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18話~永遠の眠り~
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*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*
ルナはゆっくりと目覚めました。そこは森の奥の何処かで、そして周囲には誰も居ませんでした。
「どうして眠ってしまったのかしら……私は確かエンディに会いに来たはずだったのに」
ルナはモヤがかかった様な、スッキリとしない感覚に包まれながらも、その場所から立ち上がると森の奥へとまた、向かう事にしました。
「羽が………」
ふと見ると、左肩に白い羽がついていて、ルナはとても不思議そうにそれを摘むと、周囲を再度見渡しました。
そして、周囲に何もない事を確認するとその羽を右手にしっかりと握りしめて、歩き始めたのでした。
*
「ね?私の言った通りでしょう?ここにルナは来てはいないのです。きっと、シャドとまた花を摘みに行っているだけ。すぐにカイネの所へ戻ってくるでしょう。寝てしまっているカイネは私が起こしておきますから、あなたはやる事が山の様にあるはず、さぁ宮殿へ戻りましょう?」
パキラにそう言われたホワイトは、無言で森の奥の樹の陰に立ち、一方向をみつめていました。
そこには、エンディが緑の絨毯の上で苦しそうに倒れ込んでいる姿がありました。
「取り越し苦労であったか……」
ホワイトがそう呟いた瞬間、うつ伏せに倒れ込んだエンディがうめき声をあげると、バタリと仰向けになりました。朦朧とする意識の中で、エンディは苦渋の表情を浮かべながらも、色々な事を考えている様にホワイトの目には映りました。「ケンタウルスから人間になる希望が通って……ずっと憧れていた、あの宮殿で任務につけると信じていたのに………宮殿の人間にさえなれば、あの”不老不死”の飲み物を飲める。そうすれば、朽ち果てる事のない存在になれるって、そう信じていたのに……」
途切れ途切れに、かすかなうめき声にも似たそんな言葉がエンディの口からこぼれ落ちていきました。
その様子に、一瞬哀れみの表情を見せたホワイトでしたが、また一瞬で無表情に一転すると、エンディに向かって背を向けました。
「もうこの者は朽ち果てていくだけ、さぁもう行きましょう?あなた」
心配そうにホワイトの背中に向かって、パキラはそう声をかけました。それと同時に、エンディに目配せをすると、小さく頷いてもみせました。
それを合図にしたかの様に、エンディの苦渋の訴えといううめき声は、更に続きました。「別に誰かを陥れようとした事もない……何なら誰かの為に役に立ちたいと思ってきた……それなのに、こんな理不尽な事で死ぬ事になるなんて……こんな馬鹿な事があっていいのだろうか……」
ホワイトはもはや、聞くには耐えられないという様子で、急ぎ足で振り返る事もなく、森を後にしたのでした。
そしてパキラはそんなホワイトの後ろ姿を見届けると、小さく微笑みを浮かべたのでした。
*
「エンディ!!!」
森の奥へとやって来たルナが、今にも死にそうなエンディの姿を見つけると、大きな叫び声が、森の奥に響き渡りました。
「なんて事!!どうしてこんな事に!! 」
ルナは慌てて、エンディを両腕に抱き寄せました。
「ホワイトが……あと3日で死ぬ言霊を……術を俺にかけたんだ……」
「そんな……」
「ルナ………俺、死にたくない……やっと2本足を手にいれたんだ……宮殿で不老不死になれるつもりだったんだ……こんなつまらない一生なんて……あんまりだ……」
「わかったわ……ホワイトにお願いしてくる……」
慌てて戻ろうとするルナの右手を、エンディは掴んで引き止めました。
「ホワイトに言ったら、もう2度と会えないはずだよ……?だから、行かないで……どうせ、あと少しの命なんだ……誰かといたい……ひとりは嫌だ……」
ルナは、胸の奥が締め付けられる様な痛みを感じながら、ある決意をしました。
「大丈夫、あなたを死なせたりしないわ」
「そんなの……無理だよ………」
「苦肉の策だけど………私があなたを永遠にするわ……もう、それしか方法がないもの……」
「どうやって………!?」
ルナはその場に立ち上がると、自分の右手のひらか握りしめていた白い羽を取り出すと、宙に向かって放り投げました。
すると、その羽は瞬時に白い鳩となり、勢いよく羽ばたくと、羽から抜け落ちた小さな白い羽々が、エンディの身体へと降り注ぎ始めました。
「あなたを永遠の眠りに誘(いざな)うの。これであなたにかかった魔法が解けるはずだから」
「眠る?永遠に??」
「そう……でも、大丈夫。私が夢の中に訪問するわ。あなたに必ず会いに行く。だから、ひとりじゃないわ。だから沢山、これからもお話をしましょう?」
「そっか……このまま死ぬよりかはいいかもしれないね……そんな永遠ならいいかもしれない……」
「だから、お願い。老いる事のない、永遠の眠りを受け入れて?エンディ……」
ふたりの上空を鳩が飛び回り、そして羽を羽ばたかせる度に舞い降る白い羽が、エンディの身体に更に降り注ぎ続けました。
「わかったよルナ……でも、肉体はこのままで、永遠に眠り続けるのは……少し怖いね………でも、これで夢にまで見た不老不死になれるんだ……」
そう言って、エンディの瞼はゆっくりと閉じていったのでした。
