いじめられて死のうとしていた俺が大魔導士の力を継承し、異世界と日本を行き来する

タジリユウ

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第133話 アルバイト2日目

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 1日目のライブは無事に終わった。夕方からは自由時間なのだが、さすがにあの炎天下のなか1日中働いただけあってみんな疲れており、海に行こうと言い出す者はいなかった。

 宿での美味しい晩ご飯に満足して、明日に備えて早く寝たいところであったのだが……

「兄貴、疲れているのにわざわざありがとうございます!」

 茂木さんから連絡が来て、なぜか宿の近くにある格闘技ジムに来ていた。別に決闘とかいうわけではなく、茂木さんの練習相手になってほしいとのことだった。

 ちなみに茂木さんや佐山さんは俺達とは別で、宿ではなく立派なホテルに泊まっている。そしてこのジムは茂木さんがジムの人にお金を払って少しの間借りたそうだ。リングの周りにはこのジムに通っている人達がいた。

「こういう時でもないとなかなか時間が取れないからね。それにいつも具体的なアドバイスとかができていないのは悪いと思っていますよ」

 連絡先を交換してからいろいろなアドバイスを求められるのだが、俺は大魔導士の力を継承しただけで、格闘技に詳しいわけではない。なのでできるとしても今日みたいな実戦的な練習くらいしかできないわけだ。

「今度総合格闘技の大会があるんす。前回は3位だったから今回はガチで優勝を目指したいんすよ。兄貴には申し訳ないんですけど胸を借りさせてください!」

 すごいな、大会に出たことがあると聞いていたが、3位を取っていたのか。というかそんなに強いのに一般人だった俺に出会い頭で勝負なんてふっかけてくるなよ……

 確か格闘技で段を持った人が一般人に怪我をさせたら大問題になるんじゃなかったっけ? 大会で入賞するくらい強ければ手加減とかも簡単にできるかもしれないけどさ。

「教えることはできないんで適当にかかってきてみてください」

「押忍! 胸をお借りします!」





「はあ……はあ……ありがとうございました」

「ありがとうございました」

「いやあ、やっぱり兄貴はマジで強いっす! 俺じゃまったく歯が立たねえっすよ!」

 大の字になってリングに横たわる茂木さん。あれからしばらくの間、茂木さんとのスパーを続けていた。最初のうちは向こうも手加減をしていたらしく、グローブを付けたパンチだけだったが、しばらく俺が茂木さんの攻撃を防いでいると少しずつ足技も混ぜてきた。

 俺も茂木さんの攻撃を防ぎつつ、茂木さんの攻撃を真似て軽く反撃をしてみる。しかしそれを茂木さんもうまく防いでくる。それを見て更に攻撃のスピードを上げて茂木さんの練習となるように調整していった。

「でも茂木さん、前より強くなっていると思いますよ。少なくともパンチのスピードは以前よりも上がってました」

「本当っすか!? あん時からめっちゃ基礎トレ頑張ったおかげっす!」

 数ヶ月前にライブ会場の控え室で拳を交わした時よりもパンチのスピードは上がっていた。格闘技は素人だが、見切りスキルでパンチがゆっくりに見える俺にはそのスピード差がわかる。

「兄貴は大会とか出ないんすか?」

「う~ん、あまり興味はないかな」

 この力は俺自身が努力して手に入れた力ではない。たまたま大魔導士の力を手に入れただけの俺が、努力をし続けた人達の結果をあっさり否定するのは違う気がする。

「そうっすか、残念っすね……中には賞金100万円を超える大会とかもありますよ」

「え、マジで!?」

 ……いかんいかん。100万円と聞いてついつい反応してしまった。本当にお金に困ったら異世界で手に入れた金貨や宝石を売ればいいだけだから、大会とかに出るのはやめておこう。
 
 茂木さんの練習の手伝いを終えた後、茂木さんにタクシーで宿まで送ってもらい、宿の風呂で汗を流して就寝した。どうやら茂木さんも本気で鍛えたいようだし、ほとんど疲労も感じないので、明日の夜も練習に付き合うことを約束した。



 そして次の日、朝食を宿で食べてからみんなと一緒にライブ会場へ向かう。機材設置は昨日で終わっていたので、今日は荷物の運搬作業からだ。

「この荷物はここに置いて大丈夫ですか?」

「ああ、そこで大丈夫だよ。それにしても君、すごい力持ちだね、本当に助かるよ。次はそっちにある衣装のダンボール箱を控え室まで頼むよ」

「はい」

 今の俺の力なら重たいダンボールの箱も、漫画のように6箱くらい軽々持てる。引越しのバイトとかで稼ぐのも全然ありだな。

「すみません、衣装を持ってきました」

「あ、兄貴。ありがとうございます! そこに置いてもらえれば大丈夫っす。高橋さん、最初のステージの衣装持ってきて。それと吉原さんのヘアスタイルとあわせて問題ないか、最終チェックよろしく!」

「は、はい!」

 控え室には茂木さんがいた。そういえば佐山さん達や他のグループの衣装を担当しているから、ここにいるのも当然か。

 忙しそうに他の人に指示を出している。う~む、こうやって離れたところから見ていると、確かに仕事もできるしイケメンだしモテそうだな。前に佐山さんが言っていたけど、茂木さんが意外と人気がある理由もわかるかもしれない。

 そして2日目のライブも特に大きな事件や事故もなく無事に終了した。
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