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軍服の慕情
季世編 最終話『光』
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季世と智志が恋人になり、二年が経過した。季世はこの春に女学校を卒業し、戦争は昨年の八月に終わった。
「荷物は、これだけか?」
「はい、もともと少ないですから」
着換えが三箱のみの、少ない嫁入り道具。だが、季世は幸せだった。
「おじさん、おばさん。長い間、お世話になりました」
「元気でな」
「幸せに、なるんだよ」
叔母夫婦は、笑顔で見送る。
結花と柚子は既に結婚し、柚子は東京に、結花は立花家に移り住んでいた。
「じゃあ、行くか」
「はい」
自動車に乗り込む。
「大丈夫、でしょうか?」
「何が?うちの両親に気に入られるか、か?」
「はい」
「大丈夫だ。お前にしちゃ、美人の嫁を捕まえたって喜ぶさ」
高知まで、港で船に乗り換えねばならない。まだ数日かかる旅に、季世と智志は希望を抱く。
「ありがとう、季世」
船の甲板で、智志が言った。
「え」
「君は何度も、オレや皆を救ってくれた。明日死ぬかも知れないヤツらに、君は優しい心を与えた」
「智志さん」
「君のおかげで、幸せに生きようと思えた。君はオレの光だ」
「・・・・ッ、智志さん」
涙でぐしゃぐしゃの顔に、智志は口づける。
「愛している、季世。オレと結婚して下さい」
「はい!」
智志に自ら口づける。
幸せの口づけは、ほんのり塩辛い涙の味がした。
「荷物は、これだけか?」
「はい、もともと少ないですから」
着換えが三箱のみの、少ない嫁入り道具。だが、季世は幸せだった。
「おじさん、おばさん。長い間、お世話になりました」
「元気でな」
「幸せに、なるんだよ」
叔母夫婦は、笑顔で見送る。
結花と柚子は既に結婚し、柚子は東京に、結花は立花家に移り住んでいた。
「じゃあ、行くか」
「はい」
自動車に乗り込む。
「大丈夫、でしょうか?」
「何が?うちの両親に気に入られるか、か?」
「はい」
「大丈夫だ。お前にしちゃ、美人の嫁を捕まえたって喜ぶさ」
高知まで、港で船に乗り換えねばならない。まだ数日かかる旅に、季世と智志は希望を抱く。
「ありがとう、季世」
船の甲板で、智志が言った。
「え」
「君は何度も、オレや皆を救ってくれた。明日死ぬかも知れないヤツらに、君は優しい心を与えた」
「智志さん」
「君のおかげで、幸せに生きようと思えた。君はオレの光だ」
「・・・・ッ、智志さん」
涙でぐしゃぐしゃの顔に、智志は口づける。
「愛している、季世。オレと結婚して下さい」
「はい!」
智志に自ら口づける。
幸せの口づけは、ほんのり塩辛い涙の味がした。
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