19 / 20
19話~移住~
しおりを挟む
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*
カイネは目を覚ましゆっくりと起き上がると、急いで周囲を見渡しました。森の入口には、林檎の木々が甘い香りを漂わせているだけで、そこには誰もいませんでした。
「ルナ!!!???」
カイネは慌てて、ルナの名を呼びました。
(私はどうやら、青い鳥から受け取った野苺の実を食べて、そのまま眠ってしまったらしいルナの付き添いで来たというのに、このままではホワイトに何と言ったらいいのか)
カイネは、周囲にルナの姿を求めながら立ち上がりました。
「私はここにずっといるわ?カイネ」
背後からの声にカイネが振り返ると、膝に猫を乗せたルナが花の冠を編みながら、座って微笑んでいました。
「なんだ……驚かせないで?」
カイネは安堵の表情を浮かべると、ルナから猫を受けとり、抱きかかえました。
「ルナ、私が寝てしまっていた間もずっとここに?」
「当たり前じゃない」
「ならいいのだけれど。では、そろそろ戻ろう、ホワイトが心配するから」
「えぇ、わかったわ」
ルナは笑顔で立ち上がると、カイネと宮殿へ戻る事にしました。
身体の動きに合わせて揺れる、ルナの長い金色の髪先には、白い羽が"ひとつ"ついていました。
*
「申し上げます!何かの妨害により、魂装填が不能状態になった模様!現在、原因を解明中ですが、このままではこの星の爆発回避は不可能、ただちに移住先の決定を!!ホワイト様!!」
慌てて転がり込んで来た家臣は、ホワイトに向かってそう報告をすると、その場でガタガタと震え始めました。
「私が何とかする。今すぐに星のあらゆる生命体をこの宮殿に集結させなさい。爆発の前に、宮殿ごと移住をする」
「宮殿ごと??か、かしこまりました……ところで、移住先の星は一体何処へ……」
「プルートーでかまわない」
「プルートー?………あの銀河系の果ての!?」
家臣は、身体の震えがいつしか止まり、そしてホワイトの事を、ただ驚愕の眼差しで見つめ続けていました。
*
「サロンからは一歩も外へ出てはいけないだなんて、いよいよ、この星も終焉の日が近いのかしら。ホワイトは詳細を教えてくれなくて困り者だわ」
アーシャはマリアとふたりきり、ホワイトから強く言われた命に従いながら、不安な気持ちを吐露しました。
「そうねアーシャ、一大事なのかも。でも、ホワイトが何とかしてくれるわよ!」
マリアがツートンの髪の手入れをしながら、平気そうに寛ぐ平和な姿に、アーシャの顔は思わず綻びました。
すると、パキラが悠然とその場に現れ、第1夫人らしく椅子に腰をかけました。
「パキラ、ルナとカイネを知らない?早く戻らないと、心配だわ……」
アーシャがそう尋ねると同時に、カイネとルナもサロンに入ってきました。
「良かったぁ~ルナが一番心配だったの。ホワイトがここから絶対出るなって、その命はもう聞いた??」
マリアは嬉しそうにルナに駆け寄ると、無邪気に身体を預けて、抱きつきました。
「宮殿の入口で家臣達から聞いたわ。そんなに状況はひどいのかしら……」
ルナは森へ行く前とは一変してしまった、その慌ただしい現状に、かなり困惑していました。
「私の"ちから"で星ごと吹き飛ばせば、莫大なエネルギーが入ったのに、ホワイトが変に優しさなんて持った為に、自分の大切な星を失う事になるのよ」
カイネは憤りながらそう言い放つと、パキラの横に座り右手で頬杖をつきました。
「全部私のせいだわ、私がもっと役に立っていたらこんな事にはならなかったのに」
「ルナのせいじゃないわ!早かれ遅かれこうなる運命だったのよ、私もホワイトと同じ、星を消滅させてまで生き残りたくはないわ。その為に生み出されたのに、そのちからを封印されたカイネには悪いけど……」
マリアはカイネに対して申し訳なさ気にしながらも、ルナの事を庇いました。
