いじめられて死のうとしていた俺が大魔導士の力を継承し、異世界と日本を行き来する

タジリユウ

文字の大きさ
82 / 189

第82話 召喚獣

しおりを挟む

「まずはお願いされていた魔法石のほうですね。運良く大きな魔法石をひとつ手に入れることができました。あとは小さな魔法石が合計で84個あります」

 ギルダートさんがジャラジャラと黒くて小さな石を袋から取り出していく。見た目は綺麗な黒い宝石みたいなものだから、なんだか宝石商にでもなった気分だ。

「大きな魔法石は4000万Gです。そして小さな魔法石はひとつ200万Gなので1億6800万Gなので合計で2億800万Gになります」

 ……ん? 聞き間違いかな。2億って聞こえたぞ。確かこの世界では宿代や飯代を日本の円換算すると2Gで1円だから1億円……

「あの、聞き間違いでなければ2億Gと……」

「はい、できるだけ多くの魔法石をご要望でしたので、様々な伝手を使って市場に出回っている魔法石を買い取りました。いやあ苦労しましたよ!」

「………………」

 ……苦労してくれちゃったんですね。どうしよう今更そんなにいらないとは言えない。というかそもそも手持ちがそんなにないのだが。大丈夫だよね、変異種とドラゴンの素材で賄える範囲内だよね?

「そしてこちらが変異種の買取金額分ですね。1体が1000万Gの15体分で1億5000万G、オリジナルの変異種が5000万Gで合計2億Gとなります。

 こちらがドラゴンの買取金額です。爪1本が1000万Gの15本分で1億5000万G、鱗が1枚500万Gの50枚で2億5000万G、すべての買取金額の合計で6億Gとなります。こちらから魔法石の2億800万Gと端数を除いて4億Gがマサヨシ殿にお渡しする金額となります。

 先日の変異種討伐のお礼も含めて買取金額は高めに設定したつもりなのですが、こちらでいかがでしょうか?」

 ……おう、頭がフリーズしそうだ。4億G……2億円……話が大きくなりすぎて、小市民である俺にとってはあまり現実味がない。

「……あっ、えとはい。その金額で大丈夫です」

 ギルダートさんはいい人だし、冒険者ギルドマスターである人が不正をするとは考えづらい。むしろお礼といって、相場より高い金額で買い取ろうとしていないかのほうが心配だ。

「ちなみにその金額で冒険者ギルドのほうは損とかしていないですよね?」

「ご心配ありがとうございます。確かに金額的にはあまり利益はでない買取金額となっておりますが、大手の鍛冶屋や貴族達に大きな恩を売れますし、この街での取引が活発になりますので、我々にも十分利益がございますよ」

 なるほど、さすがにそのあたりはギルダートさん達の方が詳しいに決まっているか。とりあえず冒険者ギルドが損をしないなら、ありがたくいただくとしよう。

「承知しました。それではそちらの金額でお願いします」

「かしこまりました。この度は本当にお世話になりました。またあまり公にしたくないような素材の買取がありましたらこっそりと教えてくださいね」

 ギルダートさんは唇に人差し指を当ててウインクをした。普通のおっさんがそんなことをしても気持ちの悪いだけだが、ナイスミドルなギルダートさんがそれをすると様になるからずるいよなあ。



 しかし4億G、日本円にすると2億円か。しかもまだドラゴンの素材も半分以上残っているし、もうこちらの世界でお金に困ることはなさそうだ。手持ちが数千万Gから一気に10倍くらいに増えたな。

 そしてなにより今回の変異種の討伐で、この魔法石をこんなにたくさん手に入れることができた。これでいろいろと試してみることができる。

 というわけで大魔道士の家に戻ってきて、前々から試してみたかったことを試してみようと思う。それは何かというと……

「よし、これで準備は整った!」

 大魔道士の家の庭に小さな魔法石を砕いて作った粉で魔法陣を描いた。そしてその陣の中央に大きな魔法石を置く。これは俺が狼型の変異種を倒して手に入れたほうの魔法石だ。

 これから何をするかというと悪魔の召喚儀式……などではなく、召喚獣の召喚だ。

 大魔道士の遺した資料の中に召喚について詳細に記載されているものがあった。だがそれには魔法石が必要とあり、王都に行った時も軽く探してみたが見あたらなかったから諦めていた。それが今回の変異種討伐戦で偶然にも手に入れることができたというわけだ。

 そしてジーナさんから貰った大魔道士の資料の中に、大魔道士が召喚獣を使役していたとの記録も残っていた。どうやら大魔道士は時に獅子型の召喚獣を召喚し、それにまたがり戦場を駆けていたらしい。
 
 召喚獣に関しては知性を持ち、人の言葉を話すこともあるようだ。そしてその姿や大きさ、強さは召喚した者によって様々らしい。

 俺の場合はどうなるんだろうな? 大魔道士の力を継承したから同じ獅子型の召喚獣になるのか、それとも狼型の変異種の魔法石を使うから狼型の召喚獣になるのか、それともまったく別の召喚獣になるのか?

 こればっかりは実際に召喚をしてみないとわからない。大魔道士が遺した資料通りに、魔法陣を描いて中央に魔法石を置いた。あとは魔法陣に魔力を込めて召喚と唱えるだけでいいらしい。

「召喚!」

 魔法陣が光り輝き始めた!
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

消息不明になった姉の財産を管理しろと言われたけど意味がわかりません

紫楼
ファンタジー
 母に先立たれ、木造アパートで一人暮らして大学生の俺。  なぁんにも良い事ないなってくらいの地味な暮らしをしている。  さて、大学に向かうかって玄関開けたら、秘書って感じのスーツ姿のお姉さんが立っていた。  そこから俺の不思議な日々が始まる。  姉ちゃん・・・、あんた一体何者なんだ。    なんちゃってファンタジー、現実世界の法や常識は無視しちゃってます。  十年くらい前から頭にあったおバカ設定なので昇華させてください。

処理中です...