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chrysalis
胎動 〜不和の林檎〜
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p.m. 7:00
廃棄区画の一画。
誰も気に留めないような空きピース。
ぽつりと1人の少女。
その艶のある黒髪が繁華街から差し込む
鮮やかなネオンに照らされ、
退廃的に光を放つミエーレストラーダに親和する。
たたずむ。
たたずむ。
たたずむ。
何もない。
かつてORTICAが第3商業区を手放し、
循環の中で発生する余剰としてその存在を黙認した
今も人々の欲望で廻りつづける廃棄区画。
かつてはその利権争いで、
反社会勢力による抗争が行われたとされるのだが。
表通りのビルとビルの狭間、
人ひとり辛うじて通れる細道を
行った先にあるこの一坪は
所狭しと並び立つビル群から見てとれる
過去の熾烈な陣取り合戦の面影を一切感じさせない
夜の喧騒を遮る数少ない安息地だ。
「何もないじゃ、困る。」
ログを再生。
彼女の演算により導き出した
あり得たかもしれない過去。
一縷の望みをかけて見つけ出した手掛かりは
チヅルが走り去る際の反響音、
手のひらに収まるほどの大きさの金属物の落下を
聴き落としてはいなかった。
位置情報をAOVにて照合。
pinによって強調表示される地点。
膝を曲げて屈み込み
地表を覆っている礫やガラス片をかきわける。
「痛っつ…」
指を切った。
当然だ。
今時、手袋なしで鋭利なモノを触るのは
怖いもの見たさな子どもぐらいなものだろう。
指の腹についた皮膚の切れ込みが
たちまち朱に染まり、赤色の血が一筋溢れ出す。
構わない。
もう一度、今度は膝をついてくまなく探す。
「ふっ…うふふ…」
口からこぼれる吐息。
それが数秒のうちに自嘲に変わる。
切り傷が増える。
線に僅かな熱と、隙間を埋めるような痛みに異物感。
スカートはすっかり汚れ、所々破けてしまっている。
そうして探すこと、15分。
緋翅水冴綺は光を反射して煌めくそれを
確かめるように天蓋に掲げた。
「これが…最後の物的証拠。」
大河内智鶴が片耳につけていたイヤリングは
二つ揃うことでハート型となる意匠が
施されていたのだ。
「片方だけ付けてたって意味ないじゃない…」
見れば彫り込まれたC.O.のイニシャル。
随分と律儀なものだ。
これなら他所で落としても見つかるだろう。
しかし…
ログを確認する。
彼女の提供したレコードではない。
私自身の網膜に刻まれた履歴。
今日の昼休憩時の彼女をよく観察。
「やっぱり…ピアスが右耳しか空いてない。」
脳裏に浮かんだ些細な疑問。
その蟠りの所以を突き止めようとしたその時、
彼女の頰になにかが流れた。
…これだけホコリまみれのところを
掻き回したのだ。当然と言えば当然か。
唯一綺麗な右の腕で目を擦る。
「…なによ、なんだってんのよッ!」
けれど、拭えど拭えど止まらぬ生理現象。
第一これだけ流したら目の中のホコリなんて
とっくに流れてしまってるはずだ。
「ふざけないでよ…
一丁前に血なんてこぼして、
いつまでも涙なんか流して!
アンタに…アンタなんかに、
そんな権利ないでしょう!」
誰も目につかない空虚
人通りとは無縁な孤独の中で、
緋翅水冴綺は、泣いていた。
右手で拳をつくり、コンクリートを叩く。
行き場の無い、彼女を今にも壊しそうな激情を
反作用を顧みず発露させる。
彼女の華奢な細腕と
剛体と同一な冷たい質量。
誰の目にも無意な行動。
されど、それを止める人物もまた
今の彼女の周囲には存在しなかった。
タン…
タン…
タン…
一度、二度、重ねて三度。
繰り返す肉のはねる音。
涙が止まり、渦巻く感情を吐き出して
とうとう空っぽになる頃には
見るのも憚るような青痣をつくった彼女の右腕は
痛みで痺れてしまって上がらなくなっていた。
コンクリートにもたれかかった体をひるがえし、
背中を預けて赤や黄色の光がまばらに瞬く
夜を見つめる7時半。
緋翅水冴綺は選択を誤ったのか。
ポケットから左手でイヤリングを出して見つめ直す。
「あのシルエットは、コレを見つけられなかった。」
もし、拾っていたら?