「有り難うマリア。最悪、宮殿ごと移住すると聞いたけれど……宮殿にケンタウルス達も呼んでくれるのかしら……」
「シャド達には、家臣が声をかけに行ったはずよ?ルナは何も心配いらないわ」
「そう………でも、もし誰か取り残されたりでもしたら………」
ルナの顔はどんどん曇り、心はざわめき始めました。
家臣達は、森の奥のエンディを連れ帰る事はないだろう。ホワイトも3日で尽きると思っているエンディを、この爆発する星に置き去りにするだろう。
「ルナ顔色が悪い。さぁ、私の横に座りなさい」
パキラは優しくルナを自分の傍らに座らせると、耳元でこう囁きました。
「大丈夫、私はルナの味方だから。今はただ大人しくホワイトの命に従いなさい」
ルナは黙ったまま、コクリと頷きました。
*
ホワイトは誰も居ない広間で、ひとりきりでした。
「過去、現在、未来、その順序すら超越し、護り抜くとここに誓おう。生み出した全てに、その責務を全うしてみせよう」
するとその瞬間、宮殿が大きく激しく揺れ始めました。そしてそれは宮殿を船とした、他の惑星への出港を意味しました。
*
「キャーーーー!!!」
大きく揺れ始めた宮殿に、夫人達は慌てふためきました。
「移住が始まったんだわ!!」
アーシャは、事態を察知すると窓から外を見ました。マリアとカイネもそれに続き、共に覗き込みました。
するとそこには、今にも浮かび上がりそうな宮殿に向かって、押し寄せてくる、沢山のこの星の生命体達の姿がありました。
「こんな数……みんな乗れるといいのだけれど……」
「ホワイトは優しいもの。きっと待ってくれるわ、ただ動き始めたなら、急いだ方がいいのは間違いないわね」
アーシャとマリアとカイネの3人が、外の景色に夢中になって、交互に感想を述べる姿を確認すると、パキラはそっと、ルナに耳打ちをしました。
「さぁエンディを連れに行っておいで。手遅れになる前に…」
ルナは黙って頷くと、サロンをそっと抜け出したのでした。
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*
カイネは目を覚ましゆっくりと起き上がると、急いで周囲を見渡しました。森の入口には、林檎の木々が甘い香りを漂わせているだけで、そこには誰もいませんでした。
「ルナ!!!???」
カイネは慌てて、ルナの名を呼びました。
(私はどうやら、青い鳥から受け取った野苺の実を食べて、そのまま眠ってしまったらしいルナの付き添いで来たというのに、このままではホワイトに何と言ったらいいのか)
カイネは、周囲にルナの姿を求めながら立ち上がりました。
「私はここにずっといるわ?カイネ」
背後からの声にカイネが振り返ると、膝に猫を乗せたルナが花の冠を編みながら、座って微笑んでいました。
「なんだ……驚かせないで?」
カイネは安堵の表情を浮かべると、ルナから猫を受けとり、抱きかかえました。
「ルナ、私が寝てしまっていた間もずっとここに?」
「当たり前じゃない」
「ならいいのだけれど。では、そろそろ戻ろう、ホワイトが心配するから」
「えぇ、わかったわ」
ルナは笑顔で立ち上がると、カイネと宮殿へ戻る事にしました。
身体の動きに合わせて揺れる、ルナの長い金色の髪先には、白い羽が"ひとつ"ついていました。
*
「申し上げます!何かの妨害により、魂装填が不能状態になった模様!現在、原因を解明中ですが、このままではこの星の爆発回避は不可能、ただちに移住先の決定を!!ホワイト様!!」
慌てて転がり込んで来た家臣は、ホワイトに向かってそう報告をすると、その場でガタガタと震え始めました。
「私が何とかする。今すぐに星のあらゆる生命体をこの宮殿に集結させなさい。爆発の前に、宮殿ごと移住をする」
「宮殿ごと??か、かしこまりました……ところで、移住先の星は一体何処へ……」
「プルートーでかまわない」
「プルートー?………あの銀河系の果ての!?」
家臣は、身体の震えがいつしか止まり、そしてホワイトの事を、ただ驚愕の眼差しで見つめ続けていました。
