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第145話 情報収集
しおりを挟む「……そんなことだろうと思ったよ」
サーラさんの屋敷を出たあと、俺は屋敷の外で聞き耳スキルを使ってサーラさん達の会話を聞いていた。
話を聞くに、少なくとも負けた国の王族は処刑されてしまうんだろうな。禍根を残さないためにも、余計な反乱を防ぐためにも、負けた国の王様の血縁者はすべて処刑するか……元の世界の漫画やドラマとかでよく見たことがある。
おかしいと思ったんだよな。たぶんあの時ジーナさんは俺に助けを求めようとしたのだろう。だけどそれをサーラさんは許さなかった。命の危険がある決闘で国の代表者として俺を戦わせようとはしなかったんだ。その結果、自分達の命が失われたとしてもだ。
驚くべきことにサーラさんはそれをまったく顔に出してはいなかった。おそらく天災を倒したのは俺ということには気付いているだろう。そんな俺に本当は助けを求めたかったのかもしれない。しかしそんな気持ちをおくびにも出さずに平静を装っていた。
まだ小さいのに本当に立派な人だ。ああいう人を王の器とでもいうんだろうな。だが、サーラさんがそうくるなら、こっちにだって考えがある。まずは情報収集といくか。
「マサヨシ殿、お久しぶりです!」
「お久しぶりです、ギルダートさん。お忙しい時にすみません」
とりあえずエガートンの街へ行き、リリスさん達から情報を聞こうとしたのだが、留守だったのでお土産を置いてきた。そしてそのままブラッドリーの街の冒険者ギルドにやってきた。
ブラッドリーの街はルクセリアの街ほど慌ただしくはなかったのだが、それでも冒険者ギルドのほうは忙しそうだった。しかし俺の名前を出したら、わざわざ大魔導士の子孫であり、この冒険者ギルドマスターであるギルダートさんがわざわざ部屋まで案内してくれた。
「以前の変異種騒動の時には本当にお世話になりました。マサヨシ殿に譲っていただきました変異種の本体も研究にとても役に立っているようです」
そういえばそんなこともあったな。あの時はリリスさん達が心配で変異種の討伐にこっそりとついて行ったんだよな。
「いえ、こちらこそ素材の買取りなどありがとうございました。それで今日はいろいろと聞きたいことがあってお邪魔しました」
「はい、なんでしょうか。この街の恩人であるマサヨシ殿にでしたら、私の知る限りのことをお教えしますよ」
「ありがとうございます。実は……」
ギルダートさんに国同士の決闘についてや大魔導士を継ぐ者についていろいろと聞いてみた。
「……なるほど、王族に知り合いがいらっしゃるのですね。今回の場合は国を賭けての争いとなります。普段行われる小さな決闘ではないので、この決闘で負けた場合での処刑は免れることは難しいかもしれません。
過去に国をかけた決闘は何度か行われてきましたが、敗戦国の王族の処刑は後々の禍根を残さないためにも、ほぼすべての決闘で行われてきました」
「なるほど。何か戦争を避ける手段とかはなかったんですかね?」
「そうですね、今回のバートム国とエドワーズ国の戦争については色々とこちらにも情報が入ってきております。以前からバートム国とは小競り合いはしょっちゅうあったのですが、まさか国を賭けての決闘にまで発展するとは思っておりませんでした。
……こちらはまだ極秘なのですが、相手国の代表者はあの大魔導士を継ぐ者という最近この辺りでも噂になっている強者のようです。おそらくですが、今回はこの者がいるからこそ、相手国が相当な無茶を言ってきたのでしょうね」
おお、すごいな。もうそこまで情報を掴んでいるのか。さすがこの街の冒険者ギルドマスターだ。
「絶対の強者を運良く手に入れた国にはよくあることなんですよ。代表者での決闘にまで持ち込めば、大抵のことは力尽くで手に入れることができます。国同士の代表者による決闘が受け入れられなければ、全面戦争も辞さないと宣言すれば、国民を大切にする王であるほど、代表者での決闘を受け入れるほかありませんからね」
……なるほど。国民を大切に思っている王様であればあるほど、国民同士での戦争をさせないために、たとえ負ける可能性が高くとも代表者による決闘を受け入れるしかないわけか。……まあ王子2人は反対していたらしいけどな。
「なるほど。でも国民は反対したりしないんですか? 国が変わるって一大事じゃないですか」
「今はそれほど愛国心のある者もおりませんからね。昔は市民や冒険者も戦争に駆り出されて一大事でしたが、国同士の代表者による決闘が主流になってからは国民にはそれほど影響がなくなりました。
税金や法律が少し変わりますが、気に入らなければ別の国に移るだけですからね。それを勝った国もわかっているので、税金や法律はそれほど変更しないそうです」
「……思ったよりもそのあたりはあっさりしているんですね」
「実際に70~80年前ですが、エドワーズ国も一度国を賭けた戦いに勝利し、別の国を属国にしております」
……どうやらこの世界はそのあたりについてはドライなようだ。まあ魔法を使って国民全員が争う戦争よりはまだマシなのかもしれない。それで王族がいるルクセリアの街は慌ただしかったが、エガートンやブラッドリーの街はそれほど慌てていなかったわけか。
「大魔導士を継ぐ者はどういう人なんですか?」
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