立ち去るチヅルを呼び止めたら?
もしかしたら消えていたのは違うダレカだったかも。
仲直りして、2人の時間が再び動き出したのかも。
「でも、これが現実。」
チヅルは思い出せない。
遠慮なく自分を曝け出せる付き合いを。
危険を顧みず助けに来れる思いやりを。
私は引き返せない。
彼女をないがしろにした行動も。
唯一を謳っておきながら取れなかった選択も。
このイヤリングはシルエットのものじゃなかった。
レコードから切り抜いたログで
シルエットを再確認。
「やっぱり、私じゃわからない。」
私はこのシルエットを知らないから。
あの夜の実存を証明する落とし物。
チヅルの認識をこのイヤリングで裏付ければ
彼女の中の像は容姿を取り戻す可能性がある。
「戻れないなりに、絶対に掴んでやる。」
緋翅水冴綺が辿った分水嶺。
不確かな岐路を私は踏み出した。
なら止まれない。
カナちゃんが許してくれなくとも、
犠牲にした尊い友情はこの程度の成果で
穴埋めできるモノじゃ無いのだから。
立ち上がる。
今日一日の行動記録とイヤリングを報告書に記載。
彼女の提出したレコードと演算した数秒を添付して
クソ探偵の村岡にp.s.
「アンタが提出しろ、役立たず。」
緋翅水冴綺は現場を立ち去っーー
Don't let you.
「えっ…」
緊張が走る。
この町には不釣り合いな小さな女の子の声
この空間には私だけ。
意表をついたあり得ざる呼びかけ。
動き出した歩みを、止める。
背後で緋翅水冴綺に語りかけたソレに振り向く。
しかし、彼女の足が地面を捉えることはなかった。
地につこうとした足から重心を崩して
倒れ込んでしまったのだ。
瞬間、その転倒は即座に落下へと変容する。
人間が普段活動する地表面。
何もない平面に彼らは生活を積み上げる。
もし、もし仮に。児戯の如き仮定だが。
我々人類を地表に縫い付ける重力が。
何かの気まぐれでその手を離してしまったら?
終わりのない墜落。
否、浮遊というべきか。
粘度係数の高い液体に沈没していく。
ホルマリン漬けにされた標本のイメージ。
彼女の全身が位相を失う。
たまらず胃の内容物を全て吐き出す。
昼食を抜いたせいで出たものは胃液のみだった。
急激に熱量を失う体。
震える右手。
しかし、眼前に晒した痛々しい腕も
その輪郭を失っていく…!
「っ…!」
視覚。
聴覚。
嗅覚。
味覚。
触覚。
彼女を置き去りにする環境変化。
喪失、喪失、喪失。
彼女の意識さえも指先からほどけていく。
「トんだら…終わ…る…」
何処かで覚えのある体験。
緋翅水冴綺を襲っている異変はなんなのか。
一抹、考えを巡らせようとして、やめた。
…もはや関係がない。
消えゆく彼女に解ることがひとつだけ。
つまるところ、緋翅水冴綺は引き際を誤ったのだった。
あぁ…
ごめんなさい。
アナタのいう通り、
わたしは…わたしは…
…?
アナタって…
誰だ…った…っけ…
…za…el…
…
…
…お…な…
…おき…さい…
…おきなさい…
…起きなさい…!