*
「サロンからは一歩も外へ出てはいけないだなんて、いよいよ、この星も終焉の日が近いのかしら。ホワイトは詳細を教えてくれなくて困り者だわ」
アーシャはマリアとふたりきり、ホワイトから強く言われた命に従いながら、不安な気持ちを吐露しました。
「そうねアーシャ、一大事なのかも。でも、ホワイトが何とかしてくれるわよ!」
マリアがツートンの髪の手入れをしながら、平気そうに寛ぐ平和な姿に、アーシャの顔は思わず綻びました。
すると、パキラが悠然とその場に現れ、第1夫人らしく椅子に腰をかけました。
「パキラ、ルナとカイネを知らない?早く戻らないと、心配だわ……」
アーシャがそう尋ねると同時に、カイネとルナもサロンに入ってきました。
「良かったぁ~ルナが一番心配だったの。ホワイトがここから絶対出るなって、その命はもう聞いた??」
マリアは嬉しそうにルナに駆け寄ると、無邪気に身体を預けて、抱きつきました。
「宮殿の入口で家臣達から聞いたわ。そんなに状況はひどいのかしら……」
ルナは森へ行く前とは一変してしまった、その慌ただしい現状に、かなり困惑していました。
「私の"ちから"で星ごと吹き飛ばせば、莫大なエネルギーが入ったのに、ホワイトが変に優しさなんて持った為に、自分の大切な星を失う事になるのよ」
カイネは憤りながらそう言い放つと、パキラの横に座り右手で頬杖をつきました。
「全部私のせいだわ、私がもっと役に立っていたらこんな事にはならなかったのに」
「ルナのせいじゃないわ!早かれ遅かれこうなる運命だったのよ、私もホワイトと同じ、星を消滅させてまで生き残りたくはないわ。その為に生み出されたのに、そのちからを封印されたカイネには悪いけど……」
マリアはカイネに対して申し訳なさ気にしながらも、ルナの事を庇いました。
「有り難うマリア。最悪、宮殿ごと移住すると聞いたけれど……宮殿にケンタウルス達も呼んでくれるのかしら……」
「シャド達には、家臣が声をかけに行ったはずよ?ルナは何も心配いらないわ」
「そう………でも、もし誰か取り残されたりでもしたら………」
ルナの顔はどんどん曇り、心はざわめき始めました。
家臣達は、森の奥のエンディを連れ帰る事はないだろう。ホワイトも3日で尽きると思っているエンディを、この爆発する星に置き去りにするだろう。
「ルナ顔色が悪い。さぁ、私の横に座りなさい」
パキラは優しくルナを自分の傍らに座らせると、耳元でこう囁きました。
「大丈夫、私はルナの味方だから。今はただ大人しくホワイトの命に従いなさい」
ルナは黙ったまま、コクリと頷きました。
*
ホワイトは誰も居ない広間で、ひとりきりでした。
「過去、現在、未来、その順序すら超越し、護り抜くとここに誓おう。生み出した全てに、その責務を全うしてみせよう」
するとその瞬間、宮殿が大きく激しく揺れ始めました。そしてそれは宮殿を船とした、他の惑星への出港を意味しました。
*
「キャーーーー!!!」
大きく揺れ始めた宮殿に、夫人達は慌てふためきました。
「移住が始まったんだわ!!」
アーシャは、事態を察知すると窓から外を見ました。マリアとカイネもそれに続き、共に覗き込みました。
するとそこには、今にも浮かび上がりそうな宮殿に向かって、押し寄せてくる、沢山のこの星の生命体達の姿がありました。
「こんな数……みんな乗れるといいのだけれど……」
「ホワイトは優しいもの。きっと待ってくれるわ、ただ動き始めたなら、急いだ方がいいのは間違いないわね」
アーシャとマリアとカイネの3人が、外の景色に夢中になって、交互に感想を述べる姿を確認すると、パキラはそっと、ルナに耳打ちをしました。
「さぁエンディを連れに行っておいで。手遅れになる前に…」
ルナは黙って頷くと、サロンをそっと抜け出したのでした。
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる