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第156話 強者を求めて
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光り輝く金色の雷剣が敵を襲う。あまりの威力に土煙が激しく舞う。奥のバードン国の陣営が騒がしくなっているのは、いきなり現れた俺という存在が、ここまでの力を持っていることが予想外だったからだろう。
上級拘束魔法に上級状態異常魔法に上級雷魔法。通常の魔法使いであれば、生涯をかけても習得できるかわからないほど、習得が困難な上級魔法。
それを連続で3発ぶち込んだ。訓練をお願いしたリリスさん達Aランク冒険者でも、この拘束魔法や状態異常魔法を受けてからの攻撃をくらって、まともに動ける者はいなかった。
「………………」
土煙が晴れていく。だが、そこには先程までとまったく変わらない姿で立っている敵の姿があった。いつのまにか拘束魔法の鎖も消えている。
……気配察知スキルで、敵が生きていることはすでに分かっていたが、いくらなんでも無傷で今の攻撃を防いだというのはさすがにショックだぞ!
今までの訓練の成果とか関係なく、今の一撃で終わってくれても一向に構わなかったんだけどな……
「……貴様は何者だ?」
初めて相手の方から反応があった。年相応の、大人というよりは少年に近い声をしている。一応こちらと問答するつもりはあるようだ。
「俺はマサヨシだ。あんたの名前は?」
「……アンデだ。先程の魔法は実に見事であった。我の障壁魔法が一瞬で砕かれたぞ。それに拘束魔法に状態異常魔法、どちらも相当なものだ。だか、マサヨシという貴様の名前は聞いたことがない。この国には貴様のように無名だが優秀な魔法の使い手が多いのか?」
かなり上から目線で褒められた。どうやら質疑応答タイムらしい。ちょうどいい、俺も聞きたいことが山ほどある。警戒しつつもいろいろと聞いてみよう。
「正確に言うと俺もこの国の人間じゃないから、よく知らない。俺の場合はあえて力を隠そうとしていたんだ。俺もあんたにいろいろと聞きたい。なぜバードン国に手を貸している?」
「……この国で一番強き者と戦えると聞いた。いちいち多くの街を巡って強者を探すのも面倒だからな。我を利用していることは分かっていたが、強者と戦うという我の目的のために、その誘いに乗っただけだ。我は国同士の争いになど興味はない。
貴様は人族であろう? なぜその若さでこれほどの魔法を使える?」
ただ強い者と戦いたかっただけかよ! 国の代表者となると、間違いなく国の中でもよっぽどの実力者が出てくるからある意味効率的なのか……
「人族ではあるが、俺の師からそのすべてを伝授されている。……もしもこの決闘自体に興味がないなら、引いてくれないか?
王族の中に大切な人がいるんだ。あなたに依頼した人の命は助けてもらうし、そのあとに全力の勝負にも付き合う。なんだったら金を払ってもいいし、他に強い人を連れてきてもいいぞ」
伝授というか継承だが、まあ似たようなものだろ。小狡い感じだが、交渉でなんとかなるならそれでいい。なにせ自分の命とサーラさんの命がかかっているんだからな。恥も外聞も気にしている場合ではない。
「……我を利用しているとはいえ、一応は約束を守り貴様という強者を連れてきたのだからな。さすがにこちらから一方的にそれを破るわけにはいくまい。……それにしても師……師か。まあよい、中断してすまなかったな、それでは我からもいくとしよう」
さすがに交渉は無理か。そんなに敵国に律儀じゃなくてもいいのに……命を賭けてバードン国に尽くすとかではないのがせめてもの救いか。
「……いくぞ」
「……っ!?」
助走もまったくつけずに、いきなり敵が猛スピードでこちらに突っ込んできた。大魔導士を継ぐ者……その名を聞いた時に、俺は元の世界の魔法使いのイメージで自らは一歩も動かずに、強大な魔法をひたすら放つようなイメージを持っていた。
敵はそんな俺のイメージをぶち壊すようなスピードで俺のほうへ突っ込んでくる。
だが、その戦法を俺は知っている。ここへ来る直前にボリスさんからもらって馬車の中で読んだ資料。大魔導士を継ぐ者と直接戦った人から聞いたという資料の中にその情報が記されていた。そしてその戦法はくしくも俺の取る戦法と同じであった。
抑制スキル、オフ!
ダンッ
敵が一直線にこちらに来るのに対して左側に飛ぶ。そして移動をしながら魔法を放つ。
「ストーンバレット!」
中級土属性魔法であるストーンバレット、大きな岩の礫を10前後相手に向かって放つ魔法だ。
「……ぬ! エアバレット!」
左側に移動している俺を追ってきながらも、中級風属性魔法で応戦してくる。俺の放ったストーンバレットと敵の放ったエアバレットが交差し、大半は相殺されつつも数発ずつがお互いの目前に迫る。
「くっ!」
こちらには2発の風の弾丸が迫ってくるが、見切りスキルによって敵の攻撃を見切りってかわす。しかし、敵も同様に俺の岩の弾丸をかわしていく。
「……ファイヤーランス!」
「ウォーターウォール!」
敵が撃ってきた5本の火槍を俺の水魔法の壁が防ぐ。
ジュ……
火の槍が水の壁に当たると同時に火の槍が消滅する。属性の相性的にもこちらの水の壁が勝ったらしい。
「うっ!」
しかし敵は水魔法の壁を前にひるむことなく、水の壁に拳を突き出してきた。
パアアアアアン
敵の拳で水の壁が爆ぜた。そして穴の空いた水の壁から俺のほうへ突っ込んでくる。そのままの勢いで右拳を俺に向けてむけてきた。
それに対して俺も右拳を振り上げ、敵の右拳を防御せずに、敵の顔面に向けて一切の躊躇なく振り抜いた。
バキンッ
お互いの右拳が交差するが、身体に右拳が触れる直前に、お互いの障壁魔法によって阻まれた。
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