暗闇の淵、存在さえ不確かな虚無の中。
誰かが、落ちていく彼女を、呼び止めた。
廃棄区画の一画。
誰も気に留めないような空きピース。
ぽつりと1人の少女。
その艶のある黒髪が繁華街から差し込む
鮮やかなネオンに照らされ、
退廃的に光を放つミエーレストラーダに親和する。
たたずむ。
たたずむ。
たたずむ。
何もない。
かつてORTICAが第3商業区を手放し、
循環の中で発生する余剰としてその存在を黙認した
今も人々の欲望で廻りつづける廃棄区画。
かつてはその利権争いで、
反社会勢力による抗争が行われたとされるのだが。
表通りのビルとビルの狭間、
人ひとり辛うじて通れる細道を
行った先にあるこの一坪は
所狭しと並び立つビル群から見てとれる
過去の熾烈な陣取り合戦の面影を一切感じさせない
夜の喧騒を遮る数少ない安息地だ。
「何もないじゃ、困る。」
ログを再生。
彼女の演算により導き出した
あり得たかもしれない過去。
一縷の望みをかけて見つけ出した手掛かりは
チヅルが走り去る際の反響音、
手のひらに収まるほどの大きさの金属物の落下を
聴き落としてはいなかった。
位置情報をAOVにて照合。
pinによって強調表示される地点。
膝を曲げて屈み込み
地表を覆っている礫やガラス片をかきわける。
「痛っつ…」
指を切った。
当然だ。
今時、手袋なしで鋭利なモノを触るのは
怖いもの見たさな子どもぐらいなものだろう。
指の腹についた皮膚の切れ込みが
たちまち朱に染まり、赤色の血が一筋溢れ出す。
構わない。
もう一度、今度は膝をついてくまなく探す。
「ふっ…うふふ…」
口からこぼれる吐息。
それが数秒のうちに自嘲に変わる。
切り傷が増える。
線に僅かな熱と、隙間を埋めるような痛みに異物感。
スカートはすっかり汚れ、所々破けてしまっている。
そうして探すこと、15分。
緋翅水冴綺は光を反射して煌めくそれを
確かめるように天蓋に掲げた。
「これが…最後の物的証拠。」
大河内智鶴が片耳につけていたイヤリングは
二つ揃うことでハート型となる意匠が
施されていたのだ。
「片方だけ付けてたって意味ないじゃない…」
見れば彫り込まれたC.O.のイニシャル。
随分と律儀なものだ。
これなら他所で落としても見つかるだろう。
しかし…
ログを確認する。
彼女の提供したレコードではない。
私自身の網膜に刻まれた履歴。
今日の昼休憩時の彼女をよく観察。
「やっぱり…ピアスが右耳しか空いてない。」
脳裏に浮かんだ些細な疑問。
その蟠りの所以を突き止めようとしたその時、
彼女の頰になにかが流れた。
…これだけホコリまみれのところを
掻き回したのだ。当然と言えば当然か。
唯一綺麗な右の腕で目を擦る。
「…なによ、なんだってんのよッ!」
けれど、拭えど拭えど止まらぬ生理現象。
第一これだけ流したら目の中のホコリなんて
とっくに流れてしまってるはずだ。
「ふざけないでよ…
一丁前に血なんてこぼして、
いつまでも涙なんか流して!
アンタに…アンタなんかに、
そんな権利ないでしょう!」
誰も目につかない空虚
人通りとは無縁な孤独の中で、
緋翅水冴綺は、泣いていた。
右手で拳をつくり、コンクリートを叩く。
行き場の無い、彼女を今にも壊しそうな激情を
反作用を顧みず発露させる。
彼女の華奢な細腕と
剛体と同一な冷たい質量。
誰の目にも無意な行動。
されど、それを止める人物もまた
今の彼女の周囲には存在しなかった。
タン…
タン…
タン…
一度、二度、重ねて三度。
繰り返す肉のはねる音。
涙が止まり、渦巻く感情を吐き出して
とうとう空っぽになる頃には
見るのも憚るような青痣をつくった彼女の右腕は
痛みで痺れてしまって上がらなくなっていた。
コンクリートにもたれかかった体をひるがえし、
背中を預けて赤や黄色の光がまばらに瞬く
夜を見つめる7時半。
緋翅水冴綺は選択を誤ったのか。
ポケットから左手でイヤリングを出して見つめ直す。
「あのシルエットは、コレを見つけられなかった。」
もし、拾っていたら?