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*
ルナはゆっくりと目覚めました。そこは森の奥の何処かで、そして周囲には誰も居ませんでした。
「どうして眠ってしまったのかしら……私は確かエンディに会いに来たはずだったのに」
ルナはモヤがかかった様な、スッキリとしない感覚に包まれながらも、その場所から立ち上がると森の奥へとまた、向かう事にしました。
「羽が………」
ふと見ると、左肩に白い羽がついていて、ルナはとても不思議そうにそれを摘むと、周囲を再度見渡しました。
そして、周囲に何もない事を確認するとその羽を右手にしっかりと握りしめて、歩き始めたのでした。
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「ね?私の言った通りでしょう?ここにルナは来てはいないのです。きっと、シャドとまた花を摘みに行っているだけ。すぐにカイネの所へ戻ってくるでしょう。寝てしまっているカイネは私が起こしておきますから、あなたはやる事が山の様にあるはず、さぁ宮殿へ戻りましょう?」
パキラにそう言われたホワイトは、無言で森の奥の樹の陰に立ち、一方向をみつめていました。
そこには、エンディが緑の絨毯の上で苦しそうに倒れ込んでいる姿がありました。
「取り越し苦労であったか……」
ホワイトがそう呟いた瞬間、うつ伏せに倒れ込んだエンディがうめき声をあげると、バタリと仰向けになりました。朦朧とする意識の中で、エンディは苦渋の表情を浮かべながらも、色々な事を考えている様にホワイトの目には映りました。「ケンタウルスから人間になる希望が通って……ずっと憧れていた、あの宮殿で任務につけると信じていたのに………宮殿の人間にさえなれば、あの”不老不死”の飲み物を飲める。そうすれば、朽ち果てる事のない存在になれるって、そう信じていたのに……」
途切れ途切れに、かすかなうめき声にも似たそんな言葉がエンディの口からこぼれ落ちていきました。
その様子に、一瞬哀れみの表情を見せたホワイトでしたが、また一瞬で無表情に一転すると、エンディに向かって背を向けました。
「もうこの者は朽ち果てていくだけ、さぁもう行きましょう?あなた」
心配そうにホワイトの背中に向かって、パキラはそう声をかけました。それと同時に、エンディに目配せをすると、小さく頷いてもみせました。
それを合図にしたかの様に、エンディの苦渋の訴えといううめき声は、更に続きました。「別に誰かを陥れようとした事もない……何なら誰かの為に役に立ちたいと思ってきた……それなのに、こんな理不尽な事で死ぬ事になるなんて……こんな馬鹿な事があっていいのだろうか……」
ホワイトはもはや、聞くには耐えられないという様子で、急ぎ足で振り返る事もなく、森を後にしたのでした。
そしてパキラはそんなホワイトの後ろ姿を見届けると、小さく微笑みを浮かべたのでした。
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「エンディ!!!」
森の奥へとやって来たルナが、今にも死にそうなエンディの姿を見つけると、大きな叫び声が、森の奥に響き渡りました。
「なんて事!!どうしてこんな事に!! 」
ルナは慌てて、エンディを両腕に抱き寄せました。
「ホワイトが……あと3日で死ぬ言霊を……術を俺にかけたんだ……」
「そんな……」
「ルナ………俺、死にたくない……やっと2本足を手にいれたんだ……宮殿で不老不死になれるつもりだったんだ……こんなつまらない一生なんて……あんまりだ……」
「わかったわ……ホワイトにお願いしてくる……」
慌てて戻ろうとするルナの右手を、エンディは掴んで引き止めました。
「ホワイトに言ったら、もう2度と会えないはずだよ……?だから、行かないで……どうせ、あと少しの命なんだ……誰かといたい……ひとりは嫌だ……」
ルナは、胸の奥が締め付けられる様な痛みを感じながら、ある決意をしました。
「大丈夫、あなたを死なせたりしないわ」
「そんなの……無理だよ………」
「苦肉の策だけど………私があなたを永遠にするわ……もう、それしか方法がないもの……」
「どうやって………!?」
ルナはその場に立ち上がると、自分の右手のひらか握りしめていた白い羽を取り出すと、宙に向かって放り投げました。
すると、その羽は瞬時に白い鳩となり、勢いよく羽ばたくと、羽から抜け落ちた小さな白い羽々が、エンディの身体へと降り注ぎ始めました。
「あなたを永遠の眠りに誘(いざな)うの。これであなたにかかった魔法が解けるはずだから」
「眠る?永遠に??」
「そう……でも、大丈夫。私が夢の中に訪問するわ。あなたに必ず会いに行く。だから、ひとりじゃないわ。だから沢山、これからもお話をしましょう?」
「そっか……このまま死ぬよりかはいいかもしれないね……そんな永遠ならいいかもしれない……」
「だから、お願い。老いる事のない、永遠の眠りを受け入れて?エンディ……」
ふたりの上空を鳩が飛び回り、そして羽を羽ばたかせる度に舞い降る白い羽が、エンディの身体に更に降り注ぎ続けました。
「わかったよルナ……でも、肉体はこのままで、永遠に眠り続けるのは……少し怖いね………でも、これで夢にまで見た不老不死になれるんだ……」
そう言って、エンディの瞼はゆっくりと閉じていったのでした。
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