヤガヤと色々と言っていた。

「うーむ……壊れている物もいくつかあるね」
「すまん、取り出せても復元まで出来ない」
「いやいや、大切な物を手繰り寄せるって凄いよ」
「いや、それはこの村の人達が音楽を大切にしていて、楽器と良き縁を作っていたからだ」

 そこに村長らしい人がブルーシートへと近寄り、トライアングルを手に取った。
 音楽の授業で使いそうなサイズのトライアングルである。

「こ、これは……間違いなく! フィーネ・フェルマータ様から貰ったトライアングル!」
「お、やっぱおばあちゃんのだったか」
「おばあちゃんですと? 失礼ですが貴女は?」
「私は風野音結び、フィーネ・フェルマータは母方の祖母です」
「おお! フェルマータ様のお孫様に会えるとは!」
「様はいらないよ、あ、村長さんですか?」
「はっ! はいそうです、つい喜びの為に自己紹介を忘れましたな」

 村長は深々と頭を下げる、それを見ていた村人達も釣られて頭を下げだした。
 きっと、楽器のお礼もあるのだろう。

「私はこの村、ガッキーンの村長、小前野尊倶おまえのそんぐです」
「小前野村長さん、村の状況はどうなの?」
「はい、突然の自然災害数々で崩壊し最低限の生活でした……が!」

 小前野村長は自分のトライアングルを天に掲げて、ビーダーで音を出した。
 甲高い音が辺りに響く、小前野村長の歓喜の雄叫びのように。

「私達は音楽と共に生きる村です、壊れていても楽器が手元に戻ってきた事が何よりの喜び! 無論命も大切ですが……風野音さん! ありがとうございます!」
「お礼なら縁君に言って」
「俺は何もしていない、良き縁を持っていたこの人達の積み重ねだ」
「もしや貴方は……」

 小前野村長は、縁を神ではないかと感じ取り同時に考えた。
 それはこの状況で縁を神と言ってしまう事。
 縁はただ小前野村長を見ている、見ているだけなのだが。
 身の丈に合う選択をしろ、そう物語っている様に見えたのだ。

「コホン、縁殿でよろしいかな?」
「はい」
「ありがとうございました」
「いえ、まだ終わっていません、俺が仮設住宅と寝具、食料品を支給します」
「なっ!?」

 村長と同時に村人達は驚きの声を上げた。
 簡単に言えば、いきなりあしながおじさんが出てきたからだ。
 今の縁の考えは、自分を神として扱わなかった故に手助けである。
 この状況で神と言ってしまえば、縁は神として助けなければならない。
 ちょっとした神の試練、簡単すぎる様に見える。
 だが極限状況で神に助けを求めない身の丈の選択。

 一言で言えば合格したから縁として支援するだけの話だ。
 カミホンを操作する縁に、満足そうな顔をして話しかける結び。

「縁君太っ腹だね~」
「何、縁の神は言っていた、身の丈を守る者の幸せを守れと」
「んじゃ、その神様を見習って楽器関係は私の知り合いに連絡するよ、だけどその前に」

 結びは土砂や家の残額を指差した、村人達もそちらの方向を見る。

「がれき類の片付けを手伝おうか」
「だな」
「皆の者! 気合いを入れるぞ!」
「おお!」
「楽器が無事なら魔法を使えるぜ!」
「手作業の必要が無くなったな!」

 縁と結びは村人達と復旧作業へと向かった。
 残されたビャッコン、斬銀、特に天空原はあっけにとられていた。

「一瞬で一番の問題解決しちまったよ……流石は現役の神か」
「神ってのは助けるに値しないと見捨てるぜ? ってお前も元神では?」
「あのな斬銀、神が手助けってのは気まぐれだったり、対価を要求したりする、私は今仕事でここに居る、神としてではないね」
「つまりは甘えるなって事だな」
「……」

 天空原はボケっと縁の背中をずっと見ている。
 この村に来る前に、自分にしかできない事があると言っていた言葉。
 今天空原は喉元まで、自分が役に立つ事は無いと吐き捨ててしまいそうだ。
 それを察したのか斬銀が天空原の肩に手を置いた。

「ほれ天空原、とりあえずがれきの撤去だ」
「あ、はい、そうですね」

 今の自分と縁の差は歴然、大人と子供の出来る事は――
 いや、神と猫の亜人に出来る事は火を見るよりも明らかだ。
 そんな事を考える暇があるなら、目の前のがれきの撤去を手伝ったほうがいい。
 天空原は気持ちを改めて、復旧作業を手伝うのだった。
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