VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

文字の大きさ
298 / 346
第五章 幸せに向かって

第七話 演目 縁を冒涜する行為

しおりを挟む
 なんだかんだと復興支援作業もひと段落して、やる事はほぼ無くなっていた。
 今は縁が頼んだ物資と、買い出しに出掛けた朱雀すざくを待っていた。
 白虎のビャッコン曰く、村の人達の日用品を買いに飛び立った。
 直ぐに帰ってくると言っていたらしいのだが、まだ帰ってこない。

「トライアングルのおばあさん、凄いー」
「ふふ、あなたの音楽も素敵ですよ」
「お兄ちゃん、これ叩いて」
「……カスタネット? いや、形が違うか?」
「|虎狐«とらぎつね»のおばあちゃん、これ使ってみて!」
「いやいや、私は楽器なんて使えないよ」

 フィーネも天空原もビャッコンも、村の人達との交流を楽しんでいた。
 縁達はというと少し離れた所でその様子をみている。

「良かった良かった、このまま特になにもなければいいね~」
「そうだ――」

 そうは問屋がおろさないと言わんばかりに、縁のカミホンが鳴った。
 その鳴り方は緊急事態の音だった、縁は直ぐにでる。

「どうしたサンディ?」
『縁、お前今戻ってこれるか?』
「何があった?」
『とりあえず学園に戻って来てくれて』
「ああ」
「お、なんだねなんだね?」
「すまん、一度俺は学園に戻る」
「ほいほい、私はここで待っとるよ、縁君が頼んだ荷物を受け取りしないとね」
「すまない」
「いってらっしゃい~」

 縁はその場から消えて学園へと向かった。
 学園の入り口へと移動すると、サンディが立っている。

「縁、大変な事が起きた」
「どうしたんだ?」
「地獄谷の実家が壊されたらしい!」
「は?」

 縁は考えの止まった、言っている事は理解出来るのだが唐突だ。
 地獄谷が校舎かせ走ってきて、縁の近くで止まった。

「あ! 縁先生! 実家壊されたにゃ!」
「……実家に案内してくれ」
「にゃ! シーナ先生、ちょっといってくるにゃ」
「ああ」

 地獄谷の力で地獄へとやって来た縁達、目の前あったはずのものが――

「……何があったんだ?」

 無かった、作業場も家も全壊している。
 地獄谷は直視できないのか下を向いていた。

「縁さん!」

 形白かたしろ蔓梅つるうめが縁の背後から声をかけた。
 ぞろぞろとこの地域の人達と長っぽい人が居る。

「形白さん、蔓梅さん、何があったのですか?」
「久しぶりに家に帰ってきたら、この有り様だったんですよ」
「やっと炎花ちゃんが帰ってきたのに」
「何処のどいつなんだ?」
「噂だとどこぞの十二支らしいぞ?」
「この里も戦いになるのか?」

 縁は里の人達の言葉でハッとした、自分の考えがたらなかった事に。
 地獄谷を守ればいいと思っていたが、前に来た時も遠くに民家が見えていた。
 なら地獄谷だけではなく、この地域全体を見なくてはならなかった。

「……俺の考えがたらなかった、近くに住んでいる人達の事まで頭が回らなかった、巻き込まれるのは当然じゃないか」
「いえいえ縁の神様、大丈夫ですよ」
「貴女は?」
「私はこの集落をまとめている『祝言しゅうげん』と申します」

 祝言と名乗ったおばあさんは、縁を見て手を合わせてお辞儀をした。

「縁の神様、形白達の事情は聞いております、本来ならば私が――」
「いやいや待ってくれ長! こうなりゃ俺達全員の問題だろ!」
「この里の者達は過去に十二支と戦った者達だ!」
「細かく言えばクソネズミと戦った一族だな」
「今はそんな話はいいだろ」
「いや、敵が十二支なら関係あるだろ」
「そうだ! 今こそ我らの武力を見せる時!」
「十二支がどんな理由か知らねぇが! よりによって地獄谷の家に手を出すとは!」

 里の人達はやる気満々のようだ、それだけ地獄谷の家が慕われていて、炎花が可愛がられているのだろう。
 突然地獄谷が土下座をし始めた、縁は慌ててやめさせようとするが――

「縁先生、父上と母上の大切に家をぶっ壊した犯人を許せないにゃ! ここには……父上と母上の思い出が……あったにゃ! でも私が逆立ちしても間違いなく返り討ちに合うにゃ! 私は強くないにゃ! 代わりに恨みを晴らしてにゃ!」

 地獄谷は間違いなく泣いている、自分が人の世に出だ事で、結果的に実家を壊されたと思っているのだろう。

「……ここまでされても黙って泣いてるしか出来ないにゃ、今ほど先生達ほど強ければと思った事はないにゃ、この恨み――」

 形白と蔓梅も娘に続いて土下座をし始めた。
 それを見た祝言もして、里の人達も次々と土下座をする。
 縁は覚悟を決めて話を聞くことにした。

「縁様、私に出来る事は何でも致します、娘の涙を見て黙ってられる親じゃありませんよ」
「私達に出来る事があればおっしゃってください」
「縁様……ここは小さい里でございます、皆自分の生活があります、勝手なのはわかりますが……里長としての考えは、里の者の手を血で染めたくはありませぬ」
「ここは結婚の衣装を生業としている里ですね? そんな人達に手荒な真似をさせる訳にはいきませんよ、評判にかかわりますし」
「にゃ? 縁先生は気付いていたのかにゃ?」

 地獄谷は顔を袖で拭いて縁を見上げた。

「これでも――って、皆さん顔を上げて下さい、俺はそこまでされる神じゃないんです、位も低いですし」

 縁が困った顔をして立ち上がる事をうながした。
 土下座していた者達は次々と立ち上がる。

「にゃ、縁先生、聞いた話だけど……結び先生との結婚式を準備しているとか」
「ああ」
「ならこの里はピッタリだにゃ、衣装はお任せだにゃ、里長さとおさ、捧げものとして最適解だにゃ」
「うむ、そういう事なら我が里は応援出来る……しかし対価となり――」
「里長、私は私なりにこの里を見て来たにゃ、皆が作る結婚式の衣装を着ていた人達は笑顔だったにゃ、この価値がわからない先生じゃないにゃ」
「もちろんだ……色々とおまけ付きにしないと割に合わない」

 縁はカバンから紙袋を出した、それは以前自分の生徒達に渡した、カミホンが入った物だ。
 地獄谷に差し出すと中身を確認し始めた。

「にゃ? スマホ?」
「これは神が作ったスマホだからカミホンという」
「な、何か凄いアイテムが出て来たにゃ」
「何かあったらこれで連絡をくれ、説明書もちゃんとある」
「にゃ? 使用料金は?」
「安心しろタダだ、これ作った神が言っていた」
「にゃ、タダより高い物はないにゃ」
「安心しろ、神からの施しだ」

 縁はウサミミカチューシャを外して、何時も通りの神様モードになるが。
 何時も通りと違うのはその顔付きだった、縁らしからぬ威厳を放っていた。

「汝らの願いは、縁起身丈白兎神縁えんぎみのたけしろうさぎのかみえにしが聞き入れた、縁の象徴の一つである家を壊すとは……俺に対しての冒涜と捉える」

 その神々しさに里の者達は再び土下座をしそうになるが、縁が止めた。
 その後は里の守りを相談して縁は、ガッキーン村へと帰るのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。 ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。 この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。 未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。 そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...