立ち去るチヅルを呼び止めたら?
もしかしたら消えていたのは違うダレカだったかも。
仲直りして、2人の時間が再び動き出したのかも。
「でも、これが現実。」
チヅルは思い出せない。
遠慮なく自分を曝け出せる付き合いを。
危険を顧みず助けに来れる思いやりを。
私は引き返せない。
彼女をないがしろにした行動も。
唯一を謳っておきながら取れなかった選択も。
このイヤリングはシルエットのものじゃなかった。
レコードから切り抜いたログで
シルエットを再確認。
「やっぱり、私じゃわからない。」
私はこのシルエットを知らないから。
あの夜の実存を証明する落とし物。
チヅルの認識をこのイヤリングで裏付ければ
彼女の中の像は容姿を取り戻す可能性がある。
「戻れないなりに、絶対に掴んでやる。」
緋翅水冴綺が辿った分水嶺。
不確かな岐路を私は踏み出した。
なら止まれない。
カナちゃんが許してくれなくとも、
犠牲にした尊い友情はこの程度の成果で
穴埋めできるモノじゃ無いのだから。
立ち上がる。
今日一日の行動記録とイヤリングを報告書に記載。
彼女の提出したレコードと演算した数秒を添付して
クソ探偵の村岡にp.s.
「アンタが提出しろ、役立たず。」
緋翅水冴綺は現場を立ち去っーー
Don't let you.
「えっ…」
緊張が走る。
この町には不釣り合いな小さな女の子の声
この空間には私だけ。
意表をついたあり得ざる呼びかけ。
動き出した歩みを、止める。
背後で緋翅水冴綺に語りかけたソレに振り向く。
しかし、彼女の足が地面を捉えることはなかった。
地につこうとした足から重心を崩して
倒れ込んでしまったのだ。
瞬間、その転倒は即座に落下へと変容する。
人間が普段活動する地表面。
何もない平面に彼らは生活を積み上げる。
もし、もし仮に。児戯の如き仮定だが。
我々人類を地表に縫い付ける重力が。
何かの気まぐれでその手を離してしまったら?
終わりのない墜落。
否、浮遊というべきか。
粘度係数の高い液体に沈没していく。
ホルマリン漬けにされた標本のイメージ。
彼女の全身が位相を失う。
たまらず胃の内容物を全て吐き出す。
昼食を抜いたせいで出たものは胃液のみだった。
急激に熱量を失う体。
震える右手。
しかし、眼前に晒した痛々しい腕も
その輪郭を失っていく…!
「っ…!」
視覚。
聴覚。
嗅覚。
味覚。
触覚。
彼女を置き去りにする環境変化。
喪失、喪失、喪失。
彼女の意識さえも指先からほどけていく。
「トんだら…終わ…る…」
何処かで覚えのある体験。
緋翅水冴綺を襲っている異変はなんなのか。
一抹、考えを巡らせようとして、やめた。
…もはや関係がない。
消えゆく彼女に解ることがひとつだけ。
つまるところ、緋翅水冴綺は引き際を誤ったのだった。
あぁ…
ごめんなさい。
アナタのいう通り、
わたしは…わたしは…
…?
アナタって…
誰だ…った…っけ…
…za…el…
…
…
…お…な…
…おき…さい…
…おきなさい…
…起きなさい…!
暗闇の淵、存在さえ不確かな虚無の中。
誰かが、落ちていく彼女を、呼び止めた。
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