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10話~ボーダーライン~
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「ルナ、どうしたの?」
ジュピターの名を聞いた途端、今にも泣きそうな表情になったルナを見て、エンディは不思議そうに問いかけました。
「初めて聞いた星なのに、何故かしらなんだかとても懐かしくて、とても泣きたくなるの……」
「やっぱり、ルナは面白い」
エンディはそう言って、優しく微笑みかけました。
「ルナ、それは多分コードのせいだと思うよ?まぁ今は分からなくてもいいんじゃない?ゲノムとか遺伝子とか言われても、混乱するだけだろうし」
「エンディの話は楽しいけれど、私には意味がわからない。やっぱり私、宮殿に帰りたい……ごめんなさい、エンディ」
「待ってよ!!俺と一緒に、ジュピターへは行かないって言うの?」
エンディは今までに見せた事のない顔つきになると、ルナを真っ直ぐな瞳で見つめました。
「えぇ……だって、私には任務があるもの……」
「じゃあ本当の事を教えてあげる。ルナ、君自身が任務をしてるわけじゃない、任務をしているのは別存在だ」
「どういう事?」
「ルナはいわばシステムで、マザーのルナは別って事。マザーのルナは、オレンジ色の鉱石だって報告では聞いてる」
「エンディもういいわ、それ以上は何だか聞きたくないの………」
そんなルナの言葉を無視して、エンディは言葉を続けました。
「そのマザーの鉱石はこの森の奥の何処かにあるはずなんだけど、俺には見つけきる事は出来なかった。とても、巧妙に隠されてるんだろうね」
「もう止めて頂戴!!」
ルナはその場にしゃがみ込むと、固く眼を瞑り大きな声で叫びました。
「やれやれ、困った夫人だなぁ。ルナがジュピターに来たら、この星間戦争は終わるって言うのにさ」
「戦争が……終わる??」
エンディは優しく微笑みながらルナを立ち上がらせると、またこしかけに座る様に誘いました。
「ジュピターはね、ソウルは創れないけど、器を創る事の出来る種族なんだ。つまり創造の種族。だから宇宙の統括なんて事もやってたりする」
「ホワイトとはまた違う、創造主って事?流石に信じられないわ、そんな話」
「ルナちゃんと話を聞いて?」
ルナは戸惑いの表情を浮かべながら瞳を曇らせると、気になって仕方がない様子で、再び宮殿の方角へと視線を向けました。
その姿に苛立つ表情を浮かべたエンディは、大きなため息をつくと、両手を頭の後ろに組んで宙を見上げました。
「折角話をしたのに、あぁつまんない。じゃあもう帰ったら?ひょっとしたらまだ間に合うんじゃない?案外、ルナが戻っていない事にもホワイトは気づいてないかもしれないよ?」
「そうかしら………じゃあ私、やっぱり今から戻ってみるわ宮殿へ!」
ルナは木のこしかけから急く様に立ち上がると、早速森の入口に向かって歩き出そうとしました。
「待って!」
すると、ルナの右手をエンディが荒々しく掴みました。
「手を離してエンディ。私、早く宮殿に戻らなくちゃ」
「いいから待って、お願いだから」
「どうしたの一体……何だか怖いわ」
エンディの表情は真剣で、更に固い決意の様なモノで包まれていました。そしてその姿にルナは身動きが取れなくなっていました。
「エンディ……あなた、一体何をする気なの?」
「こんな手荒な真似はしたくなかったんだけど」
ルナは目の前で突如繰り広げられ始めたその光景に、愕然としました。
そしてもはや、それからは抗えない事を悟り始めていました。
「ルナのせいだよ、全部ルナのせいだ」
「お願いだからやめてちょうだい。警告音が頭の中で鳴り響いてる!私はそれを逆流させる事が出来るわ?そうしたらとんでもない爆発が起きてしまう」
「いいよ、やってみたらいい。俺が勝つかルナが勝つかだ……」
「勝ち負けの話じゃないわ、お願いよエンディ!」
お互いの力量の渦の中で、ふたりは方向を見失った流れ星の様に、ただその波紋の中で漂い続けていました。
ザワザワと葉と葉が触れるざわめき、森の奥という閉ざされたその空間の中で、ルナとエンディはただただ2人きりでした。
そして、様々な葛藤の中で、エンディは再度こう告げました。
「全部、ルナのせいだからね」
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